郵政民営化の時にも、決議の時に反対票を投じた人には造反として刺客を差し向けたが、決議を欠席・棄権した佐藤信二、中村正三郎、高村正彦、古賀誠、野田毅議員等には、お咎めなしとした。
したがって、小泉氏に同調する者達が決議を欠席しても、造反にはなりえない。結果的に3分の2を使えなくなったとしてもである。まさか、自分が欠席した時は造反ではないが、他人が欠席した時は造反であると主張するわけには行くまい。
自民党が迷走を始めたのは、麻生、福田、安倍と、さかのぼって考えると、安倍政権の時の参議院選挙ということになる。
衆参同日選挙に踏み切らず、参議院単独で選挙を行い、過半数を取れなかった。
衆議院の3分の2を失ってでも、衆参両院での単独過半数を取るという博打に踏み込めなかった時点で、政権は停滞を始めた。
たとえ衆議院の3分の2を持っていても、政権の正当性が無ければ、国民の支持を得られないという事に気が付かなかったのである。
衆議院解散のタイミングを探っていたが、経済情勢は悪化する一方であり、タイミングが無いまま、総裁を変えてごまかしてきた。去年の総裁選でやっと、小泉改革を継承すると言い切る者が現れたが公約が未熟で票を集めきれず、迷走を続け、再び行き詰まってしまった。
自分の政策を通したければ、自分で集めた票で通すべきであるという、あたりまえの事ができなかった時点で、迷走するのは当然だったのである。
問題は、その先である。
衆参のねじれ状態を理由に開店休業に入るか、あるいは、再び総裁選を行うかという展開になるのだが、小泉改革を継承し、改革の次の段階のプランを公約として出せる候補者が出てこない限り、総裁選をやっても無駄である。衆参のねじれを理由に開店休業になるというのが一番ありがちな展開なのだが、この場合、任期満了の解散後に、自民党は下野する事になるであろう。人材の居ない政党に政権を持たせておく意味が無いからである。
次の総裁選の公約は、次の衆議院選挙の公約でもある。戦後体制のままのばら撒きを続けるようでは、国民の支持は得られない。公約を練り上げる事ができなければ、与党の地位を失うという危機感をもたなければならない。