2013-03-07

エロゲーは何故長くなるのか。

※ムダに長いよ。時間のあるとき暇つぶしに読むとよい

※あまり正確でないまとめ

1. あらゆるものは長くなる。よってエロゲーも長くなる

2. 長さを制限しようとするストッパーエロゲーにはあまり無い

3. 日本経済デフレのせいもあるかもね

4. 長大化で小回りが利かなくなったので衰退した

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積んでた夏空のペルセウスやってたらこんな記事が話題になってたので、以前考えてたことを出力してみた。

エロゲーは何故長くなるのか。長くならない理由がないから。

まずもって、世の中のたいていのものは放っておくと長くなる。全部突っ込めばそれだけ長くなるし、切り捨てるのにはセンス覚悟が要求される。

論点を置き換えて「他のジャンルの作品は何故長くならないのか」と問うてみた方が話が早くて、フォーマット制作体制や商業事情物理法則に種々のストッパーを見つけることができる。テレビアニメには放送枠があるから1話30分弱に収まるし、読者アンケートの結果が悪い漫画は打ち切られる。ボリューム制作期間と費用は通常比例するから10時間映画はペイしづらい。観客の体力も保たない。製本技術には限界があるので京極夏彦川上稔がある種のチャレンジャーとして驚かれる。商業作品である以上、諸々の制約と歴史的経緯によって現在ジャンルの姿がけしてベストな形ではないにしろあり、いまも着々と変化している。

ところで家庭用ビデオゲームというのはある意味で特殊なジャンルで、この手の制約が相対的に弱い。(どういう経緯があったからかは知らないが)企業成果物として単品売り切りで販売されるために一作で完結していることをより強く求められる。連載形式や短編連作は馴染んでいない。アーケードのように課金制ではないため私的な場で長時間にわたってプレイされる。デジタルデータであるがゆえにボリュームの制約が相対的に弱い(勿論家庭用ゲーム機歴史とは一側面ではすなわちデータ容量との戦いでもあったということを知らないわけではないが、しかしそれは、書籍のページ枚数やテレビの放送時間とは本質的に異なった枠組みだろう)。そしてエロゲーもこの例に漏れない。

いま、エロゲーを長くさせない/シナリオ量やCG枚数や楽曲数やキャスト数、ゲームエンジンの性能、その他全てを含めて総体的に立ち現れる「ボリューム」を一定程度にとどめようとするなにがしかの制約を想定してみたとき、せいぜいメーカー経営体力とメディアの容量、それからマシンスペックくらいしか思い浮かばない。後ろ2つは開発環境消費者プレイ環境にある程度近いのもさることながら、そもそもPCの廉売とスペック進歩、間接的にはブロードバンド環境の普及がエロゲーの長大化を物理面で下支えしてきたように中長期的にはむしろブースターとして働いている節がある。トップブランドフラッグシップタイトルが折に触れて消費者側のマシン更新を促してきた事実もあるように、決定的な歯止めとなっているようには見えない。1点目にしたところで、勿論この業界の危うさ、開発企業経営基盤脆弱さは消費者にもつとに知られたところではあるが、零細ゆえに諸々の手段で延命可能であることもまた、たとえば半ばアパレルメーカーと化し盆と正月衣服楽器を売りさばく某ブランドの例から知ることができよう(もっともこの手の主客転倒した経営と現状の市場を席巻している初回特典偏重商法が相まっていくらかのエロゲーメーカーのグッズ屋化を促進しているのだが、さすがに本論から逸れているので一旦措く)。そもそも零細的な企業体制でも比較的手軽に参入可能な市場として開発者の側からかつてエロゲーは持て囃されたという歴史もある。

ところで、「ボリューム」と書いた。実は「CG枚数や楽曲数やキャスト数」は、これはきちんとデータをとって検証したわけではないけども(誰かやってください、というかもう先行記事があるでしょう)、一部の大作を除けば体感としてはここ10年、さして増加はしていない。勿論マシンスペックの向上に伴って画質も音質も向上してきたが、数量としてはほぼ横這いじゃなかろうか。むしろ攻略ヒロイン数なんかは全体として微減の印象がある。じゃあどこに工数が注ぎ込まれて「ボリューム」感を実現しているのかっていうと演出のスクリプトゲームエンジンの融通とシナリオ量で、だから「長大化」として語られる。そうしてヒロイン数が割を食う。

畢竟、「これ以上長くすると開発スタッフ死ぬ」以外に天井が見当たらないのがエロゲーであり(実際菜種油を搾るように業界人の首が絞められた末に納品された成果物を今われわれはプレイしている)、そして消費者ぼんやりと長大化を期待した。マルチエンディングADV市場大勢を占めるようになったがために、ビデオゲームでありながら作品間で「ボリューム」を直接的に比較することが可能となったのも後押ししたのかもしれない。あるいは国内経済デフレーションと関連付けることだって可能で、フルプライス=税抜8,800円の価格設定はここ10年以上にわたってほとんど揺らいでいない。数年前からいくつかの大手メーカーが大作に限ってようやく税抜9,800円に手をつけた程度のありさまで、であれば同一価格内での「品質向上」を求める圧力が加わるのは自然の成り行きだろう。それでなくても市場2000年前後をピークかくしてエロゲーは長大化の一途を辿り、ジャンルとしては衰退した。

これは当然の展開で、しばしば指摘されるように現代コンテンツ飽食の時代趣味時間の食い合いとなるので長ければ長いほど不利になる。そんなの知ったこっちゃねえ俺は何十時間何百時間でもエロゲーを続けるぜって御仁には頭が下がるばかりだが、ジャンルの/市場健全性とはかようなストイシズムとは対極の、ヌル裾野の広がりによって担保されるのであって、エロゲー修験者ばかりではジャンルは早々に先細る。複数買い&積みで支援するのも似たようなもので、そこに健全な言説(そもそもインターネット上のエロゲーについての言説が「健全」であったためしなぞいまだかつてあったのか甚だ疑問だが)は生まれ得ないし、エロゲーは他のオタフィクション同様、本質的には中・下層の大衆賃金労働者の変種としてのオタクによって担われる速度重視のサブカルチャーの一種であるのだからルネサンス期のメインカルチャーのような貴族パトロンによる全面的支援などという夢は早晩挫折しよう。

速度。現代インターネットで語られるオタフィクションとしては何よりも速度、1単位コンパクトさと間口の広さ、新陳代謝の活発さが重要で、そして先にも触れたように「ボリューム」と開発期間はふつう比例する。込められたアイディアも思想も発売時には陳腐化している。ゆえに、足回りの悪くなったエロゲーが往時の勢いを失うのも自然の流れだろう。

・おわりに

突っ込みどころ多いしエビデンス挙げてないし、取り扱うのが面倒でわざとスルーした話題がいくつかあるけどまあいいや。気力の保つあたりでアップしておく。

それにしても、平均年収300万円以下って、まあ天引きor確定申告前の数字なんだろうけど、俺より貰ってるじゃねーか。まあ激務やスキルクリエイター幻想に見合わないって趣旨なんだろうけど。

この手の、市場の縮小と消費者層の年収減と割れの話はオバフロの人はじめ、色んな人が語ってるから適宜ググるといいと思うよ。

夏空のペルセウスは大変エロかったですが他に言うことがありません。minoriの歴代作品に比べて開発期間=資金の限られている中で最善を尽くしたんだろうなあ、とは思うけど。

すぴぱらの続きマダー?

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