2012-02-18

http://anond.hatelabo.jp/20120218001008

複雑に考えすぎ。もっと単純に考えればよい。

たとえばこれ。

 

預かったお金を貸した結果、いざ利用者が金を引き出そうとした時に「ごめん今他の人に貸してるんだー」じゃ利用者が困るわな。

 

「利用者が金を引き出そうとした」という仮定は議論しなくてよい。

なぜなら、引き出しの意思表示が示されるなら、その時点で「休眠」ではなくなるから

引き出しの意思表示が示された時点で、その口座は「休眠口座」ではない。だから、その口座に存在するお金は所有者に引き出される。問題ない。

引き出す権利を持つ人が金を引き出そうとしないままになっている口座のお金をどうするのかが、休眠口座テーマ

 

それじゃあ倉庫お金を今より減らして本当に大丈夫なの?お金下ろしたいときに本当にすぐに対応してもらえるの?

 

前述の通り、「お金下ろしたい」という意思が示されるなら、その口座は「休眠口座」ではない。「お金下ろしたい」という意思が示された時点で、お金は所有者に引き出される。問題ない。

 

そもそも休眠口座は、何らかの事情で取引手続きができない人の預金を想定している。取引ができる人を想定していない。

取引行為ができない人というのは、具体的に言うと次のような人。

 

まず死者。正確に言うと、相続されない死者の口座。

口座所有者が死んだあと、その財産相続する人が相続手続きをせず、国庫にも入らずに、凍結したまままの口座がある。

相続人が皆無の財産国庫に入ることになっている。しか相続人がいる場合国庫には入らない。通常、相続人相続手続きをして、死者の預金を受け取るなら名義変更するなりの手続きをとるが、なんらかの事情相続人相続手続きができない(しない)ことがある。

相続手続きをしない理由は様々だが、相続人相続すべき口座の存在を知らないために手続きを行われないという理由がまずひとつある。たとえば、故人が通帳などの書類を紛失し、再発行手続きをする前に死んでしまったりすると、相続人はその口座の存在を知ることが困難になるので、その口座の相続手続きが進まない。

典型的な事例が、震災による死亡で発生する休眠口座だ。阪神大震災の時にも発生したし、東日本大震災でも大量に発生している。家が津波で流されたとか、家が倒壊したとかで口座所有者が死んでしまうと、通帳などの書類もいっしょに消えてしまうことが多い。相続人は通帳などを探すが、簡単には見つからない。火災による預金者死亡の場合も、通帳が一緒に燃えしまうので口座が休眠になってしまうことが多い。

もう一つの典型は、犯罪者犯罪行為などによって取得した財産が眠っている場合だ。

犯罪で手に入れた財物は、普通、なんらかの方法資金洗浄して現金に換金し、それを隠し口座に入れておく。通帳などの書類も隠しておく。そういう状態のまま犯罪者が死んでしまった場合は、隠し通帳・隠し口座の存在相続人発見することは極めて困難だ。

組織暴力団に限らず、普通会社役員とかが組織に黙って裏でシノギをやって裏金を作っていた場合組織が知らない口座ができてしまうので、そういう役員が死んだり組織から離れると、休眠口座が発生する。こうした裏金休眠口座の金を全部集めると、巨大な金額になると言われている。

それから、金額は多くは無いが、普通の人の病死でも休眠口座が発生する。

孤独死事案では、いわゆる“特殊清掃”の業者が通帳を発見できずに、廃棄物にまぎれて通帳などが消えてしまうことがよく発生する。また、相続人はいるけれど連絡がとれない、連絡をとる身内がひとりもいない、などの理由で相続手続きが中断し、相続人も死んでしまって休眠状態になるケースもある。

孤独死者の口座が休眠になるか発見されるかは、“特殊清掃人”の練度によって大きく左右される。練度の高い“特殊清掃人”が探せば発見率は高くなるが、最近は“特殊清掃人”への依頼料金が高いので、家主が清掃費用を出し惜しみして自分で始末してしまうこともある。そういう場合は、口座が休眠になってしまう可能性は高くなる。

それから、死亡犯罪者災害死や孤独死とも関係するが、逃走犯罪者災害行方不明者、失踪者が持っていた口座も、通帳紛失などの理由で、休眠になってしまうことがある。

逃走犯罪者は、逃走の足取りを隠すために、通帳を紛失しても再発行手続きをとらないことがある。

災害行方不明者の場合は、「みなし死亡」制度で死亡による相続手続きをとることはできても、通帳消滅などの理由で相続手続きが不能になりやすい。

 

失踪のケースで相続手続きが進まない理由の多くは、遺族が「まだどこかで生きているのではないか」などという気持ちを持っている場合だ。

失踪者の相続は、まず失踪者遺族が失踪手続きを進めて裁判所が死亡宣告を出さなければ相続手続きを進めることができない。

遺族が通帳の存在を知っていても、遺族自身が失踪手続きを拒否している場合は、当然に相続手続きも進まない。凍結した通帳だけが「いなくなった肉親の生きている証」になっていることがある。

そういう失踪者口座のお金を遺族に黙って使ってしまうのは、遺族にとっては酷なことなのでなんらかの救済措置が必要だという議論がある。しかし、だったら早く失踪手続きを進めてお金相続すれば、失踪した人のお金を手元に置いておけるしみんなそうしているじゃないかという議論も当然ある。それについては、遺族の中には「自分は必ず戻ってくると信じている。戻ってきたときお金ではなく口座を渡したい」と思う人もいるという反論があって、そういう人に対する何らかの制度的な配慮は必要かもしれないという議論もあるけけれど、それは仮定に仮定を積み重ねた議論で実際にはそんな奴はほとんどいねえよという反駁があるのも事実だ。

 

いずれにせよ、法律上も、実体上も、休眠口座については、「利用者が金を引き出そうとした場合」を積極的に議論することの意味は、ほとんど無いと言ってよいだろう。休眠口座について議論すべき点はあるが、そこではない。

 

記事への反応 -
  • どういうことなの? 元々銀行って「みんなから預かったお金」を一旦別の人に利息つきで貸したりして、その利息で儲けたりしてるわけで。元からそういうシステムなわけで。 だけど...

    • 複雑に考えすぎ。もっと単純に考えればよい。 たとえばこれ。   預かったお金を貸した結果、いざ利用者が金を引き出そうとした時に「ごめん今他の人に貸してるんだー」じゃ利用者...

      • http://anond.hatelabo.jp/20120218021709 http://anond.hatelabo.jp/20120218004010 なにこれ素敵!ありがとうございます! そもそもたまたまどこかの局がやっているニュースで休眠口座どうこうという話が...

    • 倉庫に残しておくお金の量は預金準備率というのできめられてて休眠口座をどうするかとは別の話 休眠口座使いたい場合も預金で決済すればATMから現金で引き下ろす必要もないので クレ...

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