2012-12-03

http://anond.hatelabo.jp/20121203152546

均衡実質金利 - 実質金利 = 金利ギャップ

が高止まりしている主張かと思いますが、今の金利ギャップは幾つなのでしょうか。

渡辺(2012) http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2012/data/wp12j03.pdf に従うなら、2010年における金利ギャップは1%ほど。(均衡実質金利0%、名目金利0~0.1%、期待インフレ率-1%)

http://f.hatena.ne.jp/perfectspell/20121203151039グラフのように実質金利 - 均衡実質金利 = 金利ギャップ なので符号に注意してください。

ただ、均衡実質金利はかなり変動するのでたった今この瞬間だけのものを考えても適切ではなく、ゼロ金利意図せずに引き締めになったりすることのないように、

均衡実質金利マイナスを概ねの期間で打ち消すだけのインフレ水準が望ましいことになります

http://f.hatena.ne.jp/perfectspell/20121203151039

グラフに出ているのは、その名の通りさまざまな手法によるものを並べて、最大値・最小値・平均値を求めたもののよう。

その中でBKやHPフィルターを用いた手法は当該期間の日本適用するには不適切。あくまで工夫した移動平均のようなものなので、

遅い利下げやゼロ金利で実質金利が高どまりしていると均衡実質金利まで高く算出されてしまい、ギャップゼロに近いことになってしまます

Laubach and Williamsを使った 渡辺(2012)などの方が適切です。

より足下まで更新されていることや同じ手法なので比較が可能な米国の値が出ていることを考えれば尚の事です。

それでも問題点に目をつむってグラフ平均値を見れば、バブル崩壊以降の多くの期間に渡って金利ギャッププラスであることが問題です。

デフレ傾向を食い止めるにはむしろ金利ギャップマイナスでなければならなかったのを、引き締めを続けたということを表しているのですから

今の米国金利ギャップは2%ほどで、日米比較すると日本の方が緩和的という理解でOKですか。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2012/11/post-2757.php の「適正な金利水準はマイナス2%前後」より

記事にある適正な金利水準とは均衡実質金利のことではないので、OKではないです。

失業率が高いため、均衡実質金利より低い実質金利を達成する名目金利が、記事でいう適正な金利水準に当たります

上の日本場合で、デフレ傾向を食い止めるにはむしろ金利ギャップマイナスでなければならなかったと言っているのと同様のことです。

渡辺(2012)にあるように、2010年までにおいてずっと日本の均衡実質金利米国の均衡実質金利より低いのでそれが今も続いていると考え、インフレ率が米国の方が高いことも踏まえると、

同じゼロ金利であったとしても米国の方が緩和的です。というより、金利だけから判断すれば米国は緩和(3%ほど)な一方、日本は中立または引き締めです。

もっとも、米国より緩和的かどうかをことさら気にする動機が分かりません。仮に米国より緩和的であっても、それが日本経済の状況から見て緩和不足であれば何も望ましくありませんから

均衡実質金利は、その水準よりも実質金利が高くなれば引き締め、低くなれば緩和という閾値であって、望ましい金利水準を指すものではありません。(経済が適度なインフレ雇用にある時には望ましい実質金利となります。)

デフレであったり失業率が高かったりした時には緩和的な環境、すなわち実質金利を均衡実質金利よりも低くする必要があります

均衡実質金利が低いもしくはマイナスで、デフレ期待もしくは非常に低いインフレ期待がある場合には、緩和的な環境のものを作れず、デフレの中で引き締め環境が続いてしまうことになります

こういった事態に陥らないようにするためにインフレ期待を少なくとも2~3%まで引き上げるようにする必要があり、現在議論されているインフレ目標などはその一環です。

記事への反応 -
  • うーん。デフレが経済にとって悪いことだと説明してくんない。ただし条件付きで デフレが経済にとって悪いことだと知らない野田首相 まず 1 金融政策の限界 負の金利 2 フィ...

    • フィリップス曲線を出す理由がなく、実質金利と投資活動の関係を見ればよい。 コストである金利負担が大きければ企業にとって設備投資の純利益は低下する、という流れは十分に説得...

      • まず、金利という考え方に疑問。 今は昔と時代が違って、実に40%以上の企業が無借金経営で、金余りの時代による負の金利時代。 欧米でも日本でも、内部留保をどう投資に回すか?...

        • 企業が無借金で金を溜め込んでいても、金利は投資に影響する。 企業は溜め込んだ金をただ現金で寝かしているわけではなく、銀行預金にせよ国債投資にせよ何らかに投資している。 ...

          • 気がするperfectspellことレフです。 . 均衡実質金利 - 実質金利 = 金利ギャップが 高止まりしている主張かと思いますが、今の金利ギャップは幾つなのでしょうか。 <img src="http://f.hatena.ne.j...

            • 均衡実質金利 - 実質金利 = 金利ギャップ が高止まりしている主張かと思いますが、今の金利ギャップは幾つなのでしょうか。 渡辺(2012) http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2012/data/wp12j03.p...

              • レスども。 今年は2010年ではなく2012年なので、自然利子率が2010年のまま 0%だと仮定しても(↓) http://f.hatena.ne.jp/perfectspell/20121203201658 2012年の今は名目金利0.1%・期待インフレ率0.6%(目分量)で...

                • 引用先の画像に2012年はないようだけどどうやって目分量で見たの?

                • 今年は2010年ではなく2012年なので、自然利子率が2010年のまま 0%だと仮定しても(↓) http://f.hatena.ne.jp/perfectspell/20121203201658 2012年の今は名目金利0.1%・期待インフレ率0.6%(目分量)で 「...

                  • 金利ギャップが負(推定)なのに、金利が高止まりと強弁し続けるのは一般的ではないと思いますが続けますか? 結局「蓋然性が高い」という思い込みで今の金利ギャップは不明だけど、2年...

                    • を混同してるだろこいつ http://anond.hatelabo.jp/20121204113745 実質金利=自然利子率 → 中立 実質金利>自然利子率 → 引締 実質金利<自然利子率 → 緩和 実質金利=テイラールール - ...

                    • 結局「蓋然性が高い」という思い込みで今の金利ギャップは不明だけど、2年前の統計しか用意してないけど、「今の金利は高い」というあなたの主張が始まりなのですが。 前回も少...

                      • う~ん。混乱してきたかな。 . . 前回も少し引っかかったのですが『「今の金利は高い」というあなたの主張』というようなことを一体どこで私はしたのでしょうか? http://anond.hatelabo.j...

                        • つまり現在は金余りではなく金足らずの時代であり、それが続くと予想されるからこそ企業や家計は必死に現金や換金性の高い預金・国債などの資産を溜め込もうとしている。 なるほ...

                        • つまり現在は金余りではなく金足らずの時代であり、それが続くと予想されるからこそ企業や家計は必死に現金や換金性の高い預金・国債などの資産を溜め込もうとしている。 なるほ...

                  • 結局「蓋然性が高い」という思い込みで今の金利ギャップは不明だけど、2年前の統計しか用意してないけど、「今の金利は高い」というあなたの主張が始まりなのですが。 前回も少...

                • 消費税の負担は需要の価格弾力性に応じて消費者と企業で分け合う。 消費税増税で消費者物価の予想インフレ率が上がっている時には、 企業の税抜きでの売上単価の予想インフレ率は...

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