2009-08-10

本当にありがとうございました

http://anond.hatelabo.jp/20090808215805

再び元増田です。

ブコメトラバもこれほどたくさんつくとは、全く予想していなかった。かなり圧倒されている。

なるほどと思うコメントも、いやそれはないだろうと思ったコメントもあったが(押尾学は絶対にねーよ、と思った)、どのコメントもいただけたことが非常に嬉しいし、考えるヒントになった。

本当に感謝している。みなさま、ありがとうございました。

たくさんの意見がいただけたことで、私は自分が抱えている明らかな精神的欠陥について初めて色々な角度から考えることができた。

その結果、思いもよらぬことに気づいてしまって、そのせいか昨夜ほとんど眠れずに朝を迎えてしまったので、ちょっとそのへんについて話す。

まず、彼との結婚を勧める方が多数いらっしゃるのだが、それは有り得ないことだと思っている。

なぜなら、1)私には現在彼氏がいる、2)彼にも現在彼女がいる。

私は今、彼とどうにかなりたいとは思っていない。ただ過去自分の行為が納得できずにいるだけである。

しかし、そこまで考えたところで、私はなぜ自分過去の一つの事例にそこまでこだわっているのか、という疑問を抱いた。今現在、彼とどうにかなるつもりがないなら、放っておけばいい話ではないか。

そして私は、自分過去に何度も似たようなことを繰り返していることを思い出したのだ。

好ましい男性に出会って、親しくなる。その男性と私の距離がだんだん詰まってきて、二人の間の空気が甘い親密さを帯び始めてきたときに、突然私が背を向けて逃げ出す、ということを、私は何度か繰り返している。そのたびに私は自分に対する激しい苛立ちと、深い自己嫌悪を味わった。

一番酷いケースでは、つきあってほしいと言われて承諾した後、私は相手の男性の前から十日ほど姿を消した。十日後、相手の男性が怒って私に詰め寄り、私は平謝りしながら、交際を解消して欲しいと頼んだ。あのときの男性は、その後何年も私を憎んでいる様子をみせていたが、当然のことだ。ごめんなさい。ここで謝っても意味がないが、それでもごめんなさいと言いたい。

おかげで私は、年齢のわりに恋愛経験が乏しい。身持ちが堅い、という言い方も出来るが、それはごまかしだ。私がやってきたのは、心無い仕打ちの繰り返しに過ぎない。

私は自分の理由のわからない逃走癖が、嫌でたまらない。だからこそ今回、増田に件の文章を書いたのだと思う。

rna そこで言う「恋」ってなんなの? まんこなの?

今回、はっとさせられたのは、上記のブコメだった。id:rna感謝する。

私は自分が言うところの「恋」って何なのか考えた結果、それは相手の男性とのセックスを恐れない感覚であるという結論を得て、なんだか嫌な気持ちになった。

そして私が今まで男性からの逃走を繰り返してきたのは、結局親しくなった男性とのセックスが怖かったのだということに気づいた。

私には性的欲求があり、その欲求の向かう先は男性である。だが、いざ実際に特定の男性と親しくなり、このままだとセックスするかもしれないという状況になると、私は怯えて逃げ出すのだ。そのことを私は今回初めて、きちんと認識した。

今回、「とりあえず抱かれてみれば」という趣旨コメントを多数いただいた。私はそのコメントが心底正しいと思った。私が仮に友人に似たような相談を持ちかけられたら、同じアドバイスをすると思う。

しかし、自分自身ではこれらのアドバイスに従うことは不可能であると感じていた。私が言うところの「恋していない」とは結局「相手の男性とのセックスが怖い」ということの言い換えに過ぎないからこそ、不可能だと感じたのだと思う。

私は別に男性恐怖症ではないと、自分では思っている。男性と会話することができない、男性が傍にいると怖くて硬直する、そういうことは一切ない。男性の友人も何人かいる。

だから私は自分男性とのセックスを恐れていることに気づかなかったのだろう。

どうして私は男性とのセックスが怖いのだろうということを考え始めたとき、頭の中にぶわっと黒い靄が広がった。

私は眠れなくなって起き上がり、水を飲んだ。もう一度横になって、うとうとし始めたとき、夢の中で泣きながら小さな女の子が走っていくのが見えた。

そして私はそこでもう一度目を覚まし、今この文章を書いている。

これは生涯、語ってはいけないことだと思っていたが、増田という場所があってよかった。ここに書かせてもらう。

私は子どもの頃、性的ないたずらに遭ったことがある。私はそのことを、長い間、誰にもいえなかった。家族は私がそのような経験をしたことを知らない。

私にいたずらをしたのは、両親の親友の息子さんだった。仮にAくんとしておく。

Aくんは私より七つほど年上だった。Aくん一家は我が家家族ぐるみの付き合いをしており、私はAくんによく懐いていた。私はAくんの家族もみな大好きで、彼らが遊びに来るのをいつもとても楽しみにしていた。

Aくんは知的障害者だった。子供だった私はそのことがよくわかっていなくて、ただAくんは病気なのだと聞かされていた。

知的障害者であっても、七つ年上の少年は、幼稚園児よりもずっと色んなことが出来る。本当に幼かった私は、Aくんを心から尊敬し、慕っていた。自分尊敬する存在というのは、Aくんにとって稀だったのだろう。Aくんも私を可愛がってくれたし、たくさん遊んでくれた。Aくんは優しい少年だった。

ある日、Aくんがお医者さんごっこをしようと言った。私はそれまでお医者さんごっこというものをしたことがなかったので、新しい遊びを教えて貰えるのだと思って、喜んだ。

私は患者役となって横たわり、Aくんの診察を受けた。服が脱がされかけ、体のあちこちを彼の手が動き回り、私は恥ずかしくなって、Aくんの手から逃れようと身をよじらせた。

そこで初めて、私は自分の体が自分よりもはるかに力の強い他者によってがっしりと押さえつけられ、身動きがとれない状態になっていることに気づいたのだ。

そこから先のことは正直あまりよく覚えていない。

私は完全にパニックを起こして泣き喚いた。けれどあのとき、たまたま大人は近くにいなかった。

「たすけて、やめて、たすけて!Aくんやめてお願い!痛いよ痛い痛い痛い!」

Aくんは優しい少年だったので、私を別に痛めつけようとは思っていなかったのだろう。私の叫びに驚いた彼の手が緩んだとき、私はなんとか逃げ出すことに成功した。

私は走ってクローゼットの中に隠れた。外でAくんが私を探している声が聞こえた。涙が次々とあふれたが、私は泣き声を必死に殺し、大人が帰ってくるのを待った。

クローゼットの中で私は、自分のこの経験を誰にも語ってはならないのだと気づいた。

その頃の私は、既に少しずつAくんの病気のことを理解し始めていた。Aくんには全く悪気がなく、私を怖がらせたり泣かせたりするつもりはなかったのだということも、それゆえにわかっていた。

私はAくんもAくんの家族のことも大好きだった。両親にとってAくん一家が大切な友人であることも理解していた。

私が今日あったことを誰かに告げれば、Aくん一家と我が家家族ぐるみの付き合いは、おそらく終わってしまうだろう。両親は大切な友人を失う。

Aくん一家はみな良い人たちで、Aくんも優しい少年だ。Aくんの行動は病気のせいで、Aくんは悪くない。悪い人は誰もいない。みんな仲良く楽しく良い関係を築いている。

その関係を私が壊すわけにはいかない。

悪い人間がいるとしたら、それは私だ。

Aくんの病気がどんなものなのか、私はわかっている。それなのに用心しなかった私が、一番悪い。

だから私は、このことを誰にも喋らない。全部なかったことにする。

私はクローゼットの中でそう心を決めた。その後私は涙を拭いてクローゼットを抜け出し、顔を洗った。

大人たちが戻ってきたとき、私はいつもどおりAくんと遊んでいて、にこにこ笑っていた。

この経験をなかったことにする。私は自分が決めたことを、かなりうまくやりおおせたと思う。

Aくんのことも、お医者さんごっこのことも、私はずっと忘れていた。

たまに、たとえば白木のクローゼットの扉を見たとき、一瞬嫌な気持ちになることはあった。けれど、自分がなぜ嫌な気持ちになるのかは、考えないようにしていた。

何かをなかったことにするために必要な技術は、思考停止だ。嫌だなと思ったとき、なぜ嫌なのかを突き詰めて考えないようにすることだ。私はそれを、今までずっとうまくやってきた。

好ましい男性と親しくなる。そのたびに私は何か嫌だなと思って、逃げてきた。何が嫌なのか、考えることはしなかった。「恋をしていない」というのは、考えることを避けるために、非常に便利なフレーズだった。何が恋だ、と思う。私の思考停止は、間違いなく害悪だった。

私は自分思考停止していることに気づかないまま、ずいぶん長い時間を過ごしてしまった。この歳になってやっと気づいたことが、情けなくてたまらない。

辛いことがあって思考停止した、というのは言い訳だ。私がやったのは全て、人でなしの仕打ちだ。申し訳ない。本当に申し訳ない。

それでも死ぬまで気づかないということにならなくてよかったと思う。そうならなかったのは、今回増田に書き、みなさんにたくさんのコメントをいただいたからだ。本当にありがとう。

今まで男性から逃げ出したとき、私はいつも惨めで悲しい気持ちになった。中でも件の彼から逃げ出したときが、一番惨めだった。この人が相手ならば逃げ出さずに済むと思っていたのに、それでも逃げしまって、自分はこれからどうやって生きていくのだろうと思った。

だからこそ、他の男性のときは自分が逃げたことを忘れることが出来たのに、彼との一件は忘れることが出来なかったのだろう。私が今回、自分思考停止に気づくための引き金となったのは、紛れもなく彼の存在だ。

面と向かって感謝することはできないので、この場で感謝し、そして謝罪する。

ありがとうございました、そしてごめんなさい。こんなことをこの場で言っても、決してあなたに届くことはないとわかっています。これが無意味自己満足であることもわかっています。

それでもありがとう。ごめんなさい。

現在、私には彼氏がいる。この人とするセックスは怖くないかもしれないと思えた初めての人だ。

なぜ怖くなかったのかはわからない。たまたまタイミングの問題なのかもしれない。それでもそういう人にめぐり合えたのは、僥倖だったと思う。この幸運を大切にしたい。

ありがとう。

記事への反応 -
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    • 元増田です。トラバとブコメがついてたいへんに嬉しい。 ありがとう。増田に書いてみてよかった。 そういう関係なら恋人よりも人生のパートナーに向いてるんと思うんだ。 考えた...

      • この人の近くにいたいとか、そういう感覚は当てにしたほうがいいと思うよ。 もしかして、自分が幸せになるのを怖がってない?

      • http://anond.hatelabo.jp/20090809082244

      • 恋はタイミング。ときめきはすぐに無くなるもの。脳内ホルモンはそうそう便利に放出してくれない。自分がわからないというのは、いつだってある。ただ、それを現実と照らし合わせ...

      • あと、そうそう、笑いのツボが違ったんじゃないかなあ。笑いが共有できると幸せホルモンが出るらしいです。たしかに、笑いが共有できないと息が詰まるし、意外と人によって違うか...

    • 私も上の増田に同意であなたと彼の関係は「恋人」ではなく「夫婦」として 「恋」ではなく「愛」として向いているんではないだろうかと思う また、ご自分でも言われているように 恋...

    • 考えすぎて一周しちゃったのかな。私はそんな感じで付き合い始めてもうすぐ10年近い。 理想的な人で一緒にいると安心するけど今考えれば最初から恋じゃなかった気がする。 若かった...

    • 人はそれをマリッジブルーと言う。

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    • 個人的にナンパをよくするので、こういう話題は好きです。 一緒の部屋で寝て襲わない。というのは、正直、紳士ではなくチキンです。つまり、彼は紳士でありません。紳士であるなら...

      • 対象外というよりは、襲えるほどに男らしい外見ではない。という部分に尽きると思う。 個人的にみて、この男性の容姿は 中の下から中の上だと思う。これは元増田自身の容姿のレベ...

    • ああ、そうだよねぇ。 女の子の家に上げてもらえる、場合によっちゃ泊めてくれるかもとなったら、相手の意向確認も兼ねてスキンシップを試みるよ俺。 何かの拍子に軽く手を触れると...

    • ちょっと違うのかもしれませんが、同じような経験をしたことがあります。 わたしの場合、完璧な彼を壊してしまうような気がしてアクションが起こせませんでした。 元増田さんの彼と...

    • 前世が敵同士

    • オレならまずは寝てから相性がいいのかどうか考えるけどね。

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    • 理屈で抑えすぎなのかもねー。 自分もそういうタイプだから、なんとなくそう思う。 突っ込んでいくことが恐怖なんだよね。 そうこうしてたら、あっという間に年月経っちゃうんだ。 ...

    • 同じ立場ならこの文章を相手に見せる。 悩んでも自分が何かよくわからないだろうし、それなら一番どうにかしてくれそうな人に相談。

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