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2016-11-16

増田少年記

もう随分昔になるが、増田少年がまだ小学生であった時分、クラスミニ四駆の肉抜きとネット張り加工がひと流行りしたことがあった。

手先が器用な連中が次々に色とりどりのネットを張ったミニ四駆を持ち寄るようになったので、

増田少年も、ようしここはひとつ自分もシュッとして恰好のよいミニ四駆を作って連中を驚かせてやるぞと、

日々公園の滑り台の上から発進させてはクラッシュさせていた愛機・ビークスパイダーを手に取ったわけである

しか増田少年、壊滅的に手先が不器用な上に結果をイメージして行動することが苦手で、さら我慢もきかない性分であったので、

筆をとれば一筋のはみ出しに嫌気が差して画用紙一面を一色で塗りつぶす作業に精を出し、

粘土を捏ねればああでもないこうでもないとしばらく唸ってから、8割方完成した作品を糸で賽の目切りにする、そういった子であった。

さてそんな増田少年、これで相棒が速くなるぞと、意気揚々と道具箱から錐と小刀を手に大手術を待つ哀れなビークスパイダーの前に座る。

学年×100円という、コロコロコミックを毎月買うこともままならない小遣いでは、ピンバイスなどという立派な道具は望むべくもないのであった。

オクラネットよし。爪切りについてるヤスリよし。セロハンテープよし。

どう使うかは考えていないが飾りつけ用のモールタコ紐も、完成度をあげるために色を塗る黒マッキーも用意した。

「さてどこから……ようし、まずはここら辺りに穴を開けようか」そう決めた増田少年が狙いをつけて振り下ろした小刀は、一撃でビークスパイダーの樹脂でできた体を粉砕した。

サァと血の気が引き「ああ、しまった、最初は錐で小さな穴を開けるんだったか?」と汗をかく増田少年だが、

ラバラに砕けた愛機の破片はあちらこちらに飛び散り、見るからにもうなんともしようのなさそうな有様であった。

しばらく砕けたボディを手に取ってパズルのようにあわせてみたり、セロハンテープでもって繋いだりしてみたものの、

やはりいかんともしがたいので、仕方なく破片を念入りに粉々にしながら、増田少年は次の方策を考えることにした。

なぜ破片を砕くかと言えば、600円もするおもちゃを壊したことが母に露見するときつく叱られかねないので、帰ってくる前に小さく砕いて飲んで証拠隠滅を図ろうと、そういうわけであった。

つづく

 
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