だいたい13歳の頃、こんな事を考えていた。
「2歳とか3歳、小学校入学の頃の事なんてほとんど覚えていない。記憶が無い訳ではないが断片的で、強く記憶に残ることや極一部の事しか覚えていない。それは子供だからだ。今の俺は少し大人になってきたから記憶する能力も上がってきている。勉強もどんどん身に付く。このまま頑張って立派な技術者になりたい。部活も勉強も頑張ってやっていきたい」
そう思うだけあって当時はかなり記憶能力に優れ、暗記モノもどんどんやれた。公立中学だったが成績も結構良かった。学年300人いたが、常に上位20番以内にいた。それなりに自分に自信があったし、結果もまあ誇れるものだった事もあり、俺スゲーみたいな万能感があった。いわゆる中二病というやつか。
高校に入ってからも順風満帆な学生生活だった。スポーツもそれなりに結果を残せたし、勉強も順調だった。いわゆるリア充ってやつだったと思う。大学へのハードルはそれなりに高かったが、目標は達成できた。大学生活も楽しい日々だった。就職時はバブル崩壊後だったが、当時はそれほど深刻な事態にはなっていなかった。就職した業界が建設業界であったため崩壊の波が遅くやって来た事も幸いした。
とまあ、振り返ってみると幸せな人生だった。今でも幸せだと思う。
ちょっとまてよと。13歳の頃、幼い自分の記憶があまりない事に関してあまり不思議に思わなかったのは、子供だったからという理由だ。しかし、思い起こすと中学や高校時代の記憶があまりない。良い/悪い含めた思い出のようなものは漠然としてあるが、ちょっとした細かい事なんかほとんど覚えていない。
実家にある、昔、遊んだゲームソフト、漫画を見てもその当時が思い出せるものもあれば、そんなモノを持っていたことすらさっぱり覚えていないものがある。当時、テニスでペアを組んでいたやつの苗字は思い浮かぶが下の名前が思い浮かばない。あれだけしごかれた部活のコーチの名前が思い出せない。さらに部員はたくさんいたはずだが10人も名前を覚えていない。
卒業アルバムなどを見ながら思い起こせば、思い出せる事もあるが、大抵のことはほとんど覚えていない。あれだけ泣き笑い喧嘩した連中の事をほとんど忘れている。思い起こしてみると、悪い事も良い事も忘れている事が多い。「お前と別れたら俺は死ぬ」とまで言っていた彼女の事すら忘れていた。
大学の頃、一緒に遊んだ仲間とたまに集まる事がある。昔の思い出話、バカ話で盛り上がる。共通する大事件のようなものはみんな覚えているが、小さな事については人によって思い入れが違うせいか、覚えていたり覚えていなかったり、解釈が違っていたりする。人によっては大事件であり、なんだお前ら覚えてないのかと信じられない表情をするやつもいる。これは俺にもあった。知らないフリをしているでもなく、本当に覚えていない。
就職して10年以上経つ。新人の頃に手がけた物件の資料を読み返す事がある。同僚とつかみ合いになりながら進めた仕事なんかもあった。徹夜徹夜で図面を書いたものもあった。でも今となってみればそういう事もあったなあ程度にしか思えない。場合によっては、本当にこれ俺が書いたのか?というような資料もある。忘れている。
忘れているつもりなんて全く無いのに、けっこういろんな事を忘れている。そういや昔、ニフティというパソコン通信をやっていた。そこのフォーラムというところで様々な激論をした。詳細は伏せるが、顔真っ赤で涙目になりながら徹夜で反論した事もあった。しかし、今思えば、そういう"顔真っ赤"は覚えているが、何をそんなに熱くなっていたのかはほとんど忘れている。
忘れたことはほとんどが思い出に変換されている。事実よりも、その時の感情が記憶されている感じ。こう書くと女性に思われるかもしれないが私は男である。ぼんやりとした雰囲気の記憶になっている。集中して思い出すとそれが思い出から、客観的な事象に解凍される。思い出アーカイブだけが蓄積されていっているような感覚。ファイル名は「良かった」「悪かった」というようなハッキリしない名前。
そう考えると、ささいな事なんてほんとにどうでもいいんだなと思えてくる。しかし、様々な積み重ねがその生きている時間の思い出となって蓄積されていくから、辛いことばかりだと「悪かった」ファイル名ばかりが並ぶ。
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