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はてなキーワード: 枕木とは

2024-03-13

現代詩

実る道行

 

 

 

いま雄叫びからすむぎ

そして実りゆく案山子

つるむらさきと芹ならば

かえって心も気も楽か

 

紙が毛羽立つ筆先に

今日自分感情

眠れるものから綴じるのか

寝てもいいけど角度を変えて

どの交情が占めるかとか

激情の水と信仰

雁は帰巣の頭を巡らせ

湯冷めのしない羽休め

気持ちをすべて言い当てられて

謎まだ解けず

声、小さいよ

もう眠そうな声

眠いのか、そう眠たいならね

 

薄暮れにひきあげて

体の幅で塞ぐ畦道

ゆくりなく渡り歩いて

抜き足を峠まで運ぶか

運んだ先の馬場で待つ蟻

 

夜の目も利く先導と

山裾からまた山裾へ

 

思い出したら話してくれる

何かと深めた信心

あたらしい主になり代わる

鯰の潜む流れから

 

遠くから二十万騎のかちどき

おおむね好意を内に示して

 

尖底土器まで野心が巡る

ただ走り先走る尖石

 

雪が見えるの

なれの果て

それがおまえ

おびただしく連なるからたち

 

絶えずまわりにくべる火の

しらじら退いた機先

 

明日の天気は野を分けて

みだりに迫り来る老齢

未来蕎麦も遠のいて

昼のあずきとも関係ない

払えば道となる藪を

ぼうぼう伸びるにまかせていれば

 

北限に迫る脊梁

とうとう採集しきれぬノート

たかく道行き

ゆずりあう群落を間引いても

洗いそそいで運ばねば

枯れるもなにも使う人のない枕木

 

ノウゼンカズラ

向こうで咲いてたか

走りながら根付くわけではないか

うそこまで行ければいい気がする

 

ひとまず不慣れな先行きで

まずは燕をとらえるか

あぶみを離れるいななきの

鼻先まで香るうちに

まずは燕をとらえてみるか

 

 

 

パッチ・ワークス』(港の人)より

https://www.minatonohito.jp/book/420/

2023-05-13

東京線路枕木で発電してるだろ

コストでもエコさを求めているだろ

2022-02-05

漢字穴埋めクイズ駄作に腹が立つ

□の上下左右に漢字が書いてあって、それぞれ二字で熟語ができるような□を考えるクイズあるでしょ。

よくできた問題は、例えば、

枕木(まくらぎ)、啄木(たくぼく)、木耳きくらげ)、木通(あけび)

畜生ちくしょう)、衛生(えいせい)、生霊(いきりょう)、生憎あいにく)

こんなふうにそれぞれの読み方が違ったり、特殊な読みが混じっているとかだと、考えるのが楽しい


でも、最近よくWEBで目にするのが、こんなやつ。

初犯、再犯犯人犯罪

全部 ハン じゃねぇか。やっつけ仕事にも程があるぞ。

2021-09-03

世界で一番笑えるジョーク」vs「2ちゃんねるスレタイ

世界で一番笑えるジョーク

2人のハンターが木の上にいたところ、一人が木から地面に落ちてしまった。

彼は呼吸している様子もなく、白目を剥いていた。

もう一人が救急隊に電話をかけてオペレーターにこう言った。『友人が死んでしまった! どうすればいい?』。

オペレーターは落ち着いた声でこう答えた。

大丈夫、私が助けます。まず、彼が本当に死んでるかどうかはっきりさせましょう。(Make sure he is dead)。」

一瞬の静寂の後、バン

オペレーターの耳に1発の銃声が響いた。

そしてハンターが言いました。「OK! それから、どうすればいい?」。



2ちゃんねるスレタイ

1 めくら普通改札機IC専用機区別がつかないと抗議。そんなもん見れば分かるだろ

2 「(生きてて)楽しいですか?」 両陛下施設訪問障害児と母に素朴な疑問をぶつけてしまハプニング

3 広島市がわざわざ原爆ドーム劣化具合をチェック。新しいのが欲しけりゃもう1発落とせよ

4 障害児ってよくヘルメット被ってるけど何を守ってるの 頭はとっくに事故ってるだろ

5 東京カタワショーが開幕。障害者の無様な姿に観客も大喜び

6 被爆者オバマの『核なき世界演説感動したわ。彼も黒コゲだけど同じ被爆者だよね。えっ違う?」

7 お手柄高校生 無職徘徊おじいちゃん自転車で処理して年金支出の削減に貢献

8 枕と枕木を間違えるというおばあちゃん面白ギャグ電車から激しい突っ込み

9 「赤ちゃんが乗っています(*^o^*)」 だからなに?○ねば?

2021-07-13

子供の頃スイミングの帰りにおじいちゃんとおばあちゃんの家に行ってた

スイミング土曜日学校が終わった後に両親がスイミングスクールまで車で送り迎えにきてくれていた

自分ん家とおじいちゃんおばあちゃんの家は車で10分位の距離

スイミングスクールはおじいちゃんおばあちゃんの家の近くにあったので

昼のレッスンが終わると家族全員で寄っていって

そのまま夕飯を食べるだの外食に出かけるだのしているのが土曜日の過ごし方だった

だので、夕食までは大体1、2時間があって

祖父母と両親が大人の話をしていて退屈な時は近所を散策したりしていた

まだ自転車を買ってもらえていない年齢だった自分

から車で10分の距離場所といっても学区も違えば未踏土地であり

背後に祖父母の家があるとはいえ普通住宅街でもかなりの冒険だった

その中でもとりわけ自分を夢中にさせたのは少し歩くと電車の踏み切りがあった事だった

電車が来るとそれを知らせてメカニカル機構動作して

けたたましくも心地良い音が規則的に鳴るのは何度見ても飽きなかった

しかも、そのあと電車が轟音で走り去っていくのは大迫力だったし

中に乗ってるたくさんの知らない人を見れるのも好きだった

そんな踏み切り観察も何週もすると飽きてきて、同時に恐怖も薄らいできて

遮断機が開いてる時に線路侵入するようになってきて

踏み切りの次は線路に興味は移っていった

サビだらけなのに電車が乗って走ってる場所だけ鏡のようにツルツルで

枕木が木製なのも意味がわからなくて面白かったし

同じ大きさの白い石が散りばめられてるのも子供想像力を刺激した

そんなある日、いつものように電車が通過しているのを眺めていて

ふと、一つの好奇心が湧いてきた

線路の上に物を置いたらどうなるんだろう」

まずは手近にある白い石でも置くかと思ったが

その頃丁度ワイドショー線路置き石をするカラス話題になっていて

それを思い出し石はまずいという判断になった

なのでもうちょい小さめの、目立たない石を探して置いた

電車が通過するのを待った

通過した後にどうなっているのかという好奇心

電車の大轟音がスパイラルし、否が応でもテンションをかき立てられた

しかし、電車が通過した後に近くに行ってもなんの形跡もなかった

おそらく弾き飛ばされてしまったのだろう

落胆した

そして何を置けば驚くべき結果が得られるかに考えを巡らせた

次はポケット入れていたSDガンダムの赤いゴム人形を置いてみた

これならどこかに弾き飛ばされてしまっても見つけやすいし

弾力もあるので期待する結果が求められるだろうと思ったのだ

そして再び電車が来るのを待ち、通過するのを見届け、遮断機が開いてダッシュ現場に向かった

大成功だった

ガンダム電車に跳ね飛ばされる事なくその場に鎮座ましましていて

想像を超えるひしゃげ方をしていた

線路の上にパン生地を伸ばしたようにガンダムだったものが伸びていて

電車の重量を想像させるには十分なほど伸びていた

好奇心というのは恐ろしいもの

想像した結果が得られたのだからもう潮時だと自分でもわかっているが

その次を見たいという欲求が膨らんでいくのだ

ポケットに手を入れると10円玉と5円玉が入っていた

これを重ねて置いたらどうなるだろう

テレビで1円を素手で曲げているプロレスラーがいたのを思い出した

金属もある程度の弾力があるのだ

まりこれを重ねて置いたらすごいことになるのではないか

耳に心臓の鼓動が聞こえるくらいに興奮したような記憶がある

一切の逡巡もなく線路10円玉と5円玉を置いた

離れる

待つ

遮断機警報が鳴る

遠くから電車が来る音が聞こえる

それが大轟音になり目の前を巨大な質量の鉄の塊が通り過ぎていく

警報がスッと止み遮断機が上がる

高鳴る鼓動

踏み切りから線路に駆け寄る

怒号

後ろを振り返ると母が立っていた

怒られる

いや待ってください大切な研究がああお母さん遊びじゃないんだよ

一生懸命事の次第を説明する線路の上に石を置いたりしててそれを見てて…

あんた!何やってんの!」本気の怒声

呆れたような悲しそうな顔で服を引っ張られる

ああダメ意思疎通のできる人間の力じゃない

これは完全に怒ってる人の引っ張り方だ

死ぬ前に見たかったなぁ重なった10円玉と5円玉がどうなったか

あぁ…見たかったなぁ…10円玉と5円玉

その後祖父母の家に連行された私は事情聴取を受けた

実際に行われたのは事情聴取という名のもとに行われる糾弾であった

私は拙い言葉ながら研究について説明をしようとした

が、言葉尻を捕らえて罪状認否に持っていこうとする刑事だった

テスト時に使った石の形状やカラス置き石報道を受けて安全性配慮したという風に説明しようとすれば

テレビカラス置き石を見て真似しようとした」

という有様で既にこの時点で私はしゃくり上げながら泣いていたのもあるが

二度と線路で遊ばないという誓約を結ばされ手打ちとなった


そして時は流れ私は自転車を買ってもらう年齢になり

自分だけでその踏み切りに行けるようになっていた

あれ以来その踏み切りを車で通過する度に心の傷が痛み

まだあるかもしれない10円玉と5円玉に思いを馳せ続けていた

ようやく衆人環視のない状況であの日実験の結果を見届ける事ができる

私は踏み切り近くに自転車を留め、握った10円玉と5円玉感触を確かめていた

あの日あの場所と同じ線路にきちんとコインの中心を合わせて2枚を置いた

離れる

待つ

遮断機警報が鳴る

遠くから電車が来る音が聞こえる

それが大轟音になり目の前を巨大な質量の鉄の塊が通り過ぎていく

警報がスッと止み遮断機が上がる

高鳴る鼓動

踏み切りから線路に駆け寄る

何もない

おそらくどこかに飛ばされたに違いない

周辺を隈なく探すが見つからない

そうしてる間にもまた電車が来てしまうので線路を離れる

電車が過ぎ去ってまた戻って探すその繰り返し

その後も捜索を続けるも10円玉と5円玉は一向に見つからない

日も落ちかけていてその日の捜索は中断したのだが

何度目だったろうか私は別のある物を見つけたのだ

信じられないものを見つけた

50円玉が1枚そこにあったのだ

そしてどこを探しても結局10円玉も5円玉も見当たらない

10円玉と5円玉電車に轢かせると50円玉が生成される

信じられないが世の中にはそういうことが時として起きる

起きるのだ

2021-06-01

子供の頃スイミングの帰りにおじいちゃんとおばあちゃんの家に行ってた

スイミング土曜日学校が終わった後に両親がスイミングスクールまで車で送り迎えにきてくれていた

自分ん家とおじいちゃんおばあちゃんの家は車で10分位の距離

スイミングスクールはおじいちゃんおばあちゃんの家の近くにあったので

昼のレッスンが終わると家族全員で寄っていって

そのまま夕飯を食べるだの外食に出かけるだのしているのが土曜日の過ごし方だった

だので、夕食までは大体1、2時間があって

祖父母と両親が大人の話をしていて退屈な時は近所を散策したりしていた

まだ自転車を買ってもらえていない年齢だった自分

から車で10分の距離場所といっても学区も違えば未踏土地であり

背後に祖父母の家があるとはいえ普通住宅街でもかなりの冒険だった

その中でもとりわけ自分を夢中にさせたのは少し歩くと電車の踏み切りがあった事だった

電車が来るとそれを知らせてメカニカル機構動作して

けたたましくも心地良い音が規則的に鳴るのは何度見ても飽きなかった

しかも、そのあと電車が轟音で走り去っていくのは大迫力だったし

中に乗ってるたくさんの知らない人を見れるのも好きだった

そんな踏み切り観察も何週もすると飽きてきて、同時に恐怖も薄らいできて

遮断機が開いてる時に線路侵入するようになってきて

踏み切りの次は線路に興味は移っていった

サビだらけなのに電車が乗って走ってる場所だけ鏡のようにツルツルで

枕木が木製なのも意味がわからなくて面白かったし

同じ大きさの白い石が散りばめられてるのも子供想像力を刺激した

そんなある日、いつものように電車が通過しているのを眺めていて

ふと、一つの好奇心が湧いてきた

線路の上に物を置いたらどうなるんだろう」

まずは手近にある白い石でも置くかと思ったが

その頃丁度ワイドショー線路置き石をするカラス話題になっていて

それを思い出し石はまずいという判断になった

なのでもうちょい小さめの、目立たない石を探して置いた

電車が通過するのを待った

通過した後にどうなっているのかという好奇心

電車の大轟音がスパイラルし、否が応でもテンションをかき立てられた

しかし、電車が通過した後に近くに行ってもなんの形跡もなかった

おそらく弾き飛ばされてしまったのだろう

落胆した

そして何を置けば驚くべき結果が得られるかに考えを巡らせた

次はポケット入れていたSDガンダムの赤いゴム人形を置いてみた

これならどこかに弾き飛ばされてしまっても見つけやすいし

弾力もあるので期待する結果が求められるだろうと思ったのだ

そして再び電車が来るのを待ち、通過するのを見届け、遮断機が開いてダッシュ現場に向かった

大成功だった

ガンダム電車に跳ね飛ばされる事なくその場に鎮座ましましていて

想像を超えるひしゃげ方をしていた

線路の上にパン生地を伸ばしたようにガンダムだったものが伸びていて

電車の重量を想像させるには十分なほど伸びていた

好奇心というのは恐ろしいもの

想像した結果が得られたのだからもう潮時だと自分でもわかっているが

その次を見たいという欲求が膨らんでいくのだ

ポケットに手を入れると10円玉と5円玉が入っていた

これを重ねて置いたらどうなるだろう

テレビで1円を素手で曲げているプロレスラーがいたのを思い出した

金属もある程度の弾力があるのだ

まりこれを重ねて置いたらすごいことになるのではないか

耳に心臓の鼓動が聞こえるくらいに興奮したような記憶がある

一切の逡巡もなく線路10円玉と5円玉を置いた

離れる

待つ

遮断機警報が鳴る

遠くから電車が来る音が聞こえる

それが大轟音になり目の前を巨大な質量の鉄の塊が通り過ぎていく

警報がスッと止み遮断機が上がる

高鳴る鼓動

踏み切りから線路に駆け寄る

怒号

後ろを振り返ると母が立っていた

怒られる

いや待ってください大切な研究がああお母さん遊びじゃないんだよ

一生懸命事の次第を説明する線路の上に石を置いたりしててそれを見てて…

あんた!何やってんの!」本気の怒声

呆れたような悲しそうな顔で服を引っ張られる

ああダメ意思疎通のできる人間の力じゃない

これは完全に怒ってる人の引っ張り方だ

死ぬ前に見たかったなぁ重なった10円玉と5円玉がどうなったか

あぁ…見たかったなぁ…10円玉と5円玉

その後祖父母の家に連行された私は事情聴取を受けた

実際に行われたのは事情聴取という名のもとに行われる糾弾であった

私は拙い言葉ながら研究について説明をしようとした

が、言葉尻を捕らえて罪状認否に持っていこうとする刑事だった

テスト時に使った石の形状やカラス置き石報道を受けて安全性配慮したという風に説明しようとすれば

テレビカラス置き石を見て真似しようとした」

という有様で既にこの時点で私はしゃくり上げながら泣いていたのもあるが

二度と線路で遊ばないという誓約を結ばされ手打ちとなった


そして時は流れ私は自転車を買ってもらう年齢になり

自分だけでその踏み切りに行けるようになっていた

あれ以来その踏み切りを車で通過する度に心の傷が痛み

まだあるかもしれない10円玉と5円玉に思いを馳せ続けていた

ようやく衆人環視のない状況であの日実験の結果を見届ける事ができる

私は踏み切り近くに自転車を留め、握った10円玉と5円玉感触を確かめていた

あの日あの場所と同じ線路にきちんとコインの中心を合わせて2枚を置いた

離れる

待つ

遮断機警報が鳴る

遠くから電車が来る音が聞こえる

それが大轟音になり目の前を巨大な質量の鉄の塊が通り過ぎていく

警報がスッと止み遮断機が上がる

高鳴る鼓動

踏み切りから線路に駆け寄る

何もない

おそらくどこかに飛ばされたに違いない

周辺を隈なく探すが見つからない

そうしてる間にもまた電車が来てしまうので線路を離れる

電車が過ぎ去ってまた戻って探すその繰り返し

その後も捜索を続けるも10円玉と5円玉は一向に見つからない

日も落ちかけていてその日の捜索は中断したのだが

何度目だったろうか私は別のある物を見つけたのだ

そして、信じられないが、

それが10円玉と5円玉電車に轢かせて発生したものではないか自分の中では結論づけている

今日もそれは変わらない

2021-05-02

コロナ対応改憲必要」57%、一理あるかもしれない

コロナ対応改憲必要」57% 共同通信世論調査

https://news.yahoo.co.jp/articles/7ec1d495b848a971128aff7c5fc0dedf1a2c92ee

共同通信社は30日、憲法記念日5月3日を前に憲法に関する郵送方式世論調査結果をまとめた。新型コロナウイルスなどの感染症や大規模災害対応するため、緊急事態条項を新設する憲法改正が「必要だ」とした人が57%、「必要ない」は42%だった。内閣権限強化や私権制限が想定される緊急事態条項新設を容認する声が反対意見を上回った。長引くコロナ禍が影響したとみられる。

ちょっと長めになってしまったので、はじめに要約すると、

改憲なくとも法を生かせば緊急時行政権限をフル活用できるはず、と思ってきたが、過去公害の教訓を思い起こしてみると立法行政不作為が目立つ。

憲法の制約で権限がないのではなく、あっても使わないのが問題だった。そこにメスを入れるには、行政立法指導する上位の規律必要で、「今まさに緊急時シフトチェンジしろ

行政立法に促す仕組みが必要なのでは。それはひょっとすると憲法役割なのかもしれない。

という趣旨


+++++++

改憲の是非でいえば、基本的スタンスはノーだ。

内閣権限強化」、これは橋本行革の結果、小泉政権内閣官房の強化の恩恵を受け、その後、安倍がめちゃくちゃにした経緯から

これ以上の内閣官房の強化などナンセンスだと思うし、

現行の制度運用できないのか?と言われれば、

公害立法歴史を振り返っても、現行の規制権限は決して弱くはない。立法余地もある。

実際60年代から70年代にかけて、深刻化した公害に山ほど立法を制定、70年はとりわけ公害国会などと呼ばれた時代もあった。

そうやって公害を克服しようとしてきた歴史の教訓をみても、現在感染症コントロール問題が、憲法改正でしか解決しえないとは思えない。

から問題はできることをしない、立法不作為行政権限の不行使のほうで、それを改憲論議にすり替えるのはおかしい、という意見も納得できる。

しかし。

それこそ公害の教訓を振り返れば、という話なのだが、

改憲世論が盛り上がるのは、だからこそ逆に、一理あるのかもしれない、とも思う。

もちろん、行政立法性善説に立てば。。という留保はつくが。

というのも、水俣病を例にとって、公害被害を振り返ってみると。

なぜ今日に至るまで長年、放置されてきたか。長年の放置もさることながら、振り返ると、初期の対応のまずさが際立つ。

チッソ工場への排水をやめさせる権限のある水質二法の適用

漁業法による禁止措置漁民への補償食品安全法による有機水銀汚染された可能性のある魚類販売禁止

すべて見送られた。つまりすでに対応可能な法的ツールがあったにも関わらず、被害が拡大した。

こうした行政権限の不行使が最終的に裁判で争われ、最終的に結審したのは2004年

国は高度経済成長をとめたくないがゆえに、規制権限行使しなかった、というのが結論

これは初期の対応が間違っていたことを指摘したものだ。

1970年代公害社会問題の深刻化を受けて山のように公害立法が制定されたが、それ以前の問題として

そもそも1950年代、すでにある水質二法等で権限行使できただろが、という。

法の不備ではなく、繰り返すが、すでにある法を使いこなせなかった行政責任が厳しく断罪されたわけだ。

ここから導き出される本当の教訓というのは、規制権限があったにもかかわらず

なぜ初期の対応がこれほどまでに、被害者をないがしろにしたものになったか、という問題

それは経済を優先した政治意思決定メカニズムだ。

そこには、何か異常な事態が発生したときに、立ち止まって物事を考え直す、

シフトチェンジの仕組みが欠落していたともいえるのではないか

かつて辺見庸は、地下鉄サリン事件の際に、丸ノ内線駅構内で、人々がバタバタと倒れているなか、

通勤している乗客枕木でもまたぐかのように出口へ向かった光景について

日常的なことを目の前にしても、脳が適切に処理できず、

惰性で日常論理で動こうとする「慣性イナーシャ)」が働いているといったが、

ここ一年を振り返ってみると、そういう政治的な意思決定がかなりよくみられた気がする。

この問題解決されない限り、改憲による緊急事態条項検討など、全く意味をなさない。

日本は、意思決定の仕方、会議の仕方を根本から見直したほうがいい。


いや、だけど一方で、

緊急事態条項のようなシフトチェンジトリガーがないからこそ、漫然と経済優先で動いてしまうのか?という疑問も頭をもたげる。

どっちなのだろう。

そんなことを思い出したのは、さっき、尾身会長インタビュー記事を目にしたからだ。

尾身茂氏が語った「マスクを外せる日」「3回目の緊急事態宣言なんて聞く気になれねぇ」への意見 | 文春オンライン

――東京都墨田区長野県松本医療圏など、基幹病院支援に回る地域病院医師連携が回っている地域の取り組みも報じられているが、厚労省は、こうした体制づくりのため各地の医師民間病院に強い指示が出せないものか。

尾身 医師病院に対して国が強い指導力を発揮する英国のような仕組みとは違い、日本厚労省というのは公立民間などさまざまなステークホルダー意向尊重する必要があって、上から目線はいわない。平時はそれも大切ですが、危機局面ではどうなのか。この機会に考えてみる必要はあります

――医療提供体制の拡充やワクチン接種準備で、国民が納得するだけの結果を示せないことに国民は苛立ちを感じている。強権的なイメージが強い菅義偉首相だが、結果を示せない理由は?

尾身 それは政治のことだから、私にはわかりません。ただ、総理大臣は、いろいろなことを今、四方のことを考えなければいけない立場にあるんでしょう。そう思います



平時から非常時へのシフトチェンジ

これが明確な意思決定メカニズムとして組み込まれていないことが、水俣病の初期対応問題もつながっているように思えた。

それを可能にするのは、規制権限の強化と行使、という既存立法行政機構のあり方の、もうひとつ上段の制度として構築する必要があるのかもしれないといえなくもない。

改憲への渇望というのは、案外、そういった視点で考えることも可能ではないかとふと思った。

しかし、憲法踏み込むのではなく、

危機対応専門の省庁を創設する、というのもひとつ方法。非常時のガバナンス体制を整備する。

米国FEMAアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)、CDCアメリカ疾病予防管理センター)のように。

現在のように、菅、西村田村河野小池、、、、、みたいに

船頭多くして船、山に登る、という問題への処方箋となろう。

そうすれば、現在河野太郎のような感染症素人新型コロナウイルスワクチン接種推進担当大臣として奮闘する、といった話もなくなるはず。

彼はおそらく、急に任命されて困っただろうが、実質やれることを模索した結果、

ロジ担当となり下がってしまっているように見受けられる。住民心配に答えるのは基礎自治体役割だ。

大臣仕事じゃない。本当の危機管理はそういうことではない。

危機管理のプラットフォームができれば、アメリカのファウチ博士のように、

集団免疫獲得に向けた仮説を立て、何%の接種があればOKで、ワクチン効果が切れる前の接種完了を逆算してスケジューリングする。

目的ロードマップ国民に示したうえで協力を仰ぐという、専門家による意思決定ベースとなったリーダーシップ重要だ。

今は「高齢者の接種」そればっか。もっと全体の話をすべき。

ガバナンスの基本は、法、規則基準科学的な予測を明示した意思決定を行うことだ。

これは世界銀行の借用だが、世銀では途上国行政改革支援の際に、ガバナンスを以下の4要素で因数分解して

能力評価している。

説明責任財政リソース)、予測可能性(法的枠組み)、透明性(情報公開)、参加(連携)の4つ。

テーマ出しした瞬間、近年の日本がどの分野でもガタガタになっていることがわかる。

いずれにしても、緊急時ガバナンスの訓練を積んでゆくことが大切で、こうした組織を立ち上げることには意義があるだろう。

現在菅政権は、こうしたガバナンスの観点から落第点であり、

首相が何を考えているかからず、結局、リーダーの一挙手一投足に注目が集まる意思決定となっている。

急に決心して、緊急事態宣言を発出したりやめたりする。このように国民から予測可能性を奪うやり方は国民から自由を奪うのも同然だ。


国民からすれば、知らず知らずに国のリーダーシップ注視せざるを得なくなり、いつの間にかリーダーシップ問題錯覚してしまうが

本当は危機管理はリーダーシップの欠如の問題ではなくて、ガバナンス問題だ。リーダーが誰であれ、ある程度、やるべきこと、基準が決まっていて

どのように対応するかが決まっていること、この予測可能性が確保されることが大切。

国民にとって予測可能でなければ、国民自身計画を立てられず、急に決断されても、ついていけいけない。

水木しげる漫画で、上官が急に玉砕を決心したので部下の大半が付いていけず、結果として敗残兵として生き残った兵士に、すでに全員立派に玉砕したことになっているのだ、として、ラバウル本部が改めて玉砕を命じる、という話がある。日本人のリーダーシップ象徴する話だと思う。)

しかし、一方、リーダーシップ問題は残る。

緊急時へのシフトというのは、なにかしらリーダーとして発動するトリガー必要なのではないか

憲法、というのも、民主的意思決定の根源として、

そこに非常時へのシフトチェンジ記載されることにも意義があるのかもしれない、という考えに傾いてゆく、そういう世論の動きもわかる。

もちろん、そんな非常時に平和ボケして判断の鈍いおっさん首相だったらなんの意味もなさないが、誰かがシフトチェンジを発動しなければならない、

それが立法危機管理のプラットフォームづくりだけでうまく機能しないのであれば、ある意味大統領的な権限を期待する傾向が出てくるのは自然なことのように思う。大統領権限というと、合衆国建国当時まで振り返ると、当時の議論のなかで、リーダー聡明さ(アリストクラシー)というのは、欠かせない条件だったように思う。

日本政治社会にそんなことを期待できるのか、と考え始めた瞬間、改憲には激しく首を横に振らざるを得ないのだが。

そんなことをインタビューの印象として持った。

2021-03-22

シグナ

「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  さそりの赤眼あかめが 見えたころ、

  四時から今朝けさも やって来た。

  遠野とおのの盆地ぼんちは まっくらで、

  つめたい水の 声ばかり。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  凍こごえた砂利じゃりに 湯ゆげを吐はき、

  火花を闇やみに まきながら、

  蛇紋岩サアペンテインの 崖がけに来て、

  やっと東が 燃もえだした。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  鳥がなきだし 木は光り、

  青々川は ながれたが、

  丘おかもはざまも いちめんに、

  まぶしい霜しもを 載のせていた。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  やっぱりかけると あったかだ、

  僕ぼくはほうほう 汗あせが出る。

  もう七、八里り はせたいな、

  今日も一日 霜ぐもり。

 ガタンタン、ギー、シュウシュウ

 軽便鉄道けいべんてつどうの東からの一番列車れっしゃが少しあわてたように、こう歌いながらやって来てとまりました。機関車きかんしゃの下からは、力のない湯ゆげが逃にげ出して行き、ほそ長いおかしな形の煙突えんとつからは青いけむりが、ほんの少うし立ちました。

 そこで軽便鉄道づきの電信柱でんしんばしらどもは、やっと安心あんしんしたように、ぶんぶんとうなり、シグナルの柱はかたんと白い腕木うできを上げました。このまっすぐなシグナルの柱は、シグナレスでした。

 シグナレスはほっと小さなため息いきをついて空を見上げました。空にはうすい雲が縞しまになっていっぱいに充みち、それはつめたい白光しろびかりを凍こおった地面じめんに降ふらせながら、しずかに東に流ながれていたのです。

 シグナレスはじっとその雲の行ゆく方えをながめました。それからやさしい腕木を思い切りそっちの方へ延のばしながら、ほんのかすかにひとりごとを言いいました。

「今朝けさは伯母おばさんたちもきっとこっちの方を見ていらっしゃるわ」

 シグナレスはいつまでもいつまでも、そっちに気をとられておりました。

カタン

 うしろの方のしずかな空で、いきなり音がしましたのでシグナレスは急いそいでそっちをふり向むきました。ずうっと積つまれた黒い枕木まくらぎの向こうに、あの立派りっぱな本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、今はるかの南から、かがやく白けむりをあげてやって来る列車れっしゃを迎むかえるために、その上の硬かたい腕うでを下げたところでした。

お早う今朝は暖あたたかですね」本線のシグナル柱は、キチンと兵隊へいたいのように立ちながら、いやにまじめくさってあいさつしました。

お早うございますシグナレスはふし目になって、声を落おとして答こたえました。

「若わかさま、いけません。これからあんものにやたらに声を、おかけなさらないようにねがいます」本線のシグナルに夜電気を送おくる太ふとい電信柱でんしんばしらがさももったいぶって申もうしました。

 本線のシグナルはきまり悪わるそうに、もじもじしてだまってしまいました。気の弱いシグナレスはまるでもう消きえてしまうか飛とんでしまうかしたいと思いました。けれどもどうにもしかたがありませんでしたから、やっぱりじっと立っていたのです。

 雲の縞しまは薄うすい琥珀こはくの板いたのようにうるみ、かすかなかすかな日光が降ふって来ましたので、本線シグナルつきの電信柱はうれしがって、向こうの野原のはらを行く小さな荷馬車にばしゃを見ながら低ひくい調子ちょうしはずれの歌をやりました。

「ゴゴン、ゴーゴー、

 うすいから

 酒さけが降ふりだす、

 酒の中から

 霜しもがながれる。

 ゴゴン、ゴーゴー、

 ゴゴン、ゴーゴー、

 霜がとければ、

 つちはまっくろ。

 馬はふんごみ

 人もぺちゃぺちゃ。

 ゴゴン、ゴーゴー」

 それからもっともっとつづけざまに、わけのわからないことを歌いました。

 その間に本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、そっと西風にたのんでこう言いいました。

「どうか気にかけないでください。こいつはもうまるで野蛮やばんなんです。礼式れいしきも何も知らないのです。実際じっさい私はいつでも困こまってるんですよ」

 軽便鉄道けいべんてつどうのシグナレスは、まるでどぎまぎしてうつむきながら低ひくく、

「あら、そんなことございませんわ」と言いいましたがなにぶん風下かざしもでしたから本線ほんせんのシグナルまで聞こえませんでした。

「許ゆるしてくださるんですか。本当を言ったら、僕ぼくなんかあなたに怒おこられたら生きているかいもないんですからね」

あらあら、そんなこと」軽便鉄道の木でつくったシグナレスは、まるで困こまったというように肩かたをすぼめましたが、実じつはその少しうつむいた顔は、うれしさにぽっと白光しろびかりを出していました。

シグナレスさん、どうかまじめで聞いてください。僕あなたのためなら、次つぎの十時の汽車が来る時腕うでを下げないで、じっとがんばり通してでも見せますよ」わずかばかりヒュウヒュウ言いっていた風が、この時ぴたりとやみました。

「あら、そんな事こといけませんわ」

「もちろんいけないですよ。汽車が来る時、腕を下げないでがんばるなんて、そんなことあなたのためにも僕のためにもならないから僕はやりはしませんよ。けれどもそんなことでもしようと言いうんです。僕あなたくらい大事だいじなもの世界中かいじゅうないんです。どうか僕を愛あいしてください」

 シグナレスは、じっと下の方を見て黙だまって立っていました。本線シグナルつきのせいの低ひくい電信柱でんしんばしらは、まだでたらめの歌をやっています

「ゴゴンゴーゴー、

 やまのいわやで、

 熊くまが火をたき、

 あまりけむくて、

 ほらを逃にげ出す。ゴゴンゴー、

 田螺にしはのろのろ。

 うう、田螺はのろのろ。

 田螺のしゃっぽは、

 羅紗ラシャの上等じょうとう、ゴゴンゴーゴー」

 本線ほんせんのシグナルはせっかちでしたから、シグナレスの返事へんじのないのに、まるであわててしまいました。

シグナレスさん、あなたはお返事をしてくださらないんですか。ああ僕ぼくはもうまるでくらやみだ。目の前がまるでまっ黒な淵ふちのようだ。ああ雷かみなりが落おちて来て、一ぺんに僕のからだをくだけ。足もとから噴火ふんかが起おこって、僕を空の遠くにほうりなげろ。もうなにもかもみんなおしまいだ。雷が落ちて来て一ぺんに僕のからだを砕くだけ。足もと……」

「いや若様わかさま、雷が参まいりました節せつは手前てまえ一身いっしんにおんわざわいをちょうだいいたします。どうかご安心あんしんをねがいとう存ぞんじます

 シグナルつきの電信柱でんしんばしらが、いつかでたらめの歌をやめて、頭の上のはりがねの槍やりをぴんと立てながら眼めをパチパチさせていました。

「えい。お前なんか何を言いうんだ。僕ぼくはそれどこじゃないんだ」

「それはまたどうしたことでござりまする。ちょっとやつがれまでお申もうし聞きけになりとう存ぞんじます

「いいよ、お前はだまっておいで」

 シグナルは高く叫さけびました。しかシグナルも、もうだまってしまいました。雲がだんだん薄うすくなって柔やわらかな陽ひが射さして参まいりました。

 五日の月が、西の山脈さんみゃくの上の黒い横雲よこぐもから、もう一ぺん顔を出して、山に沈しずむ前のほんのしばらくを、鈍にぶい鉛なまりのような光で、そこらをいっぱいにしました。冬がれの木や、つみ重かさねられた黒い枕木まくらぎはもちろんのこと、電信柱でんしんばしらまでみんな眠ねむってしまいました。遠くの遠くの風の音か水の音がごうと鳴るだけです。

「ああ、僕ぼくはもう生きてるかいもないんだ。汽車が来るたびに腕うでを下げたり、青い眼鏡めがねをかけたりいったいなんのためにこんなことをするんだ。もうなんにもおもしろくない。ああ死しのう。けれどもどうして死ぬ。やっぱり雷かみなり噴火ふんかだ」

 本線ほんせんのシグナルは、今夜も眠ねむられませんでした。非常ひじょうなはんもんでした。けれどもそれはシグナルばかりではありません。枕木の向こうに青白くしょんぼり立って、赤い火をかかげている軽便鉄道けいべんてつどうのシグナル、すなわちシグナレスとても全まったくそのとおりでした。

「ああ、シグナルさんもあんまりだわ、あたしが言いえないでお返事へんじもできないのを、すぐあんなに怒おこっておしまいになるなんて。あたしもう何もかもみんなおしまいだわ。おお神様かみさまシグナルさんに雷かみなりを落おとす時、いっしょに私にもお落としくださいませ」

 こう言いって、しきりに星空に祈いのっているのでした。ところがその声が、かすかにシグナルの耳にはいりました。シグナルはぎょっとしたように胸むねを張はって、しばらく考えていましたが、やがてガタガタふるえだしました。

 ふるえながら言いました。

シグナレスさん。あなたは何なにを祈っておられますか」

「あたし存ぞんじませんわ」シグナレスは声を落として答えました。

シグナレスさん、それはあんまりひどいお言葉ことばでしょう。僕ぼくはもう今すぐでもお雷らいさんにつぶされて、または噴火ふんかを足もとから引っぱり出して、またはいさぎよく風に倒たおされて、またはノア洪水こうずいをひっかぶって、死しんでしまおうと言うんですよ。それだのに、あなたはちっとも同情どうじょうしてくださらないんですか」

「あら、その噴火洪水こうずいを。あたしのお祈りはそれよ」シグナレスは思い切って言いました。シグナルはもううれしくて、うれしくて、なおさらガタガタガタガタふるえました。

 その赤い眼鏡めがねもゆれたのです。

シグナレスさん、なぜあなたは死ななけぁならないんですか。ね。僕ぼくへお話しください。ね。僕へお話しください。きっと、僕はそのいけないやつを追おっぱらってしまますから、いったいどうしたんですね」

だってあなたあんなにお怒おこりなさるんですもの

「ふふん。ああ、そのことですか。ふん。いいえ。そのことならばご心配しんぱいありません。大丈夫だいじょうぶです。僕ちっとも怒ってなんかいしませんからね。僕、もうあなたのためなら、眼鏡めがねをみんな取とられて、腕うでをみんなひっぱなされて、それから沼ぬまの底そこへたたき込こまれたって、あなたをうらみはしませんよ」

「あら、ほんとう。うれしいわ」

「だから僕を愛あいしてください。さあ僕を愛するって言いってください」

 五日のお月さまは、この時雲と山の端はとのちょうどまん中にいました。シグナルはもうまるで顔色を変かえて灰色はいいろの幽霊ゆうれいみたいになって言いました。

「またあなたはだまってしまったんですね。やっぱり僕がきらいなんでしょう。もういいや、どうせ僕なんか噴火ふんかか洪水こうずいかかにやられるにきまってるんだ」

「あら、ちがいますわ」

「そんならどうですどうです、どうです」

「あたし、もう大昔おおむかしかあなたのことばかり考えていましたわ」

「本当ですか、本当ですか、本当ですか」

「ええ」

「そんならいいでしょう。結婚けっこんの約束くそくをしてください」

「でも」

「でもなんですか、僕ぼくたちは春になったらつばめにたのんで、みんなにも知らせて結婚けっこんの式しきをあげましょう。どうか約束くそくしてください」

だってあたしはこんなつまらないんですわ」

「わかってますよ。僕にはそのつまらないところが尊とうといんです」

 すると、さあ、シグナレスはあらんかぎりの勇気ゆうきを出して言いい出しました。

「でもあなたは金でできてるでしょう。新式でしょう。赤青眼鏡あかあおめがねを二組みも持もっていらっしゃるわ、夜も電燈でんとうでしょう。あたしは夜だってランプですわ、眼鏡もただ一つきり、それに木ですわ」

「わかってますよ。だから僕はすきなんです」

「あら、ほんとう。うれしいわ。あたしお約束くそくするわ」

「え、ありがとう、うれしいなあ、僕もお約束しますよ。あなたはきっと、私の未来みらいの妻つまだ」

「ええ、そうよ、あたし決けっして変かわらないわ」

結婚指環エンゲージリングをあげますよ、そら、ね、あすこの四つならんだ青い星ね」

「ええ」

「あのいちばん下の脚あしもとに小さな環わが見えるでしょう、環状星雲フィッシュマウスネビュラですよ。あの光の環ね、あれを受うけ取とってください。僕のまごころです」

「ええ。ありがとういただきますわ」

「ワッハッハ。大笑おおわらいだ。うまくやってやがるぜ」

 突然とつぜん向むこうのまっ黒な倉庫そうこが、空にもはばかるような声でどなりました。二人はまるでしんとなってしまいました。

 ところが倉庫がまた言いいました。

「いや心配しんぱいしなさんな。この事ことは決けっしてほかへはもらしませんぞ。わしがしっかりのみ込こみました」

 その時です、お月さまがカブンと山へおはいりになって、あたりがポカッと、うすぐらくなったのは。

 今は風があんまり強いので電信柱でんしんばしらどもは、本線ほんせんの方も、軽便鉄道けいべんてつどうの方もまるで気が気でなく、ぐうん ぐうん ひゅうひゅう と独楽こまのようにうなっておりました。それでも空はまっ青さおに晴れていました。

 本線シグナルつきの太ふとっちょの電信柱も、もうでたらめの歌をやるどころの話ではありません。できるだけからだをちぢめて眼めを細ほそくして、ひとなみに、ブウウ、ブウウとうなってごまかしておりました。

 シグナレスはこの時、東のぐらぐらするくらい強い青びかりの中を、びっこをひくようにして走って行く雲を見ておりましたが、それからチラッとシグナルの方を見ました。シグナルは、今日巡査じゅんさのようにしゃんと立っていましたが、風が強くて太っちょの電柱でんちゅうに聞こえないのをいいことにして、シグナレスに話しかけました。

「どうもひどい風ですね。あなた頭がほてって痛いたみはしませんか。どうも僕ぼくは少しくらくらしますね。いろいろお話しまからあなたただ頭をふってうなずいてだけいてください。どうせお返事へんじをしたって僕ぼくのところへ届とどきはしませんからそれから僕の話でおもしろくないことがあったら横よこの方に頭を振ふってください。これは、本当は、ヨーロッパの方のやり方なんですよ。向むこうでは、僕たちのように仲なかのいいものがほかの人に知れないようにお話をする時は、みんなこうするんですよ。僕それを向こうの雑誌ざっしで見たんです。ね、あの倉庫そうこのやつめ、おかしなやつですね、いきなり僕たちの話してるところへ口を出して、引き受うけたのなんのって言いうんですものあいつはずいぶん太ふとってますね、今日も眼めをパチパチやらかしますよ、僕のあなたに物を言ってるのはわかっていても、何を言ってるのか風でいっこう聞こえないんですよ、けれども全体ぜんたい、あなたに聞こえてるんですか、聞こえてるなら頭を振ってください、ええそう、聞こえるでしょうね。僕たち早く結婚けっこんしたいもんですね、早く春になれぁいいんですね、僕のところのぶっきりこに少しも知らせないでおきましょう。そしておいて、いきなり、ウヘン! ああ風でのどがぜいぜいする。ああひどい。ちょっとお話をやめますよ。僕のどが痛いたくなったんです。わかりましたか、じゃちょっとさようなら

 それからシグナルは、ううううと言いながら眼をぱちぱちさせて、しばらくの間だまっていました。

 シグナレスもおとなしく、シグナルののどのなおるのを待まっていました。電信柱でんしんばしらどもはブンブンゴンゴンと鳴り、風はひゅうひゅうとやりました。

 シグナルはつばをのみこんだり、ええ、ええとせきばらいをしたりしていましたが、やっとのどの痛いたいのがなおったらしく、もう一ぺんシグナレスに話しかけました。けれどもこの時は、風がまるで熊くまのように吼ほえ、まわりの電信柱でんしんばしらどもは、山いっぱいの蜂はちの巣すをいっぺんにこわしでもしたように、ぐゎんぐゎんとうなっていましたので、せっかくのその声も、半分ばかりしかシグナレスに届とどきませんでした。

「ね、僕ぼくはもうあなたのためなら、次つぎの汽車の来る時、がんばって腕うでを下げないことでも、なんでもするんですからね、わかったでしょう。あなたもそのくらいの決心けっしんはあるでしょうね。あなたはほんとうに美うつくしいんです、ね、世界かいの中うちにだっておれたちの仲間なかまはいくらもあるんでしょう。その半分はまあ女の人でしょうがねえ、その中であなたはいちばん美しいんです。もっともほかの女の人僕よく知らないんですけれどね、きっとそうだと思うんですよ、どうです聞こえますか。僕たちのまわりにいるやつはみんなばかですね、のろまですね、僕のとこのぶっきりこが僕が何をあなたに言ってるのかと思って、そらごらんなさい、一生けん命めい、目をパチパチやってますよ、こいつときたら全まったくチョークよりも形がわるいんですからね、そら、こんどはあんなに口を曲まげていますよ。あきれたばかですねえ、僕の話聞こえますか、僕の……」

「若わかさま、さっきから何をべちゃべちゃ言いっていらっしゃるのです。しかシグナレス風情ふぜいと、いったい何をにやけていらっしゃるんです」

 いきなり本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらが、むしゃくしゃまぎれに、ごうごうの音の中を途方とほうもない声でどなったもんですからシグナルはもちろんシグナレスも、まっ青さおになってぴたっとこっちへ曲げていたからだを、まっすぐに直なおしました。

「若わかさま、さあおっしゃい。役目やくめとして承うけたまわらなければなりません」

 シグナルは、やっと元気を取り直なおしました。そしてどうせ風のために何を言いっても同じことなのをいいことにして、

「ばか、僕ぼくはシグナレスさんと結婚けっこんして幸福こうふくになって、それからお前にチョークのお嫁よめさんをくれてやるよ」と、こうまじめな顔で言ったのでした。その声は風下かざしものシグナレスにはすぐ聞こえましたので、シグナレスはこわいながら思わず笑わらってしまいました。さあそれを見た本線ほんせんシグナルつきの電信柱の怒おこりようと言ったらありません。さっそくブルブルッとふるえあがり、青白く逆上のぼせてしまい唇くちびるをきっとかみながらすぐひどく手をまわして、すなわち一ぺん東京まで手をまわして風下かざしもにいる軽便鉄道けいべんてつどうの電信柱に、シグナルとシグナレス対話たいわがいったいなんだったか、今シグナレスが笑ったことは、どんなことだったかたずねてやりました。

 ああ、シグナルは一生の失策しっさくをしたのでした。シグナレスよりも少し風下にすてきに耳のいい長い長い電信柱がいて、知らん顔をしてすまして空の方を見ながらさっきからの話をみんな聞いていたのです。そこでさっそく、それを東京を経へて本線シグナルつきの電信柱に返事へんじをしてやりました。本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらはキリキリ歯はがみをしながら聞いていましたが、すっかり聞いてしまうと、さあ、まるでばかのようになってどなりました。

くそっ、えいっ。いまいましい。あんまりだ。犬畜生いぬちくしょうあんまりだ。犬畜生、ええ、若わかさま、わたしだって男ですぜ。こんなにひどくばかにされてだまっているとお考えですか。結婚けっこんだなんてやれるならやってごらんなさい。電信柱の仲間なかまはもうみんな反対はんたいです。シグナル柱の人たちだって鉄道長てつどうちょうの命令めいれいにそむけるもんですか。そして鉄道長はわたし叔父おじですぜ。結婚なりなんなりやってごらんなさい。えい、犬畜生いぬちくしょうめ、えい」

 本線シグナルつきの電信柱は、すぐ四方電報でんぽうをかけました。それからしばらく顔色を変かえて、みんなの返事へんじをきいていました。確たしかにみんなから反対はんたいの約束くそくをもらったらしいのでした。それからきっと叔父のその鉄道長とかにもうまく頼たのんだにちがいありません。シグナルもシグナレスも、あまりのことに今さらカンとしてあきれていました。本線シグナルつきの電信柱は、すっかり反対の準備じゅんびができると、こんどは急きゅうに泣なき声で言いいました。

「あああ、八年の間、夜ひる寝ねないでめんどうを見てやってそのお礼れいがこれか。ああ情なさけない、もう世の中はみだれてしまった。ああもうおしまいだ。なさけない、メリケン国のエジソンさまもこのあさましい世界かいをお見すてなされたか。オンオンオンオン、ゴゴンゴーゴーゴゴンゴー」

 風はますます吹ふきつのり、西の空が変へんに白くぼんやりなって、どうもあやしいと思っているうちに、チラチラチラチラとうとう雪がやって参まいりました。

 シグナルは力を落おとして青白く立ち、そっとよこ眼めでやさしいシグナレスの方を見ました。シグナレスはしくしく泣なきながら、ちょうどやって来る二時の汽車を迎むかえるためにしょんぼりと腕うでをさげ、そのいじらしいなで肩がたはかすかにかすかにふるえておりました。空では風がフイウ、涙なみだを知らない電信柱どもはゴゴンゴーゴーゴゴンゴーゴー。

 さあ今度こんどは夜ですよ。Permalink | 記事への反応(0) | 22:29

2019-05-17

anond:20190517210531

地震ボインボインポキッだのバターンだのなったのにな。

御神木なおす樹木医かい日本では電柱も生えてきたもんにみえるんだろ

でも枕木とか砂利萌えみたいなもんで運営会社にしたらはた迷惑だな~

2017-06-27

ファイナルファンタジータクティクス』で召喚できる(新)本格作家

本気でかっこいいとおもってやりました。実在人物作品関係はありません。


・死屍の綾なす四ツ辻の、獅子も恐れる行く人の、知らぬは読者ばかりなり、綾辻行人ッ!

 [中範囲に防御無視ダメージダメージ量は詠唱者のHP残量に反比例)+範囲内の味方のDEFアップ]


・我が産みし死靈天上天下に及ぶものなし! 開け、聞け、探偵三道宝階ッ! 麻耶雄嵩ッ!

 [フィールドの天候がランダムに変化+各敵キャラの装備をランダムひとつ破壊(防具や魔法による回避不可)]


・私の城は美しいお城、私の頭文字は完全なる円にして王の証ッ、死ぬまで踊れっ、舞城王太郎ッ!

 [敵全体に混乱+詠唱者のSTR大幅アップ]


・実るほど頭を垂れる稲穂かな。不燃にして不稔に非ず、エリシャの奇跡の裔と知れッ! 米澤穂信ッ!

 [味方全体のHP回復+リレイズ]


・円心に居して惑うことなし、今宵ささめくあなた挽歌、参ります円居挽ッ!

 [味方全体にヘイスト+ランダムで敵の一人に死の宣告]


・連なる城は堅固にして絢爛、三度否まず三界を紀(おさ)むッ! 連城三紀彦ッ!

 [中範囲の敵味方すべてにMPHP入れ替え]


・その桜の木は一本でした。桜の木は満開でした。咲いて撃ち抜けッ! 桜庭一樹ッ! 

 [中範囲の敵にドンムブ+ドンアク+確率で防具破壊]


コケコッコッコ……コケーッ! 似鳥鶏ッ!

 [敵全体にチキン]


・清涼のうちに流水は苔むさず、命育みメフィストフェレスの女媧とならん! 清涼 in 流水ッ!

 [敵全体に水属性の大ダメージ+サイレス]


月光遊戯、双頭の悪魔国名を端から君に聞かせよう…… 英明なる都は祝福に満ちている。今出(いまいず)る川より通るがいい――アリスト(高貴なる)アリス有栖川有栖

 [敵全体にチャーム+ポイズン+faithアップ]


異能魔術師よ、奇跡をもって正邪を糺せ! 井上真偽ッ!

 [敵全体のステータス強化と味方全体の状態異常を解除]


・月は深(み)ちた……時よ止まれ辻村深月ッ!

 [敵全体にストップ]


・ひらかせていただき光栄です。皆川博子ッ!

 [味方全体にリジェネ+リレイズ+状態異常回復]


・朝明に白む山よッ! 一なる愛を識る永遠よッ! 枕木に憂う士(さむらい)よッ! 三位全一なる二文字に集えッ! 乙一ッ!

 [対象キャラの全能力値が大アップ]


・投之於冰上

 鳥何燠之

 何馮弓挾矢

 殊能将之ッ!

 [その戦闘第一ターンから仕切り直しに]


楽園死神、その胸中に二心あり。右はくろがね、左はからかね。楽園死神、その掌中に二刀あり。左は剔(そ)るもの、右は樵(こ)るものいのち捧げよッ! 汀こるものッ!

 [敵全体にレベル3デス]


・占うッ、亜細亜の星を――島々の星は荘と出たッ! 島田荘司ッ!

 [敵味方全体のアビリティシャッフル]


・いちかはじめか、はじめかいちか。どんととびでて折るか祈るか、心は螺旋折原一ッ!  

 [敵味方全体のうちランダムで一人にデス+ランダムで一人にレイズ(気絶キャラ存在する場合のみ)]


西尾維新(ハタチ)ーーーーーッッッッッッ!!!

 [敵全体に特攻ダメージ詠唱者は戦闘から除外(死亡ではない)]


・その本は本にして本に非ず、立体にして三次元に非ず、凶器にして狂気に非ず、どすこいどすこい京極夏彦ッ!

 [中範囲の敵に大ダメージ確率でスタン+三マス後方へノック]


黄昏に発つミネルヴァの梟は最強にてよしとする。駆けぬけろッ、笠井潔ッ!

 [フィールド上の敵味方全てに確率即死(即宝箱か石になる)]

2016-04-11

インターホンの配線切っちゃった時の対処

うちのインターホンは、枕木に付けてあって、地面から枕木に配線を這わせてるんだけど、草刈りしてる時に間違えて切ってしまった。

配線を新しく買ってきて、切ってしまった配線の間を繋げるしかないかと思ったんだけど、親機に繋がってる配線が壁からかなり長く出てたので少し切って両端の銅線剥きだして繋げることが出来た。

2016-04-04

鉄道の作り方が知りたい

本格的な敷設方法だ。

おそらく、砕石を敷いて転圧、栗石を敷設して整形、転圧。

枕木を敷いてレールを敷くのかと思うが、もしかしたら違うのかも知れない。

最近は、レールとコンクリート基礎が一体のものもあるのか。

別に知ったからどうと言うわけはないですが、何となく興味本位

詳しくて、教えてくれる人、教えてください。

2016-01-26

敷かれたレールの上を走る

大学に入るまではそう思っていたけれど、全くそうではなかった。

まあ、そこに土を固めた路盤くらいはあるけれど、自分が走るレールは一切敷かれていない。自分が敷かなきゃならない。

不器用でもいい。都会チックでもなんでもない、枕木がまばらでレールが多少歪んでいても走れるものを作っていく。それでこそ人生だろう。

PCまくらぎだったり、スラブ軌道だったり、新幹線のような高規格な路線が敷ければいいけど、そんなのはまあ無理だとしても、だ。

それに、敷かれたレールの上を走るにしたって赤信号で突っ切れば事故は起こるし、スピードを出しすぎれば脱線もする。逆に、エンジンもモーターもついてない車輌になってしまえば、せっかくのレールも錆びていく一方だ。敷かれたレールを走るのも技術が要るのだ。大抵の人は走れるもんだけど。

ごく一部の人は、敷かれたレールの上を走りたくはないなんて言ってそれを実行している人の中には、森林開拓して、沼地を固めて、路盤から作っていく人もいるけれど。

野心的ではあるけれど、さすがに僕はそこまでの野心は持たなかった。

勉強をサボって、2回も留年して、この段になってやっと焦って、一体何をしてるんだろう。走らなきゃならない。走るための道を造らなきゃならない。

早くレールを敷く作業に戻れ。もう十分、休んだだろう?

2015-07-12

田舎高校に通っている

 

田舎高校に通っている。田舎というか山村に近い。

卒業生に一人有名人がいるけど、40年も前の話だ。

多分、もう一生この高校から著名人が輩出されることはないと思う。

だって何もないから

 

入学した時に、担任が「日本国見渡してもバカ天才が一緒にいる高校はこことドラマの中くらいだ」

というような冗談を言っていた。このあたりでは事実上、進学先の高校一択しかないからだ。

 

でも違う。天才なんているわけない。

いるのは近所のスーパー駐車場代と称して後輩からタバコ徴収してる普段はやさしい不良と

通信量を気にしながらひたすらスマホソシャゲをやり続ける一般学生だけ。

 

この高校健全学生といえるのは毎日部活動に精を出してる熱心な運動部の人たちだけかもしれない。

ちなみにオタクはいない。(見えない)

 

そんな事を言いながら、僕もワイワイ楽しくソシャゲをやってるわけだけど

本当に人生の貴重な時間無駄にしている感が半端ではない。

このままだと高校生活の思い出は全部ソシャゲになるんじゃないのか。

 

決まって考える。今、東京高校生って何してるんだろう?

おしゃれなお店巡ったり、有名店の食べ物買い食いしたり、何かのイベントに行ったりしてるのかな

高校生でも参加できるようなセミナー勉強会があれば、僕も出てみたいな、と。

別に「ねーよw」とか「夢見すぎ」とか笑われても構わない。

とにかくそういう選択肢がある環境に生まれたかった。

 

中学の頃から荷台に切り株載せた軽トラを乗り回してたやさしい不良連中だってきっと思ってるはずだ。

まれるなら東京が良かったと。

不良だろうが、オタクだろうが、スポーツ少年だろうが、夢は政治家だろうが、結局都会に生まれないとその道に入門することもできない。

ここでの不良とオタクと一般学生の違いといったら、パズドラをめちゃくちゃやり込んでいるか、少しやり込んでいるかの違いだけ。

まり田舎には人それぞれの個性を認めるだけの許容量がないんだ。

 

東京に生まれ高校生には絶対にわからないと思う。

休日友達カラオケに行こうと思い向かっていると、前から来た別の同級生今日閉まってたよと教えられるような世界なんて。

高校に来て変わるかと思ったら、変わったのは今まで無料で入れてくれてた天文台おっちゃんが正規料金を取るようになった事くらいだった。

 

毎日顔を合わせるお隣さんの高校教師に聞いた所、今年の進学率は近年では最低になりそうなんだとか。

そのせいか僕の学年では、春からキャリアパスセミナーかいう名の、大学への進学を促す洗脳授業が増えていた。

僕の両親は高卒、進学したいとは言ってるが父は乗り気ではない。

 

そういう話をする時、決まって都会で一旗あげた田舎まれの中卒爺ちゃんの話をされるが

そんな発展途上だった時代と今を一緒にしないでほしい。

 

今、田舎に生まれることのアドバンテージなんて何もないんだよ

これっぽちも、だたの一つも、ない。

 

田舎しか出来ないこととか、ハングリー精神かいうけど

社会見学と称して近所のじいちゃんのトロッコ枕木直すことが何の役にたつんだよ

しかも危ないからトロッコにのるのはじいちゃんって、こっち何にも楽しくないよ。

 

こんな田舎に見切りをつけて都会の高校野球留学した渡部君は偉いと思う。

小学生の頃、親と一緒に引っ越していった越田さんも楽しく女子高生やってるんだろう。

 

結局、田舎に生まれるってことは3~12年の人生マイナス期間、負債を背負って生まれるってことだ。

 

インターネットはてなブックマークで見る世界と僕の目から見えるこの木ばっかの世界はまったく違う。

大学進学は当たり前、少しくらい英語勉強する気があって、社会問題にもちょこっと関心がある

この程度の条件でさえ、これを満たすような人間は僕のまわりにはまったくいない。

 

インターネットばっか見てるとバカになると母には言われるが

花粉の季節になると親戚から借りてきた防毒マスクを被って鍋を煮込んでいる母よりは普通だと思う。

 

そんな母が家族親戚で唯一、大学東京大阪に行かせてあげたいと強い口調で言ってくれた時は

本当に涙が出るほどうれしかった。

僕が奨学金の話をした時、母の給料からこっそり大学資金をもう何年も前から貯めてるから大丈夫

うちはそんなに貧乏じゃないから、と笑いながら教えてくれたあの日の事は多分一生忘れません。

 

ありがとうございます

 

そんなこんなで、木ばっかのこ風景を時折眺めながら、LINEのお誘いを断りつつソシャゲ封印して

大学生になったら、友達カラマツ乾燥方法やナラダケの美味しい煮込み方を教えてやろうとか妄想しつつ

他では負けても、勉強だけは都会の高校生にも負けないように頑張ろうと、たまに決意を改めながら

カタカタうるさい扇風機の横で2点間を結ぶ線分ABの外分点Cの座標を求める少し熱い初夏昼下がりです。

 

 
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