本家のニュースを日本語に翻訳するというのであれば、不要である。
日本のニュースを流すのに、看板が欲しいのでWSJと提携するというのであれば、志が低い。
ビジネスの立ち上げには、時間がかかる。その時間を、看板を買うことで短縮できるというのは、企業買収における最大のメリットである。SBIは、ライブドアともつながりがあったせいか、まだ、あの時代の考え方が抜けていないらしい。
情報媒体の看板には、余り価値が無いというのが、出版業界の常識である。というのも、インクのついた紙の束に何を載せるかが重要で、毎号毎号の積み重ねが無ければ、実売部数はあっという間に落ちていくという現実がある。放送媒体の様にチャンネル数が制限されていたり、新聞のように宅配ネットワークの実存によって市場を独占していると、他が酷ければ再放送で数字が取れ、ラテ欄とお悔やみ欄と折込チラシ以外は、誰も読んでいないというような、ぬるい環境ではないからである。
インターネット上での情報媒体も同じで、毎日毎週の積み重ねが重要で、スタートラインに下駄をはかせても、記者クラブ発表を並べているだけでは、競争力は無い。独自のネタをやるには、一歩踏み込んでリスクを背負う必要があり、それを法人の看板でやる事は、事実上不可能である。週刊誌や月刊誌が、署名記事や証拠写真といった物証に頼らざるを得ないのは、このリスクを背負わずに事実に踏み込む為である。
言論機関のオーナーは、主筆として自ら筆を取るタイプと、内容には口は出さないが商売人としてがっちりやるというタイプに分かれる。
WSJ日本語版は、どちらのタイプになるのであろうか。前者の人材がいるようには見えないから、後者のタイプになると思うのだが、どんなビジネスモデルを提示してくるのであろうか。