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2010-02-03

有道出人「外国人参政権平沼赳夫政治から追い出そう」

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fl20100202ad.html

日本人参政権人種差別(Non-Japanese suffrage and the racist element)

By DEBITO ARUDOU

1月17日、平沼議員は同じ国会議員蓮舫議員について「言いたくないけれども、もともと日本人じゃない」と発言した。

相手のアイデンティティに対してこれほどまで厳しい非難をぶつけた所以ははたして何なのだろうか?

与党民主党蓮舫議員は、資金を要求するお偉方に対して「(コンピューター性能で)世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか」という簡単な質問をした(それが彼女の役目である)。しかし、平沼議員はこれについて「政治家として不謹慎だ」と指摘。

はたして実際に不謹慎なのだろうか?他の政治家達がこれよりもよっぽど馬鹿らしい質問をしているのを私は見ている。また、財政の厳しい今のデフレ社会で、官僚に正当な理由を求める事は十分合理的と言えるだろう。

実際に不謹慎な質問をして晒し者にされるのは別だが(不謹慎か否かは個人の解釈にもよるが)、国に対して、そして代表者としての国民に対しての責任感を、非日本人ルーツ蓮舫議員台湾人の父と日本人の母を持ち、後に日本国籍を選択)を持つというだけで疑われる事が人種差別以外の何だというのか。それも国会議員からだ。

予想通り平沼議員は主張を撤回してきた。まず最初にマスコミセンセーショナリズムとして取り上げた事を批判し、また蓮舫議員日本人であるから人種差別には当らないと主張した。

誰か平沼議員に、自民党与党だった1996年日本政府が批准した国連条約に記されている公的な「人種差別」の定義を教えてやってくれないだろうか:「人種差別とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう」(人種差別撤廃条約、第一条1)

つまり、蓮舫議員家系民族・生まれを取り上げて彼女の信用を疑う平沼議員は、どう転んでも「有罪」となるのである。

かしこの背景にはより大きな問題がある。平沼議員爆弾発言は日本極右が持つ不可解な権力の徴候とも言える。

彼は以前、2006年に「危ない!人権擁護法案:迫り来る先進国型値全体主義の恐怖」という本を通じて人権擁護法案を潰しにかかり、同署でも「人権擁護法案日本を滅ぼす」と主張している。また同じく2006年女性天皇は認めるべきではないとし、「仮に愛子様留学なさって、青い目の男性と恋に落ち、そのお子様が天皇になられることは断じてあってはならない」と、人種差別女性差別ダブルパンチを炸裂させた(何故女性天皇男性天皇よりも強欲な外国人に弱いと決めつけるのか?)。

2008年国籍法が改正され、その数ヶ月前に最高裁違憲判決した父親の認知に関する方の抜け穴が修復された時も、平沼議員は必死に止めようとしたが成功しなかった。彼は、両親が結婚していない子供日本国籍を与えてしまうと、「日本アイデンティティを弱めてしまう」と主張した。

しかし彼は今だこりていないらしい。今度は今年国会を通過する可能性のある、永住権取得者への地方参政権の授与に対して必死に抵抗している。

このコラムが永住者への参政権授与に関して賛成である事は言うまでもないだろう。在日韓国人中国人等、50万人近くの特別永住者日本で生まれ育ち、ずっと納税し続けてきただけでなく、彼らの祖先過去日帝国民だったという経歴があり、戦争のため日本に強制的に連れて来られ、国のために貢献し、中には死んでいった者達もいる。その子孫である彼らが日本国籍を得ていないなど、他のどの近代国家でもそんな事は絶対に有り得ない。少なくとも以前は所有していたのだから。

そして今度は更に50万人ほどいる通常永住者(いわゆる「ニューカマー」である)がいる。日本役人達の、妨害的とも言える裁量(Zeit Gist May 28, 2008)によって妨げられているにも関わらず、彼らは長く複雑な道をたどって(中には20もの年月をかけ)永住権を取得している。

これほどの年月と労力を費やして永住者として日本社会と同化した彼らに、選挙も含めたコミュニティ活動に参加する権利が与えられるのは当然の事ではないだろうか。少なくとも他36ヶ国では外国人参政権が認められており、それらの国は別に崩壊の危機に瀕してなどいない。

しかし、平沼議員を筆頭とした反参政権活動家はその逆を主張する。日本では政治的な話題は大抵温和なものだが、右翼が必死に行う排外活動が見せる黙示録ディストピアの幻影は強烈なものだ。

彼らが言うに、外国人参政権を与えると、日本釣り上げられたマグロのように切り刻まれ、沖縄中国領になり、日本政府北京に牛耳られ、また平沼議員韓国対馬を併合するだろうとまで言っている。日本にとって外の世界は敵だらけという訳だ。

彼らは、非日本人参政権が欲しいのなら帰化するべきだと言う。確かに正論だが、私自身の経験から言わせてもらうと、そんな簡単に帰化できるものではない。手続きはあまりにも専横で、場合によっては日本人ですら審査が通らないのではないかと思うほどである。理屈はよくわからないが、これで外国からの脅威は中和されるらしい。

しかし、蓮舫議員の非日本人としてのルーツを非難した事で、平沼議員はこの「帰化すればいい」という主張が嘘である事を自ら曝け出してしまった。

蓮舫議員日本国籍を選択しただけでなく、日本の一級大学を出ており、ニュースキャスタージャーナリストとして日本社会に貢献し、また国会議員として同じ日本人から表を得て当選までしている。

しかし平沼議員にとってそれらには何ら意味はなく、心が日本にあっても血統的には彼女外国人であり、これは永遠に変わる事はない。

ここで平沼一派の偏屈な主張が嘘である事が証明される。たとえ彼らが何をしようと、外国人は決して信用できるものではない。「真の日本人」の言う事に逆らう者達なら特に、だ。

何故日本ではこれほどまで露骨な人種差別的主張がまかり通るのか?それは、日本の政治マーケットにおいてマイノリティには主張権がろくに与えられていないからだ。商品であろうがアイディアであろうが、どのような市場であってもそこに壁を作ってしまうと極端で常識外れな価値観が発生してしまう。しかし市場オープンにすれば、問題は自然解決する。

熱狂者達が一番恐れている所は正にこれだ。「よそ者」を恐れているだけでなく、一般市民の恐怖心を煽る事で票を集める事が出来なくなってしまうという恐れ。「よそ者」を受け入れてしまうと、今まで横行されてきた極端なイデオロギーを持つ者達は、新しく生まれた有権者達と彼らが提供する多様な価値観を許容、もしくはそれに対してアピールできなければならない。

日本人の永住者に選挙権を与える一番の理由はそこにある:日本排外主義者から力を奪い、こういった差別者や偏屈者どもを政界から叩き出す事だ。次に平沼議員人種差別的な発言をした時に、それに影響された人々が次の選挙で彼を落選させられるだけの影響力がある、そんな仕組みがあるべきである。

 
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