これおすすめ。最近よくプッシュされてるし、もう知ってる人が多いか。
なんかのインタビューで見たけど、この作者さんはイエスとかブッダとかの逸話を普通に目にして育ってきたとか、そんな感じらしい。宗教的にどうかは知らないけど、すごく親しみと愛情がこもっていて、ギャグとしても突き抜けてて、面白いと思う。
ところで、作中ではアナンダって書いてあるけど、正確なカタカナ表記だとアーナンダ(Ānanda)が正しい。
アーナンダ、はサンスクリットでは、歓喜、幸福、みたいな意味。アーナンダは「アー+ナンダ」で、ナンダでも同じように、幸せ、みたいな意味がある。アーの部分は接頭辞ですね。
で、「アナンダ」の場合は当然「ア+ナンダ」なわけだが、接頭辞アって否定辞なんだよなあ。だからアナンダは意味がひっくり返って、喜びのない、つまらない、くらいの意味になる。(今辞書で確認した、「joyless」であってると思う)
…そこひっくり返ったらダメだろ!!
というくらいひっくり返ったぞアーナンダ!!
中村光がアーナンダをアナンダで表記してるのは、多分、中村光が読んできた本で「アナンダ」って書いてあったからだと思う。
サンスクリットのĀnandaという名前は、中国に伝わったとき、意訳では、歓喜とか、慶喜とか訳されて、音写では、阿難、とか、阿難陀、とかに訳された。日本は漢訳経由で仏教が来た国だから、漢訳の影響は強い。
仏弟子・阿難陀!と覚えてた人なら、アーナンダと書かれてるよりは、アナンダって書いてある方が座りがいいだろう。
「悟れ!アーナンダ」よりは、「悟れ!アナンダ」のほうが語呂がよかったのかなあ。
ウィキペディアで阿難→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E9%9B%A3
追記
そもそも中国語が単音節言語で、母音に長音と単音の区別がそもそもない、苦手、っていうのも影響していると思う。昔は現代中国語よりさらに複音節の単語が少なかったらしいし。中国語的に言えば、アーナンダ→阿難蛇、は音写として正しいはず。日本語的に言えば、阿難蛇→あなんだ と読むのは正しいから、まあ別に誰も悪くない。漢訳を経由すると、音の長短が消えやすい。