あれから1日。目覚めは良くも悪くもない。
いつも一番早く出勤する同僚によれば、彼女が来たときには既に私の机に置いてあったという。
彼女は当然のように「強制結婚制度」のことを知っており、すこし詳しく教えてくれた。
①第三者に「じゃあ結婚すれば?」と言われて初めて成立する
②既婚者は無効となるが、未婚者が事前に不受理届出をすることはできない
③取消訴訟は痴漢冤罪なみに面倒で困難ゆえ、大抵の人は諦めて結婚する
⑥国内ではいつどこで「じゃあ結婚すれば?」と言われても必ず手続は行われ、見逃されることは「絶対にない」
どうやら「強制結婚制度」は昨日今日に施行されたものではないらしい。
一応テレビや新聞に毎日目を通していたのに、全く気づかなかった。
いや、私だけが気づかなかったというより、実際に昨日まで一切報道されていなかったのではないか?
普段の世間話で話題に出たこともない。私にとっては寝耳に水としか言いようのない状況だ。
なのに昨日のテレビでは「きょうのしなもん」並にほのぼので、急迫した報道とは見受けられなかったが・・・。
とりあえず職場に欠勤連絡を入れる。私の「結婚」は会社中に知れ渡ってしまったようだ。
役所に問い合わせに行くと、あの赤い婚姻届は正式に受理されていた。
私の机にあったそれは提出していない。
生え際の後退したアームカバー曰く、あの赤い紙は「事後報告」みたいなものだという。
当事者ふたりに手続の必要はないが、相手の連絡先とともに通知が送付される。
仮にも「夫になる人」であるバカ男子から「妻になる人」への連絡はまだない。
割と肯定的なコメントを残しててウケたw
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