2011-01-06

ほんの40年くらい前に戦争に行ったことがある。

日本人では珍しい経験かもしれない。

親が海外赴任の時に生まれたので、僕は合衆国市民権を持ってた。

当時は大学に入りたてだったけど、市民権を持っていたかアルバイトなどがしやすく、ラッキーくらいに思っていた。

した徴兵された。

そのあと2か月訓練を受けてすぐにダナンに送られて、戦争を体験した

と言っても僕にとって人を殺したことも毎日吹き荒れる銃声も、あまり感受性を刺激するものではなかった。

かに怖かった。生まれて初めての実戦では歯を食いしばりすぎて奥歯が欠けたし、小便を漏らした

でもそれだけだ。

戦友の死も、自分の薬指と小指が吹っ飛んだ瞬間も、まるで映画の中の出来事だった。

ただ、熱いのと汚いのが嫌だった。

人間は簡単に死ぬけど、別にどうってことなかった。

それにうなされることもない。

あんなのは映画の見すぎだと思う。

それかマスコミに影響されてるんじゃないだろうか。

考えても見てくれ、戦争人類誕生したころから繰り返し行われてるのに、PTSDになるような兵隊が出てきたのはここ半世紀ほどだ。

僕が指を吹っ飛ばして国に帰ると、地獄が待っていた。

世間だ。

軍隊では各々が役割を持って、助け合って生きていたのに、国に帰ってみたら騙し合い、裏切りあい連続だった。

彼女反戦集会に行くというから付いていってみたら、大麻をやりながら戦場に行った奴がどんな悪いことをしてるか話してくれと言われた。

自分の罪を告白しろと強制された。

嫌になって途中で抜けだしたら次の日に彼女は長髪無職に男に乗り換えた。集会にいた奴だ。

当時、大学キャンパスには身体障害者になった大学生が大勢いた。

あいつらは片っ端から彼らに自己否定させた。

まるで魔女狩りだ。

偽善者にこびへつらうか、後ろ指さされるかしかベテランの生きる道が無かった。

社会に受け皿が無かった。

でも、ケネディ投票したのは奴らなんだ。

ケネディ投票して、僕らを戦場に無理やり連れて行ったのは奴らなんだ。

僕は戦争の夢はあまり見ない。

みてもどちらかというと良い夢が多い。

あの頃は仲間が居て、死ぬ危険性はあったけどビール飲んで女を買って、ポーカーやってそれなりに楽しかった。

でも悪夢を見るんだ。

帰国した当時のおどろおどろしい社会悪夢

あれで人間が信じられなくなった。

戦争から帰ってきた人間が心的外傷を負うんじゃないんだ。

帰ってきた時、受け皿の社会が無いことで精神を病むのさ。

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