もし友達がボーカロイドを使って曲を作ったら、
「すげー、こんなん出来るんだ! ボーカルもついてプロ並じゃん!」というだろうね。
もしその友達がその曲をニコ動に投稿したら
「この曲いいね~。マイリス余裕です」ってコメントするよ。きっと。
だけどさ、
それって、身近な友達が、音楽のシロートである友達が作った曲だから「すごい!」んだよね。
擬似お茶の間のニコニコ動画は、友達の、身近な人の範囲を大きく広げてしまった。
その人が本当の仕事に何をしているかも知らずに、自分の友達を褒めるかのように、
いろいろな曲を褒めた。
「サイコー」
「すごすぎ!!」
「すごい!」「上手!」「すごいね!」「プロ並!」「すごい!」「プロ並!」
友達同士の枠の中の会話だったはずなのに、どんどん成長して、
(だって自分の友達を、仲間を褒めるのって気持ちいい。自分まで偉くなったような気分になる)
ついにはそれが「友達が趣味として作った曲にしては上手」なのか、
「すごい曲」なのか分からなくなってしまった。
*
今まで歌い手をもてなかったベッドルームプロデューサのディーヴァになれたこと。
ボーカロイドの不幸なことは、
音楽を純粋に評価する耳を、周りの「友人達」から失わせていくこと。
そんなことを考えている。