http://anond.hatelabo.jp/20080924153734
当時自分は大学生で一人暮らしをしていたので、詳細な状況はわからないのだけど、
父親名義の借金もたくさんあって、実家の方は大変だったらしい。
母からの電話で父の失踪を知ったときは、目の前が真っ暗になった。
目の前が真っ暗になるって、本当に視覚的に真っ暗になるんだって知った。
実家は大丈夫なのか、実家にいる妹や弟のこと、大学辞めて自分も働いた方がいいか、
結局自分は奨学金もらってバイトも増やして大学を出たし、実家の方も親戚の助けもあってなんとかなった。
けれど、その頃のことを思い出すと今でも涙が出てくる。
実家にはいわゆる借金取りというやつが毎日のように来ていたらしく、
母は弟妹を連れて一時的に母の実家に引っ越していたため、自分もそちらに帰省した。
自分が帰省している間、母方の祖父母からずっと父の悪口を聞かされた。
「あんな男のところに嫁に出すんじゃなかった」
「妻子を置いて一人だけ逃げるなんて最低の男だ」
母から聞いた話ではいつも言っているらしかった。
確かに、父がしたことは褒められたものじゃない。
祖父母からしたら、父は大事な娘を不幸にさせた男だ。悪口のひとつも言いたくなるだろう。
自分も母も、弟も妹も、父がどれだけ頑張っていたか知っている。
1週間家にも帰らず働き詰めたり、たまに帰ってきたとしても明け方ごろの帰宅。
母はうんざりした表情で父の悪口を聞いていた。
弟や妹も毎日聞かされていたんだろう。
自分だって毎日聞かされたら無愛想にもなる。ましてや弟は当時高校生だ。
だから自分は、祖父母と話している間はニコニコ笑っているようにした。
ほんとうはぶん殴ってやりたかったけど、そんなことしたら母や妹弟がもっと嫌な思いをすることになるから。
実の父親の悪口を聞きながら、愛想よくニコニコ笑ってた。今思い出しても最悪な気分になる。
でも、そんなことよりもっと突き刺さった言葉がある。
母に、「お父さんなんて死んじゃえばよかったんだ」って言われたことだ。
帰省したときに面と向かって言われたのか、電話で言われたのか記憶が定かじゃあない。
ただ、おそらく自分だけしかその言葉は聞いてない。
母は一連の出来事でとても疲れていて、自分も兄弟の中でも一番上だったからか、不意にその言葉が出てしまったんだと思う。
父がいつ戻ってきてもいいように家を売らずにローンを払い続けていたり、父を探しに父が学生時代に過ごした土地まで行ってみたり、
それを知ってるから、その言葉が母の本心じゃないなんてことはわかってる。
だから、余計に辛かった。
それだけ母が追い込まれたことを知って、自分も「父さんは死んでくれた方がマシだったんじゃないか」って思ってしまった。
そんなことを思ってしまった自分に、嫌気がさした。
昔、父は言った言葉を思い出した。
「子が親にしてもらったことを全部親に返すなんてどうやったって無理だ。だから親に恩を返そうなんて思わなくていい。
自分が親にしてもらったことを、自分の子供にしてあげられればそれでいいんだ。」
それは、きっとその通りなんだけど。
でも、返さないのと返せないのじゃ全然違うんだ。
もしこれを読んで、自分のことだと思った人がいたら、是非一度家に戻ってみてほしい。みんな待ってるから。