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2017-03-19

黒く渦巻く菓子の話

愛媛県人にとって、タルトとは黒くて渦巻き状の紋様を見せるロールケーキに似た菓子のことを指す。

もしあなた愛媛県人に「タルトの絵を描け」と命じたら、間違いなくそのような物体が描かれるはずだ。

 

であれば、クッキー風の記事クリームのフィリングを詰めフルーツや飾りクリームを乗せたあの菓子愛媛県人の中でどう処理されるのだろうか。

その解は、「そもそも知らない」である

そう、愛媛県人は、西洋菓子の、いわゆる「タルト」を知らない。

二十代以下であれば八割ほどは知っている。外界への興味が強いからだ。

しかし三十代以上となるととたんに「一般的タルト」の知名度が下がる。

六十代以上ともなると、「タルト=断面図が渦巻き状の巻物」で概念が固定される。一般的タルトについて教え込んでも一週間もすれば記憶から消される。タルトは、渦巻きである

 

その、愛媛タルトとはなにか。

そもそもなんなのか。

 

愛媛タルトは「あんこを巻いたロールケーキ」と称されることもあるが、それは正確ではない。

きめ細かく、大粒の砂糖が光る記事。それはロールケーキというよりもカステラのそれに似ている。

あんこ柚子の風味が漂い、メーカーによっては栗が混ぜ込まれる。

たびたび比較される関東菓子シベリアあんこ部分が羊羹状となっているが、愛媛タルトあくまでもあんこあんこである柚子フレーバーあんこである

 

昨今ではメーカー間の開発競争の結果、スポンジ生地に「さくら」「抹茶」「ごま」などを練り込んだ季節限定タルト確認されている。

愛媛県人も所詮日本国民の一部分でしかないので、季節限定商品には弱いのだ。

私的オススメ一六本舗抹茶タルトである

スポンジだけでなくあんこにも抹茶が練り込まれ、口に含まれた瞬間に噛みごたえのあるスポンジの甘さと鮮やかに練り込まれあんこの重い甘み、さわやかな柚子香り、それらの奥から抹茶の風味が感じられる。

 

ここまで説明しておいて難だが、愛媛タルト愛媛限定商品ではない。

四国四県の土産物屋であればどこでも買えるし、瀬戸大橋を渡った山陽でも買える。山陰で売っているかどうかは知らない。

愛媛県人はタルトうずまき)の魅力を伝えるため、近隣の県から浸食を始めているのだった。

タルトうずまきになる日も近いと思われる。

 

ここまでタルトについてながながと説明したが、タルトが食べたくなっただろうか。なったよね? なったよね???

タルト通販でどこでも買える。東京に居たって買える。

しかし、臨場感のある、愛媛感のあるタルト体験を味わえるのはタルト県もとい愛媛県のみである

ぜひ一度愛媛に遊びに来てほしい。

そしてタルトを味わってほしい。

さっくりした生地にあまーいクリームが詰まりみずみずしいフルーツが乗っているあの菓子ではなく、

ちょっと硬めのざっくりふんわりとしたスポンジ、押し寄せてくるあんこの甘さ、鼻を抜ける柚子の風味。

あなたはもう、タルトから逃れられないのだ!!

 

最後に、どのメーカーを選べばよいのか簡単に書いておく。

一六タルトは売れ線であるが、味がジャンクであるという評判もついている。

慣れればあのおおざっぱなタルト感にやみつきとなるのだが。

タルトを食べたいならばハタダのものを買うといいだろう栗が大粒であんことスポンジとの調和がとれている。

初心者によく勧められているのは六時屋である。スポンジが柔らかめで、あんこがそこまで主張してこない。やさしいテイストである

そのほか、あわしま堂や亀井製菓などのメーカー存在する。

あわしま堂のタルトは食したことがないが、あわしま堂の菓子は美味しいのでタルトもきっと美味しいはずだ。

亀井製菓は変わり種のタルトを数多く製作している。普通タルトに飽きたらぜひおすすめしたい。

 

愛媛よいとこ、一度はおいで。

来たらば、レッツタルト

エンジョイタルトノットサクサクタルト

イエスブラックグルグルタルト

 

黒い渦巻きに、あなたはもう抗えない。

 
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