2010-10-10

ID:bolt69氏に色々と反応してみる

別に批判とかそういった目的ではない事をあらかじめ表明しておきます。

対象エントリはこちら。

http://d.hatena.ne.jp/bolt69/20101002

上から順にダラダラと書いていきます。

ダウンロード作品にありがちなアクティべーションもありませんので簡単にファイル共有、いや、ファイル配布出来てしまいます。

実際そういうコミュニティは10年位前から現在にいたるまで細々と存在しています。というか俺自身がそこに今も所属してます。俺自身も過去8年間に500冊ほど自炊してきました。

(容量も小さいし)

21世紀が始まる前後あたりまでは、ブロードバンドがあんまり普及してなかったりストレージの容量が限られているなどの事情から、「いかに小さい容量で良い画質を出すか」は一つのテーマではありました。

しかし光回線が普及し、テラバイト級のハードディスクが手軽に手に入る昨今は、容量の削減はそれほど問題視されていません。一冊100MBとしても(これは一冊の単行本としてはかなり容量が大きめな数字です)、1TB使い切るのに単純計算でおよそ1万冊です。まあ昔ながらの方針を維持している人もいたりしますけど、その多くが当時のノウハウから変える必要が無いから維持しているというだけで、今現在ノウハウの錬磨が続いているというほどでもないです。今はどちらかというと、どれだけ一冊当たりの手間を減らすかがメインっぽいです。各種ADF(オートドキュメントフィーダ)の性能とかノウハウとか、解体作業の効率化とか。

で、この「アニメ動画作成」を趣味としている人たちって各々の技術を競い合うために自分が作ったファイルを交換しあってたのですね。

自分の知っている範囲では「技術を競い合うため」にファイルを作る(本を自炊する)という人はあんまり見かけませんでした。

では何を目的としていのかというと、交換材料のためです。この辺は後述します。

んで、自分が思ったのはこの「アニメ動画作成」みたいに「自炊」する人たちがファイルを交換しだしたらどうなるのだろうか? と。

前述の通り、随分と昔からそういうコミュニティ存在しています。よって「どうなるだろうか?」に対する回答は「今現在の状況をご覧下さい」に尽きます。

ファイル容量を小さくし、美麗な自炊書籍を作り出す、それを趣味とする人たちが腕試しでSNSメッセンジャーファイル交換しだしたらどうなるのか?

これって滅茶苦茶恐ろしいことじゃないでしょうか?

前述の通り、腕試しを目的としたファイルの交換は過去10年において殆ど定着しませんでした。よって「どうなるか?」という問いに対しては「そうはならない(ならなかった)」が答えになると思います。

自炊派がレシピを増やすのが先か、美味い早い安い電子書籍提供が先か。

後者が先になります。断言できます。理由は後述します。

と書いておきながら一旦ここで止めます。すんません。後で追記します。

続き。

で、この「アニメ動画作成」を趣味としている人たちって各々の技術を競い合うために自分が作ったファイルを交換しあってたのですね。

自分の知っている範囲では「技術を競い合うため」にファイルを作る(本を自炊する)という人はあんまり見かけませんでした。

では何を目的としていのかというと、交換材料のためです。この辺は後述します。

自炊作業が習慣化している人達というのは、元々何のために自炊していたかというと、それは「誰も持って無いファイルを作り出す事で相手とのファイル交換を優位に行うため」です。

この辺はちょっとマイナーで、おそらくWikipediaにも載ってなさげな世界だったりするんですが、そういう世界ネットの日陰に細々と存在していたりします。

欲しいファイル検索し、持ってる人を探し出し、「俺の持ってるファイルとあんたのそのファイル、交換しようぜ」とやりとりする世界です。

当然そういう世界では、ファイルにも希少価値ランク存在します。誰もが持ってるようなファイルと、ほんの一握りの人しか持ってないファイルでは、「レア度」が違うわけです(もちろん、その作品自体の需要なども加味されますが)。そんな「レア度」基準で最高ランクの物が「自分だけしか持ってないファイル」なのは言うまでもありません。他人から手に入れたファイルは、その時点で他人と自分の二人以上が少なくとも所有しているわけですからね。よってその世界にどっぷりはまった人間というのは、当然の帰結として自炊に手を出すことになります。

もちろん、これらは「交換材料」として生み出されるファイルですから、時間とともにレア度は減っていきます。自分自身が交換のために相手にアップロードしたり、そのファイルを交換で手に入れた相手がさらに他の人との交換材料に使ったり…と、相応の速度で拡散していく事になります。そうなる頃には、当人はまた別に単行本自炊したりしているわけです。

自炊派がレシピを増やすのが先か、美味い早い安い電子書籍提供が先か。

後者が先になります。断言できます。理由は後述します。

さて、そうやってより多くのファイルを手に入れるための「交換材料」として自炊が行われると、そのうち(自炊しない人達にとって)厄介な現象が起きます。勘の鋭い人ならば想像が付くと思います。

自炊者達同士でのカルテルの結成」です。要するに、「自炊してる連中で結託してお互いの自炊したファイルを回し合おうぜ。自炊してない連中と交換なんてする必要無いっしょ」と。

そしてどうなったかというと、自炊者はそういった閉鎖コミュニティに引き籠もって、表から殆ど姿を消してしまいました。そのため表は、P2Pとかで出回ってるファイルを黙々とダウンロードし所有欄に機械的に追加し続けるだけの簡単なお仕事…もとい、味気ない世界になってしまいました。

そういった閉鎖コミュニティに逃げ損なった自炊者達もどうなったかというと、死にものぐるいとなった非自炊者達にカモにされたりとあまり良い思いをしなくなったようで、自然消滅していきました。

ここまで読んで、ようやく「自炊派がレシピを増やすのが後になる」理由が理解出来ると思います。

自炊派」がいくら自炊しても、自炊されたファイルは限られた自炊者間でしか出回りません。なので結局大した事にはなりません。

ちょっと待て、ネット上で出回ってるやつはどうなんだ、という突っ込みがあるかと思います。あれの出所はP2Pが大半です。ごく少数ですが、日本から輸入した外国人海外サーバーアップロードしている、というケースもあります。

前者がファイルアップロードする動機については、多分周囲からチヤホヤされるのが気持ちいいからなのでしょう。後者外国人は、詳しくは分かりませんがこちらで把握しているものの大半は自分が運営しているサイトアクセス稼ぎ(アフィリエイト収益)のためのようです。中には結構な額を稼いでいる人もいるようですね。まあ、上げられた時点で日本にも「逆輸入」され広まってしまうわけですが。

閑話休題

誰ともコミュニケーションが無い状態で一人黙々と自炊継続するというのは並大抵の事ではないです。自腹で買った本を(デジタル化するとはいえ)バラバラに分解するという心理的な敷居の高さもさることながら、自炊の対象が「自分が既に読んだ本」というのも無視出来ない要因だったりします。誰ともファイルのやりとりをしない以上、自分自炊したファイルしか開くことは出来ないのですからね。

内容が一通り頭に入ってる状態で、iPadのような端末で二回目、三回目に読むためだけに、リンク先のような手間を一冊あたり数時間もかけるわけです。そんな事が出来る人が、出版界に影響を及ぼすほどの規模にまで膨れあがるでしょうか。もしそうなら、今日までの10年間で相当な数・規模の自炊コミュニティがあちこちに生まれているはずです。しかし現状はどうでしょう

我々みたいな人種自炊を何年も継続できたのは、そうする事によって他者の自炊した(まだ自分が読んでいない)ファイルが大量且つ容易に手に入るコミュニティを作ったからに他なりません。それ以外に自炊継続する動機ともなると、法の裁きを覚悟するような事しか思いつかないですね。

ですので「レシピを増やすのが先か」というのはちょっと正しくなくて、「とっくの昔にレシピは満杯状態だけれど(うちのコミュニティだけで総ファイル数は5桁)、iPadが登場するまで見向きもされて来なかったし、iPadの登場を機に注目されても、実際に自炊に手を出す人が増えるペース以前と変わらない(殆ど増えない)だろう」というのが俺の見解です。

本当に懸念すべきは自炊者が増える事ではなく、自炊されたファイルが容易に不特定多数にばらまかれる手段の普及だと思いますね。そう言う意味ではP2Pは今後何らかの歯止めが必要でしょう。自分が知る限り、自炊した漫画等をP2Pに流して逮捕されたという事例は殆ど無かったと記憶していますし。

追記

当人にメールを送ってみた。

追記(2)

続き

http://anond.hatelabo.jp/20101028200936

記事への反応 -
  • 以下の続き。 http://anond.hatelabo.jp/20101010201325 対象URIは以下。 http://d.hatena.ne.jp/bolt69/20101027 電子書籍で読まれることを前提にした文法で描かれたマンガが出てくるのももうすぐじゃないか...

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