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はてなキーワード: 想像界とは

2018-04-27

エロ漫画に見る「バブみと死」について

緑のルーペの「AFFECTION:ERROR」の話

この作品において、主人公父親は「ランバジョージ症候群」により、「化け物」になる

人の欲望、望みを持った時にそれをそれを叶えるような、快楽だけを実現するような形へと変容する

最後父親は娘の子宮に入り、娘の子供として生まれ直す

この生態について、最近になり思い当たるものがあった

寄生虫

一般寄生動物は、体を固定するための構造が発達する。他方、特に内部寄生虫は、使う必要のない運動器官、感覚器官、消化器官が退化する。しかし、生殖器官は発達する場合が多く、体が生殖器官だけになってしまうような例も見受けられる。



しかし、私はこの結末にどうしても納得できない

母胎回帰快楽の究極であるというのであれば、何故「誕生」をしなければならなかったのか

まれ直す必要など無い

母親の体内という幼児的万能感を得られる場所において、永遠にまればいい

型月世界観で言えば「根源」に戻ったということであり

ラカンで言えば、父の名を受け入れ去勢される前の想像界の段階である

自分主体性をなくし、ひたすら原点に戻っていく

バブみは母胎回帰願望と近いところにあり、母胎回帰願望は希死念慮に近い所がある

性は必ずしも生ではなく、むしろ平穏さや死に近い所がある

結論

「AFFECTION:ERROR」の結末は、主人公の子宮内快楽を貪りながら退化していき

受精卵まで戻った挙げ句に体内に排出されて死ぬという結末が良いのではないかと思いました

もしくは、主人公女の子死ぬまでセックスし続ける(終生交尾)結末が望ましいのではないかと思いました



参考:三秋縋「恋する寄生虫

「終生交尾?」と高坂は訊き返した。

「そう。終生交尾少女は肯いた。「フタゴムシはその半生を、パートナーと結合したまま過ごすの」


追記:

滑空の「しゅーしゅくしゅ!」って、割と切ないよね

2017-03-16

[]

今回はガンガンオンライン

ななしのアステリズム23

最終回かあ。

話としては多少急いている所もあるが、まとまっていると感じた。

総括としてはテーマに対して、真摯に終えたんじゃないかと。

ただ、まあ、そのテーマによって語られる、紡がれているものが、漫画という大衆娯楽に落とし込みきれていないというのは感じた。

いくつかの箇所は想像界的な表現にしているんだけれども、それがエンターテイメントとしての面白さには起因していない。

象徴界的な部分に関しては、下手したらほとんどの読者を突き放している印象すら与える。

本作のキモは主要人物の関係性や、そこに付きまとう感情人格面などの多様性スポットを当てたことにあると思う。

その複雑さを描いたという点では間違いなく賞賛できるんだけれども、その複雑性が面白いかって考えるとYESともNOとも言いにくい。

2015-08-02

http://anond.hatelabo.jp/20150802092656

あっ こういう言及もされていたところを見落としていた。

筆者が現代社会存在する主体・客体と精神分析概念対応付けて、概念間の類似を説こうとしているとみられ、ここから近代社会合理性下層階級を抑圧する状況をノイローゼかなんかにたとえ批判を試みようとする筆者の主張が推測できる。


現代社会存在する主体・客体」ってなんですか?

疎外される存在/連帯する存在」の対立をもとに様々な概念対応付けて類似性を説こうとしている、なら分かります

また「下層階級を抑圧する状況をノイローゼかなんかに対応させ」ってどこから読み取ったんですか?

あなた意図的に無内容とされているところで別の側面も取り上げてみますね。

無意識(エス)

社会的あるいは象徴的に交換されなかった大文字の他者の語らい

≒疎外された心的実体≒外傷的な真理が声を発する場所

自己幻想世界≒無条件の連帯肯定平等存在しない共同体自己愛を過剰に傷つけられ自己認識が悪くなった存在承認供給不足にある存在

権力者側の情報ネットワークからヨソモノとして外されている存在

スケープゴート≒異人≒リンチ対象排除された後も外での動きも捉えられる存在≒誇大自己を持った者の自尊心の基盤

≒仕返しを招くような親密な共同体の絆が欠けている存在

暴言連発したり失礼な言葉を吐いても責任をとらされる事なく看過される対象

パノプティコン的な匿名の不可視視線の下で見世物化された監視付き生活強制されている存在近代社会合理的理性を自称する存在による抑圧的意志対象

≒警察権力が市民生活の内に力を発揮する場=秩序創成暴力対象

フロイト無意識岸田秀のエスと吉本隆明自己幻想とルネ・ジラールスケープゴート民俗学の異人概念関係を、まとめて書いた人を見た事がない。

それと仕返しを招くような親密な共同体の絆が欠けている存在に対しては暴言連発したり失礼な言葉を吐いても責任をとらされる事なく看過されがちである事、それらの現実的現象を具体的事例をあげて(たとえば自らの体験と関連付けて)書いている人も見た事もない。それとフーコーのいうパノプティコン的な見世物化された監視生活強制されている存在と警察権力の関係を、はっきり書いている人を見た事もない。そうした待遇強制されている存在がいる事で象徴秩序が安定するという話を具体的事例と関連付けて明確に書いた人も見た事がない。

から私は(私のようなパンピーくんの触れれる範囲情報源では)先例のない事を書こうとしているところがあるという事です。

理想自我想像界=小文字の他者a

≒心像の世界クオリア世界

≒私的幻想世界意味イメージ世界

≒「象徴他者」の位置より一段下の、原始的対象の位置(想像的なもの性的慰安対象)に留めおこうとされた「想像他者」。ラカンは「対象a」とよぶ。転移拒否された患者が、分析家をおく場所も、この「対象a」としての場所である。この関係は、相手に社会的幻想を抱いていた転移局面と比べてはるか不安定で、患者攻撃性が分析家に向け、容易に発動しやすい状態(これは樫村愛子ラカン社会学入門」からのそのままの引用が多くを含まれており、対象aだけ抜き出した部分との関連が付けがうまくできていない。全てをわかり易く統一的に書いている本も読んだ事がない)

他者から尊重されたり対等な存在としてメッセージを交換する「人間」の壇上に上げないように弾圧される<生ける死者>といった世界

暴力誘発性、脆弱性を帯びた存在

≒「傷つけられる」という条件により発動した摸倣欲望

また「影」に関しては、村上春樹小説内で繰り返し出している概念で、「掟の門」はカフカの有名な短編思想的に言及価値のあるとされるものですが。

それらをまとめて精神分析現代思想用語で語っているのなんてどの先生の本でも見た事がないのですが。

他者から尊重され対等な存在としてメッセージを交換する立場になく、非人間的に表現された他者から暴力誘発性を帯びた存在と、心理的に傷つけられるという条件により発動する模倣欲望の関係を深く語っているのも、日本学者では私のようなパンピーくんの触れる事ができる可能な範囲ではほとんど見ないのですが。

宮台真司はミメーシスという概念をいつ頃だかか頻繁に使うようになったけど、「心理的に傷つけられた事により生じる模倣欲望」という意味で使っているのは見た事がない。

理想自我=小文字の他者a

マスコミカタログ文化でつくり出された美化・理想化された自己イメージ

自己統一を預けることのできるような相手を探してさまよう、鏡像としての他者の中への囚われの関係

自我理想大文字の他者A=社会的世界

≒魅力を持った生に変わらなければならない場であり、魅力による上下関係差別排除がある世界

≒魅力の低い者が客観的理屈として正しいと思って主張した事も認められない世界

≒魅力の高い者が客観的理屈として間違っている事を主張しても容認される世界

≒目に見えない効力をもつ法としての場の空気人間関係の網の目に支配された世界

グルメで無条件の連帯肯定平等など存在しない世界

労働勉強生産的な成果を挙げ社会的評価される事が美徳であるとされる世界

≒人が自分社会化するために選ぶ標識名誉対象美徳のもとになる秩序

≒人が憧れる、かくありたい存在モテる存在=小文字の他者aに模倣される存在

ここから美男美女が多い芸能人さんたちやファッション誌を飾るモデルさんの世界自我理想範囲に入る対象となる事が分かると思います

超自我

羊飼い自称する存在選民意識を持った存在

≒誇大自己に執着した存在他者非人間的に判断したりする存在モラルのない世界

自我理想と同じ媒体の、秘密を暴く欲望と懲罰をともなう側面

非道徳的で反倫理的な審級であり、倫理的裏切り烙印

集団の「エス」をバカにしたり笑う攻撃的な文化制作

集団の「エス」や「小文字の他者a」の位置にある存在を徹底マークして情報を「大文字の他者A」の位置にある存在に流している存在

法秩序の外にあり、しかしま法秩序に属している存在

個人情報漏洩する国家プライバシー侵害する国家

植民地主義国家民族差別を容認する国家人権侵害を推奨する国家死刑を支持する国家、同じ国民の中に棄民を作り出す国家

これは現代日本社会存在する大きな問題関係する事です。

集団の「エス」をリンチする事に日本国家レベル加担している事を思想から得た発想で語ろうとしていますが、それを語っている先生存在も見た事がないです。

対象a

現実領域対象aの除去の上になりたっているが、それにもかかわらず対象a現実領域を枠どっている

リンチメカニズムにより歪められた表現被害者よりに修正した回顧的な文章を書く暴力行為告発する探偵

反ユダヤ主義者にとってのユダヤ人存在

≒メラニー・クライン的な意味での「乳房

まなざし

永井均の言う<私>=他者にとっての私に還元されない<私>≒秘密の宝

これも統一的に語っている日本先生は見た事のない事を語ろうとしているのが理解できると思います

なんか思想的に意味のあるところをごっそり切り落として対応せず、自分立場に都合のいい所だけを提示して、形式演出だけ知的雰囲気を醸し出した内容の乏しい書き込みをするのはやめていただきたいですね。

こんなん書いてみました ご指導おねがいしま

無意識≒エス≒過剰なエロスタナトスが奔騰するカオス

≒壁に囲まれた「世界の終り」という街=影のない人の世界

世界不毛化された記憶が凝結する地下墓地ミイラや<死者>の住処

社会的あるいは象徴的に交換されなかった大文字の他者の語らい

オリジナルなき代理物であり続けるシニフィアン

自己複製子の乗り物(?)

≒疎外された心的実体≒外傷的な真理が声を発する場所

相互性の平面の下方に放逐された過剰な欲動の場≒バタイユのいう「呪われた部分」

他者にとっての「私」に還元されない<私>に執着した本多

自己幻想世界=無条件の連帯肯定平等も存在しない共同体自己愛を過剰に傷つけられ自己認識が悪くなった存在=承認供給不足にある存在

権力者側の情報ネットワークからヨソモノとして外されている存在

≒灰の世界スケープゴート≒異人≒リンチの対象

≒仕返しを招くような親密な共同体の絆が欠けている存在

植民地化された地域の周縁化された存在=ほかで許されないことが許される別世界=誇大自己を持った者の自尊心の基盤

暴言連発したり失礼な言葉を吐いても責任をとらされる事なく看過される対象

パノプティコン的な匿名の不可視視線の下で見世物化された監視付き生活強制されている存在≒近代社会合理的理性を自称する存在による抑圧的意志の対象

≒生政治的範例

排除された後も外での動きも捉えられる存在 ≒日常においては禁止され構造から排除されている部分=構造内で下層に抑圧された者

祭りなどで一時的組み込み処理する対象

≒非差異無差別連続差異の抹消=相互暴力状態=怒号と喧嘩の音

≒警察権力市民生活の内に力を発揮する場=秩序創成暴力の対象

一般市民より下の階層の者として認識され、愚か者範疇に入っており、隠している愚かな事物を暴いても重大視されていない

理想自我=想像界=小文字の他者a=内在的な他者生物的な世界

≒心像の世界クオリア世界

≒私的幻想世界意味イメージ世界

≒ナルシシック自己イメージ=自我の理想化された鏡像

自分の気に入っている、まさに自己愛のもののような自己

マスコミカタログ文化でつくり出された美化・理想化された自己イメージ

他人からこう見られたいと思う自分イメージ

仏教でいう我執といわれるような自分への執着の対象

≒セミオティック=母性的な世界

≒貧しい文化や洗練されていない不自然表現モテない存在=影の薄い人

≒掟の門の前で衰退していく棄民=勝手「悪」とされ共同体メンバーに愛されず衰退していく者

≒状況を自覚していない灰人と知らされている共同体メンバーとの境界線上にいる人

≒「象徴他者」の位置より一段下の、原始的な対象の位置(想像的なもの性的慰安の対象)に留めおこうとされた「想像他者」。ラカンは「対象a」とよぶ。転移拒否された患者が、分析家をおく場所も、この「対象a」としての場所である。この関係は、相手に社会的幻想を抱いていた転移局面と比べてはるか不安定で、患者攻撃性が分析家に向け、容易に発動しやすい状態

≒心理分析官クラピカ世界

≒外部の情報が入ってこない<下>に見られた人のいる壁に囲まれ世界の外の世界を知ろうと巨人のいる世界調査しようとする人

他者から尊重されたり対等な存在としてメッセージを交換する「人間」の壇上に上げないように弾圧される<生ける死者>といった世界

≒暴力誘発性、脆弱性を帯びた存在

≒「傷つけられる」という条件により発動した摸倣欲望

自己をそれとして措定してくれる言葉をもつ代弁者の探索にとらわれている状態

自己統一を預けることのできるような相手を探してさまよう、鏡像としての他者の中への囚われの関係

動物ルアーへの反応をモデルにして語りうるような直接的な関係

理想化された鏡像として他者表現の複製を取りこみ、融合しつづける動き

•自我理想象徴界大文字の他者A=超越的な他者社会的世界

言葉だけの世界シニフィアンが織りなす複雑なシステム

文化の秩序、象徴秩序、言語的秩序としての構造サンボリック

ファルスを中心にして構造化された言葉システム

≒エディプス期につくられる=父、母、子どもの三者関係の中ではじめて成立する一つの小社

≒掟によって自己中心的な万能感の感覚否定し、その掟を守ることで成立する秩序と理念をもった世界

≒個々人の欲望や自己中心的感情を一度克服してはじめて、確立されるような世界

自己中心的個人的自己愛を一度否定したところから成り立っている

≒万能感を捨てて入っていく世界=個人の実質、個人の存在全体の基盤

現実社会的義務責任遂行と繋がるもの

社会的絆であり、信頼を保証し、義務の支えとなる基本的象徴契約

コミュニケーションを通じた承認で育まれ自尊心

≒豊かな愛によって言葉他者につながれている存在

共同幻想世界個体保存の欲望と各人のナルシシズム言語の内に吸収し共同化された世界≒豊かな影を持った存在

≒愛し合い尊敬しあう事で継続していく共同体エロス世界

仲間意識連帯した世界倫理的関心を内輪に限定する世界感情で動く世界=ビオスの世界

≒魅力を持った生に変わらなければならない場であり、魅力による上下関係差別排除がある世界

≒魅力の低い者が客観的理屈として正しいと思って主張した事も認められない世界

≒魅力の高い者が客観的理屈として間違っている事を主張しても容認される世界

文脈により同じ言葉が違う意味を持つ世界

≒目に見えない効力をもつ法としての場の空気人間関係の網の目に支配された世界

≒掟の門の門番

≒セミオティックの位置にある存在が自我理想を持った対等な「人間であると主張すると生意気に感じて苛立ち権力言葉の暴力を振り回し「下」に置こうとする存在

グルメで無条件の連帯肯定平等など存在しない世界

≒壁に囲まれた「下」に見られた人が知らない巨人たちの世界

≒「下」に見られた人の過失は吹き散らすが自分達の過失は隠してしまう存在

≒長い例外的状態にある<エス>や<対象a>など存在しないという主権者

≒「小文字の他者a」を対等な人間として文字に残る形式で相手にする必要がないと判断している存在

近代国家の一市民世界国家保護の下にある者=権力者側のウチワの情報ネットワークの中にいる存在

ネット掲示板コミュニティ教育的な豊かな知識を与える場所として使う事が禁止されている世界

労働勉強生産的な成果を挙げ社会的評価される事が美徳であるとされる世界

≒人が自分社会化するために選ぶ標識=名誉の対象=美徳のもとになる秩序

≒人が憧れる、かくありたい存在=モテる存在=小文字の他者aに模倣される存在

第三者の審級規範的な判断の究極的な帰属先=権威を感じ自発的に従おうと思う存在

言語的、父権的な中心ないしコード象徴的父の表象であり、制度であり、掟

共同体言語的に構造化されている共同主観的世界

超自我

羊飼いを自称する存在=選民意識を持った存在

≒誇大自己に執着した存在=他者非人間的に判断したりする存在=モラルのない世界

社会的権威精神内部に延長したもの

≒自我理想と同じ媒体の、秘密を暴く欲望と懲罰をともなう側面

非道徳的で反倫理的な審級であり、倫理的裏切り烙印

集団の「エス」をバカにしたり笑う攻撃的な文化制作

象徴界特権化する事を推奨する存在

≒法の影=狂った法であり法を無視する=「享楽せよ」という命令

集団の「エス」や「セミオティック」の位置にある存在を徹底マークして情報を「自我理想」の位置にある存在に流している存在

≒灰人以外に活動同意を得たらよいと思っている存在

法秩序の外にあり、しかしま法秩序に属している存在

個人情報漏洩する国家プライバシー侵害する国家

植民地主義国家民族差別を容認する国家人権侵害を推奨する国家死刑を支持する国家、同じ国民の中に棄民を作り出す国家

近代社会合理的理性を自称する存在=非理性的な「エス」とした存在を抑圧的制裁の対象としていいとしてもいいとする存在

対象a

現実界?=物理的な世界

≒<外>の存在=孤立した残余=メタ視点

ドライ世界

人狼の森、砂漠不毛地帯といった心象風景

≒羊抜け

現実領域対象aの除去の上になりたっているが、それにもかかわらず対象a現実領域を枠どっている

犠牲メカニズムにより歪められた表現犠牲者よりに修正した回顧的な文章を書く暴力行為告発する探偵

反ユダヤ主義者にとってのユダヤ人的存在

≒メラニー・クライン的な意味での「乳房

まなざし永井均の言う<私>

秘密の宝=他者にとっての私に還元されない<私> ≒象徴秩序の外

≒寄る辺ない存在

2015-01-23

エロ漫画における絵の巧さが押しつける異常性癖のおぞましさについて 追記

もとより、私は、こはれる。私は、たゞ、探してゐるだけ。

汝、なぜ、探すか。探さずにゐられるほど、偉くないからだよ。

面倒くさいと云つて飯も食はずに永眠するほど偉くないです。

私は探す。そして、ともかく、つくるのだ。

自分の精いつぱいの物を。

然し、必ず、こはれるものを。

然し、私だけは、私の力ではこはし得ないギリ/\の物を。

それより外に仕方がない。

それが世のジュンプウ良俗に反するカドによつて裁かれるなら、私はジュンプウ良俗に裁かれることを意としない。

私が、私自身に裁かれさへしなければ。

たぶん、「人間」も私を裁くことはないだらう。

坂口安吾著「余はベンメイす」

序論

自分前回、少なくとも今の自分が"そうである"と信じる所を書いた訳である

批判こそあれど、撤回をする事で偽るべきではないと思う

しかし、いくつかの指摘には自らの答えを以って表明とするのが正しいと信じ、追記をする

前回の記事を書いた後の指摘にて自分が後悔したのは"欲望がどこから来るのか"という部分だ

タイトルだけに反応すれば、自分のスケベさを絵のせいにするなよ、と。

性的嗜好覚醒とは外から来るのか自らの内から来るのか。それはあたか信仰に似ている。

それは押し付けられたのではなく、もともと潜在的に有していたモノが開花しただけかもしれない。

人間は欲望が渦巻くスープであり自然は際限なく冷酷なものであるから

クジラックスが好きだけど異常性癖になった事はない、ただ少女愛は元々備わっていて偶々手に取ったのがそういった趣向のエロ漫画だったというだけだ。


これらの指摘は、全く正しいと思われた

そう、自分自分パスカルの「パンセ」を引用

"人はエロ漫画の持つ力で屈服させられ、目覚めさせられ、開発され、汚染される"といった趣旨の事を書いたように思う

私は私の体験を文章として切り取ったにすぎず、故にこれを撤回しない

しかし、人は自らの体験を真実、伝えきることはできない

ここにおいて自分象徴界限界を知る事になる

しかし、自分自分表現し得る辺縁の部分まで突き詰めてみたく思う

本論

怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。

おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。

フリードリヒ・ニーチェ著「善悪彼岸


まり、ここでは"力を振るうのは誰か"と言う事が問題となる

自分を屈服させ、従わせ、駆り立てるのは誰か

エロ漫画によって異常性癖になった」などとは言わない

それは私の作品への投影に過ぎない(※1)

あくまで「自分が選び、自分が惹かれ、自分決断し、自分が選んだ」に過ぎない

決めたのは自分自身に他ならない

然しそれでも、私の主観としては「作品によって、自分は屈服させられたのだ」という感覚を捨てきれない

春本を読む青年子女が猥セツなのではなく、彼等を猥セツと断じる方が猥セツだ。

そんなことは、きまりきつてゐるよ。君達自身、猥セツなことを行つてゐる。

自覚てゐる。それを夫婦生活の常道だと思つて安心てゐるだけのことさ。

夫婦の間では猥セツでないと思つてゐるだけのことですよ。

誰がそれを許したのですか。

神様ですか。法律ですか。阿呆らしい。

許し得る人は、たゞ一人ですよ。自我

坂口安吾著「余はベンメイす」


では、自分自身意識は何によって駆り立てられたか

ジャック・ラカン提唱した概念対象aと言うものがある

「明らかに自分が選んでいる筈なのに、屈服させられていると感じる」という主観

主体と客体の逆転がここで生じることについて、このエピソードが近しいのではないか

若きジャックは、よくいる活発で利発な青年の一人として、

自らのインテリとしての優遇された生活に疑問を覚えてか、

荒い海で漁師として働いたことがあったという(一夏のアルバイトであったと想像しよう)。

この時、船の上で、彼の同僚である教養な男が、海上を指差した。

そこにはどこから流れてきたのか、一つの空缶が浮かんでおり、

強い陽射しを反射して、キラキラと輝いていた。男は次のようなジョークを放った。

「こっちからは向こうが見えてるけど、向こうからはこっちが見えていないんだぜ」。

しかしこの時、ラカンは、「違うのではないか、むしろ向こうこそがこちらを眼差しているのではないか」と直観した。


対象a

人間が一生を通して追求するもので、想像界象徴界現実界中間にあり、欲動が求める対象

他の精神分析学派の主張する部分対象や移行対象自己対象との関連性が指摘される。

経験として象徴化された世界の背後の示唆、亀裂、欠如としてのみ経験される。

単なる事実以上の何かを孕んでいるという不確定な過剰さを喚起するもの

自らの世界の中に象徴化された欲望の対象痕跡

満たされない欲動の向かうところ

詳しくはこれを参照して欲しい





幼児期において、人間は万能であるという錯覚がある

求めれば完全に満たされ、不快なことはすぐに排除され、自分意志によってすべてが好転する

世界には他者などおらず、自己しか存在しない

しかして、その世界には終わりがある

聖書にて失楽園があったように、人間にも楽園からの追放がある

自我の芽生えである

世界には自分以外の存在があり、すべてが自分の思い通りなるわけではない」という事が分かるようになる

絶対的依存や信頼、母子密着状態からの脱却、対象との関係性の生起である

しかし、人間はこの時の愛着を忘れない

例えば、母親との絶対的な密着を忘れられない子ども

母親の代わりに毛布を肌身離さず持ち歩くようになる(※1)

成人した後は、形を変えて残る

人は過去の幻影を追って止まないし、追わないで居られるほど聖人君子でもない

「夢を追う」「面影を探す」「憧憬する」「焦がれる」「つい見てしまう」「どうしてか同じ行動をしてしまう」

幼児の頃の万能な世界や、絶対的幸福、真理や真実表現されるもの探し求める

しかし、それはみつからない

絶対的愛情存在しないし、絶対的幸福存在しないし、絶対的絶望存在しない

完璧文章などといったもの存在しない。

完璧絶望存在しないようにね。

村上春樹著「風の歌を聴け



しかし、人はそれを求める

逆説的であるが、人がそれを追いかけるときに初めて真理は存在することとなる

然し、真理といふもの実在しない。

即ち真理は、常にたゞ探されるものです。

人は永遠に真理を探すが、真理は永遠に実在しない。

探されることによつて実在するけれども、実在することによつて実在することのない代物です。

真理が地上に実在し、真理が地上に行はれる時には、人間はすでに人間ではないですよ。

人間人間の形をした豚ですよ。

真理が人間にエサをやり、人間はそれを食べる単なる豚です。

坂口安吾著「余はベンメイす」



結論

自分が信じた正義(今回で言えば、緑のルーペ氏が描いた人間尊厳冒涜するエロ漫画否定する事)は

主観としては作品のものの力によって屈服させられたように感じられる

しかしその実、それは作品の力という要因だけに帰属しない

自分自分の力によって自分正義破壊したに過ぎない

自分を駆り立てものはいだって「ガラクタ」、「吊るされた人参」、そして坂口安吾の言う所の真理である

欠如の象徴としてのそれらを埋めるため、自分は「人の倫理破壊する作品」に惹かれる

それと同時に、自らの正義がそれを許容せず「自分が望んでいるのではない、望まされたのだ」と投影させる

氏は「宇宙人の冬」を業の深い作品と説明した

それは、こうした葛藤を生じさせることに意識的であったからだろうか



脚注

※1:投影

投影(projection)とは、自分のなかにある受け入れがたい不快感情性格他者が持っているかのように知覚することである

たとえば、怒りっぽい人が、自らの怒りの感情を受け入れず、それを他者投影して逆に他者自分に対して怒っているのだと決めつけるような場合である

※2:俗に、ライナスの毛布と呼ばれる。移行対象のこと

ラカン

現実界

フロイト現実原則や、カント命題"ein leerer Gegenstand ohne Begriff"(「掴み得ぬ空虚対象」。独語

などから敷衍した概念で、空虚で無根拠な、決して人間が触れたり所有したりすることのできない世界の客体的現実を言う。

以下に記述する想像界にも象徴界にも属さな領域であり、例としてはトラウマ不安現実における体験などで言及される。

象徴界

人間存在根本的に規定する言語活動の場のこと。

また数学などもこれに含まれる。

ラカン言語活動によって形成される人間のつながりを大文字の他者と名づけている。

これは自己他者をつなげる共通の第三者としての言語を指している。

大文字の他者言語活動の一部であることから象徴界に属するものとして考えられている。

想像界

想像界とは、たとえば「日常」平和」「不幸」といった、

人であれば誰しも漠然イメージできるけれども、

その正確な描写となると大変な労力を要するような対象世界を指しており、

かつわれわれが頭で思っているものを言う。

 
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