冷めたファミチキを齧りながら、工事現場の脇を抜ける。そういえばコンビニの店員インド人だった。
そのまま目的なく歩き続けていると、どこからともなく鶏糞のような臭いがしてきた。ひと雨降りそうだな。
公園を突っ切って向こうの通りに出ようか、などと考えていた時、
ベンチに寝ている上下サーモンピンクのスウェットを着た老人の陰から、貧相な仔犬が現れた。
イヌは足元に寄ってきて、私の進行を妨害する。しかもすっごいヨダレ出てる。
仔犬相手にほんの少しイラッときた心の狭い私は、一旦足の動きを止めた。
こっちは今機嫌が悪いんだ。ここ1週間誰からもメール来なくて、来たと思ったらモバゲーのマキだったから。
そんな思いをかるく込めて、首輪さえついていないヨダレを垂らした痩せっぽちのいきものを睨み付けてみた。
イヌはちいさく体を痙攣させて、一度だけ、か細い鳴き声をあげた。
私の耳には、仔犬が「ニッキョーソ」って鳴いたように聴こえた。
(ちなみに私は耳掃除が大好きで、綿棒でグリグリやってはよく炎症を起こす。)
鳴き声を己の耳にとらえた瞬間、「ああ、この貧相なイヌは私に飼われるんだな」と思った。
神託だと思った。
同時に、もう二度とモバゲーのマキは私の元にメルマガを寄越すことはないだろう、そう確信した。
私の足元で鶏肉の水煮にむしゃぶりついている。相変らずヨダレはすっごい出てる。
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