【働いたら負け】河本準一の母親・姉・叔母A・叔母B全員が生活保護不正受給?過去12年間で総額9792万円 週刊新潮 : はちま起稿
今回の場合、恐らくこの親族は全員が別世帯だったんでしょうね。
この「世帯」っていうのが曲者で、基本的には住民サービスの単位であり、同一生計を外見的に判断する最小単位のセルな訳です。
そして、生計さえ別であると見なされれば、同一住所に住む親子であっても世帯を別にする事が出来てしまうんです。
よく、ヘーベルハウスのCMなんかで「二世帯住宅」なんて言ってますが、あそこまで物理的に家の構造が分かれてなくても(極端な話、単なるパラサイトシングルのニートであっても)世帯分離は可能です。
さて、一般的な市町村における住民サービスには、低所得者が優遇措置を受けられるケースが数多くあります。
この時、「低所得者」であるかどうかを判断する基準の一つに、「住民税非課税世帯」というのがあります。
つまり、「世帯全員が住民税非課税なら、サービスを優遇しますよ」という事です。
ひとつ屋根の下に現役バリバリのサラリーマンがいようとも、住民票上で同一世帯になっている人だけが非課税であれば、もう非課税世帯。
そして、この「非課税世帯」が日常的に最も強力に発動されるのが、国民健康保険や後期高齢者医療制度といった健康保険の世界です。
「非課税世帯」なら毎月の自己負担限度額はかなり低額に抑えられますし、所得そのものも低ければ保険料(税)の軽減措置も受けられます。
例えば。
国民年金だけでつましく生活する親夫婦の所に、年収1000万円超のサラリーマン夫婦が同居する二世帯住宅。
こんな世帯でも、親世代と子世代とで住民票上の世帯を分けていれば、親夫婦は「非課税世帯」です。
そして、そんな状態でも所得税や住民税の世界では、サラリーマンの息子は「同居老親」として両親の扶養控除を取る事が可能なんです。
おまけに、後期高齢者医療制度の保険料は、東京都の場合だと年間たったの4,000円で済んでしまいます。
国民健康保険や後期高齢者医療制度に限って言うなら、あくまでも所得判定の範囲は「世帯主および世帯主以外の被保険者」に限られますから、極端な話、世帯主さえ親世代であれば、同一世帯に現役バリバリで稼ぎまくっている子がいる場合ですら非課税世帯としての優遇を受けられてしまいます。
こんな世帯は、日本中に山ほど実在しますし、こういう事例を1件1件潰していこうとなると、先ずは法改正からという所で恐らく挫折してしまいます。
戦前の民法における「戸主」を復活させ、子世代の方が稼ぐようになったら世帯主を「隠居」させるような法律にしないと、こういう「不正」な非課税世帯は潰せませんが、当然ながら時代に逆行する話なので、とても輿論の支持は得られないでしょう。
今回の生活保護不正受給は、たまたま芸能人がその当事者だったからこそ、ここまで輿論の注目を集める事が出来ました。
しかし、同一住所別世帯どころか同一世帯での所得把握すらうまく出来ていない健康保険制度を等閑にしたままで、別住所別世帯の親族を追っ掛けていくなんて事は、通常の自治体には到底不可能な話ですし、そこまでのリソースを割く余裕もありません。
幸い、今回の事件は単なる芸能人のスキャンダルという所に落ち着きそうですが、ここで親族の扶養義務に目覚めた輿論がこうした健康保険の軽減措置に目を向けるような事になったら、国民皆保険制度が守られる代わりに市町村職員が過労死する事になりそうですね。