力と力とのぶつかりあいであった荒らし大戦の時代が終わり、サイト管理人どうしの横のつながりが強くなり、ネットに「世間」というものが実体化しはじめてから、従来の闘争戦術は使いにくくなった。
戦前の決戦兵器、「フェイザー」や「えみる時計」といった荒らしスクリプトは、現在でも十分に通用するけれど、相手の掲示板を力技で荒らしたところで、ネット世間を敵に回した段階で攻撃サイドの「負け」が確定してしまう。
weblog 時代の戦争論は、ネット世間の存在抜きには語れない。
ネット世界が以前よりも実世界に近づいた昨今では、実世界での戦争プロパガンダのやりかたが大いに参考になる。
具体的に、一人の攻撃者がどこかのblog を攻撃する場合は、こんなやりかたになる。
1. ターゲットに対してわずかに批判的な、しかし基本口調は友好的なトラックバックエントリーを書く
2. ターゲットのblog コメント欄に、「昔からの読者です。○○の野郎は本当にひどいことを書いてきますね。あいつは昔からの嫌われ者で、ここにいるみんなはあなたの味方です。みんなで団結して戦いましょう」みたいなイタい信者を装った書き込みを行う
3. blog 管理人は味方を自称する人間を保護する傾向があるので、こんな書き込みも消されないで残る
4. 何日かしてターゲットの掲示板が盛り上がったところでタイミングを計らい、攻撃者のトラックバックエントリーを削除する
5. 「メールをくれた人へ。当該エントリーを削除しました。おめでとうあなたがたの勝利です。それにしても、そこまで言われるほどひどいことを書いたわけでもないと思うのですが…。。」などと、攻撃者のblog に敗北宣言を掲載する
6. ターゲットのコメント欄に「おめでとう」とか、「やりましたね」みたいな信者の書き込みを装った投稿を行う
7. うまく盛り上げられれば、ネット世間はターゲットを痛い人扱いするか、少なくともターゲットの常連コメンターを痛い人間の集まりとして扱うようになる
この方法のメリットは、攻撃側は相手を賛美する書き込みをするだけなので、相手から仕返しを受ける可能性が非常に低いこと。フィッシング詐欺や、オレオレ詐欺などと同じく、成功率は低くても、彼我のリスク非対称性を作り出せるため、高い安全率を保ったまま、荒らし行為を継続できる。
今仕込んでるんだけれど、うまくいくだろうか?