いろんな人たちがGoogle Chromeの戦略性を誤解しているので、
その戦略性と位置づけをまとめてみたいと思います。
まず、タブごとにクラッシュコントロールをできるようにするブラウザを開発することが
http://crypto.stanford.edu/websec/chromium/chromium-security-architecture.pdf
それも単に、ウェブサーフィンのブラウザとして有益そうだなー?
というような曖昧な理由ではないんです。
ご存知のように、Googleが検索の次のフィールドとして据えているのは、
クラウドコンピューティングによってOfficeマネーを手繰り寄せることです。
このマーケットを開拓するには、
ひとつのタブが落ちれば全体も落ちてしまうブラウザなんてあり得ないんです。
だって、Gmailウィンドウを開いてるときに、別のタブが固まっただけで
ブラウザが落ちてしまったら、クラウドなんて使い物になりませんから。
GmailとGoogle Docsを同時に立ち上げているのに、
Docsが落ちたせいでブラウザ全体がクラッシュしてメールの文章が途中で消えてしまった・・・
なんていう事象が頻繁に起こっては利便性に欠けます。
#そのために現状のGmailでは、こまめに自動保存するハメになってしまい、コンピュータのリソースを無駄遣いしています。
要するに、ウェブブラウジングとしてのブラウザを目指しているのではなく、
クラウド向けのアプリブラウザとしての地位を確立することが目的なのです。
巷のIT系情報サイトとか新聞の報道では、ブラウザ戦争勃発、とか言われていますが、
まったく未来が見えてないですね。
単なるブラウザを開発したところで、別にGoogleとしてはオイシイことなんて何もないんですから。
ちなみに、独自エンジンV8の構築もクラウドコンピューティングの最適化が目的ですよね。
WEBページの表示が早い、とか悠長な比較をしてる場合じゃないと思うんですが。
Chromeの機能的な特徴が1)でしたが、デザインにも戦略性が込められています。
つまり、今後製品化されるAndroid向けのブラウザを見据えて最適化されたものと推察できます。
Googleの次の戦略は、モバイル検索クエリを確保することですが、
Androidも含めて、今回のChromeでようやく土台が整った感じです。
まず、IEやFirefoxとの比較として弾さんが述べているように、
Eee PCのようなミニノートでさえも、現行ブラウザでは手狭すぎます。
さらに、その省スペース化に一役買っているComboBoxこそ、モバイルの世界戦略に大きく寄与します。
なぜなら、検索とURLが同一の窓から入力できるので、いちいちGoogleトップにアクセスすることなく、
モバイルからの検索クエリをゲットすることが可能となるからです。
検索クエリもURLクエリもウェブに対するアクセスとしては同一のものであるという哲学に感嘆するのもさることながら、
モバイル向けにも同様のデザインを展開すると、非常にシンプルで機能的です。
Chromeは、Androidのデフォルトブラウザになるのが必然ですから、
ComboBoxによって、日本のi-modeやEZwebから公式検索クエリをゲットしているのと同様のことを
■まとめ
どう考えても、Google Chromeは、20%ルールから生まれたものではなく、80%のほうです。
・モバイルサーチ
というGooleが開拓しなければならない二つの市場を飛車角取りするためのソリューションです。
PC上でChromeを介したクラウドアプリが確立すれば、新規参入のAndroidを使用する理由となりますし、
その逆もまたしかりだと思います。
Googleカレンダー、Gmail, Google Docsなどを基軸にPCと携帯をスムーズに連携させれば、
iPhoneがMobile Meでやろうとしていることをはるかに凌駕することができるのも明らかです。
AndroidとChromeが両者オープンソースなのは、早期にクラウドとモバイルのデファクトを確立するために
■余談
中の人としては、「ベータ版でなんとかここまで持ってきた・・・」という感じかもしれません。
■その他
Google Earthに代表される20%のほうは、「Googleってすげー」と思わせるような技術ブランディングに寄与しています。
ちなみに、仮にGoogleと同様の外観のサイトがあって、ここにMSNやYahoo!の検索結果を表示したとしても、
その検索結果がGoogleのものではないと誰が判断できるでしょうか。
ほとんどの人は、その判断基準を持ち合わせていないと思います。
「Googleはイメージ戦略の成功のたまものだ」みたいなことを言っていた記憶がありますが、
まさに的を得た発言かもしれません。