2007-09-07

僕は絵が好きだ

小さい頃から気づいたら絵をかいてた。絵をかくのは楽しかった。ただその作業が楽しかった。

あれをこうしたらどうなるだろうとか、うまいこといったぞと満足するのとか、いつまでかいてても飽きなかった。いくらでも描きたいものはあったし、かけないものもたくさんあった。その一つ一つをクリアしていくのは楽しかった。単純に描くことが楽しかった。

小学校に上がってからも図画の時間は楽しみだった。勉強も好きだったけど、絵を描くのはやっぱり楽しかった。少しでも暇があると手が勝手に動いてノート落書きをした。そのたびに注意されたり怒られたりした。でも止められなかった。図画の時間も楽しかった。絵を描いてていい時間だったからだ。

だけど困ったことがひとつだけあった。画用紙はひとつしかなくて、しかも期間内に描いて提出しなきゃいけなかった。僕はいつも居残ってぎりぎりまで描いてた。失敗してはいけないのは困った。一枚仕上げるのもいいんだけど、いろいろと試してからにしたかった。でもそれはできなかった。いつも満足しないまま提出する羽目になった。僕は少しだけ描くことが億劫になった。

それでもやっぱり絵は好きだった。うまいといってくれる人はたくさんいたけど、でもだんだん僕は何か違うような気がしてきた。描きたいのはこれじゃないのに、という思い。いつだって満足できなかった。最後は適当になってしまう。僕は細かい作業は苦手だから写真のように絵を描くことはできなかった。時間もかかった。目指しているものと出来上がるものが違いすぎて、落胆ばかりした。それを評価されるのはもっといやだった。そうやってだんだん僕の描く絵の量は減っていった。

でも最近また書くようになった。趣味としてやる分にはどれだけかけてもかまわない。一時期あまりかかなかった時期のせいで色の感覚は鈍っているけれども、あとパソコンで描くようになったせいでだいぶ勝手が違うけれど、小さい頃と同じように次は何を描こうかわくわくする。ちょっと満足したら、知り合いに見せたりして、ここがいいとか悪いとか言ってもらって、そういうのが楽しい。少なくとも自分が満足する絵、これなら見せてもいいやという絵を人に見せるから心理的な負担が少ない。悪いとこいわれるとちょっとむっとするけど、でも楽しいからいいや。気軽に手直しができるし。

おそらくは、ずいぶん昔に二択を迫られたんだろう。一定期間内に自分が満足できるだけの技量を身につけてそれを仕事にするか、もしくは無理だと諦めて趣味として楽しむか。僕は技量を身に着けるための努力はしなかった。だから絵を描き続けるためにはあまり好きでないいろんなことをこなさなきゃいけない。いつまでたっても満足できるものは出来上がらない。うまくもならない。だけど、もし誰かに聞かれたら僕は迷わずに答えるだろう。僕は絵が好きだ、と。

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