2007-07-09

出産の恐ろしさを聞かされて育った私

http://www.stellaworks.info/blog/2007/07/post_131.html

出産にまつわる話なので、ナマナマしいのがだめな方はご勘弁を。

祖母は助産婦をしていて、小柄な人だった。

自分の初のお産、臨月を迎え陣痛が来た時、祖母の骨盤常人よりもあまりに狭くて、

胎内の子供の頭が、骨盤を抜けることができないとわかった。

お産婆さんは母体を守るために赤子の頭を潰し、殺して、引きずり出したのだそうだ。

頭を、と訝しがる小学生の私に、生まれたて赤ん坊の頭は親指でぐいと押すと、

簡単にべこんとつぶれてしまうのだ、と祖母は言った。

70年前の、電気も通わぬ医者もいない山村の話である。

その後は産み月を迎える前に、胎児が大きくなりきる前に、

なんとか胎児を引っ張り出すという方法で祖母は5人の子を産んだ。

その当時にどうやって早期出産ができたのか詳細は不明だ。

祖母の長女である叔母もまた、祖母の細い体型と骨盤を受け継ぎ、

臨月を迎えた時には、やはり自然分娩は無理だと言われた。

なので、大変な思いをして帝王切開で従姉妹を産んだ。

時代が時代なら、従姉妹もまた死にながら産まれることになったのだろう。

祖母の次女にあたる私の母は体型こそ堂々たる安産型だが、私を産んだあと流産をしている。

有名な山寺へ詣でた時、水子供養の蝋燭を買って点し、熱心に拝んでいた姿が忘れられない。

流産を経てまた子を授かった時は、大層神経質になっていて、わざわざ遠い病院まで通っていた。

大丈夫、あの病院先生は上手で有名だから大丈夫、そう言いながら。

飼っていた犬も、猫も、初めての出産の時は不器用に苦しんで仔を産んでいるように、私の目には見えた。

出産とは、恐ろしくて、命がけの行為なのだ。

それを何度となく聞かされて育った私には「案ずるより産むが易し」とはとても思えない。

職場に、もう6ヶ月は過ぎたであろう妊婦の人が働いているのだが、

正直その人のそばを通るのが怖くて仕方がない。

仕事を一緒にする機会もあったが、強いことを言うと何か差し障りがありそうで、ろくな修正も提案もできなかった。

本人は気丈で、快活な方なのだが、それだけに綺麗に膨らんだ腹部が怖くて、

なんかあったらどうする! 早く休んでくれ! とずっと念じている。

自分も結婚して数年が経つのだが、まだ怖い。理屈じゃなく怖い。

そして恐怖ゆえに、自分が子を持っても大丈夫じゃないか、と判断できた時にはじめて避妊をやめようと思う。

自分が丸々何年か子供にかかずらっていても支障のない経済力がほしいし、

なにしろ性格が30代とは思えぬくらい子供なのでもうちょっと成熟したら……

とかなんとか、言い訳をして、しまくって、恐怖から逃げ回っている気もする。

おうじゃのつるぎと、ひかりのよろいと、ゆうしゃのたてと、てっかめんが揃わないと、ゾーマは倒せないと思い込んでいるかのような。

恐怖を打ち砕くのが先か、年を取るのが先か。

子供を持たないという生き方もあるだろうし、

いざ子供家族に迎えよう! と思ったら不妊だったりとかで、縁がない可能性もあるだろうけど。

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    • つanond:20070709151552

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