2012-09-11

ヒトの欠片

 私の周りには完璧な人が多い。

 仕事ができて後輩の面倒も見れて、ある程度のお金を持ち、誰にでも優しい。そんな彼女や彼はみんな独身だ。そして「なんでモテないんだろ」と本人も周りも思っている。

 私の周りには変人も多い。

 仕事は出来るが人と話すことが苦手で、顔は常に机を向き、食事は食パンのみ。仕事ばかりしてるのでお金はあるが、使い道がない。そんな彼女や彼はみんな結婚している。そして「あれに相手がいるなんて」と本人も周りも思っている。

 ちなみに私も旦那も、変人領域だ。

 本質は人見知りのめんどくさがりやの仕事以外興味がない。本当に面白い仕事が出来ていたら、食事なんて要らない。睡眠風呂も要らない。ただ仕事がしたい。

 私がひっくり返りそうになりながら仕事していたら、実際にひっくり返りながらも吐きながらも仕事をしてる旦那が目に入った。

 私は三日に一度は風呂に入っていたが、あの髪の毛は一週間以上お風呂に入ってなさそうだった。

 私は一日一食はまともなご飯を食べていたが、旦那はいつ見ても菓子パン野菜ジュースだった。

 そして声をかけた。「お弁当くらい食べませんか。近所にいつも私が食べてる店があるから、ついでに買ってきますよ」と。

 壮大に「欠け」ていたので、その「欠け」をなんとかしたいと思った。その人間的に「欠け」てる部分が引力になり、私は旦那に惚れた。

 私は息子や娘を「欠けている」人間に育てたいと思う。

 

 つまり死ぬほど何かが好きな人間に。

 勉強なんて出来なくてよい。運動なんて出来なくてよい。ただ全てを投げ捨ててもやりたいと思うことを見つけられる人間にしたい。

 完璧ほど悲しいことはない。

 完璧は誰にも興味をもたれないと、私は思う。

 欠けていなくてはならない。

 欠けこそ、魅力。

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