2010-05-05

村上春樹小説

正月帰省時にノルウェイの森を読んで以来、村上春樹にはまってしまいGWまでに10冊ほど読んだ。きっかけは最初に読んだノルウェイの森、主人公と直子が2人で東京の街を当てもなく散歩する場面ではまった。描写が綺麗。こんなデートいいな。押し付けがましくない文体がさらに心地良さを誘った。もう一人の女の子、緑がつくるおいしそうな昼ご飯。10冊読んでみて、何というか食事のシーンにはジブリ映画を観ているような趣を感じる瞬間がある。

 次に読んだのは回転木馬のデッドヒート。これは短編集。特に興味深かった話はあれだな、30過ぎの水泳の得意な会社役員の男がこれまでの人生を振り返る話。程よくアラサーになった彼はふと自分を見つめ直し、歯を治療して、徹底的にダイエットする。主題はそこじゃないのだけど、身の上を振り返るくだりがとても印象深い。鏡の前に裸でボディチェックするのは1Q84の青豆さんっぽいね。

 それぞれの物語でも、主人公は一貫している。控えめな性格自己簡潔した箱庭のような世界を綺麗に保って、なるべく責任とか人の苦労なんかは背負い込まずに、心地良く生きていけたらと願っている。もちろん物語の進行上、そういうことにはならないのだけど。そして不都合が起きて追い込まれると脆く優柔不断になる。そういう場面では、奴の背中を蹴っ飛ばしたくなる。そんなスタンスだったら脆くなって当然だろうがと。もっと泥臭くならないとやってけない場面なんていくらでも。

でも村上さんの小説はこれで良いのだ。

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