2012-07-16

http://anond.hatelabo.jp/20120422185333

私も院生時代あなたと同じような感じだった。別の側面から数年前にこんなことこんなことを書いたこともある。当時はトンチンカンなところで炎上させられてはてなの恐ろしさを思い知ったものだったが。

が、ここではその話を繰り返すのではなく、私のケースについて視点を変えて別の話をする。

まあ、私とあなたが似てるといっても、私の教官あなたのところほど放置型じゃなかったのだが、私の方が人間不信になっていて周囲の人間との間に壁を作ってしまった型だったかちょっと違う。

が、そんな私でも現在企業の中で一応研究職の真似事をして生きているので、一応当時のドツボからは脱却できたつもりだ。

そんな私からトラックバックで随分叩かれていてかわいそうだなと思ったのでちょっと擁護とアドバイス

ノウハウを知らないことは能力が低いことではない

 長くなりましたけど、B4達に私から出来るアドバイスとしては、

テーマよりも教員との相性等を重視したほうがいい」

「自発的に進める」

ぐらいです。

これは全くその通りなのだが、前者はまあよいとして後者が問題。

「自発的に進める」ということがどういうことなのか、B4当時のあなたが言われてわかる?そもそもどの程度のことをしたら「研究」として成立するのか、そのことすら理解できないでしょ。

何しろ、あなたの分野の主たる雑誌が何で、既知の手法が何なのか、そういった業界常識」を把握しないことにはその上に上積みなんてできないわけで。

問題は、B4なんてそういう「知るべきこと」が何なのかさえ知らないし、そういうことを知らないこと自体知らないわけで、そういうことは誰かが教えてあげないとダメ。変なプライド邪魔をしてB4あたりだとそういうことで教えを乞うことが恥だと思ったりするけど、違う。誰かが教えてあげなければ単に徒労を強いるだけということも世の中にはある。何でも自力解決するというのは賢いやり方ではない。そういうことを教えるのは「先達」の務めだ。

それが指導教官なのか先輩なのかは研究室によって違うから知らないけど、ともかくあなた場合にはそういうサイクルが働いていなかった。それは上の人の過失だと思う。

まり、上の人がやるべきことは、あなたが書いてるとおり

まさにこれ。特に「その方法を教える」が一番重要。こういうノウハウは「亀の甲より年の功」そのものだ。

世渡りが苦手なことも罪ではない。現時点では。

確かに、そういう孤立無援な状況で自力で巧くやれる人もいる。そのことを批判してるブコメトラバもあるようだ。

だが、世の中の人間はそういう人ばかりではない。そういうところで人間関係が器用であることは「できた方がよいこと」ではあっても、「大人なら誰もが備えているべき能力」というわけでもない。

だいたい、研究者は意外と「世渡り術」が要求される職業であるというのはその通りなのだけれども、その世渡り術」だって、かなりの程度は学んで身につけられるものだ。研究者としてのキャリアが0のB4がそれをできなかったのなら、それは必要なことを教えなかった上が悪いというだけのことだろう。

同輩から訊くことは得策とは限らない

あとこれは私の場合にあったことだが、余り様子がわからないうちに同輩の意見を聞かない方がいい。特に自分に自信をなくしてるうちは。

私の属していた専攻はけっこう色んな分野の研究室が混在していて、私の分野はその中でも一番理論系だった。理論系の研究というのは概して結果が出にくい。実験系の研究室では卒論の途中ぐらいで学会発表行けたりもする反面、私の研究室博士進学するM2修論提出後にようやくそんな機会を得られるという感じだった。

そんなとき、「自分は何の実績もないのに同輩や後輩は学会発表を重ねている。自分は負けている」などという風に勘違いして自分を責めてしまうとこれは単なる悪循環なので絶対にやらないこと。私は見事にこの悪循環にはまった(白状すると、一番上にリンクした増田を書いた時点でもまだ余り理解できていなかった)。そして、同輩から提供される情報なんて大抵は憶測込みの不確かなものだったりするのだ。

あなた指導教官が「研究者として」まともであるならば信じてついていくのがよい。疑問に思ったことはまず指導教官に聞いたり、研究室ゼミなどで他の人の意見をもらったりするのがよい。そうすれば修士までに「まとも」なレベルには必ずなれる。「まとも」ということは業界の様子がわかって、自分の興味に従って博士段階で研究テーマを選んだり、場合によっては指導教官を変えたりなど、そういう判断が一応できるようになるということだ。

もしそうでないのなら…、指導教官を変えることをお勧めする。

休学はできればしないほうがいい

残念ながら、健康のことや留年・休学にたいしては世の中は理不尽に冷たい。

卒業研究で患ったうつ病(らしきもの)はまだ度々ぶり返すし、

いっそ就職する前に休学でもして治しておこうかな。

なのでこれはお勧めできない。休学したら就職企業だろうとアカポスだろうと)の面接で理由を聞かれることになる。「病気療養」という時点で「健康に問題がある」と判断されるとこれは大きなマイナス。ましてメンタルというと二重苦だ。

実は私の大学は専攻によっては半分ぐらい留年するところで、それでもどこかで立ち直って普通にやっていたりするのだが、就職後、他大出身の同期が「留年なんかする奴は人間としておかしい」とか平然と言いはなっているのを耳にして愕然としたことがある。良いかいかはともかく、世間にはそういう人がいるものだ。そして企業の人事部の採用担当など、率直に言って結構アホの集まりであることも多い(そうでない会社もあると思う)し、採用先の部署と意識のギャップがかなりあったりもするものだ。

いや、就職のことだけではない。新しい人間関係ができたときにもこれは黙っていなければなかなか厄介になりうるし、何より障害になりうるのは結婚ときではないだろうか。

から留年せずに通院治療で治せるのなら絶対その方がいい。でないと一生スティグマを背負うよ。その覚悟がないならその決断お勧めできない。残念だけれどね。

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