2007-11-06

恋空」の不幸

先に、私がスイーツ(笑)脳であることを宣言しておく。

恋空」を読みました。妹から「まぢ泣ける。すごいいい小説だよ!お姉が読んでるのとはワケが違うよ」と言われたので。

いくら悪名高いケータイ小説とはいえ、普段文章と名の付くものを毛嫌いしている妹がここまで薦めるうえ、映画化までされているベストセラーなのだから、なにかしら心にひっかかるものだろうと、甘く見ていた。

端的に言うと、私には合わなかった。

度のすぎた口語表現も、主人公の考え方も、行動も、何一つ共感出来なかった。これは、私が「恋空」の想定読者の範疇から外れたせいだと思う。「恋空」は「普段文章と名の付くものを毛嫌いしている若年層」の作者が、同様の読者に向けて書かれた文章なのであって、私のような活字中毒者が読んではいけないものだ。妹には、「合わなかった」とだけ伝えた。

後になってネットでの評判を見て、あらかたの人は私と同じ印象を持ったんだなぁと安心したのだけれど、あきらかに自分が対象外の作品に対して、自分の常識で批判するのはフェアじゃないような気がしている。今後の小説界を真剣に嘆いている人もいたけれど、この「恋空」は平易な文章でなければ小説など読まない層が支持しているのだから、本来の小説界にはなんら影響はないのではないだろうか。

恋空」を含むケータイ小説の不幸は、「小説」というカテゴリで読んでいる人が多すぎるところにある。「あんなものは小説ではない」と怒っている人も、「まぢで泣ける小説」と思っている人も、前提がおかしいのだ。はじめから「小説」ではないのだから。「小説」だと思うから腹も立つし、対象読者でない人間がそれに気がつかずに間違って読んでしまう。映画好きな女性AVに対して真剣に怒るような、いい年した大人がアンパンマン勧善懲悪を批判するような、ヘテロ男性BLを嘲笑うような、そんなおかしなことになっている。本屋さんには履歴書も売っているし、文房具や電子辞書だって売っている。その片隅でケータイ小説を紙に刷ったものが売っていたとして、なんの問題があろうか。

このブームがどうにかなるとしたら、作者の美嘉さんが「小説」のカテゴリとしても遜色ない素晴らしい次回作を書くしかないと思うのだけど、まず無いだろう。「妹が本を読んでいる!」と喜んでいる両親には悪いけれど、きっと妹はこれからも文章を読むことは嫌いなままで、今の状態は麻疹みたいなものだと思っている。

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