元々ニッチな分野だから、仕方ないのかもしれないが、それを差し引いても、質、量共に盛り上がりに欠ける。
その理由を自分なりに考えてみる。
・「最初からクライマックス」ではなく、「最初がクライマックス(後は惰性)」な急ぎすぎる展開
この分野にはあるテーマ(とそれを象徴するある事象)があるのだが、
その事象を急いで書きたいあまりに、キャラの描写もそこそこに事象を発生させてしまうため、
結果、薄っぺらい、似たり寄ったりなSSが乱造された。
掲示板に投稿された比較的息の長い作品の中で、その事象が何行目に出てきたかを調べてみたら、以下のようになった。
7、48、13、38、45、22、45、53
モノによってはこの後500行とか1000行とか続く作品なのに、これは事象を出すのは早すぎだろう。
例えて言うなら官能小説の開始数ページ目で絶頂が来てしまうようなもの。
1回だけじゃなくて、その後も何回も繰り返せばいいという方法もあるだろうが、それはそれでマンネリ化を招く。
ある事象が発生した人物はほぼ無力で、しかも行動の自由も著しく制限されるため、
「念じるだけ」
といったおおよそやられる側は回避不可、やる側の思いのままというシチュエーションが多く見受けられる。
逆転をさせようと思ったら、「やる側がとんでもないドジを踏む」「デウスエクマキナ」
といったワンパターンご都合主義に頼らざるを得ない状態になってしまう。
・描写が直接的・説明的
多くの作品が登場人物を○山△子(25)という具合に名前と年齢のセットを地の文で直接述べている。
自分も人のことを言えないし、素人の投稿にあまり高いレベルを要求するのもおかしいとは思いつつ、
やはりワンパターンすぎて、見ているこっちはげんなりする。
何よりこの方法だと人物がぜんぜん生きてこずに、単なる記号でしかなく、読者の補完に頼らざるを得なくなる。
「細部は読者の好みで」っていう配慮かもしれないが、正直自分には投稿者の怠慢にしか映らない。
・テーマを拡大しすぎて、逸脱気味
元々一般とは少し離れた嗜好のテーマだったから独立した分野のはずなのに、
最近の作品は設定が奇抜過ぎ、一周して一般とほとんど同じようになってしまった。
官能小説の例で言うなら、「男同士がテーマだったのに、片方が女体化して、ただの官能小説になってしまった」みたいな。
投稿者曰く「体は女でも元々は男で、心も男だからテーマからは外れてません」らしいのだが、いやそれおかしいだろ。
もうそれ一般となんら変わらないじゃん。
・・・とまあこんな感じ。