2009-09-28

米国アフガニスタン戦略を「変更」の予兆

クリスタル司令官の報告には何が書かれていたか?

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五月にオバマ大統領アフガニスタン現地司令官のマッキーナン将軍を更迭した。変わって現地米軍最高司令官兼多国籍軍司令官にマクリスタル司令官を任命し、精密な報告書の作成を命じていた。

オバマの方針は「アフガニスタンは必要な戦争」であり、増派してタリバンを一掃しなければふたたびアフガニスタンテロリストの温床になるという考え方。議会世論も支持していた。

秋風とともに風向きが変わった。

支持母体民主党のなかで撤退を望む者が57%となり、軍隊の残留支持は38%しかいない(PEWリサーチ、九月三週)ことが鮮明となって、「第二のベトナム化」への懸念がぐいっと表面化する。

「いったい外国軍はあれだけの金を投じながら、民衆の日々の生活にはなんの恩恵もない。多国籍軍は民衆の支持を得ていない」(ピーターバーゲンとサミエ・ラウワニ共同論文、ニューアメリカ財団、9月28日、ヘラルドトリビューン)。

巨大な援助は、その40%が戦争下請け企業ブラックウォーターなど)に支払われ、しかも彼らは所得税アフガニスタンに落とすのではなく、免税措置がとられ、道路学校病院建設さえアフガニスタン建設会社に発注されず、多国籍企業落札している。これではアフガニスタン国民は、どうやって援助を活用し、豊かになれるのか。

米欧がアフガニスタンに介入して八年が経った。

カルザイ政権は腐敗し、アフガニスタン世界最貧国のまま、麻薬ビジネス密輸される武器とで治安は回復せず、このうえに増派しても適切な政策とはなり得ず、事態はむしろ悪化するだろう。

クリスタル司令官のオバマ大統領への報告者は、依然として機密扱いだが、一端がワシントンポスト暴露された。その内容は「現在の作戦は不適切で、もっと効果的な編成にしなおす必要があり、増派は必要だが、人数は特定されていない」(エコノミスト、9月26日号)と衝撃的な提言が含まれているという。

オバマ大統領アフガニスタンを変更する予兆がある。

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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 

     平成21年(2009年)9月28日(月曜日

        通巻第2723号 

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