2011-03-15

停電で混乱するなか、新宿駅ナンパしてみた。

面白い結果になったのでレポートを書いてみたら長くなってしまった。

今日新宿は本数が減ったこともあってかなり混雑していた。

ホームが入場制限され、かなりの行列ができていた。

一部では運転していない路線もまだあった。

咄嗟に「あれ、これってナンパのチャンスじゃん?」って思った。

すぐに改札に入らずに、しばらく改札前を観察してみた。

すると案の定、混雑している構内を見て入ろうかどうか迷っている女性がちらほら。

「これはいける」と確信し、好みの女性が現れるのを待った。

観察をし続けて十五分経ったころ、一人の女性が目に入った。

およそ30歳前後、綺麗目だけど地味な服装、仕事帰りっぽい雰囲気。

僕のストライクど真ん中かつ経験則から言って落としやすいタイプ

すかさず立ち止まっている彼女の横に行き声をかけた。

「うわー、大変なことになってますね」

「ねえ、ほんとそうですね」

警戒されることなく、スムーズに会話を始めることに成功。

「何か被害に合いませんでした?」「揺れたときは何してましたか?」「これからどうなっちゃうんでしょうね」

しばらく地震ネタに会話を続ける。

彼女は時おり笑顔も見せ、とても好感触。

「今は足止めな感じですか?」

「うーん、あたし京王線なんですよ。しばらく運休みたいで……」

うおお、なんというチャンス。僕は猛烈に神に感謝した

「このままここで待っているのもあれですし、どこかで休みませんか?」

「えっ」

目を丸くする彼女やばい、失敗した? と焦る僕。

「ずっと思ってましたが、何歳ですか?」

「20歳ですよ」

「ふーん、学生さん?」

「そうです早稲田に通ってます

へぇー、大胆ですよねえ。急に話しかけて。ナンパですよねえ」

「いや、ナンパとかじゃなくて……」

「休むって、ホテルとか行こうってことですよねー」

「いやいやいや! 喫茶店とか」

「何であたしに声かけたんですか?」

「いや、綺麗な人だなあって思って」

「嘘! たまたまここにいたからでしょう」

「ち、ちがいますよ……」

「ふーん。ごめんなさい。行かないですよ」

はい……」

あなたは何線?」

中央線です……」

「じゃあ、動いてるじゃないですか。乗りましょうよ」

「えっと……」

あなたはもう振られましたよ? わかりませんか?」

ここで引いちゃダメだよ思った。ここで何とか切り返さなきゃ僕の負けだ。

「帰りたくないんです

ダメですよ、帰らなくちゃ」

「一人の部屋に帰ると不安でいっぱいになるんです

「……ふーん」

テレビつけても暗い気持ちになっちゃって」

「それはちょっとわかりますけど」

「人に会いたくても交通が不便でなかなか会えないし

「そっか。まあ、そうですよね」

ここで勝負にでた。

「あの、このままお別れって嫌です

ダメですってば。こんだけ普通に話してあげてて、優しいですよ」

「そうですか?」

普通は無視して終わりですよ」

「そうですよね……」

「言っときますけど。私が叫んだら、捕まりますからね」

「え! やめてください……」

しませんよ、そんなこと」

ありがとうございます

「こっちも地震のこと話せて心が楽になりましたし」

「僕もです!」

「うん、よかっですね」

ここで会話を終わらせちゃダメだ。

「あの、ほんとにさっきはホテルとかじゃなくて……」

「わかりましたよ」

「もっと話したいなあって思って」

「もう無理ですって」

「あの、せめて……」

「ううん? せめて?」

勇気を振り絞って言った。

「せめてあのー、抱きしめるとか、それだけでも」

「ええ!?」

「ほんとにあのー、不安でしょうがないんです。人の肌に触れたら、和らぐと思うんです

「いやあ、ほんとに、帰った方がいいですよ」

「お姉さんみたいな綺麗な人に抱きしめられたら、ほんとのほんとに安心感を得られると思うんですよ」

「うーん……」

「お願いします。一回だけでいいんで、一回だけ」

「……まあ、一回だけなら」

奇跡が起こった。

「ほ、ほんとですか?」

「うーん、抱きしめるくらいなら、ね」

「やったー」

「ほらー、十秒だけですよ」

くぎゅってされた。僕もすかさず彼女背中に手を回して身体を密着させた。

「もー、それ以上やったら殴りますから

「お姉さんの身体、柔らかい

「ふふふ」

そして、十秒をはるかに越えて一分近くは抱き合ってたと思う。

向こうが「もうダメー」って言って身体を引き離された。

何も言わずににやにやと笑い合って「ほら、もう帰りなよ」って言われて、僕は改札を通った。

別れ際に「楽しかったです」と言うと「私も。こんなの初めて」って言われた。

こんなことしてて不謹慎だと叩かれそうだけど、僕が不安でいっぱいだったのは事実

彼女時間が潰せて楽しかっただろうし、どこも悪いところはない。

女の子と仲良くなることは不謹慎なことじゃない。

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