2012-05-14

ああ、みんな「嵌っちゃったんだな」と思ったとき

最近のソシャゲ問題、自分は少し勘違いしていたようだ。

というのが、作ってる人たちは「これ、正直やばいけど稼げるし短期決戦で得るもん得ていこうか〜」くらいの気持ちでやってるのかと思ってた。

実際この考えの人は少なからずいるはずだ。

あるいは、「ヤバいけど、ライバル会社もやってて生き残るには自分も参加するしかない。」っていう、

ある種の邪悪チキンレースに乗ってしまっている事を自覚してる人たち。

この人たちは、まぁ、邪悪だけど仕方ないのかなと思う。

※なお、本当に本当の意味で『邪悪』な人たちはとっくの昔に上がりを頂戴して既にあの場にはいないはず。

 少なくとも某女史は完全に逃げ切ったのかなと。



けれども、どうも中の人たちのレスポンスを見る限り、「俺たち悪い事してねーし!」みたいなことを本気で考えている人たちがいる様子。

この人たちはヤバい。何がヤバいかと言うと、「罪の意識希薄化」がされたことに一切気づいていないと言う点でヤバい。

そしてそのヤバさが、プログラマーっていう職業に対する社会認識が悪い方向に傾きかねないのでヤバい。

いや、もう手遅れだ。多分、後一年後にはIT業界に対する世間の目そのものが冷たいものに変わっているだろう。



まず僕はあの場で「俺悪くねーし!」って言ってる末端を攻めるつもりは無い。

(といっても役職持ちでこんなことを言ってる連中には残念ながら、だけど。)

けれども、彼らが嵌った「脱法的ソシャゲー開発」の一端は解き明かしておきたい。

何故なら、このロジックは非常に単純で、かつ効果がテキメン。特に技術職に従事する連中に対しては。



さて、例え話をしよう。

ある巨大なアプリケーションをこれから作るとする。

それは先端のライブラリを使い、高負荷をものともしない作りにし、

ユーザーフレンドリーなインターフェースであり、

またユーザーを飽きさせないよう常時色々なキャンペーンを打っていくアプリケーションだ。

ユーザー数は膨大で、アクティブユーザー数だけでも10万を超す。

このアプリケーション作成して運用するのは、いくら何でも一人では無理だ。

そこで仕事を分割し、プログラマーインフラエンジニアUXデザイナ、WEBデザイナーディレクター

アナリストPM、営業…などなど、それぞれの専門職を適切に配置し、

それぞれが自分の得意な事に集中できるようにする。

こうすることで、それぞれの専門職にとって雑多な事は、耳半分で会議を聞きつつうまく回る。



さて、次の例え話をしよう。

とある邪悪人間が、邪悪で脱法的な方法お金を稼ぐロジックを思いついたとしよう。

しかし、規模が大きいので人手がいる。けれども、他の邪悪な連中を誘い込むと美味しいところを奪われたあげく、

責任をなすり付けられる可能性が高い。

ならばどうするか?「普通の人」を巻き込めばいい。

でも、「この方法情弱を騙して稼ごうぜwww」というと、人は訝しみ、拒絶する。

けれども、その邪悪ロジックを分割して、分割したそれぞれの仕事違法ではないものにすると…?

あるいは、分割したロジックを事前に3つ前後の別のクリーン仕事適用して失敗して後が無い状況を演出しておき、

たかも「本当の」仕事の中で『偶然』結合してしまうと…?



ここで、だ。結合された後のサービスのありようを見て、「これって、ダメなんじゃない?」という人は必ず出てくる。

でも邪悪な人にとってはそれすら計算済みだ。

ここで、技術職の悪い癖を利用する。

技術職は「0か1か」での判断をすることに常にさらされているため、

そうではない世界でも「0か1か」で決まるものだと錯覚やすい。

テストパターンが緑を返せば緑だと信じる。

から駄目なテストパターンを置いておく。

テストファーストで、事前に使えない法務を置いておく。

「うちの法務に事前に確認しましたが、法律上問題ないとのことです」と。



※注意

法務の方々の名誉の為に言っておくと、システム邪悪さを理解して邪悪さを誤摩化す回答をする法務も一部にはいるが、

大勢は駄目なものは駄目だという人がほとんど。

そこで、邪悪な人は特定の条件下で起こりうる例外を提示して「それならグリーンだ」と言わせておき、

その例外を隠して「この前うちの法務に事前に確認しましたが、法律上問題ないとのことです」と

皆に説明すれば、普通開発者は「それで良いんだ」となる。



法律は「0か1か」に見えてそうじゃない。

少なくとも過去判例が出ていないものについては「0か1か」すらわからない。

ようは「未テストの項目」に過ぎない。

裁判所」というテストを通らない限り、「0か1か」なんて本当はわかるはずもない。

それも、テストの内容によっては関係するモジュールや実行環境タイミングによって結果が変わる事すらあり得る。

法務の言う「大丈夫」なんて、ようは自動テストやってない職場ベテラン開発者がいう「あ〜あそこはきっとOracleバグ(※ただし未検証」と同じ程度の回答だ。

(本当はOracleバグではなくそいつが作りこんだバグなのかもしれない。)



さて、普通技術者邪悪テスト結果をまんまと信じたら、あとは邪悪な人の思い通りだ。

まず、そのテスト結果を信じた普通の人は、他にも不審に思った人に対して「あれは問題ないって法務が言ってたよ」と伝える。

見事なまでに邪悪CIの出来上がりだ。

通常、CIは繰り返し同じテスト自動で行う。

が、ここでは同じテストを繰り返さず、過去レポート、それも又聞きのレポートを伝えているに過ぎない。

もう一度同じテストをかけていない。自分の目と耳で、法務から直接話を聞いていない。



また、結合前のクリーン仕事をしているそれぞれの担当者に取って、

結合後の姿より結合前の状態がその人の仕事の大半であり、「本当の意味での」結合後の姿を見てるようで見ていない。

単体テストバリバリこなすだろう。しかし結合後のストレステストセキュリティテストは専門外として見向きもしない。

いや正確には「何かあったら、専門の担当者が文句つけてくるはずだ」と待ちの姿勢でいる状態だ。

邪悪な人は、間違いなくその専門の担当者が各部署を回って抜き打ちテストやらせるなんて事はしない。

そもそも専門の人を社内に常駐させないか、もしくは置いても他の事(例えば他社とのライセンス問題など)にリソースをさくよう仕向ける。



こうして邪悪テスト環境が出来上がってしまうと、

開発者たちは「私たちの作っているものは正しい」と思い出す。

から否定されると「俺悪くねーし!」と言い出す。

分化された仕事のことしか見なければ悪いことは何も無いだろうね。

しかし…もう…嵌っちゃったんだなぁというのが外野からの印象。

まぁせいぜい人身御供になってくれ。

今回の件、役職だけではなく実務の担当者まで引っ張られる可能性はある。

裁判にかけられるかどうかは謎だけど、企業業界への揺さぶりの手段としては有効だしね。



なお、最初に言ったが本当に邪悪な人はもう既にあの場所はいないはずだ。

もう既に後進に道を譲るだの自分の力を別の場所で試したいだのもっともらしい理由を付けて、

普通の人々」に継承させているはずだ。

普通の人々」のその後がどうなるかはこれから物語なので、とても楽しみではある。



おそらく、なのだが、この件、ワーストケースで転がれば、当該の企業だけではなく

IT業界のものが悪の巣窟としてみなされるだろう。

IT技術者マッドサイエンティストと同じで法の遵守する気がない連中だ!」と言われる日は意外とそう遠くないと思う。

そんな風がもし吹こうなら、政治家先生方や警察のお歴々も「インターネット健全性を保証する」という名目で、

色々と無茶な法律を作るかもしれませんね。

少なくとも、「インターネット=悪」として自分らの有利な方向にネットコントロールしたい方々にとってはとても好都合でしょうよ。



そろそろ、誰かが「良い意味で」健全化のために何かを仕込む頃合い。

政治家警察といったレイヤーではなく、業界の自主努力レイヤーで。

2、3年後、どんな団体ができでどんな人が所属するかなぁ?

ダンコーガイ津田はまちちゃんちきりん高木先生、漢のMySQLの人、徳丸本の人…多分この中から二人は自ら、あるいは担ぎだされる/巻き込まれる形で関わってくるかな。

切込隊長面白おかしレポートしつつ裏で謎の秋波を送るんだろうなぁ。

多分ひろゆきはその集まりを「つまらない」と見て何もしないかな?



ま、きっと「自分は忙しいから…」みたいなことで誰も参加せず、

結局第2次図書館戦争のもう一人の当事者あたりが中心に無理矢理たって健全化を叫ぶんでしょうね。

  • 「邪悪」や「悪」って・・・。 あんたいくつだよ

  • なげーよ。 技術者がそんな小学生みたいな奴ばっかりなわけねーだろ。 もっと単純に「俺が楽しむために馬鹿から搾取して何が悪いの?」って思ってるだけだっつうの。 南場さんがか...

  • それは違法だから出来ません。って言って社内で干された。 だから、違法だと気がついても、誰も言わないだけじゃね?

  • なんで「技術者は悪い奴に騙されたかわいそうな人たち」みたいなニュアンスになるんだ? 全員わかってやってるに決まってんだろ。馬鹿かっつーの。 飯が食えてカッコいいオフィスで...

    • 「飯が食えてカッコいいオフィスで働けて楽しい技術ができる」程度のことで、倫理観のない働き方をし、おいしいところは創業者などの一部の人間にもっていかれる (頭の)かわいそ...

  • バカは黙れよ

  • まじで、その通り。 一種のゲームなんだよね。 「虚構新聞」は新聞という形式で嘘をもっともらしく語る面白さが売りのネタのゲーム。そこにツッコミを入れて遊ぶゲーム。 「また釣...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん