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はてなキーワード: 不適法とは

2023-11-01

anond:20231101204602

法律上反訴には訴状審査規定はない

反訴内容の適否によらず、原告反訴答弁書を提出して期日に反訴に応訴することになる

もしくは、応訴前の本案前の答弁として、訴えの内容は不適法であり却下されるべきであると主張する

 

しかし、ときどき裁判官原告が結託して反訴答弁書被告に送達せずにおき、

裁判官訴状審査をすると言って、自己都合で、被告反訴内容を訂正させる

なので、裁判制度なんて詐欺もいいところなんですよ

2023-03-26

尹美香ちょっとしか有罪にならず

[現場]動力を失った正義ヨン需要集会… 「ユン・ミヒャンを拘束せよ」批判だけ

https://www.newdaily.co.kr/site/data/html/2023/03/22/2023032200190.html

しかしながら実際の水曜デモこちらで紹介したヤンチンジャが行ったことを報じるオーマイニュースとちがい

https://anond.hatelabo.jp/20230326004820

特に多くの出席者は「正義連後援金横領ユン・ミヒャン武器懲役殴らせ」「正義解体してユン・ミヒャン拘束せよ」などユン議員を直接的に批判する内容のピケットを振っていた。団上に立った関係者も「ユン・ミヒャン拘束せよ」を叫んだ。

というカウンター集会が開かれていた。

https://n.news.naver.com/article/023/0003753668?sid=102

一方、最近裁判所国民常識に反する判決を相次いで出しているという指摘を受けている。ソウル中央地法は先月15日、金学の前法務次官に対する2019年の緊急出国禁止違法だったが、 。「目的けが正当であれば、手段不適法でもいいというのか」という批判が出た。

ソウル西部支法も先月10日、ユン・ミヒャン議員(民主党出身無所属)が2011~2020年正義連(当時韓国精神問題対策協議会)法人口座資金個人用途支出し、個人口座に募金した資金任意使用するなどの方法で計1億35万ウォンを減らした容疑のうち、約1700万ウォンに対してのみ有罪と認めた。検察が厳しい証拠証明できなかったという趣旨だった。

検察捜査権完全剥奪検収完朴)法案に対する憲法裁判所権限争議審判宣告日である23日、ソウル鍾路憲法裁判所ユナムソク(中央憲法裁判所長が憲法裁判官と共に位置している。2023.03.23 /ナム・ガンホ記者

この日、憲法裁決について、MZ世代弁護士団体である「新しい未来のための青年弁護士の集まり(新変)」も「民主主義政党政治で最も重要基本的適法手続き手続き正当性に照らしてみたとき憲法裁判は残念」とした。 。

一方、最近裁判所国民常識に反する判決を相次いで出しているという指摘を受けている。ソウル中央地法は先月15日、金学の前法務次官に対する2019年の緊急出国禁止違法だったが、 。「目的けが正当であれば、手段不適法でもいいというのか」という批判が出た。

ソウル西部支法も先月10日、ユン・ミヒャン議員(民主党出身無所属)が2011~2020年正義連(当時韓国精神問題対策協議会)法人口座資金個人用途支出し、個人口座に募金した資金任意使用するなどの方法で計1億35万ウォンを減らした容疑のうち、約1700万ウォンに対してのみ有罪と認めた。検察が厳しい証拠証明できなかったという趣旨だった。

そもそも着服してもそれ以上寄付たか無罪とかありえない。

2023-02-03

近親婚や重婚に対する民法学説の立場

知っての通り、日本民法重婚一定限度の近親婚を禁止している。

通常は婚姻届が窓口でハネられるが、何らかの事情重婚や近親婚が生じることがある。戸籍担当公務員ミスの他、たとえば重婚であれば失踪宣告の後に再婚したが前配偶者生存が判明した場合や、近親婚であれば認知していない非嫡出子婚姻したが実の父娘であることが判明した場合などが考えられる。

この場合重婚や近親婚は、婚姻の取消事由となる。当然無効ではなく家庭裁判所で取消審判が下るまでは有効ではあるが(重婚について大判17.7.21新聞4787-15)、重婚犯罪であるし(刑法184条)、取消権者は当事者に限られず公益見地から親族検察官にも取消申立権を与えているので、有効とは言っても法が許容しているという意味では無いとみるべきだろう(その意味では、行訴法学にいう公定力の議論に似ている。)。

民法

重婚禁止

七百三十二条配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

(近親者間の婚姻禁止

七百十四条 ① 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。

2 第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

不適法婚姻の取消し)

七百十四条 ① 第七百三十一条から七百三十六条までの規定違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。

2 第七百三十二条又は第七百三十三条の規定違反した婚姻については、当事者配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。

重婚禁止趣旨については、たとえば『新注釈民法(17)』(有斐閣,2017)で732条について解説する110頁はこのようにいう。

本条は,婚姻が一夫一婦の結合をその本質とすることを定めるものである

「定めるものである」という書き方は一夫一婦制憲法上の要請ではなく民法選択であることを示しているかもしれない。民法改正によって一夫一婦制を改めることができるかどうかは、憲法24条2項の解釈問題であろうか。

なお「重婚内縁」というトピックがあるが、法律上配偶者と別居して他の者と内縁関係を構築した事案の裁判例を中心に議論が発展したためか、一夫多妻または多夫一妻(さらには多夫多妻)的な重婚内縁関係議論はあまり活発ではなさそうだ。

 

近親婚の禁止については、同書で734条について解説する118頁はこのようにいう(太字引用者)。

民法は,近親者間(本条),直系姻族間(735条),養親子等の間(736条)の婚姻禁止を定めている。一定の近親者間の婚姻を禁じる規範は,古くから,多くの国に見られるものである。その範囲形態は各国の文化伝統により異なり,多様性に富んでいる。現代のわが国における近親婚禁止趣旨は,優生学的な配慮倫理観念に基づくものであると解されているが,家族形態の変化により,一方では禁止範囲が広すぎ,他方では狭すぎるといわれるようになってきている(新版注民(21)214頁)。

また、同書120頁ではヨーロッパでは,禁止兄弟姉妹間に留める国も見られる(ドイツスイスオーストリアオランダスウェーデン等)とも紹介している。

また、別冊法セno.261『新基本法コンメンタール親族】[第2版]』(日本評論社、2019)32頁は、近親婚禁止規定問題についてもう少し詳しい。

近親婚の禁止は、現代では、婚姻自由配偶者選択自由要請と相反する。それゆえ、近親婚に関する規定解釈する際には、近親婚禁止優生学配慮社会倫理的観点と、婚姻自由配偶者選択自由要請のいずれをより優先すべきかが問われる。近親婚禁止範囲自体を、社会の変遷に応じて見直すことも必要であろう。

なお、準婚理論との関係では、おじと姪の内縁関係について遺族厚生年金支給を受けうる配偶者に当たるとされた例がある(最判H19.3.8民集61-2-518)。おじ・姪婚を認める地域慣習等が考慮されている。

 

大まかにいうと、重婚についてはあまり議論は活発でなく、近親婚についてはなるべく認める方向で議論が進んでいる印象である

なお、民法では条文の立場が明確でありこれと異なる立場は条文の違憲無効を前提とするから民法学よりもむしろ憲法学の領域かもしれない。増田憲法学説の議論には疎いので(憲法論が関わる書面は数年に1度書くかどうかというレベル)、重婚禁止や近親婚禁止について憲法学説がどう言っているかは知らない。

2023-01-06

anond:20230106082447

他の却下された請求文書を見てみようよ

妥当でない」という言い方はまったくされていないか

却下であれば「不適切不適法である」「認められない」という言い方をする。

妥当でない」は「今の情報だけで判断するのは早計」という意味合いだよ

2015-10-06

H23行政法

感想

・結局8時間かかった。途中で紙に書くのをあきらめてPCで打ち始めた。

・全体的に誘導分かりづらすぎ。上位答案も把握しきれていないのがほとんど。

・設問1については通達が「関係法令」(9条2項)に当たらないことを前提にして、それからどうすんの?みたいなとこを聞きたかったらしいけど、中原行政法に書いてない時点でりーむー。上位答案も書けてない。

・設問1書きすぎた。どう削ればいいのか要検討。

・設問2(2)はほんと難問。『行政法ガール』の参考答案さえ誘導に乗れてない時点で無理。上位答案がどこまで書いてんのか要検討。

・設問3はほとんど力尽きてどうでもいい記述になってる。

設問1

1. X1原告適格

 「法律上利益を有する者」(行政事件訴訟法〔以下「行訴」と略す〕9条1項)とは、当該処分により自己権利若しくは法律上保護された利益侵害され、又は必然的侵害されるおそれのある者をいう。そして、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たる。

 そして、上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては、行訴9条2項に規定されている考慮要素を勘案することとなる。

(1) 「当該法令趣旨及び目的」の考慮

(a) 本件許可によってX1は、法科大学院Sにおいて教育をする際、それを静謐環境下で行うことができる権利利益侵害されると主張することが考えられる。

(b) モーターボート競走法(以下「法」と略す)1条は、同法の目的が「海に囲まれ我が国の発展」、「公益の増進を目的とする事業の振興」、「地方財政改善」にあるとしている。

この目的規定からは、法科大学院Sの静謐教育環境保護する目的は窺われない。

(c) 本件許可要件を定めたのは法5条2項・モーターボート競走法施行規則(以下「規則」と略す)12である。この規定は場外発売場の「位置」「構造及び設備」「施設及び設備」について抽象的な基準を定めているだけであり、規律内容は詳細とは言えない。

もっとも、規則12条1号は場外発売場の位置が「文教上・・・著しい支障をきたすおそれのない場所であること」を要件としている。文教とは文化教育のことであるから、同号は場外発売場により周辺の教育環境に支障をきたさないよう配慮していると言える。

(d) 規則11条2項1号は、場外発売場の設置許可申請に際し、申請書に場外発売場付近の見取図を添付するよう求めている。しかもそこには周辺1000メートル区域内にある「文教施設」の位置及び名称を明記することを求めている(同号括弧書)。この見取図は、国土交通大臣が、場外発売場が周辺の文教施設に与える影響を審査するために必要となるものであり、そのために添付が義務付けられていると解される。したがって同号は、法科大学院Sの静謐教育環境保護しようとしていると言える。

(e) 法4条5項は、国土交通大臣が場外発売場の設置許可に条件を附すことを認めている。その要件国土交通大臣が「必要があると認めるときとあるだけである文言抽象から言って、周辺教育施設への影響をこの要件判断考慮することも可能と言える。したがって、同項は、法が法科大学院Sの静謐教育環境保護しようとしていることと矛盾しない。

(f) したがって、法は目的規定にこそ掲げていないが、法科大学院Sの静謐教育環境保護しようとする趣旨であると解される。

(2) 「当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質」の考慮

 (a) まず、法科大学院Sにおいて教育をする際、それを静謐環境下で行うことができる権利利益は、生命・身体・財産といった高次の利益に比べてその重要性は劣後する。

 (b) 法科大学院Sの静謐教育環境侵害する原因となるのは、まず場外発売場から発せられる騒音であるしかし、場外発売場と法科大学院Sとは400メートル離れていることから、この騒音もある程度減衰するとの反論も考えられる。

しかし、場外発売場は、多数の来場者が参集することによってその周辺に享楽的雰囲気喧騒といった環境をもたらす。特に本件では、P駅から来た来場者は県道を通って場外発売場に向かうことになるが、その際、県道に面した法科大学院Sの前を通ることになる。その結果、法科大学院Sの周辺には享楽的雰囲気喧騒といった環境がもたらされることとなる。法曹養成という目的の下、学生全員が静謐環境下で勉強することが求められる法科大学院性質上、教育環境に対する悪影響は甚大である

 (c) 本件施設が場外発売場として営業を行うのは1年間に350日であり、ナイターのない日は午前10から午後4時頃まで、ナイターのある日は午前10から午後9時頃まで、来場者が出入りし続けることとなる。

 しかも、本件施設敷地面積約3万平方メートルという大規模施設であり、700台を収容する駐車場が設置されることを考え合わせると、本件施設の来場者は多数人に上ることが予想される。

 そうすると、本件施設へ多数の来場者がほぼ一年中昼夜を問わず法科大学院Sの前を通ることとなる。その結果、法科大学院Sの静謐教育環境は絶えず侵害され続けることとなり、その侵害の程度は大きいと言える。

 (d) したがって、法科大学院Sにおいて教育をする際、それを静謐環境下で行うことができる権利利益は、生命・身体・財産匹敵する高次の利益とは言えないもの重要利益である。また、本件施設によりその利益侵害される程度は大であるということができる。

(3) 結論

 以上の検討により、法科大学院Sにおいて教育をする際、それを静謐環境下で行うことができる権利利益は、法律上保護された利益に当たるということができる。また、本件認可はこの利益を害するということができる。

 よって、X1は「法律上利益を有する者」に当たり、原告適格が認められる。

2. X2の原告適格

 X2は「法律上利益を有する者」に当たるか。

(1) 「当該法令趣旨及び目的」の考慮

(a) 本件許可によってX2は、静謐環境下で生活する利益侵害されると主張することが考えられる。

(b) 法1条は周辺住民生活環境について言及しておらず、ここにX2の静謐生活環境を保護する目的は窺われない。

(c) 規則12条1号も周辺住民生活環境に支障を来たさないことを要件としていない。したがってここにもX2の静謐生活環境を保護する目的は窺われない。

(d) 規則11条2項1号は、場外発売場の周辺の見取図の添付を要求している。これにより国土交通大臣は場外発売場周辺の住宅状況等を把握することもできる。しかし、文教施設及び医療施設と違って住宅状況については詳細な記述を求めていない。設置許可審査住宅状況を考慮に入れることが規則11条2項1号の主目的であるわけではない。したがってここにもX2の静謐生活環境を保護する目的は窺われない。

(e) 法4条5項が、X2の静謐生活環境の保護矛盾しないのはX1について検討したところと同様である

(f) したがって、法はX2の静謐生活環境を保護しようとする趣旨ではないと解される。

(2) 「当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質」の考慮

 (a) まず、静謐環境下で生活する利益は、生命・身体・財産といった高次の利益に比べてその重要性は劣後する。

 (b)  X2の静謐生活環境を侵害する原因となるのは、場外発売場から発せられる騒音である。場外発売場とX2の住居は200メートルしか離れていない。これは、騒音を減衰するのに十分な距離とはいえないから、X2に予想される騒音被害は甚大といえる。

 (c) 本件施設へ多数の来場者がほぼ一年中昼夜を問わずX2の住居の前を通ることとなるのはX1について検討したところと同じである。その結果、X2の静謐生活環境は絶えず侵害され続けることとなり、その侵害の程度は大きいと言える。

 (d) したがって、X2が静謐環境下で生活する利益は、生命・身体・財産匹敵する高次の利益とは言えないもの重要利益である。また、本件施設によりその利益侵害される程度は大であるということができる。

(3) 結論

 以上の検討により、本件許可により、X2が静謐環境下で生活する利益侵害される程度は大といえる。しかし、法にX2の静謐生活環境を保護する趣旨を見出すことはできない。

 よって、X2は「法律上利益を有する者」に当たらず、原告適格が認められない。

設問2(1)

1. 候補

 本件で考えられる訴えは、①本件取消措置差止めの訴え(行訴3条7項)と、②本件要求措置違法であることの確認の訴えである

2. 比較検討

(1) 適法とされる見込み

 (a) ①の訴えの訴訟要件

 本件で国土交通大臣は、要求措置にAが従わない場合、取消措置を執ることを検討している。この状況下でAは国土交通大臣に対し、要求措置に従う意思がないことを表明している。そのため取消措置が執られる蓋然性が高く、「一定処分・・・がされようとしている場合」(行訴3条7項)に当たる。

 取消措置がされた場合、その後取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではないことから、「重大な損害を生ずるおそれ」(行訴37条の4第1項・2項)があると言える。

 本件要求措置行政指導であり処分に当たらない以上、これの取消訴訟と取消措置に対する差止訴訟との関係問題とならない。そのため、補充性(行訴37条の4第1項但書)も認められる。

 本件取消措置の名宛人はAである以上、Aに原告適格(行訴37条の4第3項・4項)が認められる。

 以上の検討により、本件取消措置差止めの訴え訴訟要件を全て満たし、適法である

 (b) ②の訴えの訴訟要件

 ②の訴えの訴訟要件のうち問題となるのは確認利益である確認訴訟は不定型訴訟であり、最後の救済手段と考えられているから、補充性が要求されるのである

本件では取消措置に対して差止訴訟が認められることから、この補充性の要件を欠き、不適法となる。

(2) ①の訴えの実効

 Aは取消措置を受けるおそれを除去することを求めており、取消措置差止訴訟の認容判決が得られれば、国土交通大臣は取消措置を執ることができなくなる以上、Aの目的は達せられるといえる。したがって、①の訴えの実効性は高いといえる。

3. 結論

 本件でAは、①本件取消措置差止めの訴え(行訴3条7項)を提起することが適切である

設問2(2)

1. 本件取消措置適法性を論ずる前提として、国土交通大臣がAに対し執り得る措置範囲ないし限界検討する。

(1) 規則12条に定められた基準以外の理由許可拒否できるのか

 この問題は、Aが要求措置に従わないことを考慮して、許可拒否できるかという問題である。そこで、設置許可について国土交通大臣要件裁量が認められるかが問題となる。

 本件で設置許可基準を定めた規則12条各号は、場外発売場の「位置」「構造」「設備」「施設」に着目して具体的な基準を定めており、一般的な包括要件を定めていない。これは専ら「位置」「構造」「設備」「施設」について審査し、それ以外の点を考慮しない趣旨と思われる。そのため、国土交通大臣要件裁量を認めるとしても、「位置」「構造」「設備」「施設」と関係のない理由許可拒否する裁量までは存しないと解される。

(2) 通達に定められたことを理由にして許可拒否してよいのか

以上に述べた点に加えて、本件通達は法による委任を受けずに定められたものであるから、その性質行政規則である。したがって本件通達法的拘束力はなく、上述した裁量範囲を考え合わせると、Aが本件通達に従わなかったことを理由許可拒否することはできないと解される。

(3) 通達違反により許可の取消しまでできるのか

 設置許可の取消しについては法59条規定しているが、その要件は設置者が法58条2項の命令違反したことである。これは許可の取消しという、許可拒否に比べて強い効果を持つ処分をする要件を厳格に限定した趣旨と思われる。したがって、法58条2項の命令違反以外の事由を考慮する裁量は認められないと解される。

 したがって、通達違反により許可の取消しまですることはできないと解される。

設問3

1. 考えられる規定の骨子

 本件制度実効性を持つためには、T市長許可を得ていないにもかかわらず場外発売場を設置した事業者に、(a)罰則を与える規定、(b)場外発売場を強制撤去する規定必要である

2. 条例問題点

(1) 規定(a)の問題点

 条例刑罰規定を置くためには、地方自治法14条3項の要件を満たさなければならないという問題がある。

(2) 規定(b)の問題点

 ここには、条例行政上強制執行手段を創設することができるのかという問題がある。そしてこれは認められない。行政代執行法1条にいう「法律」に条例が含まれないからである。なぜなら、同法2条で「法律法律委任に基く・・・・・・条例を含む。以下同じ。)」とされていることの反対解釈から、そう解されるのである

2015-06-16

 以下便宜国鉄の例をとり、両者を対比してみる。

(一) 国鉄国家行政組織法に定める国の行政機関ではなく、したがつてその職

員も国家公務員ではない。これに対し林野庁は言うまでもなく、右組織法に定める

国の行政機関であり、その職員は一般職に属する国家公務員である

(二) 国鉄職員に対しては日本国有鉄道法(以下国鉄法という。)第三四条第二

項により、国家公務員法適用全面的排除されているが、林野庁の職員に対し

ては前述のとおり公労法第四〇条により、一定範囲国家公務員法規定適用

排除されているのみで、一般的には同法が適用されている。

(三) 任免について国鉄職員の場合には国鉄法第二七条において、その基準の大

綱を示すにとどめ、その具体的規律については国鉄の定めるところに一任している

のに、林野庁職員の場合には、前記のとおり国家公務員法第三章第三節および人事

規則八-一二によつて、職員の採用試験、任用手続等がきわめて詳細かつ具体

的に規定されており、林野庁に一任されている部分はきわめて少ない。

(四) 降職および免職事由についてみると、林野庁職員の場合には、国家公務員

法第七八条第四号において「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又

は過員を生じた場合」と規定されているのに対し、国鉄職員の場合には国鉄法第二

九条第四号において「業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合

と、ことさら私企業的色彩の強い降職および免職事由が定められている。

(五) 懲戒事由についてみると、林野庁職員の場合には、国家公務員法第八二条

第三号に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」と定めら

れ、林野庁職員の公務員たる性格を明らかにしているのに対し、国鉄職員の場合

懲戒事由を規定した第三一条第一項にかゝる規定を欠いているし、その他の点で

国鉄法にはその職員を「国民全体の奉仕者であるとは規定していない。

(六) 一般服務関係については、国鉄職員の場合には国鉄法第三二条が職員は法

令および業務規程に従い全力をあげて職務遂行に専念すべき旨を定めるにとどま

るのに対し、林野庁職員の場合には国家公務員法第九六条において「すべて職員は

国民全体の奉仕者として公共利益のために勤務する。」ものであるとの根本基準

を明らかにしているほか、上司命令に対する服従、信用の保持、秘密の厳守、職

務への専念、政治的行為制限私企業から隔離、他の業務への関与制限等(国

公務員法第九八条ないし第一〇四条国家公務員として特殊な勤務関係に応ずる

ものと解される詳細な規定が設けられている。

債務者見解については裁判例として参照すべきものに次のものがある。

(一) 東京地方裁判所昭和三〇年七月一九日判決

行政事件裁判例集第六巻第七号一八二一頁)

(二) 東京地方裁判所昭和三八年一一月二九日判決

判例時報第三六四号一四頁)

 以上のように債権者らが全く同質的ものであると主張する三公社職員の勤務関

係と、林野庁職員の勤務関係との間には、実定法規の上で本質的差異が認められ

るのである

 しかして、債権者らに対する本件配置換命令は、すでに述べたとおり国家公務員

法第三五条人事院規則八-一二(職員の任免)第六条にもとづいて行われる公権

力による一方的行為であるから、いわゆる処分性を有し行政処分としての性格を有

するといわなければならない。(公労法第八条第二号は各種の人事事項に関して当

事者自治による決定を認めているがこれはあくまでも所定の人事権行使に関する基

準について団体交渉等を認めたものであつて、その基準適用して具体的、個別的

に行われる人事権行使一方的行為であることに消長をきたすものではない。)

四、(一) 債権者らは、林野庁職員に労働基準法適用され、同法施規則第五

条に就業場所に関する事項等を労働条件として明示することを規定していること

を挙げ、林野庁職員は私法的労働契約関係にあると主張するが、同条の規定労働

条件に関する事項(基準的事項)について、使用者にその内容の明示義務を課した

ものであつて、このことと個別的、具体的措置がいわゆる共同決定事項であるかど

うかとは別個の問題である

 ところで任命権者ないし使用者が、個別的具体的人事を決定する最終的権利を保

有することは、公務員関係である私企業における労働関係であるとを問わず一般

是認されているところである労使関係運用の実情及び問題点労使関係法研

会報告書第二分冊一一四頁)。

 これについてみると、国家公務員として任用された以上は、任免、分限、服務お

よび懲戒等の勤務関係の具体的内容は国家公務員法によつて任命権者が一方的に行

いうるのであつて、個々に職員の同意を要しないものであり、また配置換命令につ

いていえば、任命権者が国家公務員法第三五条の欠員補充の方法として、その権限

範囲内で職員をいかなる官職に任命するかは自由裁量であつて、それは任命によ

つて勤務官署が異ると否とを問わず、任用関係本質および内容からいつて改めて

個々的に同意を要しないのである。そしてこのことは、例えば労働基準法施行規則

五条第一〇号の休職に関する事項が明示事項とされているが、具体的な適用に当

つては、国家公務員法第七九条により職員の同意をうることなく本人の意に反して

も任命権者はこれを行いうることからみても明らかである

 それゆえ、就業場所に関する事項が労働基準法にいう労働条件明示事項であつた

としても、林野庁職員の個別的、具体的な配置換命令は、職員と任命権者との間の

合意によつて定めるのでなく、国家公務員法適用によつて任命権者の権限によつ

て行われるものである。したがつてこのような行為は、同意をうるための労働契約

上の労働条件の変更を求める私法上の意思表示ではなく、公権力による一方的行為

であり、行政処分といわなければならない。

(二) なお債権者らのあげる地方公営企業職員の解雇に関する裁判例は本件事案

に適切でない。すなわち地方公営企業職員と公労法の適用される五現業職員との間

には、その性質に関し法律上明確な差異がある。

 その一例をあげれば、地方公営企業職員については、政治的行為制限もなく

地方公営企業法第三九条第二項による地方公務員法第三六条適用除外)また、

行政不服審査法適用もない(地方公営企業法第三九条第一項による地方公務員法

第四九条および行政不服審査法適用除外)。

 したがつて、地方公務員法による処分に対して人事委員会または公平委員会に対

する不服の申立をすることができず、これらに対する審査請求は一般私企業と同様

裁判所あるいは労働委員会へすることが許されるにすぎない。これに対し五現業

職員については、すでに述べたように政治的行為制限国家公務員法第一〇二

条)があり、また不服申立に関する規定(同法第九〇条ないし第九二条の二)もそ

のまゝ適用され、不利益処分としての審査請求は、国家公務員法所定の要件を備

え、公労法第四○条所定の範囲内で人事院に対し申立てることができるのである

このことは五現業職員の勤務関係公法関係であり、これにもとづいてなされる任

命権者の措置行政処分であることと切離して考えることはできないのである

五、以上の次第で、本件配置換命令行政庁処分にあたり、民事訴訟法による仮

処分をすることは許されないから債権者らの本件仮処分申請は不適法として却下

るべきものである

第五、申請の理由に対する答弁

一、申請の理由一、の事実は認める。および二、の事実中(一)の事実は認める。

二、(二)の事実債権者a・bが組合分会執行委員であつた事実組合青年婦人

部が債権者ら主張のとおりの役割を果すべきものとされていること、債権者aが債

権者ら主張のとおり採用され勤務していたこと、債権者bの学歴および勤務歴は認

めるが、債務者債権者らの組合活動嫌悪して不利益な人事移動を行い支配介入

したこと、および債権者らに転任できない事情存在することは否認する。その余

事実は知らない。

 申請の理由(三)・(1)の事実中、農林技官e・f・m・i・j・kがそれぞ

れ主張のとおり配置換えになつたこと、農林技官gが債権者ら主張の事務所に配置

換えになつたこと、は認めるが、右fが当時執行委員であつたこと、および右gの

配置換えになつた日は否認する。その余の事実は知らない。右gが配置換えになつ

た曰は昭和四〇年三月二五日である

 申請の理由(三)・(2)の事実中、配置換を行うに際し、昭和三六年以降ほゞ

隔年職員調書をとり、これに転勤希望一の有無を記載させていることは認めるが、

その余の事実否認する。

 同(3)の事実中、債権者ら主張の会議において、主張のような討議事項が提出

されたことは認めるがその余の事実否認する。右討議事項は一署長が提出したも

のにすぎず、当該会議においてもその後の会議においても全く討議の対象とはされ

なかつた。討議事項については、署長側から提出された討議事項は、そのまま会議

資料にのせ、これを配付する方針であるために討議事項として登載され配付したま

でのことであるしかも、右討議事項には債権者ら主張のような事項が含まれてい

たにも拘らず、これを秘密文書として取扱うことさえしなかつたことは、債務者

してこれを全く歯牙にかけず、まともに問題としようとする意思のなかつたことを

裏付けものである。また、実際においても、その後の配置換において、学習運動

考慮された事実は全くないのみならず、すでに二年以前の出来事で本件とはなん

らの関連もない。

 申請の理由三、(一)・(二)の事実中、総務部長会見および署長会見の席上に

おいて債権者ら主張のような発言があつた事実は認める。債権者ら主張の大会の準

運営債権者らが不可欠の存在であること、および事務引継ができないことは否

認する。その余の事実は知らない。

 同(三)・(四)の事実中、債務者債権者らの希望があれば組合青年婦人部大

会において新役員が改選されるまで赴任を延期してもよいと言明したこと、および

本件配置換命令債権者らの家庭生活破壊するものであることは否認する。その

余の主張は争う。

二、本件仮処分申請ば必要性を欠き、却下を免がれない。

 すなわち、債権者c・bは昭和四二年四月一七日、債権者aは同月一九曰それぞ

れ新任地に赴任し業務についている。

 従つて本件は本案訴訟において争えば足りるのですでに仮処分必要性は消滅し

ている。

 債権者らは、新任地への赴任が臨時的ものであることを保全必要性の要素で

あるかのように主張するが、保全必要性は、本件配置換命令効果として形成

れた権利関係によつて結果的に生ずる不利益、すなわち、著しき損害等が生ずる場

合に認められるもので赴任の異状性は仮処分必要性の要素とはなり得ない。

 また、債権者らは、本件配置換命令の結果組合活動自由が阻害される旨主張す

るが、組合活動は新任地においても行いうるものであるし、債権者らが主張する前

任地における組合活動に関する整理等の残務は、もともと債権者らとは別人格の組

前橋地方本部福島営林署分会および白河営林署分会に関する事情であつて、債権

者らについての仮処分必要性判断するための要素とはなり得ない。

 仮りに右残務整理に関する主張が、債権者らについての仮処分必要性に関する

ものとして可能であるとしても、本来組合活動は勤務時間外に行わるべきものであ

り、とりわけ残務ということであれば限られた業務であるから、新任地においても

時間外に処理することは可能であるしか組合執行機関は数名の執行委員をも

つて構成されその業務も特殊専門的業務でなく、共通性を有するものであるから

執行委員一名が欠けたゝめ余人をもつて代え難い業務が残存するとは考えられな

い。よつて他の執行委員に残務を引継ぐことは任期中途で異動した場合通常行われ

ていることであり、本件のみそれが不可能であるとする理由は見当らない。

 右の理は組合青年婦人部の役員についても、また妥当するところである。加えて

以上によるもなお債権者らが組合残務を処理しなければならないという特殊事情

あるとしても、必要最少限の日時について業務上支障のない範囲で新任所属長の許

可をうけて休暇によりその事務を整理することも可能であるから右主張もまた主張

自体失当である

第六、疎明関係(省略)

昭和四三年三月一二福島地方裁判所判決

(ヘ) 労働基準法は、非現業公務員に対しては準用されるにとどまる(国家公務

員法附則第一六条改正附則昭和二三年一二月三日法第二二二号第三条)けれども、

債権者林野庁所属するいわゆる現業公務員には、労働基準法全面的適用

れている。(公労法第四〇条第一項により国家公務員には労働基準法適用除外を定

めた前記国家公務員法附則第一六条、準用を定めた改正附則第三条がいずれも適用

排除されている。)

 したがつて、債権者らの労働関係については労働基準法により就業場所従事

すべき業務等をはじめ、賃金労働時間、その他の労働条件を明示して労働契約

締結すべきことが定められているのである。(同法第二条、第一三条、第一五条

施行規則五条

 このことは、国家公務員法債権者ら公労法適用者についてはその労働条件は労

使対等で決すべきこととし(労働基準法二条第一項)、団体交渉による私的自治

に委ねているものであり、その関係が私法的労働関係であることを明らかにしたも

のとみるべきである

(七) 以上の次第で、公労法の適用される五現業公務員労働関係実定法上か

らも、労働関係実定法からも私的自治の支配する分野であつて、本件配置換命

令は行政処分執行停止によるべきでなく仮処分に親しむ法律関係と解すべきであ

る。

第四、訴訟要件に関する答弁

一、本件仮処分申請は不適法であるから却下さるべきである

 債権者らが挙げる本件配置換命令は、行政事件訴訟法第四四条にいう「行政庁

処分」に当り、民事訴訟法上の仮処分により、その効力の停止を求めることは許さ

れない。

 債権者林野庁職員の勤務関係は、実定法公法関係として規制されているの

で、同じく公労法の適用をうけるとはいえ、三公社の職員の勤務関係とはその実体

も、実定法の定めも本質的な差違がある。すなわち、 林野庁とその職員間の法律

関係を考える場合、同じく公労法の適用をうける三公社独立企業体として制度

化され、その企業公益的、社会的および独占的性格から特に公社として私企業

との中間に位置せしめられているのとは異り、五現業においては公労法の適用をう

けるとはいえ、国家機関が直接その業務を行うものとして林野庁等の行政機関を設

けて国家自らその業務を執行し、その職員は国家公務員であるので、この差異は無

視されるべきではなく、次に述べるとおり、林野庁職員と三公社職員との勤務関係

には本質的差異が認められ、実定法は、林野庁職員を含む五現業公務員の勤務関

係を公法関係とし、勤務関係における配置換命令行政処分規律している。以下

項を分けて詳述する。

二、公労法や国家公務員法上、林野庁職員の勤務関係が具体的にどのようなもの

あるかは、立法政策上どのように規律されているかによるのであるから、これを詳

細に検討することなく、その勤務関係直ちに私法関係であるとすることは、林野

庁職員の勤務関係についての実定法の定めを無視するものであつて正当でない。

 周知のとおり、一般公務員についての任免、分限、服務および懲戒等の勤務関係

は、すべて法律および人事院規則によつて規律されており、任命された特定個人と

しての公務員は、このような法関係の下に立たしめられるものであり、またこのよ

うな公務員に対する任免、分限、服務および懲戒等に関する行政庁行為が国の行

機関として有する行政権行使であり、行政処分であることは、現在多くの判例

および学説の認めるところであつて異論をみない。

 ところで公労法第四〇条は、林野庁職員を含む五現業関係の職員について、国家

公務員法の規定のうち、一定範囲のもの適用除外しているが、一般職公務員であ

るこれら職員の勤務関係の基本をなす任免、分限、懲戒保障および服務の関係

ついては、極く限られた一部の規定がその適用を除外されているだけで、国家公務

員法第三章第三節の試験および任免に関する規定(第三三条~第六一条)、第六節

の分限、懲戒および保障に関する規定(第七四条~第九五条)、第七節の服務に関

する規定(第九六条~第一〇五条)の殆んどは、一般公務員場合と同様に林野庁

職員にも適用され、またこれらの規定にもとづく「職員の任免」に関する人事院

則八-一二、「職員の身分保障」に関する人事院規則一一-四、「職員の懲戒」に

関する人事院規則一二-○、「不利益処分についての不服申立て」に関する人事院

規則一三-一、「営利企業への就職」に関する人事院規則一四-四、「政治的

為」に関する人事院規則一四-七、「営利企業役員等との兼業」に関する人事院

規則一四-八等も同様に適用●れているのである。もつとも、林野庁職員について

は、公労法第八条一定団体交渉の範囲を法定し、その限度において当事者自治

の支配を認めているが、そのことから直ちに林野庁職員の勤務関係の法的性格を一

般的に確定しうるものではなく、右のような国家公務員法および人事院規則の詳細

規定が、右勤務関係実体をどのようにとらえて法的規制をしているか検討

れなければならないのであるしかして、右規律をうける林野庁職員の勤務関係

は、公労法第四〇条によつて適用除外されているものを除き、一般公務員と同様の

公法規制をうけた勤務関係というほかはないのである

三、林野庁職員の勤務関係公法上の勤務関係であることは、一般に私法関係であ

るとされている三公社の職員の勤務関係と対比することにより、更に明らかとな

る。

(ホ) 昭和四二年四月一日付をもつて、組合福島分会青年婦人事務局長であつ

福島営林署経営課勤務の農林技官hを福島営林署二本松担当事務所に配置換

白河営林署分会関係

(イ) 昭和三七年四月一日付をもつて、組合白河分会青年婦人部長であつた白河

営林署事業課販売係勤務の農林技官iを白河営林署牧本担当事務所に配置換

(ロ) 昭和三九年四月一日付をもつそ、組合白河分会青年婦人部長であつた白河

営林署経営経営係勤務の農林技官jを長野営林局上田営林署に配置換

(ハ) 昭和四〇年四月一日付をもつて組合白河分会青年婦人書記長であつた白

河営林署経営課造林係勤務農林技官kを沼田営林署追貝担当事務所に配置換

(2) 本件配置換の手続が異常である

 職員の配置換は毎年職員調書に転勤希望の有無を記載させるとともに、組合と債

務者間に具体的な配置換に際しては、●らためて本人の事情希望を確かめる取決

めがなされているのに本件配置換に際しては、債務者債権者らに事情聴くこと

も、意思確認することもせず全く一方的に配置換をした。

(3) 配置換が組合学習運動を壊滅する手段として使われていることを債務者

自ら認めているのであつて、このことは、昭和四〇年中に開催された第一一回定例

営林署長会議において、「組合学習運動地本指導下に最近活発になつてい

る。-中略-日常のP・Rと共に人事移動等により防止しているが撲滅できない状

態にある。よろしく局の指導を御願したい。」との討議議題が提出されていること

からみても明らかである

三、(保全必要

(一) 債務者は本件配置換に関する団体交渉において、債権者らが昭和四二年四

月一日までに赴任しなければ懲戒処分もありうる旨言明している。

(二) 債権者らが役員をしている組合青年婦人部の大会昭和四二年五月に開催

され、新役員が選任されることとなつているが、前記のとおり債務者組合青年

人部役員に対し集中的に配置換をしてその組織破壊企図している時点におい

て、右大会特に重要な意義を有するのである債権者らは右大会の準備、運営

不可欠の存在であるし、右大会において債権者ら以外の組合員が新役員に選任され

場合には、債権者らは事務引継の必要がある。

(三) 仮りに債権者らが本案判決があるまで暫定的に本件配置換命令に従うとし

ても、前記のとおり債権者らは本件配置換に際し、あらかじめ、事情を聴かれたわ

けでなく全く希望しない任地へ転勤することとなるから、赴任期間一〇日をもつて

しては家庭生活を整理する余裕がない。

 しかも、本件配置換命令発令後四月六日までの団体交渉において、債務者組合

に対し、債権者らの希望があれば組合青年婦人大会において新役員が改選される

まで、赴任を延期してもよいと言明していたにもかかわらず、その後の団体交渉に

おいて突然態度を飜し、四月一〇日までに赴任しなければ懲戒処分もありうる旨言

明するに至つた。

 そのため、債権者らの赴任準備期間は実質的に四月八日、九日の僅か二日間を残

すのみとなり、四月一〇日までの赴任は事実上不可能となつた。

(四) 債権者らは債務者から懲戒処分をうけることを防ぐため、止むなく単身身

廻品を持つてそれぞれ任地に赴いたけれどもこれはあくま懲戒処分を避けるため

暫定的もので、家庭生活の整理、組合活動の整理も全くせず、旅支度に類する

程度の準備で赴任しているので、この状態を長く続けることは不可能であり、現在

帰郷して懲戒処分をうけるか、家庭生活破壊し、組合活動自由放棄するか二

択一を迫られている。

 以上の次第で、債権者らは本案判決に至るまでの間懲戒処分を防止し、家庭生活

破壊組合活動自由剥奪等の状態を防ぐ緊急の必要がある。

第三、債務者の主張に対する反論

(一) 債務者は本件配置換は行政処分であるから、本件仮処分申請は不適法であ

ると主張するが、債権者らと債務者との勤務関係公法関係でなく、私法関係であ

つて本件は民事訴訟法上の仮処分対象となる法律関係である。すなわち、 債権

者ら林野庁職員については、公共企業体労働関係法(以下公労法という。)が適

用され(同法第二・三条)、国家公務員法規定の一部は適用されない。(公労法

第四〇条)

 公共企業体等の職員の労働組合は、団体交渉権労働協約締結権があり(公労法

八条労働協約は個々の労働契約の内容を変更する効力を有する(労働組合法

六条ものであるから、右職員と任用権者間の労働関係は、対等当事者間の合意

の支配する私的自治の分野であり、一般公務員のように、その身分が国法上の分限

によつて定められているものとは性質を異にするばかりでなく、公共企業体等の実

態をみても、その企業体は、私人が同種の経済活動を行つているのと本質的に同一

のものであり、債権者らが所属する労働組合林野庁には公労法第八条第四号に関

する協定は現に存しないけれども、これは債務者側において協約締結を不当に拒否

しているためであり、転勤については昭和三五年ころまでは、組合地方本部対応

営林局との間の形態において存し、昇職、転職については、「任官に関する覚

書」、「賃金及び雇用配転その他の労働条件に関する仲裁申請事案の処理に関する

メモ」、「事業縮少並びに事業所閉鎖に伴う職員の解雇及び配置換等の事前通知に

関する協約」等が存し、私企業となんら異なるところはない。

 したがつて、公共企業体等とその職員の関係は、権力服従という公法上の関係

はなく、私法によつて規律される分野にあるものというべきである

(二) そもそも公法分野と私法分野の区別については、学説多岐に分かれ、必ず

しも明確ではないが、少なくとも関係主体が国その他の公法人であるか否かがその

区別メルクマールとなるものではなくこれら公法人もまた私法分野における主体

として行為することがあり得るのである

 そこで人の使用されている関係が私法関係である公法関係であるかは、使用者

私人である国家ないし公共団体等の公法人であるかによつて決せられるべきも

のではなく、その関係慣習法上ないし実定法上いかに規律されているかによつて

決せられるべきものである

 もつとも歴史的には国家本来の統治権の作用、すなわち権力作用を営む場合

その任に当る個人の人権犠牲にしても権力作用の秩序を維持する必要があるとの

理由から上下服従の特別権力関係を内容とする慣習法実定法が生れて来たけれ

ども、国家本来の統治権の作用を離れ、事業活動を営む場合にまでなおその従業

員を法律上特別権力関係に立たせることは決してその本質的必然にもとづくもの

はない。(東京地方裁判所昭和二四年八月八日判決労働関係民事々件裁判例集七号

八六頁参照)

 
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