※ツイッターからの流れで書きました。偶然ご覧になった場合は意味不明だと思いますのでスルーしてください。
では、昼間の河野さんの記事について、思うところを申し上げます。
「どっちが正しいか勝負しましょう」なんて気はありませんので、ひとつの意見としてお読みいただければと。
まず前提をいくつか。
1 ご承知とは思いますが、当該記事 marketingis.jp/archives/1594 の内容にのみ異議があり、河野さんご自身の人格や存在を否定する意図はありません。もしそう取れる発言があればお詫びします。特に河野さんが気にされたツイートは、確かに非難のニュアンスがこもったものになっており、あらかじめお詫びいたします。
2 ツイッター上では実際の知人友人もいらっしゃいますが、好き勝手なことを書きたいので、一応は匿名でやっております。「いや、直接連絡を取って口頭で」ということであれば、別途ご連絡申し上げます。
3 私は企業のサービス企画の人間で、以前はネット広告を担当していました。物書きではありませんので、文章の質についてはご勘弁を。また、ダイレクトマーケティングの経験しかありませんので、産業全体については私見を超える言及はできません。
以下、本文です。
まず、お気に障ったと思われる「終わった教」についてですが、もちろん、タイトルの「4Pの時代は終わった」についての言及です。
ここは批判というよりも反射的な嫌悪感がありました。
「○○は終わった」「これからは○○だ」「201X年は○○が来る」という言葉で危機感を煽ってコンサルだのセミナーだので稼ぐ方がいますが、反射的に「またか」と思ってしまったための言葉です。私は河野さんをネット上の断片的な上方しか存じ上げないにも関わらず、勝手にそうした類だと分類してしまったことは軽率で、たいへん失礼いたしました。
本文について。
私には4Pが終わったという意見(表現?)には同意できません。記事を拝読しても、終わる終わらないの問題ではないのではないかと考えます。
少し具体的に。
記事中で“ひとつは「バランスが崩れた」こと、そしてもうひとつは「Pが増えた」ことです。”と書かれていますが、この2つには違和感を感じます。
まずバランスについて。元々、4Pの要素間のバランスは均等ではないと考えています。
ダイレクトマーケティングでは商品が売れるための要素として「市場4:商品の良さ4:広告2」の比率であるいう考え方があります。ダイレクトマーケティングに長年従事してきた者としては、これは数値的にも実感的にも、実際にそうであると考えています。
通販的には、広告というのはあくまで受注を目指すものですから、4Pに置き換えれば、概ねプロダクトの方がプロモーションの2倍重要である、と考えられます。
他の業態を見ても、4Pがそれぞれ比較的等価に扱われてきたと思えませんし、業種や手法によって比重は異なるのではないでしょうか。
ならば、その比重の変化を4Pという考え方が終わる終わらないという話につなげるのは、少し無理がありませんか?
プライスの比重が高くなっているというご意見には異存ありませんが、安売り競争とは別の次元で成功する企業も少なくありません。
4つの要素の比重の変化そのものが当然であるならば、プライスの重要性の向上という現象は、4Pという考え方そのものの有効性には無関係であると考えます。
次に、セス・ゴーディンの引用に河野さんが加えられた「P」のリストですが、「Philosophy」以外は、従来の4Pを構成する要素のひとつ、あるいは4Pとは元々異なる切り口で語られていること、ではないでしょうか?
前者であれば4Pを深掘りしたことになりますし、後者であればそもそも4Pでは除外された考え方ですから、これらも4Pそのものの否定には繋がらないと考えます。
ただ、「こういう要素が重要だよね」という意見表明であれば、なるほどほとんど同意です。あ、ほとんどと言ったのは、全部について熟慮していない程度の意味で、一部同意できないことは意味しません。
ご存知でしょうが、マーケティングは色々な構成要素が複雑に絡み合っていますから、1つの切り口で都合よくすべてを考えることのできる方法はありませんよね? 4Pもそれらのひとつに過ぎず、終わった終わらないという意見は適当ではないと思ったわけです。
で、最近の「終わった」「来る」に辟易していたところに、河野さんの記事を拝読し、反射的に軽い気持ちで陰口を叩いてしまった、という次第です。
最後に。ツイートで言いたかったこととは離れますが、糸井さんの件も気になりました。
糸井さんの広告観ですが、「この広告でどれだけ売れたかとか、そういうことじゃない。俺と組んだら一回遊べるぜ、ってこと」(要約)という、広告そのものに価値を置いた考え方でした。これはなぜか10年以上前にプロレス雑誌に掲載されていた糸井さんのインタビューでの発言なので、ご存知かどうかわかりませんが。
こうした広告観に立てば、いま売れてます、というコピーは確かに広告の“文化的”な意味での衰退とも取れます。少なくとも糸井さんは楽しくはないことでしょう。
が、これがプロモーションの相対的低下を意味するとは思えません。だったら「いま売れてます」的なコピーでプロモーションすればいいし。嘘や違法は論外ですが、これまでのメジャーな広告手法が仮に力を失っても、他の方法はあります。企業の担当者や意欲ある広告会社の方は、そこに真剣に取り組んでいますよ。