金正雲が北京訪問は007の話? イタリアでの天文学的国債発見と日本人?
国際政治の裏側が下手なスパイ小説より俄然面白いのは当然だろう。
フィクションの固まりでもある小説は所詮、想像力の世界であり、007は一種の漫画である。ゴルゴ13も鬼平犯科帳も主人公の活躍は常識の活動を越えているからスーパーマンの類だろうか。ただし背後に使われるデータには類推して興味深い数字などの記録や題材が豊富である。
さて朝日新聞がなしたスクープを北京が否定した。あれは007の類いだと。
金正雲が北京を密かに訪問し、中国共産党幹部とあったという噂を朝日新聞がかぎつけて報道した。
日頃、北京に有利な報道しかしないメディアが、北京に不利益な報道をした? 朝日への情報提供者と、中南海の最終決定機関との間の情報伝達の齟齬か、そのプロセスになんらかの行き違いが生じたとみると、朝日と北京の見解の乖離がわかる。
在北京ジャーナリズムのなかで、朝日がもっとも深く権力に食い入っている筈だから。
これは逆に考えるべきで、日頃、否定も肯定もしない、うわさ話程度のことにはコメントしない中国のスポークスマンがわざわざ大声で否定せざるを得なかった。
そうだ。「否定せざるを得なかった」のだ。
スパイ小説作家なら、疑わしきはこっそりと登場させ、あえて重要な役目を設定しない。起承転結の「転」のあたりまでは持ち駒として保持しておくものである。