はてなキーワード: 大嵐とは
自分にも他人にも苦手な表現があることを理解している←これは正しい
みんな堂々と好きに表現するけど騒がずに我慢している←ここが大嘘
男性向け同人界隈において表現とは喧嘩の狼煙である!!!!!!
たとえば貧乳のキャラがいる。そのキャラのちちを盛りまくった絵を出すやつがいる。貧乳派はそれに耐えるのか? 答えは絶対にノーである。
「原作見てませんよね? あのほっそいラインが至高なんですが?」
「原作だとここのこのページが一番でかく見えるがそこでもちちそんなにねえよボケッ!!!」
「やかましいーーーッ!!! そもそも絵も描かずに消費だけしてるやつらにブツクサ言われたくないわーーーッ!!! というか俺のメディア欄にはでかいちちしか載ってないだろうがーーーッ!!! 原作の前に俺がどういう絵師か調べてからものを言えこのド低能がぁーーーッ!!!」
こうなる。だいたい3時間ぐらいで相互ブロックの形に落ち着く。そのため、リアルタイム性癖喧嘩を目撃していない人間どもが男性向けはそんなに繊細じゃないんですわ~などとたわけたことを述べているにすぎない。
ちなみに性格が違うといういわゆる解釈違い喧嘩も普通にある。女性向けの専売特許みたいに言われがちだが普通にある。
とはいえ敬語キャラが敬語じゃないとか勇ましいキャラがびっくりするほどネチネチしたイビリをしているとかそのぐらいの二次創作でないと言われないが、言われるときはそれはもう「お前エアプか? イナゴが? ゴロか?」の大嵐が吹く。
たいして女性向けはみーんな地面の下にかくれ……つつましくくらし……けんかなんかもってのほかっすよ……。みたいなツラをしてる。なのでなんか……溝が生まれた。
なんでこんなわけわからん風潮になったかというと、女性向け同人界隈もまた、大昔はスラムだったからである。女性向けがきったない大喧嘩をしていた過去を探られたくないのである。
大昔のこと。カップリングの表記なんかろくになかったり、よろず本とかいってホモとレズとノンケがぐちゃ混ぜであったり、なんかいきなりキャラがはらわたをぶちまけていたりした。当然闘争が発生する。
それらは手紙という名の果たし状の形をとる。会場でにらみ合いもある。椅子や机を蹴る! 蹴られる! 罵詈雑言が飛び交う! 英語でいうところのファックワード並みのきたないチクチク言葉を面と向かって語る! しまいには対抗サークルの目の前で頒布している本を裂く!!!(この際、嫌いな本を買ってから裂いている。当たり前といえば当たり前だがなんでそんなことしてんの?)
そんな状態から20~40年経って女性は喧嘩が嫌になったというか面倒になったので各々隠れるようになった。隠れているので地雷は踏むほうが悪い。これで終わり……ではないらしいが……だいたいそうなった。
たまに注意書きなしで竿役にちちが生えて女役にパイズリしたあとガン掘りを始める地獄みてえな本とかでるけどそういうのはごく稀になった。よかったね。
男性向け界隈が俺たちは我慢してるのに~論を出したり出さなかったりするのは、痛がってるところを見られるとダサいという観念からだろう。
いや……なんもクッションなく推しが全裸でムカデとかに這われてる絵が表示されるのは嫌だろ……と言いたくても言えない雰囲気がある。この場合言えないのは界隈にであって、ムカデを描いた個人にはバリバリ文句を言っている。それはそう。
このたびの男性向けと女性向けの分断につきましては、男性が「痛いから喧嘩してんだボケ!」と解決法を明かすか女性が大昔の風紀に戻るかというところ。たぶんどっちもできないのでこのままへんな溝が埋まらないままであろう。合掌。
*食事をしている人は読まないでください。
ずっと便秘。さらには腹痛もひどい。大腸検査は問題なし。どの病院に行っても、食物繊維と水分をとって運動しましょうで終わり。
それをやったとて出るのは4〜5日に一度。大嵐のような感じで尻穴は毎回悲鳴を上げている。
食事は自炊を中心に、野菜を多く肉や卵も食べてバランスよくとっている。
酒は飲まない。
どう考えてもかなり健康的な生活、腸を想った暮らしを送っている。
でも変わらない。酸化マグネシウムや、イチジク浣腸がないとコントロールすらできない。
依存してはならないと、どちらも断つと一週間くらい出ない時もあり、その時はもう深夜だろうと早朝だろうと3時間はトイレに籠る。
世の中のSF作品には嘘が多くそれによって勘違いをする人が多く居て困る。
私は前々からそういった人達の勘違いからくる発言によって迷惑してきた。
取材だったり、質問だったり、若手の失敗、取引先の相手との行き違い、あらゆる場面で「SFから得た間違った知識」にストレスを感じさせられてきた。
同じような間違いを何十人何百人という人間が口にし、その度に指摘し続けることに疲れた。
巷でSF映画が話題になる度に、そういった勘違いをした人がまた自分のもとにやってくると思うとウンザリする。
映画のCMを見るだけで、作品の面白さが最優先で現実の科学なんてものはそのための触媒としか思ってないことが伝わってくる。
詳しい人間に大雑把な質問をぶつけるだけで好奇心を満たしてしまわずにもっと根源的な部分からしっかりと知識を積み上げて欲しい。
SF作品であっても、現実の事象をちゃんと再現しようという気持ちがあるのなら否定する気はなく、それらが「正しい知識」を多くの人に授けてくれる事さえ期待する。
私は前に「プラネテス」という漫画もまさにそういった作品であるかのように誰かに薦められた。
そのことを思い出してふと手にとって見たが、なんのことはないこれもまた嘘まみれの作品であった。
私は非常に強く傷ついた。
私が嘘にまみれたSFを嫌いだと知っているはずの人達からこんなものを薦められたことに苛立ち、孤独感に襲われ、この世界から断ち切られた絆を必死に取り戻そうと焦ってしまった。
私の頭の中で「プラネテスという作品」「その作品の読者」「フィクションから得た間違った知識を信じる人」「間違った知識を信じたことで宇宙事業の足を引っ張るような人」がごちゃまぜになっていた。
特に最後の「間違った知識を信じたことで宇宙事業の足を引っ張るような人」と「プラネテス」が結びついた時、過去のあらゆる悲しみの原因がプラネテスにあるかのように私の脳が錯覚を起こしたのだと思う。
幾千の作品の行く万という嘘によって作り出された幾億の人の勘違いの全てから産まれた苛立ちを、たった一つの作品にぶつけてしまった。
もしも私が突然「私は日本人に沢山酷いことをされたので、日本人である貴方を殺すことで憎しみを晴らします」とお互いに初めてあう相手同士で言われたらギョッとするだろう。
それと同じことをしてしまった。
私が理解してほしかったのは「作品としてしっかりしている」と言われるようなSFでも「サイエンスとしての考証がしっかりしていること」は全く保証されていないという事だったのに。
そして、その違いを切り分けることなく安易につなげて考え「この作品は面白いから、この作品は本当なんだ」というような勘違いはしてくれるなという事だったのに。
これも少し違っていて、実際には「勘違いはしてくれてもいいが、それが勘違いなのかどうかを自分で本を読んで学ぼうという姿勢を持ってくれ」なのだ。
漫画から得た知識を繋ぎ合わせてもどこまでも漫画から得た知識の連鎖にしかならない。
自分でしっかりと学んで欲しい。
面白いSFを読んだ次に向かう先が、次の面白いSFではなく、科学雑誌であってくれればいいのに、そういった自分の気持ちが世の中とすれ違っていると感じて、産まれた孤独感が暴走してしまった。
「作品の面白さは科学的な正しさを保証しない」ということを、世の中のすべての人に理解してもらおうなんて押し付けだったのかも知れない。
リアリティがある作品こそが素晴らしいという価値観が逆流していき、素晴らしい作品であればそれがリアリティであると世の中が歪んでいったのだなんてのは私の杞憂なのかも知れない。
兎にも角にも、私が自分の長年の苛立ちを特定の作品そのものにぶつけたのは度が過ぎたことだ。
ありとあらゆる罪の根源を特定の何かを生贄にして押し付けるようなことなどが許されるのは神様ぐらいのものだ。
人間のくせに「現在過去未来その全ての悪の象徴としてお前を断罪する」なんて口にしたのは「分を弁えない」ことだった。
人間に出来るのは、あくまで一度に一つの作品に対して、一人の人間に対して、一つの間違いに対して、一つずつ対処していくことだったのに。
長い時間の間に溜まってきた不満を一度にぶつけてはいけなかったのだ。
個人的なわだかまりや消化不良な怒りの積み重ねから出た99%の八つ当たりをさも100%正当な怒りのようにぶつけたことを謝らせて欲しい。
それでもわがままを言うならあの怒りに1%ほどは正当なものがあったということぐらいは許してもらえないだろうか。
私達はいつだって「フィクションから産まれた嘘によって現実がおびかやかされること」に怯えて暮らしてきたのだ。
有名な作品であれば有るほど些細な嘘がより多くの人を巻き込み大きな渦となって現実に襲いかかってくる。
「作品において嘘を書く」ということは、どこかで現実の科学と戦っている人間に突然の大嵐となって遅い来る可能性を生むとういことを知っておいて欲しい。
それでも、これは私達科学者が戦わなければいけない私達の問題なのだということから目を逸らすつもりはない。
ただ、「分かった上で、それでも誰かを楽しませるために仕方なくやっているだろう」と思わせて欲しい。
本当に、本当に不安になるのだ。
娯楽作品で安易に飛び交う嘘を見る度に、それがどんな形で自分たちを脅かしにくるのかが。
私達の臆病さを、慈悲を持って許してくれるとありがたい。
こんなもんかな?
なんで俺が言語化するのかって?
かんたんだよ。
あの爺さんはプライドも高いし半端に知識も有るしその癖ボケが進行しているからもう自分の口で自分が言いたいことも言えなくなってるからさ。
だからその代わりに俺が言ってやるのさ。
言語化ってなにも本人がしなきゃ駄目ってこともないだろ?
私の親は毒親だと思う。といっても、猛毒まではいってないと思うけど。
実家は山陰。両親は有名大卒と地方国立大卒で、当時としてはかなりの高学歴夫婦。父親は家業を継いでいて、母は一応専業主婦。だけどその実態、父親はおそらくはアルコール依存症だったし、母親は同居生活で、舅姑、彼女が嫁ぐ前は小姑からもかなり激しくいびられていたらしい。しかもこの母、家事の才能がまるでなしで片付けが全くできず、料理も決してうまいとはいえなかった。そんな中で育った兄と私。兄にとって両親がどうだったかは知らないけど、私はしばしば親、特に母親と衝突していた。
親は、私を親のお眼鏡に叶う偏差値の大学に進学させた後は地元の名家に見合いで嫁がせるつもりで育てていた。自分もそうするものだと思っていたけども、気づいたら全く違う人生になっていた。
中学のころだったと思う。朝食を食べて、兄が牛乳を食卓に放置していた(それさえも私は知らなかったのだけど)。帰宅してそれを見つけた母が激しく私たちをなじった。兄は黙って聞いていたけど、無関係の事まで持ち出して咎のないはずの私まで罵倒し始めたので、我慢できず言い返した。その後黙って家を出てしばらく友人宅にいたのだけど、迷惑もかけられないので帰宅した。その後もまあ激しく怒られたのだけど、あまりにひどい罵倒の数々に「子供に人権はないのか」と言ったのだ。その時に言われたのが「かわいげがない」「お前は親に誤らせるのか」という言葉。後者はこの後も時々言われてそのたびにとても不快になった。この騒ぎがどう収束したのかは記憶にない。
高校の頃。思いつきで志望校を変更しようかと思った。元々の志望校よりも距離は離れるけど、偏差値は上がるし、最終的に届かなくても元の志望校に戻せばいいや、目標を変えて偏差値が上がれば結果としては受験にはいい影響のはず、という割と軽い気持ち。父親に言ったら母に相談しろと言われる。母に言うと途端にものすごく不機嫌になり「お前にあんな難しい大学行けるわけがない」「そんな遠いところの大学は許さない」かくして志望校変更は1日で元に戻さざるを得なかった。まあその程度の気持ちではあったのだけど、あの時に態度とひどい言葉はよく覚えている。
大学に進学。電車を乗り継いで半日ほどかかるところだった。最初は4人部屋、4畳半を二人ずつで使う昔ながらの寮に入った。私はゲームが好きだったのだけど、高校までの間は勉強を理由としてほとんどやらせてもらえず(こっそりやってたけどね…)テレビを持っていなくて全くプレイできなかった。なので入学後最初のGW、駅前の中古ソフト屋で買ったソフトを持ち帰ってプレイするのを楽しみにしていたのである。そして実家で夢中になってゲームしていて、親への対応がなおざりだったのだろう。夜に一人でリビングでゲームしていたら既に激怒の完成形になっている母が「ゲームしに来たんだったら帰れ!!」と怒鳴りつけるわけです。その前にゲームそろそろやめなとか話をしようとかいろいろあると思うんだが、最初から怒りMaxで来られるのでこちらも穏やかではいられず。お土産に買ってきた菓子はゴミ箱に突っ込み、翌朝父親に帰る旨を伝えたら短気は起こすなと説得される。菓子は祖母の手でゴミ箱からサルベージされていた。
バイトを始める。そこで彼氏ができた。顔だけはいい底辺高校卒フリーター(契約社員かな)だった。この男も毒親育ちのモラハラ男で、こんなダメなお前を理解し更生させてやるのは俺だけだぞみたい態度で接してくるわけですね。ただ、「何かできそうな、やりそうな雰囲気」はものすごくある人だった。終始アンチこの彼氏だった私の友達もこの点は認めてたから。数年付き合ってる事は黙ってたけど、母親に彼氏の事を話したんですね。3年生の終わり頃だったか。父親には言わないでと。「付き合うって具体的には何をするの。手をつないで歩いてとかか」「え、それはまあ」「それ以上もか」「え、まあ」というような会話があったことは覚えている。そして翌日即父親にバラされて実家は大嵐です。「もうお前の学費は払わない。男に払ってもらえ」と、できるわけがないことを言ってくる。しかもその品のない言い方が。結局別れたことにして大学は卒業したけど、勝手に合い鍵を持ち出した父親が私の部屋に侵入していたことがあった。ドアを開けたら酔っ払った父親がいるんですよ…。この時もすぐに喧嘩になって、絶対に追ってこれないところに逃げるべく、私は大学に塀を乗り越えて侵入し、女子寮の友達に頼んでかくまってもらった。翌日合鍵を渡してあった友達に頼んで父親がいない事を確認してもらってから帰宅した。テーブルの上には自律した行動をという紙が置いてあったが、アル依の父親にそのままお返ししたい。
他にも無茶な話が一つある。母親の友人は、友達と旅行などに行ったときに一緒に娘さんの部屋に泊まるのだという。娘さんは自分の友達の家などに泊まって、部屋は母とその友に使わせるのだとか。…という事を話されて、まあ自分もそのようにしたかったのかなと思ったけど空気読めないふりをしてふーん、で返したので実現しなかった。今思えば、親はともかくなんで知らないオバサンを自分がいない部屋に泊めなきゃいかんのか、絶対やだな、としか…。確かに家賃を払ってるのは親だけど、それが普通の感覚なのかな。私は嫌だけど。
とにかくこのころの私は親から離れるとこんなにも自由で楽しいのか!と気付き、実家にはろくに連絡もせず好きなことをしていた。でも親からしたら「糸の切れた凧」だったようです。嫌な表現しますね。私は耳があまりよくないこともあってか電話が嫌いなのだが、時々父親から「そろそろ母親が不機嫌だから電話してくれ」という連絡があった。で、嫌々電話していたのだけど、なんというか情けない話ですね。なぜ話したい人の方から電話してこないのか。母の日も「他の人たちは何をもらったとか楽しそうに言ってるけどうちにはなにもない、惨め」と愚痴ってくるのです。若い頃は逆に反発して意地でも送ってなかったけど、そのうちリスク回避だとネットで頼んで送るようにしてたな…正直気持ちは入ってなかった。ただのリスク回避。
大学は自分で選んだところだったけれど、言わば学歴厨の親だったので、勉強ができなくてはクズであるという空気の中で育った。私も兄も同程度の出来だったのでお互いコンプレックスは持たなかったと思うけど、これで仕上がりに差があったらどうなっていたのか、考えると恐ろしい。そして入学後に目的を見失い、勉強が全く面白くなくて本気で中退を考えていた。けど、親には相談しなかった。相談する相手じゃなかったのだ、もう既に。新たなやりたいことを探すパッションもないまま、4回生で必死に単位を取ってどうにか卒業の見込みが立った。後に書くけど就職も決まってしまったので必死だった。
そして卒業式の前日のこと。親は袴を持ってきて着付けをすると言ってくれたので、お願いすることに。前日の予定は聞かされてなかったのだが、私は友達から当時超入手困難な某ブランドのファミリーセールのチケットをもらっていて、楽しみにしていた。昼過ぎに電話がかかってきて、何時に着くから食事を一緒にと。でも私はセールに行く気だったので、それは無理だよ~と軽く返事をしたらそれで点火、激怒。親がわざわざ行くのに予定を空けておかないとは何事かと言われた。じゃあ予定先に言っとけよ電話できるだろ…とは思ったものの、ブチ切れた母はとにかく家に行くから外出するなとガチャ切り。家に来たけど、私は鍵を開けなかった。非常に惨めな気持ちになったそうです。もうスーツで行く気で、父親に電話したら父がなんとか説得などしたらしく、翌朝着付けに来いと言われたのでホテルの部屋で着せてもらって卒業式に出た。けど、大学の卒業式はもう思い出したくもないものになった。正直あまり記憶がない。父曰く、私の大事な行事を台無しにしたことで落ち込んでいたらしいけども。
就職。親は地元に戻して、数年経ったらそこそこの家と見合い結婚させる気だったようだけど、まだあのクソ彼氏と付き合っていたので、地元に帰る気はゼロ。親の勧めでコネのある地元企業も受けたけど、猛烈やる気のないエントリーシートを出したせいか、超氷河期のせいかコネパワー発動前に落ちたのでよかった笑。しかし超氷河期、まあ落ちる落ちる。どうしようかと思っていたら何をどう間違えたのか某上場企業の内定をもらってしまい、親も賛成せざるを得ない。あの会社に就職って言うと自慢できる程度の知名度だったし、満足はしてたみたい。でもやっぱり実家に心は向かなくて、同期に「実家に帰らなさすぎじゃない?」とは言われたけど。
時々帰る実家は私の居場所がなかった。精神的にではなくて物理的に。田舎で、部屋が10以上ある巨大な家なのだけど、その8割程が母親の荷物で埋まっていた。片付けもせず、壊れた電気も直さずに暗い部屋でネットのパズルゲームをやっている母の後姿を見たときは正直ぞっとした。彼女と話しても、父親への不満、祖母の悪口、私への恨みなどを延々聞かされた。楽しくはなかったけど、他に言える人がいないから…とずっと我慢して聞いていた。大学の頃の私への恨みは本当に不愉快だったし言い分もあったけど、黙っていた。一言でも言い返したら余計面倒なことになると分かってたから。
クソ彼氏とはずっと付き合ってたけど、クソ彼氏があまりにも将来への見通しがなくおれはいつかビッグになるという夢想ばかりしているので愛想を尽かして別れた。2年ほどしてから社内で彼氏ができて、その人と結婚することになる。彼氏はちゃんと大卒で同じ上場企業だったので、反対されるかと思ったけど大丈夫だった。というか、クソ彼氏がひどかったから相対的に評価が上がっていたのかもしれない。ちなみにクソ彼氏、未だにビッグにはなってないみたいです。
出産。娘誕生。妊娠中に不幸があってショックを受けており、それもあってかあっさり産後鬱に。里帰りはせず、自宅に義母と実母が交代で来てくれた。義母は家事の達人、まさにプロの主婦といった人で、産後の実子のケア経験もあるせいか本当に頼りになった。一方の実母は、朝私が洗濯をしている横で新聞をゆっくり読み、私が作った料理をなぜかクソマズアレンジし、挙句に地元の人が近所のイベントに出店しているから行ってきていいかと。会場はかなり遠く、言ったら3時間は帰れない。折しもインフルエンザが流行っている季節で、私はいいけど帰宅したらすぐに風呂に入ってくれと頼んだのだが、ばい菌扱いされたと感じたようですね。母親がいない間に夫が会社から帰ってきたけど、私の顔が引きつっているのを見てまずいと思ったみたい。ばい菌扱いもショックだったみたいで、3日いる予定が2日で帰ってくれた。その時はほっとしたんだけど…しばらく経ってからメールが来た。なぜなんの連絡もよこさない、寂しすぎると。仕方なく電話したけど、孫が生まれて喜びでいっぱいの時期のはずなのに面倒見に行けば(見てないだろ)迷惑そうにされ、産後鬱だから直接連絡せず夫を通せと言われ(の割にメールしてきたな)、疎外されて惨めであると。そして生き生きと夫の悪口を言い始めた。夫からしたら身内の不幸があってこれ以上誰かを失いたくなかったわけで、私を守ろうとしてたんですけども。産後鬱状態の娘に夫の悪口を言うとか本当に神経がわからない…。この時はなし崩しに仲直りした形になったけど、お宮参りとお食い初めに呼んだら父親が泥酔して夫を蔑む発言をして、夫の私の両親への心象は地に落ちた。この時は駅で寝転がって運ぶこともできず大変だったらしいです。まあ、アル依だからな…。
それでも程々の距離を取りつつ、私が気を使うなどして表面上は親しくしていたのだけど、1年前に会ったときのことだった。
私は遺伝性の病気を抱えていて、毎日目薬を差さなくてはいけない。この目薬、肌についたものを放置しておくと肌が荒れることがあるので、ウェットティッシュやおしぼりで早めに拭くと荒れなくて済む。また、目の形が少し変わる副作用もある。肌荒れはなんとかなっても、目の形はどうしようもない、でも病気よりはマシだから…と点眼を続けていた。
その頃、母は目の手術を受けており、目薬の点眼をしていた。点眼後に使えと清浄綿を渡されていた。私と同じ病気の人も使っていると聞き、私のためにと買ってきたそうだ。だけど、自分の目は手術したわけでもなく傷もないので感染症のリスクは低く、そこまでのものは必要ない。主治医もウェットティッシュで十分と言っていた…が、一応お礼を言って受け取った。そんな時に娘のアレルギーが発生して、目がパンパンに腫れてしまった。これこそ敏感な状態で、清浄綿を使うのはとても良いし、個装されているから携帯にも良い、すごくこの子向きだねと母に言ったら突然イラつき始めて「それはあんたのために買ったものなんだけど。高いっていうけど、そんなもの(楽しみにしていた入手困難だった化粧品)を買うお金があるならこれくらいお金出せるでしょう」困惑しながら、実際自分の今の状態にここまでのものは必要ないと副作用の説明をしたのだが、そこで「もうこれ以上この話はしたくない!」ときつく言われて終わった。実はこの数日前に受けた検査の結果が今一つで、でも一度の結果で落ち込むものではないと自分を励まし前向きになろうとしていた時に病気の事で怒られるというのはとてもショックだった。その後私は一言も喋らず、というか喋る事ができず、飲まず食わずになってしまったのだが、親は怒っていると思っていたのかもしれない。実際はショックで何もできなかっただけだが。
翌朝、相変わらず不機嫌そうに一言も口をきかない母親。これはさすがに…と自分が折れようと思って「病気の事に口を出すのは一切やめてほしい」と言った。すると待っていましたとばかりに「謝れというのか。そもそも謝るようなことなんて何も起きてなかったと思うけど、親に誤らせようというのか。まあ謝るけど、すみませんでした(棒読み)」。これでもうさすがに我慢の限界がきて、病気に事では自殺するほど悩んだこともあったのに、なぜこんな体に生んだ、謝るとかそういう問題じゃないと泣きながら訴え、過呼吸寸前までなっていたのだけど、母親はそんなの知らなかったと何度か言ってからテレビを見るために椅子に戻り、父親はオバサンがそんなに泣くものではないと手を振り払った。それでもうこんな思いをするのは嫌だと荷物を纏め、予定より何日も早く家に戻った。途中「せっかくの帰省をつまらないものにしてごめん」というメールが来ていたけど、そんなレベルの事じゃない。つまらないもの、そんなことじゃない。私が死にそうな思いで、でも死なずに努力していた、そのことを踏みにじったんだよ。SNSはすべて即ブロックしたけど、LINEだけは解除しておいて通知オフ、未読スルーにしておいた。
それに気づいたのはメールが来てから数週間経った頃だった。「連絡が一切なくて寂しいです」と、あれだけのことをしておいて普通にメールが来ていた。彼女の中ではその程度の事だったのかな…でもこれを見た瞬間にどうしようもない嫌悪感と吐き気がこみ上げてきて、LINEもブロックした。もう解除するつもりはない。
一度兄から夏の帰省について連絡がきたけどそっちには戻らないとだけ返しておいた。返事は未読スルーだった。わざとなのかなんなのかわからないけど、あの兄がそういうことを聞いてくるのはなんだか怪しいと思っている。裏で誰かが動いたのかもしれないけど、どうでもいい。
母が義母に連絡したようだ。「娘と連絡が取れない」「心あたりはないのだけど(これはびっくりした。ボケたのか?)」と。義母は積極的に介入するのはまずいと思って、そういう連絡があったことと、私に少しだけ事情を聞くだけに留めてくれた。あまりどちらにも余計な事は言わないようにするとも。だけど義父はそうじゃなかったようで、外面のとてもいい母親のそこだけを見て、あんな立派な人ともめるのは子供の方がおかしいに違いない、家事もおろそかだし、育児についても…と勝手に色々と不満を溜め込んでいたようだ。
まずは昼間にスマホをいじっていて子供の相手がおろそかになったのが不満だったらしいが、それは夫の同僚の奥さんで、赴任先についてきて生活が不安な人の相談に乗っていたのである。早く現地で私も頼りにしている人に繋ぎたいと思ったし、水や食べ物については一刻も早く不安を解消してあげたかったから。自分も引っ越して鬱になったから、もうそんな人を増やしたくなかった。そしてその夜、台所の片づけを手伝い、一日やかましい子供の相手をしていたところから気が抜けて、子供のアレルギーについて携帯で調べていた。子供に片付けしなよと声をかけていたけど、昼間の事もあってそれが気に入らなかったのだろう。名前を呼び捨てにされ「スマホを見ながら怒鳴るだけで子供が育つか!!」と怒鳴られた。反論もせず気にしてない風を装いはしたけど、突然怒鳴るというのが実は非常にショックだったのだ。中学の時に暴力的なものを含むいじめの経験があるので…。
その後はおとなしくしていたのだけど、食事中に子供の質問に答えていたのを「そんなことを食事中に話していては食べられないだろうが」チクチクと注意されていた。そして最終的に夫もいる場面で「食事の時にぐちゃぐちゃと喋るのが大嫌いなんだ!」と怒鳴られ、その後に私に向かって「大体親をないがしろにしてそんなことでいいと思っているのか!」と全く無関係の説教を始めた。最初に怒鳴られた時点でもう夫が怒鳴り返していて私は無言だったのだけど、親の事についてはこちらもさすがに黙っていられず、泣きながらだったけど「何を言われたかも知らないのにそんなことを言わないでほしい」と言った。が、それ以上は夫に引きずられて移動させられたので言えず。
その後、数時間二人で話をしていたようだけど、夫の感触としては「元々子世帯のやり方に内心不満を溜め込んでいたところに親ともめていると聞いて勝手に不満を溜めたのだろう」「あなたの親は心当たりがないと言っているようだから、一方的にこちらが悪いと思い込んでいる」「かなり話したけど、性格上納得はしていないと思う」との事だった。家事がおろそかといっても、彼は自分の妻の家事能力の素晴らしさが当然のもので、それがいかに恵まれていることか気付いていないのだ。私が地味にやっている細かいところの掃除については全く気付いていないだろうしね。ゴミ出しのタイミングとかも…。大体片づけが~というなら、毎日湯呑を飲んだ後放置して去っていくのはどうなんでしょうか笑。夫に食事の時無言だったのか聞いたけどそんなことはなかったそうです。私が質問に答えるのも知識のひけらかしって陰口言ってたけど、実はひけらかしというなら舅の方が余程そういう話をしてるんですよ。私はどんな話でも知識を深めるのはいいことと考えているので、ひけらかしなんて思わずいつも素直に聞いていたけど。
私は、別に状況を理解して味方になってほしいとは全く思っていない。理解だってしてくれなくてもいいのだ。ただ口出しをしてほしくない。そういうことは嫌いな人だと思っていたのに、まさかこんな形で口を挟んでくるとは思っていなかった。話の中で夫にお前が仲介してどうこうすべきではとも言ったようだけど、それは私が全く望んでいないことだし、毒親と無理に和解させようとして離婚する夫婦もいるくらいなのに、そうなってほしかったのだろうか。私への悪口も漏れ聞こえてきたし、本当に不快。それに同じことをしたのが娘婿だったらきっと言っていなかったと思う。女と見てそういう態度に出られた事にも非常に不快感がある。突然怒鳴るのも何なんですかね。そんな人と楽しく付き合いたいと思う人がいると思うのかな。あいにく私はそこまでのMではない。
そもそも私の親が保身のためにか嘘を言ったのがクソだし、事情をほとんど知らないのにイメージだけで口を挟み、突然怒鳴ってくる舅もクソ。あんな人だと思っていなかった。
正直私は二度と会いたくないんだけど、義母がそれはやめてほしい…との事なので義母のためにもう少し努力はするつもりだけど、同じことがまた起きたらもう我慢できないなとは思っている。夫が壁になる意思があるからいいけども、これで無理に付き合いを強制する人だったら離婚するだろうな。そうさせたかったというなら目論見通りなのだけど。
みてきたので書きます。
本作品の主題は、経済的に困窮し水商売で生計を立てるシングルマザーだ。
ヒロインのヒナは弟のナギと2人暮らしをしている。姉と弟の形だが、これはヒロイン性を保ちつつシングルマザーを象徴するためにこの形となったと考えられる。
冒頭でバニラの宣伝車が登場したのはおそらく意図的なものだ。黒い服のスカウトマンという形でもやや露骨に協調されている。
また、劇中ではシングルファザーの象徴としてライターのケイスケも登場する。娘を引き受けたくても祖母に許しを得られない場面は、独り親の難しさの別側面だ。
クジラ:
金融市場に大波を起こす大口の参加者のことをクジラと例えられることがある。作中の雨水のクジラはこれをモチーフとしているのではないか。
国内ではこのクジラは5頭ととらえられることが多いが、この中の1頭は年金の運用を行うGPIFという団体だ。
竜:
水と竜から想起したのが、ウロボロスという自らの尾を食らう竜だ。
国内では年金受給者が不安だからという理由で大部分を銀行に貯金する傾向にあると言われる。
この傾向のマイナス面として、
「年金を銀行に貯金する→銀行は国債を買う→国は国債を年金支給に使う→...」
という形で実体経済に寄与しない形で、特に現役世代を経ない形で還流してしまうということだ。
これが自らの尾を食らう竜に例えられることがある。作中の竜はこれがモチーフではないか。
さて、作中では大洪水をもたらす降雨災害が発生するが、これは前述のクジラや竜が制御不能になったら...ということを暗喩しているのではないか。
過去に、バブル崩壊やサブプライムショックという大嵐の際に行われたのは、新卒採用の抑制という形で人柱にツケを押し付けることだった。
高卒情弱低能、毒親育ちのアライさんなのだ!フェネックとはケンカ中で家から追い出されたのだ。今はママイさんの家にいるのだ!
ジャパリパークのみんな、仲良くしてほしいのだ!— 高卒低能情弱毒親育ちのアライさん (@araisan33) 2019年4月14日
ママイさんがパパイさんにあたるフレンズと不倫して産まれたのがアライさんだとママイさんに知らされたときはメンタルが大嵐だったのだ!アライさんがお腹の中にいたときママイさんファミリーでパパイさんを激詰めしたらしいのだ!激詰めする意味がわからなすぎて怖かったのだ!— 毒親の私生児アライさん (@error_arai) 2019年4月16日
うっわ〜なのだ〜!アライさんの親はみんなと同じで毒親(ドクイさん)なのだが、昨日の夜中に二時間も説教された挙句、折れないアライさんも良くないのだが、最後にドクイさん、伝家の宝刀「素直に従わないと困るのはお前だ」を持ち出してきたのだ〜!しかも笑顔で!— セックス依存症のアライさん (@nonichang) 2019年4月16日
デンデデデンデンデン!
あのさ、
安室ちゃんのライブには3回ぐらい行ってみたいなと思ったことがあるんだけど、
って知ったかぶりして言ってみるけど、
どちらかというと
イッテQのイモトさんを通じて安室ちゃんを知ったわっていう感じね。
現地の人に
まあ猫の画像でも見て我慢しろって言われて慰められているイモトさんのイメージしかないわ。
あとさ、
出たがって出てくる仕方ないシーエムほど滑ってる感じしかしないのよね、
あれなにが目的なのかしら?
実際どうなのかしらね?
そうやって録画したのを見るのがクセになってるから、
うふふ。
昨日の晩ご飯遅めだったので、
うー食べ過ぎちゃったかもしれない。
なんだか急に寒くなってきたと思わない!
そんなの思わないわっ!
って言って無理したらどえらいことになるので、
うふふ。
すいすいすいようび~
今日も頑張りましょう!
よほどあほな(大嵐なのに甲羅干ししようとするような)亀でもない限り、どんなひどい嵐でも川底でじっとしてたら流されることはないんだな
たまたま早朝の電車に乗ろうと駅に向かったら、駅から戻ってくる人が
山の上の住宅街、こういうことはよくある。
それでも様子を確認しなければどうしようもないので駅に急ぐ。バイクや自転車が倒れている。木の枝が散乱している。
駅にいくと、駅員が隣の駅からなら動いていると説明している。道理でタクシー乗り場に人があふれていた。隣の駅までなら、タクシーで行ける。
歩いてでも行ける。急いで歩けば15分だ。
隣の駅に行ってみると、ちょうど電車が停まっていた。乗り込もうとするが満員。
笑ってしまうのは、奥のほうがけっこう空いてることだ。このあたりの住人、満員電車に慣れてないんだろう。急に乗客が集中して、いつもと違うのに、対応できてない。扉の近くに突っ立ったまま、動こうとしない。
下まで降りると、ごく平常通りに街は動いていた。大嵐があっても世の中何も変わらない。
まるで、選挙のようだ。
割とよく陰部が切れるとか、セックスが終わったあと痛いなぁとか思う女子、それ絶対ローション変えたほうがいい
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セックスってそんなもんだと思ってたし、ローションってベタついて当たり前だと思ってたんだけど……
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ねねは、清正の主たる秀吉の、糟糠の妻だ。
清正がまだ虎之介と呼ばれた幼い頃から、正則と共に実の子のように可愛がってくれた、所謂母のような存在だった。
ねねの存在があったからこそ、今この肥後25万石を納める加藤清正があると断言して良い。清正や正則と言った子飼いの将が、他の古参の将兵を差し置いて高禄を食める身分になれたのは、一重にねねによる推挙があったからだ。
だからこそ清正は、大坂城に登城する機会があればねね――いや、北政所となった彼女のご機嫌伺いを欠かさなかった。
この度の出仕もそうだったはずだ。
簡単な挨拶を済ませた(と言っても、ねね自身が堅苦しい挨拶を好まないので、形式だけのものでさえなかったが)すぐ後に、ねねが言った。
一体なんだと訝る清正だが、それを面には出さずにただ頷くいた。
ねねが名を呼ぶ。
はい、と返事があって、軽い衣擦れの音が耳に入った。「……清正」
何事だ、と眉をしかめて声の方向を無遠慮に見た清正は、ますます仏頂面になった。
現れたのは、年若い娘だった。全くもって見覚えもなければ、呼び捨てにされる筋合いもない。
とっさにねねの方に視線をやったが、彼女はただにこにこと笑っているだけで何の説明もなされない。
そうこうしているうちに、娘が清正に駆け寄ってきた。
「清正!?え、本物…」
「おねね様」
娘の手が清正の身体に触れようとした瞬間、耐えかねて清正は声を上げた。
清正の拒絶する態度がわかったのか、そう言った瞬間娘は手を引っ込めてぴたりと止まる。
「…あの、説明していただけますか」
少し不機嫌そうに清正が言うと、ねねはやや困ったような顔をした。ついで苦笑を浮かべて、おいで、と娘に向かって手を差し伸べる。
すると娘は何の疑問もなくねねの隣に座った。ねねの隣…つまり上座だ。
いよいよもって清正は訳が分からなくなる。
恐らくこの天下で二番目に権力を持っているのは彼女、関白秀吉の正室、北政所だ。
余談ながら、秀吉が小身だった頃から夫をよく助けていた彼女に、秀吉は頭が上がらない。また、ねねは豊臣政権の内政や人事も把握し、秀吉によく助言している。秀吉の目に見えないところをねねがカバーしているような格好で、彼女によって取りたてられた者も少なくない。
雌鳥歌えば家滅ぶという故事もあるが、ねねはそんなものは知らぬとばかりに、秀吉を、国政を支えたのだ。
ともあれ。
そんな女性の隣に、図々しくも座れるようなこの小娘とは一体何だ。清正の疑念はますます膨れ、とどまることを知らない。
さまざまな想像をする清正に、ねねが弾けるように笑い声を上げた。
「やだよ、清正。そんなに怖い顔をしちゃ」
「いえ、…そのようなことは」
「ごめんね、何も説明しないで。紹介したかったっていうのは、この娘のこと。夢子っていうのよ」
その夢子が一体何なのだと、清正は喉元まででかかった言葉を飲み込んだ。
無意識に視線を動かすと、娘が清正を凝視しているのが目に入る。
居心地の悪さを覚えて目を逸らすと、清正はねねの次の言葉を待った。
若干いらいらとする清正に、ねねはどこまでもマイペースかつ笑みすら浮かべて楽しげだ。
*** ** ***
というのが清正の正直な本音だった。納得出来ない。出来るわけがない。
何故こうなった、と清正は頭を抱え込みながら――隣を歩く娘をちらりと盗み見た。何も考えてなさそうに、少し楽しげに、弾むようにして歩くこの娘。
着物が変だ。丈が短すぎる。しかし、貧しいから丈を詰めていると言う風でもない。汚れてもいないし擦り切れてもいないし、何より露出した肌には貧困を表すものが何一つとしてなかった。思えば、南蛮人の着物の形に近いものがある。
ねねによると、突如として光の中から現れたという。そこからしてまず、信じることが出来ない。しかし、ねねは清正の大恩人。ここは素直に信じることにした。
しかし、百歩譲ってこの娘が光の中から現れたとしよう。問題はその次だ。
この娘が、今から4、500年先の世界からやってきたということ。
ねねは信じたらしいが、清正には無理だ。第一、4、500年の未来がどうなっているか想像もつかない。
秀吉やねねは、その人柄と広すぎる懐ゆえか、この怪しすぎる娘を稀なる客人としてもてなしているらしいが、清正には無理だ。
なのに現状、清正はねねからこの娘を押し付けられてしまった。いや、“押し付けられた”というのは表現が悪い。ねねは無理にとは言わなかった。『出来れば』という表現をした。そして、他ならぬねねの頼みだから断れなかったのは、清正だ。今更この決定を覆していては男が廃るどころか、大恩をあだで返すことにもなりかねない。
とは言っても、薄気味悪いとは思った。
なんの変哲もない娘であるが、口を開けばおかしなことしか言わない。
娘は初めから、清正のことを知っていた。
ねねや秀吉との会話から発展していったらしい。どのような詳細があったかは知らないが、ともかく、娘が“会ってみたい”と言ったそうだ。
そして今日に至った。
ねねの言い分としては、『故郷をとても懐かしんでいるから、かりそめとは言え、知った人間の元で過ごすのが一番だろう』とのこと。暗に、その恋人とやらの役をしろと命ぜられているかのようだ。
何より、本人の希望が強かったらしい。
今はおとなしいが、先ほどまではうるさいくらいだった。
清正、清正、と全く見知らぬ人間(それも小娘)から呼び捨てにされるのは、少々我慢がならない。
しかし、ねねの頼みを断ることは出来ないし、粗略に扱うことも出来ない。お願いよ、なんて手を合わせて頼まれたら断るなんてとんでもない。
(まったく、人がいい)
と思わないでもないが、そんなねねが好きだからと思えばそれ以上は何も言えない清正だった。
ともあれ、“客人の接待”と思えば良い。
屋敷に戻れば、部屋を確保し、家臣侍女に説明をしなければならないのだが、なんと言ったものか。
色々と考えをめぐらして、改めて面倒なことになったと思いながら清正は屋敷を目指したのだった。
ともあれ清正の行動は早く、“北政所様から客人をお預かりした。丁重に扱うように”とし、あとは黙殺していようと考えた。
ねねは、可能ならそばに置いてあげて欲しいと言ったが、機嫌を取れとは言っていない。
清正には他にも仕事があるし、この娘にばかり構ってはいられないのだ。
自室にて政務を執る清正は、こっそりと忍び寄ってくる気配を察知した。
普通なら何者だと人を呼ばうところだが、こんな白昼堂々、しかも気配だだ漏れでやってくる諜者がいるものか。何より、戦時でもないというのに。
何だ、と思っていると障子戸の向こうから声がかけられた。
一応返事をすると、控えめに開けられる。暫くぶりに顔を見た、あの娘だった。
文机に向かう清正を一瞥すると、どこか忍ぶようにして部屋に入ってくる。
「政務中だ」
一言断ると、分かっていると娘はしゃあしゃあと言った。だったら早く出て行けと心の中で思った清正だ。
娘はそんな清正など構いもせず、部屋の隅にちょこんと腰掛けると、どこから取り出したのか本を膝の上に置いて読む体勢を作った。
出て行く気配がないところを見ると、清正は嘆息をついてそう答えた。
初めは娘の視線が清正に寄せられていたが、暫くするとそれもなくなる。
しかし時折思い出したように娘の瞳が清正を見つめ、逸らされる。
当然のように会話はなく、わずかな物音さえ許さないそこは沈黙に包まれた。
それは、次の日も、その次の日も、その次の日もずっと続いた。
こっそりとやって来ては声をかけ、部屋の隅で本を読む。
読み終わっても出て行かず、ぼうっとしているか清正の後姿を眺めている。
そんな日が、続いた。
(何だ?)
と清正は訝ったが、その疑問をぶつけるわけでもない。
一度など、あまりにも静かで動く気配さえないので振り返ってみると、娘は打掛を布団代わりに部屋の隅で丸まって眠っていた。
清正は呆れる思いだったが、これを機にと思って気配を忍ばせて近寄ってみた。観察ばかりされているので、観察し返してやろうと。
よほど寝入っているのか気配に疎いのか、清正が近づいただけでは起きる様子も見せない。
畳の上に、短い(当代比)髪が散らばっている。
肌は白く、身体には傷ひとつなく、教養はないくせに読み書きは出来る。行儀作法は全くできていない(どころか常識にも乏しい)が、やはり下層民ということはないらしい。
小さい顔だと、清正は己の掌と比べて思った。清正のそれで顔面が覆えるのではないかと、興味本位でそろそろと手を伸ばした時。
折悪しくも娘が目を覚ました。
慌てて清正が手を引っ込めると、娘はゆっくりと身体を起こして何をしているのかと尋ねる。
狼狽した清正が正直に答えると、一瞬娘は目を丸くし、ついで笑った。
「同じことしてる」
誰と、と問えば清正、と娘は答えた。清正が変な顔をして困惑を示すと、娘は手を振って違うと言った。
それを境に、清正と娘は少しずつ会話をするようになった。
といっても、大体にして娘がしゃべり清正が相槌を打つという格好。内容も大したことはない世間話から、二人の共通の人物である秀吉やねねのこと。この話題になると、清正も少しばかり言葉を話した。
だが、一番多いのは“清正”のことだ。――娘の恋人であるという、清正のこと。これは、半ば娘の独り言のようにして語られることが多い。
回想するように、懐かしむように。
そして、いとおしそうに。
「……清正、今何してるのかなぁ」
初めは興味なさそうに聞いていた清正であったが、次第にどんな人間なのか気になりだしてきた。娘の言うことには、清正と同姓同名で背格好人相もそっくり、声まで似ていて性格も類似しているとか。
そして何より、娘が“清正”を愛していると言う。
単純に、どんな男なのか気になった。
最初は放っておいたが、こない日が三日、四日と続くと何かあったのだろうか思うようになった。
それとなく家臣の者に聞いてみると、屋敷の外に出ているとのこと。供もつけずに。
放っておこうかとも思ったが、よくよく考えてみると、あの娘は北政所から預かった客人だ。白昼、秀吉のお膝元である大坂の武家屋敷で、妙な物がいるわけはないが、万が一ということがある。何より
あんな調子で他の者に話しかけていては、それが事情を知らぬ人間だったら命がいくつあっても足りない。清正は慣れたが。
考えあぐねた末、清正は娘の部屋を訪れることにした。事情を聞いて、必要があれば供をつけさせるよう、釘をさすつもりだった。
「供もつけずに、屋敷を抜けているらしいな」
突然の清正の来訪に、娘は驚いたようだったが、開口一番の清正の言葉にもっと驚いたようだ。
しかし驚いたのも一瞬で、はて、と言うように首をかしげてみせた。
「お供ってつけなきゃダメなの?」
この調子だ。
清正がため息を吐くと娘は、何よ、と戸惑ったような顔をする。
「だめも何も、普通身分の高い女性は供回りをつけずに出歩いたりしないもんだ」
「それでも、北政所様から預かった客人だろうが。お前に何かあっちゃ困るんだ」
どこまでも暢気そのものといった娘に呆れながら清正が言うが、彼女はまるで聞いてはいない。
嬉しそうな顔で、
「清正、私のこと心配してくれたの?」
などと言い出す始末だ。呆れ果てたヤツだ。
「とにかく、今度から外へ出るときは供をつけろ。世話役の侍女がいるだろ」
「あやのさんとお絹さん?」
「お前が勝手にふらふら出歩いて、怠慢だと叱責されるのはその二人だからな」
「え?!そんな、怒らないでね!私が勝手に…」
「これからはそうするな言ってるんだ。大体、何しに行ってんだ」
清正の問いに、娘は、どこかもじもじしてはっきりと答えない。
答えたくないのなら、と踵を返そうとした清正の裾を捕まえて、娘が、犬!と答えた。
「…散歩してたら、子犬が捨てられてたの。かわいそうだから、餌やりに行ってただけ」
別に怪しいことしてないよ、と娘は付け加えたが最初から疑ってはいない。
そうすると、確かに家臣の言葉と一致する。屋敷を出る前に厨によって、弁当を作ってもらっているというから尚更だ。
俺も焼きが回ったかな、なんて清正は歩きながら考えた。
供回りはなし、私的な用事で家臣を連れまわすことは出来ない。ごく軽装に身を包んだ清正は(といって、普段から質素であるが)、娘と二人で通りを歩いている。
どんどんと入り組んだ道に入って行き、しまいには神社のようなところについた。
こんなところもあったのか、としげしげと周囲を見渡す清正の視界の中で、娘が境内に走っていく。
清正が娘の後を追うと、太い木の根元に、布に包まれた子犬がいた。生後三月といったくらいか、すでに顔つきは成犬のそれに近づいている。
娘はそれを撫で、声をかけた。すると子犬の方も懐いているのか、かがんだ娘に飛びつきじゃれ付いた。
子犬と戯れる姿は、無邪気そのものだ。そしてその笑顔は、今まで見たこともないほど輝いている。本来はこのように笑うのだろうかと清正は思った。
むっつりと考え込む清正の名を、娘が呼ぶ。
「ねえ、清正も触ってよ。もう、可愛いんだよ、人懐っこくて」
懐いているのは餌をもらったからだろうと思ったが、清正がアクションを起こすより先に、子犬の方から清正の足元にじゃれ付いてきた。
今まで特別に犬猫に何か思ったことはなかったが、懐かれて悪い気はしない。
「…まんまだな」
「いいでしょ、別に」
つっこみを入れた清正に、娘は少しばかり頬を膨らませて抗議した。
暫く無言で犬を眺めていた清正だが、立ち上がって帰るかと娘を促す。
一瞬、娘がなんとも言えないような瞳で清正を見たが、何も言わなかった。最後にクロをひとつ撫でて、また来るねと呟く。
清正は腰に手を当てて、そんな様子を見ている。
「飼うんじゃねえのか?」
と一言尋ねた。
すると、弾かれたように娘が顔を上げ、清正を凝視する。
清正がそれ以上何も言わないところを見ると、娘はありがとうと叫んだ。
「クロ、今日は一緒に帰れるんだよ!」
*** ** ***
ふと、通りがかった清正の目に、縁側に座り込んだ娘の姿が入ってきた。
わざと足音を立てて近付くが、娘がそれに気づいた様子はない。相変わらず気配に疎いヤツだと清正は思う。
娘は、縁の下に座っているクロを撫でながらぼんやりと空を見上げている。
しかしその横顔には、そこはかとない哀愁があって、望郷の念に駆られているのは明白だ。
清正はそんなことを思って、羽織を娘の頭からかぶせるように掛けた。
それでようやく、娘は清正に気づき、こちらを向いた。
清正が声を掛けると、娘は羽織を肩から掛けなおしてありがとうと呟いた。
そして清正を見上げて、微笑む。
「優しいね」
「…別に。おねね様から託された客人に何かあったら事だからな」
嘘は言っていない。清正がむっつりとして言うと、娘は肩をゆらしてクスクスと笑った。
そんな笑顔にほっとした己に気づいた清正は、誰から指摘されたわけでも、ましてやその安堵を悟られたわけでもないのに、
(別に)
そんな狼狽を誤魔化すようにして、清正はどうしたんだ、と言葉を紡ぐ。
「月なんか眺めて。ゲンダイ、とやらが恋しくなったのか」
「分かる?さすがは清正、一心同体ね」
なんでそうなるんだ、と清正は呆れたように口を閉じた。
「あのね、考えたことがあるのよ。聞いて。…今、目の前に居る清正と、…あなたのことね。あなたと、私の恋人の清正は、やっぱり違うなって」
「当たり前だ。俺は俺以外の何者にもなった覚えはない」
「それは、そうだけどさあ」
そして彼女の住まうニジュウイッセイキとやらには、清正とそっくりの“清正”が居て。…なんて途方もない話。
「でも、やっぱり似てる」
「…前にも聞いた」
「しゃべり方もね、むっつりした顔もね、全部全部。ご先祖様かな?それとも前世の姿かしら。不思議だわぁ…」
「俺は、俺だ」
伸ばされた手が、清正の手に触れた。
控え目な手つきは、清正の手の重さを測るように軽く持ち上げたあとさっと撤退していった。
「やっぱり、ここは戦国時代なのかぁ…。そうよね、あなたは戦国武将で、私のことをお世話してくれたおねね様っていうのも、…北政所様ってやつみたいだし」
「そうね。あなたは、清正!っていうよりもはや清正様って感じだもの。呼び捨てなんて恐れ多いわ」
と言うものの、娘は清正を呼びつけにする。
当初それに抵抗があったものの、慣れとは恐ろしいものだ。今の調子で娘が“清正様”なんて言おうものなら、かゆくて仕方がないだろう。
娘の話は続く。
「私の“清正”は、なんかちょっと尻に敷かれてる感じはあるし、似ててもやっぱり別人ね」
どこか苦笑気味に娘が言う。
清正はどこか違和感を覚えた。清正を呼ぶときのそれと、彼女の。。。清正を呼ぶ声音はまるで違うのだ。
「…お前の清正とやらは、よほど腑抜けらしいな」
違和感をかき消すようにそう呟くと、娘がくわっと睨みつけてきた。
「女の尻に敷かれる男なんて、腑抜けだろ」
「そんなことない!っていうか、秀吉さまだっておねね様の尻に敷かれてるでしょ」
「愚弄する気か?!」
「愚弄じゃないもん、本人が言ってたの!“わしゃあねねには頭が上がらんでの~”って」
「……」
想像するだにかたくない。それゆえ、清正は反論の言葉を失った。
黙りこんだ清正に、娘はすこしばかり申し訳なさそうにした。
「まあ、気分を害したのなら謝るけど。…でも、“清正”を他の人からそんな風に言われるのは、いやだなって」
「悪かったな」
「いいよ。そりゃあ、大名のあなたから見たら取るに足らないかも知れないけど、それでも“清正”はいい旦那様なんだからね。恋愛面ではちょっとヘタレだけど、それ以外だったら男らしいし、指圧うまいし、ノート超きれいに取るんだから!」
「そーかよ」
「そうよ」
少しばかり意味の分からない言葉もあったが、清正は適当に流した。
しかしそんな清正に構わず、娘は大いに胸を張る。自分のことのように誇らしげだ。
「まあ、オカルトはちょっと苦手でちょっと照れ屋だけど、料理は出来るし、朝も起こしてくれるし、本当に結婚したいくらい最高なのよ。清正の作るモヤシ炒め、食べたいなぁ…」
「清正は、俺だ」
「ジェンダー!“清正”はそんなこと言わないもん。むしろ『お前料理、味薄すぎるんだよ。俺が作る』とか言ってくれるんだから。最高よねえ、ホント」
「だから、俺が清正だ!」
鼓膜をびびりと揺るがすような清正の声に、娘はびくりと肩を揺する。娘どころか、縁の下のクロまでもピンと耳や尻尾を立てて驚いている。
覚えず大声を出してしまった清正は、彼女の反応でわれに返った。口をつぐみ、たまらず目を逸らした。
「…悪い」
「いや、大丈夫」
(何を馬鹿なことを)
清正の心中、後悔の大嵐だ。こんな詮無いことで怒鳴っても仕様がないというのに。
大体何を苛立っているのだと自問しかけて、清正ははっとした。
一方で娘は、清正の胸中など少しも知らず悩ましげなため息を吐き、帰りたい、とこぼしながらクロを撫でている。
「お前とのお別れはさびしいけどね。きっと清正が責任持って育ててくれるから、安心しな。…清正は、何してるんだろうか」
無意識に繰り出した手が、娘の手を掴んでいる。驚いて清正を振り返る彼女の肩を、もう一方の手ががっちりと掴んで離さない。
目を丸くした娘が何事か言葉を紡ぐより先に、清正が言った。
「俺は、ここに居る」
清正の正面の丸い瞳の中に、清正の姿が映りこんでいる。そして、恐らく清正のそれにも彼女の姿が。
言葉も出せずに固まっていた娘であるが、子犬が膝にもっとと言うようにじゃれ付いてきた拍子に、金縛りが解けたようだ。
少し恥ずかしそうに目を逸らしてから、苦笑し、娘はかぶりを振った。
「…参ったな。少しドキッとしちゃった」
「清正は、俺だ。俺が清正だ。。。。。」
「でも、…私は、“清正”じゃないとダメだ。だってね、私の好きな清正は、あなたみたいにびしっと決められない。でも、そういう清正が、私は好きだから」
「夢子、」
恐らく初めて、名前を呼んだ清正に娘が目を見開いた。
「…名前、知ってたんだ」
当然だと、清正が答えようとしたまさにその瞬間。
すっと娘の身体の輪郭がぼやけた。ぎょっとする清正の前で、娘の身体は色を失い、後ろの風景が透けて見えるまでになった。
「どういうことだ…?」
「帰れるみたい。清正“様”、これまでお世話になりました。豊臣ご夫妻にもよろしくお伝えくださいませ。…クロ、元気でね」
もう随分と薄くなった身体で娘はクロの身体に触れる。感触がないのか、クロは不思議そうな顔をするだけで。
清正は思わず捕まえようとして手を伸ばしたが、透き通るだけで掴むことは出来ない。
「ありがとう。清正の所に、帰るね」
その言葉を最後に、清正の前から人一人が消えた。「…っオイ!」
蛍がいっせいに飛び立ったような光の残像だけを残して。
どこか呆然として、清正は廊下に落ちた己の羽織を拾った。確かに暖かい。――体温はほのかに残っていると言うのに。
何もなくなった虚空を見つめていると、縁の下からクロが顔を覗かせて鼻を鳴らす。主の不在を嘆いているようにも見えた。
無意識に手を伸ばしてそんな子犬の頭をなでると、清正はぽつねんと言葉をこぼした。
「…清正って誰だよ…」
~fin~
大嵐にくらべたら、曇り空とかちょっとやそっとの雨なら、マシだと思わないか。
だから晴れが来るまでガマンすればいいんである。俺はそうしている。
ちなみに、うちの場合、曇りときどき晴れが二日に一度、
文句なしの快晴! は、月に数日だな。シアトルに住んでるようなもんだ。住んだことないけど。