2011-06-17

最近話題の「あれ」に対する危惧

ある国での架空お話

ある男がとても珍しいインコを見つけたと言って、ネットで発表した。そのインコは、金色に光った爪とエメラルドグリーン色に染まった体が透明さえも帯び、この世のものとは思えないほどの美しさだった。男の予想通り、そのインコは大評判になった。マスコミでも大きく話題になった。だが、普通ではありえない程の透明感を持ったインコだったので、何人かの人はそれが実際に生息するか懐疑的だった。当然の結果として、そのインコを売ってくれという人が何人か現れた。大学教授などの鳥類研究に携わる人間野鳥好きの資産家など、多くの人々が競ってオークションが開催されるという話になった。

だが、問題があった。男は実際にそんなインコなど発見していなかったのである。つまりネットで発表したのは、限りなくリアルに見せた「絵」だったのであるしかし、男もここまで話題になってしまたからには引くに引けない。男はとりあえず時間をうまく引き伸ばしつつ、どう対処するべきか考えた。その間、マスコミでは、やっぱり嘘だったんじゃないか、という意見が一般的になってきた。ところが、1か月後のスポーツ新聞の一面には「インコ 実在した!!」と報じられたのである

なぜか。

その男は考え抜いたあげく、男はその自分想像で作り上げたインコを実際に作り上げてしまおうと考えた。インコを一匹買ってきて、自分理想像へと「加工」した。脱色、入れ墨、パーツの入れ替え、骨削り等々、素人ながらもよく作り上げた。きっと家族はそれがかつて自分の子だったインコだと判断することはできないだろう。そのくらい変わってしまったのだ。写真と同じとまではいかないが、そこそこ似ている。男はそれを発表し、無事に自分の面目をつぶさずに済んだ。というわけだ。

そして、そのインコは買い取られてすぐ、テレビに出演することになった。画面に映されるインコ。なにかしゃべっている…。インコマイクを向けられる。

「ニセモノナンテイワセナイ ニセモノナンテイワセナイ ニセモノナンテイワセナイ…」

たまたまその番組をみていた男の顔が、エメラルドグリーン色に蒼ざめていった。

おしまい

  • 男の予想通り、その壺は大評判になった。 という誤字がどうして生じたのかサッパリ見当が付かないんだけど、良ければ教えて

    • 訂正させていただきました。ご指摘ありがとうございます。理由は、まつりあげられる対象を最初は壺で書いたのですが、いざそれで読んでみると、しっくりこなかったのでインコにか...

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