2009-05-29

公文書問題

民主党の長妻がやたらと質問主意書を連発し、不興を買っている問題がある。

たった1文の回答拒否に 民主党の長妻氏が「バカにすんな!」

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090529/stt0905291747005-n1.htm

質問主意書を出す事自体は法律で認められているから、私はそれについて文句は無い。突き詰めれば「民主主義コストがかかるのでやめましょう」という事になってしまうしね。

また質問の内容についてもここで価値を問うことはしない。

しかし答弁書の作成が、担当職員の過酷な残業につながるなどの問題もあり、改善すべき問題である事は事実だ。

諸悪の根源は省庁に限らず日本のほとんどの役所が文書をまともに保存してない、そもそもまともな文書を作ってない、という事実にある。

我が国も遅ればせながら2001年情報公開法施行されたのだが、行政文書の作成・廃棄の権限が当の行政機関に委ねられているので、理想とはほど遠い状態にある。

覚えてる人もいるかと思うが、情報公開どころか捨ててしまえというのが実態だったである↓

情報公開法施行直前、10官庁で行政文書廃棄量が急増

http://web.archive.org/web/20041210024359/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041208it05.htm

そういった状況を打ち破り、日本に真の民主主義をもたらそうとした一人の男がいた。

皆さんご存知、元日総理大臣福田康夫である。

首相就任前の内閣官房長官時代から「公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会」を設立させて公文書管理の整備に取り組んでおり、首相就任後にはすぐに国立公文書館を視察し、「真実国民の目に触れないのは民主主義にとって問題がある」と公文書管理重要性を強調、いわば公文書管理の整備は福田議員としてのライフワークとなっていたのである。

http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/index_k.html

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/071121.html

http://blog.dai2ntv.jp/diary/2008/02/

福田過去に訪米した際、地元から依頼されて探していた終戦直後群馬写真が、米国公文書館で簡単に手に入り驚いたという経験を持つ。その経験福田首相公文書管理整備に意欲的に取り組むきっかけとなっている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080302/plc0803021842003-n1.htm

福田が驚いたという米国公文書館Webページにアクセスしてみると

http://www.archives.gov/

Democracy Starts Here.

民主主義はここから始まる」と掲げられている。

日本国立公文書館の職員42人に対し、アメリカ国立公文書館の職員は約2500人である。(韓国約130人、中国約560人、カナダ約 660人)(平成15年時)

http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/kenkyukai/tyousahoukoku/houkokusho0.pdf

福田首相になると「公文書管理の在り方に関する有識者会議」を設置、公文書管理担当相というポストも新設し、いよいよ公文書管理の整備に向けての動きを活発化させた。

公文書問題に関心のある私のような人間首相である福田トップダウンで強くこの改革を押し進めていく事を期待していた。

が、皆さんご存知のとおり、彼は首相を辞任してしまった。

公文書管理法案は現内閣に引き継がれたが、恐れていたとおり当初の理想から大きく後退した内容が閣議決定されてしまった。

http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2009-03-09

現在この内容について国会で修正協議が行われているが、予断を許さない状況である。

ちゃんとした公文書管理には膨大な人材と金(要するに金)が必要であり、そのコストを支払う事を拒否し続けてきた我々国民に対する罰の一部として、担当職員が答弁書作成に苦しめられているのだ。

と、言ってもこの公文書問題は地味と考えられているのか、あまりマスコミも理解してないようであり、きちんと取り上げられない事もあって、何が問題なのかピンと来ない方もおられるかと思います。

私が下手な説明をするより、上記「公文書管理の在り方に関する有識者会議」が作成した分かりやすい資料がありますので、興味を持った方はそれを読んでみて下さい。↓

「時を貫く記録としての公文書管理の在り方」 ~今、国家事業として取り組む~

公文書管理の在り方等に関する有識者会議 中間報告

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koubun/chukan.pdf

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