地面に向かってゆっくりと倒れる。
オレは死んだ。
もしくは死んでいく。
雑踏の中で。
朝日を浴びる道の上で。
ガムで汚れたアスファルト。
何万人もの人が歩いた道。
何も改善することなく
今までに死んだ多くの多くの多くの人々とまったく同じように
地面に向かって倒れこむ。
なにかが報われることはない。
奇跡が起こって、勝手に望みがかなったりしない。
今起こっていないことは永遠に実現しない。
目に見える世界こそがすべて。
不完全な、取り留めのない、エキセントリックな、反復的な、保守的な、ありふれた、
この世界こそが僕の人生だった。
死に至る道で気がついた。
どうしようもない不完全さこそがそれなのだ。
道行く人の疲れた顔こそが。
微妙に古びた町並みが。
毛並みの悪い野良猫や、集積所からあふれて散らばるゴミが。
それこそが人生だったと気がついた。
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