これは弊社だけの事かもしれないけど、どうも「人材の育成」ってのに全く関心が無いように見える。なんでもかんでも「即戦力」ばかり求めていて、自分個人的にはお話にならない。
密室会議でプロジェクトの体制が決まるのだが、だいたい自分の担当範囲は「その他」と書かれている事が多い。
基幹部分はVisualStudioで、だいたい、VB.netで書かれたプログラムで目立つところばかり。でも別に基幹部分とはいえ、クリティカルな部分は無くて、万が一止まってしまったら、リブートすればいいだけ。この部分は、たいてい他の人に取られている。
で、自分に割り振られる「その他」ってのは、VisualStudioで、VB.netとVC++で、主にネットワークとミドルウェア、ドライバの部分、他のマシンでUNIXのX-Windowだったり、Webサーバ、Webアプリ、Oracleデータベースだったり、組み込みマイコンのOS、ドライバ、アプリの担当となる場合がある。
ちょっと待ってよ。なんでVBの部分は数人で作っているのに、その他のクリティカルで多様な部分は俺独りなのか?
聞いてみた。
「誰も出来ないから」
は?
俺だって生また時から出来るようになったわけじゃねーよ。誰も出来ないなら育てろよ、と言ってみた。
意味わかんねーし。
でも、最初から担当出来るならまだまし。たいていは、「出来ない部分」は外注に発注する。
そして、外注が失敗する。
その尻ぬぐいが俺になるパターンが9割を占める。
勘弁してくれ……。
自分の課の人員動向を見ていても気になる部分がある。課長や係長の様子を見ていると「使えない」と判断したら他の課に回してしまう、けど、教育はしない、みたいに見える(でも、部から外へは出ない)。
なんかおかしくないだろうか?
先述の外注の件も、「社内で遊んでいる人員がいるけど、技術が無いから、外注に出す」パターンで、結果、外注に踊らされて「動かないコンピュータ」が出来上がってくるパターン。
外注と話をすれば、(まぁ、だいたい15分も話をすれば)、相手がどのくらい出来るかどうかなんて判断出来る。たいていの場合「無理じゃね?」「これじゃ出来ないのあたりまえじゃね?」という結果が俺の脳裏をよぎる。でも、何故か、外注に発注する事になる。
おかしいよな。だって「社内に遊んでいる人員」がいるのに「外注に出す」ってなんなのさ?
「即戦力」
しか頭にないんだろうな。
外注も頭良くてね。業界つながりで他の会社の人達と話す事もそれなりにあるんだが、出来る会社、出来る人員(個人事業主も含む)は、口をそろえてこう言うんだ「悪いけど、君の会社の、特に君の部からの仕事は受けないようにしてるんだ」とね。表向きには言わないけど、複数の会社に相見積もりをとると、そう言っている会社は、弊社に出してくる見積書がめちゃくちゃ見積金額が高い。当然、弊社からはその会社に発注しないわけ。そう、残っているのは「実情を知らない会社とその社員」だけ。だから「動かないコンピュータ」が出来上がってくる。上の連中がどれだけ、この事を知っているのか。
の、割には「職人」に対する扱いがひどいのもある。
どうも、経営者、管理者どもは、自分の力で物理法則が変えられる、他人の脳をオーバークロック出来るかと勘違いしているようだが。どこかの国の政治家やDQN連中と同じように見える。
IT業界だけの話じゃ無いと思うんだけど、例えば……そうだなぁ、漫画・アニメ・小説とかのコンテンツ業界も(外から見てる限り)そんな感じを受ける。こっちの業界も、「即戦力」と「職人に対する扱い」に関しては、IT業界と同じに見える。
漫画・小説も、「既に売れている作品」に勝るとも劣らない作品をクリエイト出来る人間だけが採用されているような気がしてならない。いや、同人誌界を見てるとそう思うわけなんだが。
商品なんだから、それは当たり前の話なのも分かる。
だがよ。「育てる」事してないだろ?(という風に見える)
ある機会があって、就活生と話す事があった。やはりかなり焦っていて「もう仕事は何でもいいし、どこでもいいから内定とらないと」と言っていた。「うちの会社にだけは来るな」とだけ言って、俺は言わなかったけど、確かに「新卒」というカードを使えるのは1度きりだけど、「意に沿わない仕事、職場の雰囲気、自分の技術力、これらが合わないと、早々に精神を病むぞ」と言いたかった。現に、弊社やその周りの会社では早ければ入社後1週間、2~3年後までに辞めてしまう、またはメンタル疾患にかかる人が急増している。
なにしろ、育てないで、新人といえども「即戦力」を求めるからな。付いてこられない、精神的疲労は大変だろう。
今年の新人君と話をしてみたが、情報系の院卒のれっきとした修士でありながら、16進数とバイナリとテキストの区別が分からなかった、という驚愕の事実。これで「即戦力」?
「ゆとり」世代、の一言で方つけてしまうのは、少々酷かとは思うのだが、採用判定する方も「ゆとりジジィ」としか思えない。
まぁ、うちの部は、会社の中では「墓場」と言われていて、この部から出て行くには「自殺」「精神疾患による退職」の2択しかないのだが。
こうやって脱線した時の、リトライのすべが無いのも事実だよなぁ。
「そりゃ、実力が無いだけ」「努力が足りないだけ」
と一刀両断にするのは、いかがなものかと。まぁ、分からなくもないけどね。
前述のような事を書けば、ほとんどの人は
「辞めればいいじゃん」
と言う。まぁ、それも分かるわ。実際その通りだし。別に社畜じゃないし、会社に未練も無いから。少なくとも今の会社、出来れば「職人」を蔑ろにする風潮のIT業界からは離脱したい。
サービス業なんていけない。ぶっちゃけてしまえば、サービス業(例えば接客業等)って、いわゆる「感情職業」じゃないですか。一度鬱病やって休職した経験のある自分にとって、感情職業は無理。
転職エージェントとか見ていても、やはり「キャリア」。「即戦力」だよねぇ。
最近のmixiの(少なくとも自分にとっては改悪だった)状況に対する、mixi使っている人達の反応や、Twitterの非公式RTに関するページを読んでいて、「そんなに嫌なら、使わなきゃいいじゃん。自分に合ったものを自分で作れよ。」と思う。無料サービス・アプリなんだから文句たれてないで、使うの辞めればいいのに。
なんか、弊社のある課長を思い出したわ。ある有名なフリーソフトを使っていて「これ、使いにくいから、作者にクレームのメール入れるわ」とか……。おいおい。使いにくいなら使わなきゃいいだろう、フリーソフトなんだし。相手(課長)の常識より、自分の常識を疑ったわ。フリーとはいえ、クレームをつけるという常識が、昨今の風潮なのか、と。
と、思うのは、前述した「(会社を)辞めればいいじゃん」と同じなんだろうか?
少なくとも、金銭や契約が関わっている以上(他、労使契約、労働基準法等)、違うと思うんだよね。
と、書いても、例えば、喫煙者(愛煙家と言うか?)にたまにいる「金と税金払って吸ってるんだから、どこで吸おうと勝手だろ」というのと同じなんだろうか?
いったんレールから外れると、ほとんど復帰のすべが無いってのは、なんだかなー、と思う。
するとこう言う。
これも「(会社を)辞めればいいじゃん」「使わなきゃいいじゃん」と同じなのかな?
自殺する気は無いから、会社は辞めるけどね、耐えられなくなったら。自殺するくらいだったら、引きこもり→生活保護の方がいいわ。
1900年以来、第4位の大地震であれだけの災害だったにも関わらず、死者・行方不明者数が、スマトラ島沖地震、チリ地震よりも少なく、かつ、「年間の総自殺者数」の方が多いってのは、どうかと思うわけだが。
ちょっと、最近、閉塞感を感じるので、つらつらと書いてみただけ。