2011-03-13

みんなそれぞれに逃げて生きのびろ

道も、屋敷も、港も、何が何やら見分けがつかない。

漁船が車や住宅に乗り上げている。

泥の湖の中、がれきと化した自宅の跡で男性が立ち尽くす。

その上、原発建屋が吹っ飛ぶなんて…。

テレビ映像映画でない。そう自分に言い聞かせなければならないほどだ。

 

東北太平洋岸に悲しみが広がる。

岩手陸前高田市津波で“消えた”。

仙台市の海岸には、数百体の遺体が散らばっているという。

孤立集落もある。千人を超えた犠牲者は、どこまで増えるのか。

 

津波てんでんこ」。三陸海岸に伝わる言葉だ。

「てんでん」とは「てんでんに」、みんなそれぞれにという意味だ。それにウシを「べごっこ」と呼ぶ東北弁独特の「こ」がついた。

津波が来たら、みんなてんでに、一目散に逃げろ。

1933年の「昭和三陸津波」を経験した作家山下文男さんは、過去惨事から学んだ教訓だと書いている

 

しい歴史がある。2万2千人が亡くなった1896年の「明治三陸津波」、昭和三陸津波では3千人が犠牲になった。

わが子を救おうとした親が逃げ遅れ、肉親を捜すうちに波にのまれる人が続出した

 

そんな悲惨な経験から自分のことはま自分で守る」意識が生まれた。

災害弱者」を救う工夫をする一方、「てんでんこ」の教えも大切にしたい。

 

きのう、十日町市震度6弱が襲った。

福島第1原発では爆発が起き、放射能拡散など2次災害が心配される。

いつ、どんな事態が誘発されるか分からない。

津波てんでんこ」の教訓を1日24時間、心にとめなければ。

 

新潟日報2011年3月13日

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん