俺は、プログラマーだ。
地方に転勤してきたはいいものの、知り合いもおらず、出会いもなく、それどころか転勤してきて2ヶ月目で
長期のデスマ状態だった俺は、つかの間の癒しを求めてサイトを見ていた。
3歳下の女の投稿があっていた。顔半分が隠されてはいたが、まあいわゆるデブギャルの写メも載っていて、
俺はそれにメールを送った。顔は可愛かった。金髪で、もちろんおっぱいもでかそうだった。
体重は言おうとしなかったが、Gカップであること、写メの顎の感じ、チラッと映った首もとの感じなどから、彼女はなかなかのデブなのではないかと思った。身長も170cmと高い。もしかしたら体重3桁行ってるんじゃないかと思うくらいの巨体だ。
丸い顔、たぷたぷの二の腕、巨大な胸、突き出した腹、踵を付けて立てないくらいの太い足にしか魅力を感じ無い。
デスマ真っ最中のつかの間の息抜きとして始めたメールだったが、いつの間にかはまっていった。彼女は同じ市の、車で30分くらいの所に住んでいた。
写メは、(デブ専の俺にとっては)滅茶苦茶可愛らしく見えたし、仕事(デザイン系)をひたむきに頑張る姿勢や、ギャル系の格好をしているわりには性格も柔らかく、思いやりのある優しい子だと感じた。そしてなにげに頭もよかった。とにかく、俺のタイプの女の子だったのだ。
彼女も俺を好いていてくれたように思う。よく、プリクラの画像や普段の写メなんかもくれた。たまには谷間なんかも。
メールをはじめて3ヶ月くらい経った頃から、彼女から言われるようになる。
「会いたいな」
「いつ終わるの?」
『来月には』
来月には、と言いながら半年が経った。彼女の誕生日も、クリスマスも、正月も、バレンタインも過ぎた。
俺はずっと泊まり込みで仕事をしていた。深夜に交わす彼女とのメールだけが支えだった。
本当は、会えたのだと思う。寝る時間を削れば。でも伸びきった髪を整える暇がなかったし、流行の服だって持っていない。
そんなくだらない理由で俺は、完全に仕事を終わらせるまではメル友でいたい、などと自分勝手なことを言った。
彼女は俺とのメールを辞めようとしなかった。ありがたいことだと思う。でも、たまに卑屈なメールも来た。
『違うよ、ぽっちゃりは大好きだよ』
「うそつき。でも、気を使ってくれてありがとう」
『嘘じゃないよ』
そんなことを不安に思う彼女が可愛くて仕方なかった。ころころとよく笑い、前向きで、美味しいものが大好きで。そんな彼女が愛しいと思うようになった。
だが、優しく、素直で、礼儀正しく、話も面白く、可愛くて、ぽっちゃり。そんな理想の女そのものの彼女にどんどん惹かれていったし、メールは心から楽しかった。
そして、俺たちは11ヶ月かかってプロジェクトを終わらせた。
スタート時から3人が減り、2人が入院し、1人が自殺未遂した地獄のプロジェクトだった。その夜、久々に家の風呂に入った後仕事が終わった、と彼女に言った。彼女は驚きながらも喜んでくれた。
ちょうど翌日はどちらも休みだ。初対面を果たそうではないかと言うと、彼女は言った。
「嬉しいなあ、やっとだね」
『待たせてごめんね』
「待っててよかった!でも、会ってがっかりするかも」
『どうして?まだ体型気にしてるの?』
「うん…」
本心だった。一刻も早く、その豊満な身体を抱きしめて、結婚を前提に付き合ってくれというつもりだった。
きっと婚約指輪は特注だ。入るウエディングドレスはないかもしれない。それでもきっと世界一かわいい花嫁になるだろう。
馬鹿らしいが、そんなことまで考えながら、待ち合わせ時間まで車を走らせた。勿論美容室にも行って、新しい服を着て。
待ち合わせ時間に着いたが、彼女らしき姿は見当たらない。電話をかけると、彼女が出た。
『着いたよ』
「私も着いてるよ」
『どこ?』
「ゴミ箱の横らへん」
そして同時に、俺は泣きそうになった。
神を呪いたくなった。
なんなんだ、それは。
細い首は。浮き出た鎖骨は。ベルトで絞めつけられた60cmもなさそうなウエストは。
スキニーに包まれた長い棒のような脚は。太ももの間の隙間は。
誰なんだ、このどう見てもBMI17程度の、痩せ型の女は。
『ねえ、やっぱりデブでいやだった?会いたくない?』
俺は、車種と車を止めている場所を教えた。声は震えていた。
彼女は、枯れ木のような脚を動かしてこちらに歩いて来ると、助手席の
彼女は泣きそうな顔をしていた。頬はこけている。
俺は何も言えなかった。
本当に俺が好きだったということ、自分の体型にどうしても
自信が持てなかったこと、だから会うまでに内緒でダイエットしてキレイになって
だが、相当無理な食事制限をしたため拒食症気味になってしまったこと。
『ちょっとはマシになったかな?」
とこっちを伺った彼女は、どこにでもいるキレイなお姉さんだった。
盛り上がる頬の肉も、たるんだ二重あごもそこにはなかった。
"美人でモデル体型の女の子とメル友だったが会ってみるとマツコ・デラックスだった"
その衝撃以上のものを覚えた。
何を話したのかも覚えていないが、気づけば俺は一人車を走らせていた。
もう、携帯は鳴らない。
だからライター志望だか小説家志望だかしらねーけど増田なんかに書いてる暇あったら賞の一つにでも応募しろカス
増田という場所の特異性はあると思う。
お付き合いする中で元のおでぶさんに戻ってもらえばよかったのに、惜しいなあ 結局外見しか見てなかったのね 細い子じゃなきゃやだって人の逆なだけだと思う
トップから見づらくなってるので自分用にメモ。ソラノート関連はバズりすぎてるので別口にまとめた。 こうしてみると、意外と少ない。ここからは個人的な経験による考察になるけど...
しまった、こういうまとめつくったらそれら全部にトラバ飛んでしまうのを忘れてた。
追記 おはようございます。 「はてぶが10つくと何かメリットがあるの?」とのコメについて。 増田ってなかなか面白い投稿が多いのだけど、ちょっとみてないとすぐ面白いエントリが埋...
http://anond.hatelabo.jp/20110310021505 自己満足してるやつとじゃ覚悟の重みが違いすぎたわけで
http://140539.tumblr.com/ http://anond.hatelabo.jp/20110310021505