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2022-12-04

2位とはなんだったのか

2009年11月のいわいる事業仕分けから、もう13年も経った。「2位じゃダメなんですか?」の質問発言で非常に曰く付きとなったアレだ。

ところが最近、13年も経ってまだなおナゼ「2位」という言葉が出てきたか理解できてない人がかなりいる事を知った。それどころか、スーパーコンピュータの京は、事業仕分け時点で世界一になることが明白だったなどという認識まで飛び出す始末である

ただ、資料もなしにどこが変だと言っても仕方あるまい。何がどうして「2位」なのか、少し語ろうじゃないか

アーキテクチャ

初期の次世代スーパーコンピュータ (この時点では名前が付いていなかったが、以下わかりやすく京と呼ぶ) 計画 は、補助金を投入してのHPC産業育成に目を向けられていた[1]。世界一の性能を出していた海洋研究開発機構地球シミュレータが、NECのSXシリーズベースにしたベクトル型であり、ベクトル型のスーパーコンピュータ日本お家芸とみなされていた。これを育成することが一つの目標。そして、立ち遅れていた当時の世界スーパーコンピュータの潮流、スカラ型の開発に追いつくこと。これがもう一つの目標となった。結果、世界でも類を見ないベクトル型とスカラ型のハイブリットなどという中途半端方式になる。実に日本的な玉虫色の決定と言えるだろう。しかし、補助金の注ぎ込みが不足し、事業者持ち出しの負担が大きくなってしまった。結果、事業負担が高額になることを嫌い、NEC日立撤退する[2]。これにより、世界の潮流通りのスカラ型とならざるをえなくなった。

CPUはというと、世界スーパーコンピュータの潮流では当時から既に汎用のx86アーキテクチャCPUが既に多くなってきていた中、富士通SPARC64VIIIfxを採用した。よく国産CPU表現されているが、SPARCの名で分かる通り、当然命令セットは米国Sun Microsystems (現 Oracle) のセカンドソースであり、端から端まで国産というわけではない。更に、業務UNIXをささえるマシンとして一世を風靡したSPARCではあるが、当時ですらもう下火となっていた。京の事業費の約半分、実に600億円が、この専用CPUに注ぎ込まれることになった。なぜその選択をしたのか。富士通サイトには省電力と安定性が理由として書かれている[3]。しかし、その省電力という目標も、後述するように微妙な結果となってしまった。また、ソフトウェアの使いまわしも微妙となった。

目標性能

計画2005年に始まる。世界でも類を見ないベクトル型とスカラ型のハイブリットという構成もあり、概念設計にはしっかり時間を費やした。2007年9月には性能目標10P FLOPSと示した[4]。稼働開始は2010年2012年に完成という工程も同時に示されている。直前の2007年6月のTOP500を見ると[5]、1位のIBM BlueGene/Lが370TFLOPS。5年後に30倍という性能を目指したことになる。当時の発表としては、世界一が取れるような計画だったが、しか日進月歩の分野で5年は結果的に長かった。

さて、前述のように、ベクトル陣営2009年5月撤退を決めた。10P FLOPSの性能と決定した時には、ベクトル側も居たのに、そこがぽっかり空いた状態10P FLOPSのあてはいつついたのだろうか? 2009年7月報告書[6]では、スカラ単体で10P FLOPSを達成できること、ベクトル部は存在していても接続まわりの性能が不足していて問題があったことが表明されている。結果的に、なくなってよかったというトホホな内容だ。さて、同報告書では、稼働開始前の2011年6月に、ベンチマークだけでも10P FLOPSを達成してTOP500の1位を目指すと書いてある。どうしてこうなったのだろうか。

強すぎたライバルたち

遡ること半年2009年2月3日米国国家安全保障局(NNSA)はIBMと新しいスーパーコンピュータ Sequoiaを展開すると発表した[7]。性能は20P FLOPS、京の予定性能の実に2倍を達成するという発表だ。しかも、提供開始は2011年2012年。京の1年も前になる可能性があるという。

そう、双方が計画通りなら、京は2012年提供を開始する時には既に2位になっているという話題が出ていたのだ。なるほど、それはあせって2011年ベンチマークだけでも「トップを取った」という実績を残したいわけである

さて、その後のSequoiaはというと? ある意味計画通りだろう、2012年提供が開始され、2012年6月のTOP500[8]では予定通り20P FLOPSを叩き出し、1位になる。しかし、2012年11月のTOP500[9]では、Crayとオークリッジ国立研究所が作ったTitanが叩き出した27P FLOPSという数字ににあっさりと抜き去られ、2位になる。まるで幽遊白書ラストのような展開だ。しかも、SequoiaIBMPowerアーキテクチャで構築されたA2プロセッサだったのに対して、TitanはAMD OpteronNVIDIA K20Xの組み合わせ。汎用性でも差を開けられている。これはお手上げというものだろう。

事業仕分け

さて、話は京に戻す。京が有名になったのは2009年11月13日の行政刷新会議、いわいる事業仕分けである(ここは参考文献は要るまい)。このときまで、そんな計画があることを知らなかった人の方が多かったのではないだろうか。どういうニュアンスで言ったかからない、まるで日本を貶めているかのように聞こえる「2位じゃダメなんですか?」という言葉が非常にインパクトを与えたことだろう。

さて、じゃぁ何が2位なのか。だ。前述の通り、この時点ではIBMSequoiaに追い抜かされることが見えていた。TitanはGPU調達など細かい話が決まってきたのは2010年なので、この時点ではほとんど影がなかったはず。ということで、3位じゃなくて2位としたのは、Sequoia意識してのことだろう。つまり、「2位じゃダメなんですか?」というのは、1位を諦めて2位の性能で我慢するべきということではなく、客観的に見れば「2位になるのが見えているのだけど、何で1位と言ってるの?」という話になってくるのが見て取れる。蓮舫氏がそこを意識してたか知らんけど。

共同事業者撤退し、一応強気に「大丈夫」と言ってはいるが、本当に達成できるかは周りから疑問符が付くグダグダプロジェクト状況、ほぼ専用設計で量産時にどういう問題が出るかわからないCPUソフトウェア新規制作税金の投入は中途半端で、産業を育成したいのか企業負担を増やしたいのかよくわからない(だから撤退する事業者が出る)。そもそもここで出来たスーパーコンピュータCPU抜きにしても売れるのか分からない。そりゃ、金田康正教授でなくても、京にはため息が出るというものだ。

達成できたこと、できなかったこ

さて、京は何を達成したのだろうか? 京は完成前ではあるものベンチマーク実施し、見事11P FLOPSを叩き出し、2011年6月[10]と2011年11月[11]のTOP500でトップに躍り出る。この分野に日本ありと示した…かどうかはわからないが、一つの実績として言えるのは間違いない。いや、経緯のグダグダからして、見事なプロジェクト進行だったと称賛できる。しかし、前述の通り共用を開始した2012年9月[12]にはTOP500ではSequoiaに追い越されており、直後のTOP500ではTitanにも追い越されて3位となっていた。1位は、ベンチマークだけの存在だったと言える。

では目標産業育成としてはどうだっただろうか。京をベースにしたスーパーコンピュータ PRIMEHPC FX10[13]やFX100は、東大[14]、名大[15]、キヤノン[16]、九大[17]、信大[18]、JAXA[19]、核融合科学研究所[20]、気象庁気象研究所と、調べるだけでも国内実績は多くある。国外実績は、台湾中央気象局[21]、シンガポールナショナルスパコンセンター豪州 NCI、英国 HPC Walesと、それなりにある。ただどうだろう。産業としてうまくいったのだろうか。有価証券報告書を見ても、その他のセグメントに入ってしまっているため状況がつかめない[22]。謎ではある。とはいえもし、産業としてそれなりに育ったのならば、有価証券報告書で報告する事業セグメントとして独立したものを与えられてしかるべきだったのではなかろうか。少なくとも1000億も出したのだ。そのくらいではあってほしかった。更に言うなれば特に競争の激しい国外市場をうまく取り込めたかというと、産業育成という視点では頑張ったとは思うものの心もとない結果だったように、少なくとも私には見える。

消費電力の面はどうだろうか。上述の通り、SPARCを使う理由には省電力が上げられていた。これをライバルSequoia、Titanと比較してみよう。2012年11月のTOP500[9]で見ると、京は12.6MW消費するとあるSequoiaは7.8MW、Titanは8.2MWだ。実はこの時の報告のあるスーパーコンピュータの中で、最大の電力消費量を誇っている。高いほうがいいのではなく、消費電力は低いほうがいいので、これはかなり問題がある。

費用面はどうだろうか。これもライバル比較してみよう。京は日本円にして1120億円かかっている。対してSequoiaは2億5000万ドル[23]、Titanは9700万米ドル[24]だ。2012年11月で見るとドル相場は82円なので、Sequoiaは約205億円、Titanは80億円となるだろうか。京のプロセッサ開発費を除いたとしても、数字が違いすぎるのだ。


纏めてみよう。京は、一時期でベンチマーク上だとしても、TOP500で1位を取った。これは「夢を与え」(平尾公彦氏)た結果だったろう。しかし、それは砂上の楼閣でもあった。しかしそれを実現するための費用米国の5~10倍で、性能は実は半分、消費電力は1.5倍という結果になり、産業育成も盛り上がったかどうかは判然としない。こんなところだろうか。

さいごに

近年のスーパーコンピュータを含めたHPC分野はどうなっているだろうか。近年のクラウドコンピューティングの流れを当然HPC分野も受けており、主要プレイヤーとしてAWS名前が挙がっている[25]。またレポートでは挙がっていないものの、Google Cloudも猛追しており、円周率計算では1位を叩き出している[26]。必要な時に、必要な規模で構築できるクラウドコンピューティングの波は、さてHPC分野でどこまで浸透していくのだろうか。産業育成の方向が、2009年時点では確かにハードウェア開発だったろう。しかし、事業仕分けへの反発により、日本方向性を間違ってしまったのではないか。私は、そんな気がしてならない。


[1] ttps://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/hyouka/kentou/super/haihu01/siryo2-3.pdf

[2] ttp://www.nec.co.jp/press/ja/0905/1402.html

[3] ttps://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/k/whatis/processor/

[4] ttp://web.archive.org/web/20130207162431/https://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2007/070914/index.html

[5] ttps://www.top500.org/lists/top500/2007/06/

[6] ttp://www.jaist.ac.jp/cmsf/meeting/14-3.pdf

[7] ttps://www.llnl.gov/news/nnsa-awards-ibm-contract-build-next-generation-supercomputer

[8] ttps://www.top500.org/lists/top500/2012/06/

[9] ttps://www.top500.org/lists/top500/2012/11/

[10] ttps://www.top500.org/lists/top500/2011/06/

[11] ttps://www.top500.org/lists/top500/2011/11/

[12] ttps://www.riken.jp/pr/news/2012/20120927/

[13] ttps://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-24020620111107

[14] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2011/11/14.html

[15] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2013/05/15.html

[16] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2013/08/6.html

[17] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2013/08/22.html

[18] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2014/02/13.html

[19] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2014/04/7.html

[20] ttps://nsrp.nifs.ac.jp/news/PS-next.html

[21] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2012/06/25.html

[22] ttps://pr.fujitsu.com/jp/ir/secreports/2015/pdf/03.pdf

[23] ttps://arstechnica.com/information-technology/2012/06/with-16-petaflops-and-1-6m-cores-doe-supercomputer-is-worlds-fastest/

[24] ttps://web.archive.org/web/20120727053123/http://www.hpcwire.com/hpcwire/2011-10-11/gpus_will_morph_ornl_s_jaguar_into_20-petaflop_titan.html

[25] ttps://www.sdki.jp/reports/high-performance-computing-market/109365

[26] ttps://cloud.google.com/blog/ja/products/compute/calculating-100-trillion-digits-of-pi-on-google-cloud

2021-09-24

核融合2030年代に実現とか何言ってんの?って人への解説(補足あり)

自民党総裁候補高市早苗さんが2030年代に実現する(最初2020年代)と言って話題になった核融合高市さんのキャラもあってか「そんなもんできるわけねーだろ」的に扱われることもあるが、実は世界核融合ベンチャー企業では「2030年代に核融合実現」を掲げて100億以上投資を受けている企業複数あるので、業界としてはさして驚きはないのである。というわけなので、いくつかの核融合ベンチャーと、官製核融合実験であるiterについて簡単にまとめてみる。

iter (炉型: 保守的トカマク 日・米・露・中・韓・印・EU)

冷戦終結の一つのシンボルとして米露が共同で建設を決めていたiterに、単独実験炉を作るのを予算的に躊躇していた各国が相乗りしたのが現iter体制である

建設地決定の遅れや、上記の各国が機器を持ち寄って組み立てるという、みずほ銀行勘定システムばりにカオス体制のために建設は当初予定から20年近く遅れ、2025年初稼働(テストみたいなもん)、本格稼働は2035年という状況になっている。実はこの遅れが核融合ベンチャーが乱立する現在を作ったと言っても過言ではない部分があって、というのも、核融合ベンチャーにはiter予算が取られて食い詰めた研究者が立ち上げた組織が多いのである

形式保守的ドーナツ型のトカマク。国際協調なのであまり斬新なアイデアは盛り込まれず、磁石昔ながらの低温超伝導導体を使う。

投入エネルギー10倍程度の核融合エネルギーを出すことを目指すが、投入"電力"ではないため、正味マイナス。発電設備も持たない。ここで得た知見を元に発電を行う"原型炉"を設計する、というのが各国政府公式計画(ただし予算は決まってない)である

Tokamak Energy (炉型: 球状トカマク 英国)

iterなどの保守的トカマクが、よくあるドーナツ的な形のプラズマを作るのに対して、球状トカマクは球の真ん中に細い貫通穴を通したような形状をしているのが特徴。球状トカマクは磁場を使ってプラズマを閉じ込める(押し込める)のに有利ではあることがわかっているものの、まだ高温・高密度での実績は弱い。

トカマクエジーは高温超伝導導体で球状トカマクの磁石を作ることを目指している。球状トカマクは保守的トカマクに次いで実績があるので(日本には九州大学にQUESTという中型装置がある)核融合ベンチャーとしては「目新しさ」は弱いものの、逆に堅さがあるともいえるだろう。米国プリンストン大学(NSTXという装置燃えて止まっている)とも連携しているらしく、そういう意味でもチームが強い。

すでに100億以上の資金調達しており、堅実に装置を作って稼働させている。すでに1500万度程度のプラズマを実現している(年内にはこの装置で1億度を目指す)ため、単純な段階としては核融合ベンチャートップランナーと言って良い。(世界最高温度1000億単位かかった日本JT-60Uの5.2億度)

2030年までに電力を電力網に送り出すことを目標としている。

装置が卵っぽくてかわいい

Commonwealth Fusion Systems: CFS(炉型: トカマク 米国 MIT

MITのチームがベースになって設立した核融合ベンチャー。もともとMITはAlcator C-modというトカマクを持っていたが、CFSはこれをベースにしたARCという核融合炉を提案している。現在はその前段階装置であるSPARC建設である

Alcator C-modは小ぶりながら、世界最強の高磁場(最大8T)を作れるトカマクとして、他では真似できない成果を出していてプラズマ業界では存在感があったものの、2016年に完全にシャットダウンした。それと前後して元々力のあったMITの高温超伝導研究者とAlcator c-modプラズマ研究者がタッグを組んで提案したのが、ARCである

2030年代にはSPARC(商用炉でないものの投入電力より大きな出力を出すことを目指している)を稼働させることを目指しているので、ほぼtokamak energyと同じ目標を少し遅めの日程で掲げていると言ってよいだろう。

ARCという名前は、どう見てもアイアンマンアークアクターに引っ掛けているのだけど、残念ながらロバートダウニーJrは再エネ関連に投資しているようでアイアンマンとのシナジーはないようだ。

General Fusion(炉型: MTF カナダ)

MTF(磁化標的核融合方式)と呼ばれる方式核融合炉を目指すカナダベンチャー。この企業CEOの人のカリスマ的なやつで早期にお金を集めたという印象がある。CFSやtokamak energyがトカマクによる磁場閉じ込めでの長い歴史と実績(90年代米国MIT装置ではないが1000 kWを超える核融合出力を実現している)とチームの長い研究歴を背景に、ある種の堅実さをアピールしている一方で、MTFテーブルトップでの成果も出ていない状態からスタートアップを初めている。液体金属をぐるぐる渦巻かせて中心に空間を作り、そこに吹き込んだプラズマを液体金属で爆縮して断熱圧縮で高温にするというシステムである。野心的であるということはゲームチェンジャーになりえるということであるが、一方で論文などの試算はかなり大雑把なものなので(プラズマや液体金属がうねったりせずにすごくきれいに断熱圧縮される計算)、「そんなきれいに押しつぶされてくれるもんかねぇ?」という印象を持っている人は多いだろうと思われる。

装置ピストンがでかいので見栄えがする。

TAE Technologies (炉型: FRC 米国

メジャー核融合ベンチャーの中では多分最古参企業で、おそらく最大の資金投資を受けている企業。FRCという、トカマクなどとは異なる磁場閉じ込め形式を目指す。FRCはプラズマを閉じ込める磁場を、コイルではなくプラズマの動きで作る。5000万度を達成済で、2030年までに発電実証目標としている点はCFSやtokamak energyと同じ。FRCは高温は作れてもプラズマを安定して維持する能力は低いので、5000万度を作ったからかといって他より先に進んでいるかというとそんなことはないが、装置を作りまくって成果を出しているのは確かである。元々は陽子とボロンの核融合反応を使った発電を目指しており、その反応で出る3つのアルファ粒子に由来して"Tri Alpha Energy"という名前だったのだが、今は他の形式と同じ重水素三重水素を使った発電を直近の目標とした(陽子ーボロンも捨ててないらしい)ためTAE名前が変わったらしい。

かいところはよく知らないが、核融合一辺倒ではなく、応用技術特許化などで収益をだしているらしく、そこはすごい。

装置名が「ノーマン(現行)」「コペルニクス」とかっこよいのも特徴。

京都フュージョニアリング(炉型: なし 日本 京都大学)

京都大学小西教授が率いる日本初の核融合ベンチャー小西教授核融合ブランケット(後述)を専門にしている人で、一般向けエネルギー関連書籍を出してたりしている。

ただし、この会社核融合炉全体を設計するのではなく、ブランケット核融合で出た中性子を受け止めて熱に変換するところ)の設計を売る会社である海外などのプラズマ屋さん主導の核融合ベンチャーは、ブランケット設計はあまり注力していないところが多いので、そういうベンチャーに「あんたの炉はこんなブランケットおすすめですよ」と設計を売るのが仕事。まぁベンチャー目的なんて投資額と投資家の意思でどうにでもなるといえばそうなので、お金が予想外に集まれプラズマ屋さんも集めて核融合炉全体の設計製作だってやるのかもしれないが、さしあたり核融合自体を作る予定はなさそうである。ほかもそうだが、日本ベンチャーはこの2年でようやく2つ立ち上がっただけなので、今は正直海外と比べると桁違いに規模が小さいし弱い。ここも表に出ている研究者は一人だけである

Webサイト小西先生ちょっと疲れているように見えるのが気になる。

EX-fusion (炉型: レーザー 日本 光産業創成大)

2019年創業。"日本初のフルスタック核融合ベンチャー"をうたう企業。光産業創成大(浜松ホトニクスという企業が作った大学院大学)の研究者設立したらしいが、新しいため詳細は不明。"フルスタック"という言葉はよくわからないが、京都フュージョニアリングブランケットのみの開発を売っていることと対比して、核融合炉全体を見て実現を目指すという意味だろうと思われる。レーザー核融合米国NIFの2010年代の大コケにより世界的に元気がないので、生き残りをかけているのだろう。日本レーザー核融合といえば大阪大学レーザー研があるが、こことどの程度の連携をするかなども詳細不明である

ちなみに、"EX-Fusion"で検索すると、ドラゴンボール関連ゲームでの同名の設定のほうが上位に表示される。

Helical-Fusion(炉型: ヘリカル? 日本 核融合科学研究所)

Webサイトのみ公開されている未設立企業。まだ設立すらしていないので何もかも謎だが、噂では日本核融合科学研究所のチームが作るようだ。核融合科学研究所は1億度を超えるプラズマの実績のあるヘリカル型(トカマクとは違うよじれたコイルが特徴)の装置保有しているのだが、近々シャットダウンを予定している。その後は新規の大型装置予算が確保できないために小型設備での基礎研究に舵を切るとされているため、内部の核融合発電所を本気で作りたい一派が起業するらしい。日本で"ヘリカル型"といえばここか京都大学なので、名前からしてどっちかであるのは確かだろう。

この記事に続く補足を書いたよ(9/25)

https://anond.hatelabo.jp/20210925153855

2016-10-08

[]

核融合科学研究所オープンキャンパスに行ってきましたわ。

10月8日の一日だけの開催ですわ。

しかも、目玉機材の大型ヘリカ装置(LHD)は来年から放射線を出す試験をするので、

立ち入りが制限されるため、一般公開はされなくなるそうですわ。

絶妙タイミングですべりこんだものです。

クイズラリーをやったのですが、「ヘリカ装置」の磁場閉じこめ方式は「ヘリオトロン型」。

それぞれ螺旋太陽語源で非常にまぎらわしかったですわ。

さら核融合炉は液体ヘリウムで冷却して、核融合の生成物にヘリウムが出てきます

核融合はどうしてこんなに「ヘリ」が好きですの?

質量が減り、エネルギーになるからでしょうか。

ところで核融合炉が経済運転できる時代がきたら、液体ヘリウムは自ら生成したヘリウムを使うことになるのかしら。

三重水素の原料はリチウムで、リチウム海水から無尽蔵にとれると説明していましたけれど、

現状では塩湖資源に頼っていて、リチウムイオン電池がそれで困っていたはずですわ。

核融合炉が実用化されるまでには経済的になる見通しでして?

リチウム三重水素に変換する方法はきっとト書きですわね。

重水素三重水素を超高温で磁場の中に閉じこめる核融合のコンセプトは、

「合体しないと出られない部屋」だとプラスチック越しに中を覗いて理解できましたわ。

そう考えると下町ロケットロケ等にも使われた管制室が妖しげに思えてきます

LHD以外の展示も簡単化学実験があったりして興味深い物でした。

ガラス球内のプラズマは観てわかりやすく、お子様にも好評のご様子。

個人的にはスパークチェンバーも良かったですわ。

高校生研究展示でJINの青カビペニシリンに挑戦しているところがありました。

うまく行かなかったようですけど、続報が気になる研究でした。

クイズラリーの答え合わせ後にレストランでお食事いただきました。

リーズナブルな代わりにメニューの種類が少なくて、毎日食べるとつらいかもしれません。

焼き魚定食で塩鯖が提供されていましたので、ハンバーグえびふりゃーの定食を頼みました。

共食いはいしませんわ!共食いはいしませんわ!

追記:日付を直しましたわ。また、施設から科学が抜けていたので追加しましたわ。

   今度行くとき研究者さんに質問できるよう心がけますわ。考えていて後から疑問が浮かんできたものですから

2015-08-05

わかめ(作業員一人死亡一人やけどで軽傷@8月4日)

核融研によると、火災が起きたのは、高温のプラズマを封じ込める電磁石を冷やすヘリウムを扱う装置

核融合科学研究所では我が国独自アイデアに基づいて、ねじれたドーナツ形状の磁場超伝導の電磁石で作り、これによって超高温のプラズマを閉じ込める研究を行っています(図1)。これが大型ヘリカ装置(LHD)です。

高温プラズマは、そのままで拡散し容器壁などに触れてエネルギーを失ってしまます。 そこでプラズマを高温・高密度の状態で閉じ込めて核融合反応を起こさせるために、磁場を用いる方法と強力なレーザーを利用する方法提案されています磁場閉じ込め方式は、電気を帯びたプラズマ粒子が磁力線に巻き付いて運動するという性質を利用したもので、 磁力線で編んだ籠状の磁気容器内にプラズマを閉じ込める方法です。 この方式にも磁場の形状によりいくつかの種類があり、本研究所で進めているヘリカル型のほかに、トカマク型、ミラー型などがありますレーザー光を利用する方法は、慣性閉じ込め方式と呼ばれ、強力なレーザー重水素三重水素の氷塊(ペレット)に照射して瞬間的に核融合反応を起こそうというものです。

2013-02-11

中日新聞さいこ

【速報】 日本が1Lの海水から2500Lの石油エネルギーを取り出す核融合を開発! 中日毎日新聞激怒

・1リットル海水から2500リットル分の石油と同じエネルギーを取り出す

資源枯渇の心配が無く、環境にも優しく、大規模な発電が可能

日本核融合発電では、高レベル放射性廃棄物が出ない。核融合発電で、放射化

 したブランケット放射能レベル100年程度で十分低下し、再利用することができる

岐阜県土岐市核融合科学研究所での重水素実験に反対する人々

当該施設は地元との折衝のため10年以上重水素を用いた実験ができずに居ます毎日新聞の記事 → この記事は市民団体の一方的な主張のみ取り上げた非常に悪質な文章で、実際に生成されるトリチウムは極少量です。(百万分の2グラム程度)

 
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