小学生のころから研究者になりたいと思っていたのだが、この博士就職難のご時世に、運よく常勤職につくことができた。給料もいい。教えるのは好きだし、研究するのはもっと好き(苦しいことも多いけど)。新しい発見をしたときの快感なんて何にも代えがたいと思うほど。
この地位を得るために、色々なものを引き換えにした。研究が忙しくて趣味は一切やめてしまった。テレビも映画も殆ど見なくなってしまった。彼氏ももうずっといない。私がなにより研究を優先してしまうのを、私も(たぶん向こうも)分かっているからだ。いざとなれば、来週にだって地球の裏側に行って、そのまま何年も帰って来ないのが私だ。「相手のキャリアにあわせてついていく」ことは私にはできない。過去の彼氏たちとは、結局そうやって別れた気がする。彼らには、ちゃんと「ついてきてくれる」パートナーを選んで、楽しく人生を送っていてほしいと願う。自分は、娯楽としてのパートナーを欲しいとすら思わないほど、そぎ落とされた生活をしている。
とはいえ、このGWに外に出れば、私が選ばなかった選択肢を選んだ人たちが楽しげに街を歩いているのが目に入る。昨日「女性手帳」とかいうニュースもあったが、私も30代半ばだし、パートナーも子どもも持たず、一生独りで生きる覚悟を本気で決めねばならない、とつくづく思う。もう子どもは無理だろう。家族連れをうらやましいなあと思うことはあるけれど、たとえば自分が10年前に戻ったとして、研究とキャリアを妥協した選択をするかというと、やはり絶対できないと思う。もし無理やりそうしたとしても、研究とキャリアを妥協したことを他人(パートナーや家族や周囲)のせいにしてしまいたくなりそうだ。そんな人生は嫌だ。少なくとも今の私が一人なのは自分のせいだし、自分の人生の足りないものを他人のせいにしたくもならない、ということは今の人生の非常にいいところだ。
もちろん理解のあるパートナーに子ども、優秀な研究能力に常勤職という、総取り女性研究者というのも世の中何人もいるけれど、私の性格+私程度の能力でそれは無理だ。あれは単に常勤職につく以上の僥倖だ。現に私と同年代で研究職を目指していた女性たちの多くは、パートナーや家族を得て研究の世界から消えてしまった。
家族や子どもも欲しいとは思うけど、結局最優先にはできない自分のエゴというものを、もっと自分ですんなり消化したい。心情としてもやもやするのが気持ちわるい。うまい消化方法を知っている人がいればぜひ教えて欲しいほど。
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追記:
仕事で放置している間に思わぬ数のレスポンスで、驚きました。助言をしてくれる人は周りにいないので、参考になりました。「主夫」という意見がありましたが、そういえばそういう人に出会ったこともなかったです。それこそ孤独には強いようで、積極的にパートナーを探しに出ることも一切ないためかもしれません。
ただ、研究だけは私の人生の最後までそばにいてくれる存在ですし、学生たちはいわば私の精神の子ども的な存在だというのは、いつまでも変わらないと思います。
若干もやもやすることはあっても、自分で選んだ人生なので、まずは手元にある今の生活から頑張ります。研究はとっても楽しいのが幸いです。
唐突だけど以前読んだ本で、「宇宙の果てまで―すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡」というのがあったので紹介する。 関係ないと思ったらスルーしてください。 http://anond.hatelabo.jp/...
何回やれば気が済むんだよこのワナビー君の妄想
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これについて「主夫になってくれる人がいれば」と言ってる人が結構いるが、主夫がいる程度で子育て丸投げして研究に集中なんてできるもんか?無理じゃね?って思う。その辺どう思...
そんなもん人によるわな 奥さんが専業主婦だろうが働いてようが奥さんに完全丸投げで子育てなんて何もしてない子持ち男も世の中大量にいるしね ただ奥さんに育児完全丸投げされても...
研究成果や学生達という子供達が育っていくんだから, 遺伝子は残らなくてもそれでいいんじゃないの? 子供や家族がいなくても,研究者として生きて功績を残すのはすばらしいことで...
参考にできる女性の先輩はいませんか? 私はおばさん・おばあちゃんになるまで研究者を続けていらっしゃる先生を数人知っています。 みんなそれぞれ結婚したりしなかったり、子ども...
他人の例って参考になるもんかねえ。 結局「事情はひとそれぞれですね」で終わりそうなもんだが。
http://anond.hatelabo.jp/20130506111132 の 「ついてきてくれるパートナー」について。 やっぱり男は「ついてきてくれるパートナー」がほしいものなの?
http://anond.hatelabo.jp/20130512234444 このへん世代間格差と個人差が激しいと思います。 私個人で、という話ですが。 並んで歩いてくれれば嬉しいし、道をあるけば先をあるいている事が多い...
幸せそうな家庭でうらやましいわ。