やあ。君と似たような経歴の先輩にあたる男だ。
俺の場合は、院で成果を出すのに時間がかかって、いつまでも就職しない息子に腹を立てた親が
経済的な支援を打ち切り、精神的にも追い詰めてくるようになった。
そんな親に反発して、生活費と学費は自弁しようとしたが、そうするとバイトばかりに追われて
学費は払っているのに、全く勉強できない日々を過ごすことになってしまった。
バイト代なんてたかが知れてるし、その中から学費も書籍代も出すという貧困生活と
親からのプレッシャーによって、陰鬱な毎日を送っていた。
ある年、そういう生活に耐え切れなくなって退学を決意した。
今は派遣社員だが、自分の生活費は自分で賄えるし、学費という巨大な出費がない分、生活はずいぶん余裕ができた。
アカポスなんて当然諦めているけれど、いまだに本を読むことは好きで、専門書から雑誌まで幅広く読んでいる。
こないだ院生時代の先輩に「復学する気はないのか。せっかく博士課程に進んだのに勿体無い」と言われたが、
「ここまで来たのだから勿体無い」とか「可能性がゼロじゃない限り夢を諦めるな」というのは簡単だが、
埋没費用はいずれにしても戻ってこないのだし、あまりに見込みのない夢に賭けて、費用をつぎ込むことはないと思う。
費用には毎年の学費に加え、働いていれば得られたはずの所得や職歴も考えるべきだ(機会費用)。
これらを考えてみたとき、俺にとって在学し続ける理由はほぼなくなった。
しかしひそかに、いつか学費や生活費の心配がなくなれば、大学院に社会人入学したいという考えももっている。
まずは奨学金の返済が先決だけどね。
今は論文博士って廃止されちゃってるんだっけ? 身内の話だけど、修士卒で公務員→(このへん前後に招聘留学)→何年か後に論文博士でアカポスの人がいる。