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2023-11-01

ネットワークオペレーションセンターNOC)の自由に関する宣言

ネットワークオペレーションセンター(以下、NOCとする)は、基本的人権ひとつとして知る自由もつ国民に、コンテンツ通信基盤を提供することをもっと重要任務とする。
  1. 日本国憲法主権国民に存するとの原理にもとづいており、この国民主権原理を維持し発展させるためには、国民ひとりひとりが思想意見自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由保障が不可欠である
  2. 知る自由は、表現の送り手に対して保障されるべき自由と表裏一体をなすものであり、知る自由保障があってこそ表現の自由は成立する。
  3. 知る自由は、また、思想良心の自由をはじめとして、いっさいの基本的人権と密接にかかわり、それらの保障を実現するための基礎的な要件である。それは、憲法が示すように、国民不断努力によって保持されなければならない。
  4. すべての国民は、いつでもその必要とするコンテンツを入手し利用する権利を有する。この権利社会的保障することは、すなわち知る自由保障することであるNOCは、まさにこのことに責任を負う機関である
  5. NOCは、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、自らの責任にもとづき、NOC間の相互協力をふくむNOCの総力をあげて、公開されたコンテンツと整備された通信基盤を国民の利用に供するものである
  6. 他国においては、NOC国民の知る自由保障するのではなく、国民に対する「思想善導」の機関として、国民の知る自由を妨げる役割さえ果たしている事実があることを忘れてはならない。NOCは、これを他山の石とし、国民の知る自由を守り、ひろげていく責任を果たすことが必要である
  7. すべての国民は、NOC利用に公平な権利をもっており、人種信条性別、年齢やそのおかれている条件等によっていかなる差別もあってはならない。
    外国人も、その権利保障される。
  8. ここに掲げる「NOC自由」に関する原則は、国民の知る自由保障するためであって、すべてのNOC基本的妥当するものである
この任務を果たすため、NOCは次のことを確認実践する。
第1 NOCコンテンツ収集自由保障する
  1. NOCは、国民の知る自由保障する機関として、国民のあらゆるコンテンツ要求にこたえなければならない。
  2. NOCは、コンテンツ選択アクセス制限を行わない。特に
  3. NOCは、成文化されたコンテンツアクセス方針を公開して、広く社会から批判と協力を得るようにつとめる。
第2 NOCコンテンツ提供自由保障する
  1. 国民の知る自由保障するため、すべてのNOC内に配されたコンテンツは、原則として国民自由な利用に供されるべきである
    NOCは、正当な理由がないかぎり、ある種のコンテンツ特別扱いしたり、コンテンツの内容に手を加えたり、NOCから撤去したり、廃棄したりはしない。
    提供自由は、次の場合にかぎって制限されることがある。これらの制限は、極力限定して適用し、時期を経て再検討されるべきものである
  2. NOCは、将来にわたる利用に備えるため、コンテンツを保存する責任を負う。NOCの保存するコンテンツは、一時的社会的要請個人組織団体から圧力干渉によって廃棄されることはない。
  3. NOC掲示板等は、国民自主的学習創造を援助するために、身近にいつでも利用できる豊富コンテンツ組織されている場にあるという特徴を持っている。
  4. NOCは、掲示板等のアプリケーションを、営利目的とする場合を除いて、個人団体を問わず公平な利用に供する。
  5. NOC企画する集会行事等が、個人組織団体から圧力干渉によってゆがめられてはならない。
第3 NOC利用者秘密を守る
  1. 利用者が何を閲覧するかはその人のプライバシーに属することであり、NOCは、利用者アクセス事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合例外とする。
  2. NOCは、アクセス記録以外のNOCの利用事実に関しても、利用者プライバシーを侵さない。
  3. 利用者アクセス事実、利用事実は、NOC業務上知り得た秘密であって、NOC活動従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない。
第4 NOCはすべての検閲に反対する
  1. 検閲は、権力国民思想言論の自由を抑圧する手段として常用してきたものであって、国民の知る自由を基盤とする民主主義とは相容れない。
  2. 検閲が、NOCにおけるコンテンツアクセスを事前に制約し、さらに、コンテンツ撤去、廃棄に及ぶことは、内外の苦渋にみちた歴史経験により明らかである
    したがって、NOCはすべての検閲に反対する。
  3. 検閲と同様の結果をもたらすものとして、個人組織団体から圧力干渉がある。NOCは、これらの思想言論の抑圧に対しても反対する。
  4. それらの抑圧は、NOCにおける自己規制を生みやすい。しかNOCは、そうした自己規制におちいることなく、国民の知る自由を守る。
NOC自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくま自由を守る。
  1. NOC自由の状況は、一国の民主主義の進展をはかる重要指標であるNOC自由が侵されようとするとき、われわれNOCにかかわるものは、その侵害排除する行動を起こす。このためには、NOC民主的運営NOC構成員連帯の強化を欠かすことができない。
  2. NOC自由を守る行動は、自由人権を守る国民のたたかいの一環である。われわれは、NOC自由を守ることで共通立場に立つ団体機関・人びとと提携して、NOC自由を守りぬく責任もつ
  3. NOC自由に対する国民の支持と協力は、国民が、NOC活動を通じてNOC自由の尊さを体験している場合にのみ得られる。われわれは、NOC自由を守る努力不断に続けるものである
  4. NOC自由を守る行動において、これにかかわったNOC構成員不利益をうけることがあってはならない。これを未然に防止し、万一そのような事態が生じた場合にその救済につとめることは、全てのNOCおよびNOC構成員が果たすべき重要な責務である

(2023.11.1 決議)

2023-08-08

なぜ図書館には漫画ゴシップ誌がないのか

「なぜ図書館で本を借りることは恥ずかしいのか?」

https://blog.tinect.jp/?p=82951

図書館は、基本的人権ひとつとして知る自由もつ国民に、資料施設提供することをもっと重要任務とする。

1.日本憲法主権国民に存するとの原理にもとづいており、この国民主権原理を維持し発展させるためには、国民ひとりひとりが思想意見自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由保障が不可欠である

知る自由は、表現の送り手に対して保障されるべき自由と表裏一体をなすものであり、知る自由保障があってこそ表現の自由は成立する。

知る自由は、また、思想良心の自由をはじめとして、いっさいの基本的人権と密接にかかわり、それらの保障を実現するための基礎的な要件である。それは、憲法が示すように、国民不断努力によって保持されなければならない。

2.すべての国民は、いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有する。この権利社会的保障することは、すなわち知る自由保障することである図書館は、まさにこのことに責任を負う機関である

3.図書館は、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、自らの責任にもとづき、図書館間の相互協力をふくむ図書館の総力をあげて、収集した資料と整備された施設国民の利用に供するものである

4.わが国においては、図書館国民の知る自由保障するのではなく、国民に対する「思想善導」の機関として、国民の知る自由を妨げる役割さえ果たした歴史的事実があることを忘れてはならない。図書館は、この反省の上に、国民の知る自由を守り、ひろげていく責任を果たすことが必要である

5.すべての国民は、図書館利用に公平な権利をもっており、人種信条性別、年齢やそのおかれている条件等によっていかなる差別もあってはならない。

外国人も、その権利保障される。

6.ここに掲げる「図書館自由」に関する原則は、国民の知る自由保障するためであって、すべての図書館基本的妥当するものである

図書館自由に関する宣言」とやらにはこんな大層な宣言がされているようだが、実際に図書館に置かれている本は小説教育的な本ばかりで偏りがたいへん大きい。

雑誌もあるにはあるが技術的なもの文芸関係のものばかり。

国民の知る自由を謳うのであれば漫画や週刊SPA!週刊プレイボーイなんかも置くべきでは?

TOUGHを読む自由は?バカサイを読む自由は?

国民の知る自由などと御大層なことを言っておきながら、実際には体よく国民教育したいだけではないか

図書館図書館が本気で国民の知る自由を守る立場にあると思っているのなら、あらゆる書籍から平等に本を選定して収蔵すべきでは?

2021-02-14

それは「図書館の普及」が体制維持に必須位置付けられていたか

図書館法律がそうだからというのは理解している。

はい、非常に真っ当な疑問ですね。図書館法というのはいかに特別法特別法していますし、

そんな特別法をあえて作った理念はなんぞや?という疑念を持つの論理的思考当然の帰結です。

こういう時は当の法律を見ましょう。


図書館

図書館法第1条 (この法律目的
この法律は、社会教育法昭和24年法律第207号)の精神に基き、図書館の設置及び運営に関して必要な事項を定め、その健全な発達を図り、もつ国民教育文化の発展に寄与することを目的とする。

はい、飛ばされましたので、リンク先を見ましょう。


社会教育法

社会教育法第一条  (この法律目的)
この法律は、教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)の精神に則り、社会教育に関する国及び地方公共団体任務を明らかにすることを目的とする。

はい、また飛ばされました。特別法の濃い匂いが漂っていたのは伊達じゃないですね。


教育基本法

教育基本法 前文
我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的文化的な国家を更に発展させるとともに、世界平和人類福祉の向上に貢献することを願うものである
我々は、この理想を実現するため、個人尊厳を重んじ、真理と正義希求し、公共精神を尊び、豊かな人間性創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統継承し、新しい文化創造を目指す教育を推進する。
ここに、我々は、日本国憲法精神にのっとり、我が国未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

はい、「前文」ですよ、前文。さすが基本法憲法級の重厚さです。

読みましたか? 前文だけに、その内容も高邁な理想理念を謳う大上段な代物です。


さて以上からわかるのは

・「図書館法」(昭和25年制定)というのは、教育基本法社会教育法を受け、その目的を直接に受け継いで補完するために制定された。

・その目的というのは「民主的文化的な国家を更に発展させ、世界平和人類福祉の向上に貢献する」という「新憲法精神」そのもので、

・新憲法精神実現のためには、「我が国未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図る」のが重要という認識がなされています

・具体的には、憲法公布(S21)→教育基本法(S22)→社会教育法(S24)→図書館法(S25)、というダイレクトな流れがあり、GHQ国会は新憲法制定後、大急ぎで、この教育関連法セットを整備してるわけです。

当時の情勢的には、とりあえず占領して、「自由民主主義国家」を作ってみたものの、GHQにしてみればこの間まで「天皇陛下万歳!」とやってたファシズム国家人民がいきなりこれを使いこなせるのか甚だ不安だったわけです。ならば対策教育、それも学齢のみならず社会人も含めた全国民教育必要、という危機感があって、教育基本法の大上段な前文と大急ぎの教育関連立法の背景になっているんですね。

(そんな事情なので、「大急ぎ」と書きましたが、実際にはGHQ基本法から図書館法の整備まで3年かかっていることすら苛立って督促かけまくってます


この「【日本国民教育計画】になんで図書館まで含まれるのか?」というと、そこは(欧米的な)「議会制民主主義イデオロギー」の部分になります

・「議会制民主主義」は健全良識ある市民がいてこそ成り立つ。

健全良識ある市民が育つには自由言論知識へのアクセス必要

これが欧米ポリアーキー(おおざっぱには「自由を重んじ議会を中心に据えた民主主義体制」と思ってください)を支えるイデオロギーの柱の一つなのです。

大日本帝国は法的な主権者こそ天皇でしたが決して絶対君主ではなく(機務六条)、普通選挙による衆議院を持ち、三権分立を整備し、(憲法上の規定外ですが)議会首相任命に影響力を持っている、という結構民主的制度を持つ国家でした。それがガチガチファシズム国家として(ワイマールドイツもっと民主的だったわけですが)連合国に挑んできたわけですから連合国としては戦後日本の「ファシズム再発防止」にはかなり細部まで気を使いました。その重点施策の一つが「全国民教育」で、とはいえ国民対象の「再教育キャンプ」を作るのは手間も費用も膨大。ということで社会人教育向けとして白羽の矢が立ったのが広報宣伝マスコミ統制と並んで図書館だった、というわけです。そりゃ気合も入ります特別扱いもするってもんです。


大日本帝国にも無論図書館はありましたし、「図書館令」という法令勅令でした)もありました。ところが、この図書館令は「この令を守れば作っても宜しい」という認可のための法整備で、

公立でも有料図書館OK

・S8改正では、「国民思想善導」が前面に出る

など、欧米的な「健全良識ある市民の拠り所たる図書館像」とはかなり方向が異なるものでした。

この違いが「健全良識ある市民の育成に失敗した」(欧米観点では、そうでなければ民主的国家ファシズム化したり革命が起きたりするはずがないのです)原因の一つに見えたため、この認識に基づいて、

市民知識へのアクセシビリティの確保(無料で全国津々浦々に)

改正図書館令のような「図書館思想統制の末端機関となる事態」を防げる図書館独立

を法で厳重に担保する必要があったというわけです。


自由知識の集積、その集積への市民自由アクセスなくして民主主義なし」というのは、自由議会制民主主義の根幹をなすイデオロギーで、だからこそGHQは全力で推進したわけです。

あくままでイデオロギーですから、「功利観点で利が多い」という判断から図書館特別扱いしているわけではありません。「民主主義が成り立たない」という「(エビデンスがあるとは言い切れないにも関わらず)重要過ぎて試すことすらできない根幹の部分」を盾にとっているからこそ特別扱いOK、というか「特別扱いしなければならない」という理念なのです。

そういう背景ですから、例えば体育館図書館と同じような強力な法的地位を与えるよう運動する際には、「図書館特別位置付けられている理由」は全く参考になりません。図書館のケースと全く別の論理、例えば「功利エビデンスを示して財政難でも優先すべき、と多数の賛成を得られるよう説得」なんかを行う必要がありますので、なかなか実現は難しいのではないでしょうか。

もし図書館同様の理由体育館特別で強力な法的地位を得ようとするなら、まずは「健全精神健全な肉体にしか宿らない」とかの、現在民主主義と異なるイデオロギーを持った国家体制に作り替えるところから始める必要があります

https://anond.hatelabo.jp/20210212214154

2012-05-11

偏差値3でもわかる!武雄市図書館問題

目次

  1. 今回の問題
  2. 1分でわかる論争の要約だよ!
  3. 論点1 現行の「個人情報」の解釈が遅れているか否か問題
  4. 論点2 CCCTSUTAYA )の管理する「IDに紐付いた貸出履歴が個人情報に該当するか」問題
  5. 論点3 図書館の自由を守るべきか否か問題
  6. まとめ 

今回の問題

図書館の貸出履歴をカルチュア・コンビニエンス・クラブ提供し、TカードIDヒモ付て管理することは、プライバシー上問題がないか

とうことですねよ。これに関して、セキュリティ専門家高木浩光さんと、武雄市長が論争を繰り広げています

ただ、法律専門用語が多かったりして難しいので、偏差値3でもわかるように、要約・解説してみました。

1分でわかる論争の要約だよ!

 お二人の議論を整理すると、

武雄市長「図書館の貸出履歴は、現行法の「個人情報」に該当しない。したがって、問題がない」

高木浩光氏「現行の「個人情報」の定義が遅れている。不備がある。現行の解釈では個人情報が守れない」

という議論をしています。もう少し詳細に見ていきましょう。

武雄市市長の主張は、以下のようなものです。(元リンク http://hiwa1118.exblog.jp/15848122/

・現行の個人情報定義は「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。」

・したがって、貸出履歴は個人情報に該当しない。なぜなら、容易に個人を特定できないから。

・よって、高木はファック。俺は国Ⅰ。

という論理です。文章は自意識がひりでて読みにくいのですが、役人論理としては、しっかり筋を通しているあたりは流石ですね。要するに、法律論でのかっこつきの「個人情報」に害というしなので問題ねぇぜ!というお話です。

一方、高木さんの主張は以下のようになります。(元リンク http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20120508.html

・現行の個人情報定義に不備がある。たとえば、スマホアプリの端末IDに紐付いた行動履歴等は現行法では個人情報ではないが、個人のプライバシーに関わる重要情報である

アメリカでも、スマホ端末IDに紐付いた行動履歴をプライバシーとして定義するようになっている。

IDに紐付いた貸出履歴は、上の定義でいえば、個人情報に該当する。

・加えて、営利企業であるCCCに貸出履歴を提供することは、図書館の自由に関する宣言に反する。


という論争であって、要するに、論点は以下の3つになります

・現行の「個人情報」の解釈が遅れているか否か問題

CCC管理する「IDに紐付いた貸出履歴が個人情報に該当するか」問題

図書館の自由を守るべきか否か問題

の3つになります。では、具体的に諸論点をみていきましょう。

論点1 現行の「個人情報」の解釈が遅れているか否か問題


武雄市長の主張は確かに筋が通っています。つまり、現状ではTカードに紐付いた貸出履歴・行動履歴は「個人情報」に該当しないと述べることができます

この解釈の上では、みなさんが使っているスマホの端末IDに基づいた利用情報も「個人情報」ではありません。

でも、IDと複数の情報が結びつくことで、個人を特定できる場合がありますよね。だから米国消費者権利章典では、IDに紐付く利用履歴・行動履歴は、パーソナルデータとして定義されています

また、日本でも提言レベルでは、同種の配慮をするべきだとの主張がされています

流出したら嫌な個人情報というのは、生年月日・氏名だけではないですよね。

たとえば、僕が「淫乱Aチーム」というのをTSUTAYAで借りている。さらに、僕がある珍しい難病にかかっていて、その関連書を図書館であさり読んでいるとします。

これが流出したら、IDという形で匿名化されていても、僕を知っている人は、僕個人を容易に特定できますさらに、下手に氏名が流出するより、社会的ダメージが大きいですよね。

IDに紐付いて様々な行動情報が収集されるようになりました。詳細な点と点を結びつければ、該当の個人へと繋がる線をつくるのは難しいことではない。

から、「IDに紐付く行動履歴」も個人情報として考えようよ、というのが最近の潮流になっています

ただ、武雄市長が述べているように、「現行法では問題ない」のも、また事実です。

このグレーな部分をどう解釈するか、という問題になるでしょう。


論点2 CCCTSUTAYA )の管理する「IDに紐付いた貸出履歴が個人情報に該当するか」問題


現行では問題がないと解釈することが出来るのは、先に触れたとおりです。

ただ、経済産業省の「総務省行動ターゲティング広告経済効果と利用者保護に関する調査研究 報告書」を見ると、

我が国では ID 化する等して個人識別情報(氏名等)を匿名化した場合であっても、その他の情報で個人が推知される場合個人情報となりうる場合があると解釈されている



ということで、提言レベルでは「ID化しても他の情報との関連で個人がバレるのはマズイよ」という風に問題を認識しているわけですね。

今回の件は、「IDに紐付いて貸出履歴を管理します。では、「IDに紐付いた貸出履歴」というので、個人を特定できるのか。

結論をいえば、特定できます

たとえば、マイナー病気にかかっていて、図書館自分の関連書を借りているような人の貸出履歴が流出したら、その人が誰かを特定される恐れがありますよね。

上記の報告書でも「特に書籍の購買履歴や疾病に関する検索履歴などを通じ、思想・信条や身体に関する機微情報が明らかになる懸念)」が指摘されています

さらに、TSUTAYAの貸出情報とあわさるなんてことがあれば「お前、団地妻三銃士〜隠された王女の首飾り〜借りとるやん!」なんてのがわかってしまう。


貸出履歴でも、個人を特定することは不可能ではありません。

ということで、「」つきではない、個人情報に貸出履歴が該当する可能性が高いと考えるのが妥当です。


論点3 図書館の自由を守るべきか否か問題



セキュリティの議論から離れて、図書館が利用者の貸出履歴を行政差し出すのは、図書館の自由に関する宣言に反するという問題もあります

図書館というのは、戦前思想善導機関として機能していた歴史があります思想善導機関として、「あるべき思想」を押し込むために、国民の知る自由を妨げてきてしまった。

その反省の上に、「図書館の自由」が宣言されました。図書館は、思想統制歴史を繰り返さないために、

第3 図書館は利用者の秘密を守る

1. 読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする。


のように宣言。他にも検閲への反対は有名ですね。

要するに「図書館というのは、民主主義根本である『知る』を支える機関から、それを守るために利用者の貸出履歴も守る。」ということですね。

共産主義の本をかりている奴らがいました。奴らはアカです」なんて報告されたら、思想の統制なんて簡単ですから

もちろん、宣言ですから法的な拘束力はないです。図書館法には貸出履歴の提出を禁じるという部分があるわけでもない。

でもな、違うんだよ!!!

これを認めちまったら、図書館自殺と同じだよ。「何を読むか」が弾圧につながった時代経験してきたからこそ生まれた「利用者の秘密を守る」とか検閲への反対がある。それこそが「知恵の保護者」たる今の図書館アイデンティティなんだよ。

それだけは知恵の機関たる図書館が絶対に、絶対にゆずちゃいけないところだ。

で、もちろん、今回の件は、図書館の自由に反します。TSUTAYA武雄市も外部ですから

この点武雄市長は「単なる部族社会の宣言」と述べて、退けています

おい、どれだけの歴史があって、苦心があって、図書館の自由に関する宣言が生み出されていると思ってんだ。てめぇの薄っぺらい頭髪の何兆倍の厚みがあると理解してんだ?Ah?

いから黙ってマザーファックしとけ、このアスホール野郎。

議論のまとめ


はい、ということで議論をまとめると、

・現行の解釈下での「個人情報」には、TSUTAYA提供する貸出履歴は該当しないということができる。

しかし、アメリカ経産省提言レベルでは「IDに紐付いた行動履歴」はプライバシー個人情報と考えられるようになってきた

・なぜなら、難病患者などは、貸出履歴でも個人を特定できてしまうから

・今回の貸出履歴の問題は、「IDに紐付いた行動履歴」なので、法律上問題ないにしても、流出すればプライバシーを大きく侵害するおそれがある

さらに、利用履歴を提供するのは、図書館の自由に関する宣言に反する(これ、大事

となります

以上を踏まえた上で、みなさんはどう考えますか?

参考URL

http://hiwa1118.exblog.jp/15848122/

http://d.hatena.ne.jp/next49/20120510/p1

http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20120508.html

 
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