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2021-02-15

必読書コピペマジレスしてみる・ミステリ

方針目的

1. エドガーアラン・ポオ「モルグ街の殺人

先日も述べたように自分ポー作品が好きではあるのだけれども、ミステリ黎明期は今でいうところの禁じ手を平気で使っているものが多く、純粋ストーリーを楽しもうとするとずっこけることがある。とはいえ論理と推論をたどることによって面白い話を作りだすのを始めたのは彼なので、ミステリが好きなら読んでおきたい。確かに意外な真犯人ではある。

3. コナン・ドイルシャーロック・ホームズの冒険

同じく、今でいえばお粗末な話も時折あるのだけれども、ホームズワトソン関係が好き。中でも「三人ガリデブ」でワトソンピンチに思わず熱くなったホームズは必見。なんでこのシーンが好きなのかというと、聡明すぎてどうしても人を観察対象としてしまホームズが、知的ではあるが彼ほどではないワトソンを心から思いやっているからだ。知的に対等ではない人間を愛することができるかどうかは、鋭敏な知性の持ち主にとっては人生最大の試練だ。女性人気が高いのもうなずける。

4.モーリス・ルブラン「怪盗紳士ルパン

ルパンシリーズのこの巻だけ親が買ってくれたし、何度も読み返していたのだが、なぜか続きを読もうとは思えずに現在に至っている。ミステリというよりは冒険小説に近い気もするが知恵比べ的な面もあり、そこが面白かったのかもしれない。しかしそうすると、これをミステリ100選に入れるかどうかは迷う。ライトノベル定義ライトノベルレーベルから出ているかどうかだとすれば、東京創元社早川書房から出てはいからミステリとしてOKかもしれないが。

6. フョードル・ドストエフスキー罪と罰

自分新世界の神になれると信じて殺人を犯したのに日和ってしまい、純粋ソープ嬢に救われる話。これも謎を解くというよりも心理戦を描いている。心理戦というかやっぱりドストエフスキー名物の神経質な人間独白だ。基本、ドストエフスキー登場人物にはまともなやつなどおらず、この作品例外ではない。主人公の妹をつけ狙うロリコン野郎だとか、娘がソープで稼いだ金で酔いつぶれ、その罪悪感からまた飲むというどうしようもない親父だとか、神になり切れなくてプルプル震えている主人公だとか、そういうキャラが最高なのだ。これではまったらドストエフスキー大長編を制覇しよう。ミステリじゃないのがほとんどだが、心配はいらない。ドストエフスキーの過剰な語りにはまった人間の前ではそのようなことは些事だ。

ちなみに高野史緒カラマーゾフの妹」は二次創作小説として最高なのでみんな読もう。

7. コンラッド「闇の奥」

こういう非人道的植民地を持っていた王様銅像だったら国民から倒されても文句は言えんよな、的なベルギーコンゴモデルの一つとしているのだけれども、これってミステリかね? ひたすら謎の人物を追いかけて、地理的にも深いところへ分け入っていき、目的人物出会うが彼はあっさり死んでしまうというあらすじは、神話的な単純さと力強さがあるが。クルツは何を恐ろしがっていたのかで語り明かしたい本である

9. ヴァン・ダイン僧正殺人事件

自分は育ってきた境遇英米わらべ歌(マザーグースナーサリーライム)は身近に感じるのだが、そうではない読者がどこまでこの趣向を楽しむことができるかどうかはわからない。

この作品特筆すべきことは、探偵犯人と対決するときの命を懸けた大博打だが、今の倫理的な読者はこの方法犯人を裁くことが適切と考えるかどうかはわからない。ミステリにおける倫理後期クイーン問題とかそういうの?)を語るなら読んでおきたい。

11. エラリー・クイーン「Yの悲劇

かに単体で一番面白いのはこの作品だけれども、せっかくだからドルリー・レーン四部作は一気読みしたい。ただ、衝撃の真犯人といわれても、すっかりすれてしまった現代の読者からすればそこまでショックを受けないかも。そういう意味では登場人物の反応も大げさに見えてしまう。

個人的には「Zの悲劇」以来(テコ入れのために?)登場したペイシェンスという活動的ヒロイン女性史の観点から興味深い。当時としてはすごく斬新なヒロインだったんじゃなかろうか。恋人と一緒にパンツを買いに行くし。

13. アガサ・クリスティそして誰もいなくなった

クリスティはどれを選ぶか迷う。ただ、わらべ歌物の中ではなじみが少なくても楽しみやすいんじゃなかろうか。一人ずつ減っていくという趣向は非常にわかやすい。謎を解く手記が多少不自然といえなくもないが気軽に読める。

ちなみに舞台版ではハッピーエンドに改作されているのもあるとのこと。

25. ロアルド・ダールあなたに似た人」

チャーリーとチョコレート工場」など児童文学の作者としても知られる。児童文学ではスパイス代わりだった毒がメインディッシュになっている。

ところで、読者諸氏は年末に「岸部露伴は動かない」をご覧になっただろうか。ドラマ化されていないが、シリーズの中に命を懸けて賭けをする場面がある。あるいは、「ジョジョの奇妙な冒険」第五部でライターを消してはならないという賭けが出てくる。その元ネタとなったと思しき「南から来た男」が収録されているので、ジョジョファンは一読をお勧めする。オマージュ翻案とはこういうのを言うのか、って気持ちになる。なお、ダールは「奇妙な味」の作家としても知られている。

27. レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」

筆者はフィリップ・マーロウの良さがわからない。必要のない危険にわざわざ飛び込んでいき、暴力的人間挑発する。ただし、この作品日本の文化に与えた影響は大きい。

ハードボイルド小説以外から例を挙げよう。一つは村上春樹のいわゆる鼠四部作だ。「羊をめぐる冒険」での鼠の足跡を訪ねてのクエストチャンドラーの強い影響を受けている。あるいは「ダンス・ダンス・ダンス」の警官による拷問親友犯罪が明らかになるシーンの元ネタも見つけることができる。一度村上春樹登場人物系譜はどこかでまとめておきたいと思っている(村上春樹ヒロインをまとめていた増田自分は別人)。

もう一つは「スペースコブラ」の「坊主… 口のききかたにゃ気をつけな… オレは気が短けえんだ!」「腹を立てるとなにをするんだ? うさぎワルツでも踊るのか」の元ネタがあること。「……俺は頭が切れやすくってね」「頭が変になったら何をするんだい? 地リスとタンゴを踊るのか?」。どこがかっこいいのかは残念ながら筆者にはわからなかった。

37. ウンベルト・エーコ薔薇の名前」★★★

エーコについては書きたいことがたくさんある。キリスト教と笑いについて問いを投げかけたこと、中世舞台にしているようで当時のイタリアについての無数の言及があること、それから次の名言。「純粋というものはいつでもわたしに恐怖を覚えさせる」「純粋さのなかでも何が、とりわけ、あなたに恐怖を抱かせるのですか?」「性急な点だ」

しかし、この作品で一番深刻なのはキリスト教文学であるにもかかわらず、主人公見習い修道士以外の誰もが、誰のことも愛していないことだ。キリスト教とは愛の教えであるはずだ。弱いものに施したことは、神に捧げたことになるはずで、福音書にもそう書いてある。しかし、修道士たちは貧民を見捨てて権力争いに明け暮れ、異端審問官たちは民衆拷問し、主人公を導くはずの師匠人間を愛していない。彼が愛しているのは知識だけだ。

主人公は、言葉の通じない村娘とふとしたきっかけでたった一回の性交を行い、彼女に深く恋し、それでも魔女として告発された彼女を救えない。彼が村娘の美しさを描写する言葉がすべて、聖書からのつぎはぎなのが痛々しい。

勿論、知的な遊び心にもあふれている。主人公の不可解な夢の持つ意味を解き明かした師匠は「もしも人間が夢から知識を得る時代が来たら世も末だ」という趣旨台詞を漏らすが、これはフロイトへの当てこすりである。同じく、深刻な場面で、とあるドイツ神秘主義者が「梯子をのぼったらその梯子不要なので捨ててしまわなければならない」と述べたことが言及されるが、ウィトゲンシュタイン言及したジョークである中世にこんなセリフが出てくるはずがない。

難解かもしれないが何度でも楽しめる。なんだったらあらすじを知るために映画を先に見てもいい。ちなみに、この映画セックスシーン、村娘が修道士を押し倒すのだけれども、多感な時期にこんなものを見たせいで女性男性を襲うアダルトビデオが好きになってしまった。そういう意味でも自分にとっては影響が深い作品

40 ウィリアム・ゴールディング蝿の王

人間嫌いだった筆者が最高に楽しんだ本。文明が野蛮に回帰していくというモチーフが好きなのだ。何を持って野蛮とするかは諸説あるが。大体、中高生の頃は自分差し置いて人間なんて汚いという絶望感に浸りがちで、そういう需要をしっかりと満たしてくれた。舞台と同じ男子校出身だしね。

48.アゴタ・クリストフ悪童日記

三部作の一冊目。実はこれ以外読んでいない。読んだ当時は、双子たちのマッチョ志向というか、とかく異様に力を手に入れようとするところだとか、著者がフランス語で書いたにもかかわらずフランス語憎悪しているところとかが、何とも言えず不快だった。

今読み返したら、双子たちが過剰に現実適用しようとする痛々しさや、亡命文学の苦しみに対してもっと共感できる気がする。個人的には頭が良すぎて皮肉な態度を取り続けるクンデラのほうが好きだけどね。「存在の耐えられない軽さ」よりは「不滅」派。

53. 黒岩涙香巌窟王

翻案前の「モンテ・クリスト伯」について書く。

子供の頃より腕力がなくてやり返せず、口も回らずにいつも言い負かされ、片想いしていた女の子いじめっ子が仲良くなるのを横で見ていた自分にとって、自由財産恋人を奪われたことへの復讐主題としたこ作品にはまることは必然であったと思う。とにかく面白い特にモンテ・クリスト伯が徐々に復讐心を失っていく過程が、非常に良い。

大人になって完訳版を読むと、ナポレオン時代の国際情勢を背景がわかってさら面白かった。

55. 江戸川乱歩「孤島の鬼」

犯人当てや宝探しなど派手な展開がてんこ盛りだし、犯人動機の一部は自分醜悪に生まれたことに端を発しているから、貧困とか弱者とか非モテとかそういう問題に敏感な増田にとっても議論の題材にできそう。

57. 夢野久作ドグラ・マグラ

読んだからと言って別に正気が失われないけれども、チャカポコチャカポコのくだりで挫折する読者が多いと聞く。大体あの辺りはあまり深刻にとらえず、リズムに乗って楽しく読めばいい。スチャラカチャカポコ

話のテーマは、基本的には原罪的なものだろう。自分が人を殺しているかもしれないという恐れ、親の罪を受け継いでいるかもしれないという恐れ、それから生きることへの恐れだろうか。

60. 小栗虫太郎黒死館殺人事件

難解な雰囲気は好物だが、かなり自己満足的でもある。ヴァン・ダインの二十則破りまくりだし。言葉連想テスト犯人を指摘し、余計な情景描写や、脇道に逸れた文学的な饒舌にあふれ、探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く。作者の知識開陳を素直に楽しみましょう。ただ、これ読むんだったら澁澤龍彦の本を何冊か買ったほうがお得であると思うし、膨大な知識が注ぎ込まれているがリーダビティの高い点でもエーコに軍配が上がる。

62. 横溝正史獄門島

差別用語が出てくることで有名で、先ほど出てきたわらべ歌による見立て殺人の影響を受けている。

血のつながりによる犯行動機や、実行の決め手となる偶然の出来事、その皮肉な結末が個人的に好き。自分は謎を解くことよりも、犯人たちの心理状態特にその絶望のほうに興味を持つからだろう。

78. 竹本健治匣の中の失楽

メタフィクション個人的には愛好しているのだけれども、話が入り込みすぎていて結局どういう話であったか覚えていない。巻末の書き下ろしのおまけで、探偵少年パンツの模様を聞くシーンがあったことだけを覚えている。

とはいえ、癖のある登場人物から大学文学ミステリサークル雰囲気を思い出して感傷に浸るのにはおすすめか。大体、小説を好きこのんで読む人間は大抵どこかこじらせているものだし、読みたいリスト他人お勧めする本リストを作り出したらもういけない。そしてそんな奴らが僕は大好きだ。

以上。

2020-02-19

anond:20200219112419

逆にヴァン・ダインの二十則の7『長編小説には死体絶対必要である殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない』と同じで、人が死なない感染症では読者の興味を維持できないのではないか

2017-06-22

https://anond.hatelabo.jp/20170622085621

ノックスの十戒
ワイドスクリーン・バロック
ポストアポカリプス

2016-10-17

http://anond.hatelabo.jp/20161017154354

ちょっとブコメも読んだけど、やっぱり「魔法制限のある世界」に落ち着くのかね。

折れた背骨は、ほぼほぼ普通中世と変わらん感じだし。

空間転移して魔法ぶっぱで範囲皆殺しできる世界なら、そもそもテロし放題だしね。

結局、ミステリ文法世界法則が従う形でしか、成立できんよね。(当たり前だけど)


殺しても復活可能だろとかは、たしかオーバーロード」とかでも出てきて、「しまった」してたよね。

そういうのを制限して、「推理が成立する世界」にしないと無理だよね。

そもそも、ノックスの十戒ヴァン・ダインの二十則が、世界法則をミステリに従わせてるんだからSFだろうが、ホラーだろうが、ファンタジーだろうが、

ミステリを混ぜたらミステリ世界なっちまうよな。

http://anond.hatelabo.jp/20161017102034

ミステリファンタジー親和性の悪さは、「魔法」に尽きる。

さんざ、うみねこやらかした人が居たが、密室アリバイもなんもかんも魔法で実行できちゃうから、それが出来ないように念入りに潰さなきゃならん。

そして、それをやってしまったら「ファンタジー」の意味がない。(舞台中世なだけで、ただのミステリ

サスペンスミステリは別ジャンルだし、ミステリなら踏むべき手順がある。(ノックスの十戒ヴァン・ダインの二十則

それをやって、何でもアリの魔法が使えた上で、ミステリをやってのけるなら相当な創作力だが、そんなん本当に可能か?


密室やるなら空間転移召喚を封じる必要がある。遠隔操作魔法道具もNGだな。

変身できるだけでアリバイは作り放題だから、そもそもすべての人間が容疑から外せない。(本当のアリバイも信頼できないから)

空を飛べることで足跡も何も残らない。

そもそも、魔法があるんだから痕跡なんてなものは好き勝手に出来る。


魔法を封じては意味がない、マナ痕跡を探れるとかの条件は後出しできないし、それができるなら犯人はすぐわかる。

ファンタジーミステリなんて幻想だよ。

存在するとしても、それはファンタジー意味がない、ただのミステリだ。

だって、読者がファンタジー世界での問題解決を行う知識を、全部持ってる(または開示される)必要があるんだから

2014-08-28

[]

http://b.hatena.ne.jp/entry/anond.hatelabo.jp/20140828194525

結局中の人って誰だったんだろ?


https://www.youtube.com/watch?v=X_bT16afOy0#t=64

きっと何者にもなれないお前たちに告げる

じゃないんだけど、

何者かであってほしい需要

ってあるんだろうなあっていう。


テレリロロリロリン♪

中の人が俺の知ってる何者かであるべき




テレリロロリロリポワン♪(服が抜けていく)

要は現実虚構区別がつかない系なんだけど

ヴァン・ダインの二十則 - Wikipedia

10.犯人物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能告白するようなものである




ここらへんでコメンテーターがひとし君人形よろしく奈落へ真っ逆さま。


テレリロロリロリデデッデッデッデデン!


ミステリーの読み過ぎ。

2009-05-11

ミステリーのフェア・アンフェア論争

ミステリーとは、謎を提示して、その謎を我々に解かせるモノである。

・だれが  ・なぜ   ・どうやって

しかし、問題を解くにあたって、フェア・アンフェアという問題がある

我々は、与えられた本文中の情報だけで、本当に謎が解けるのか ということである。

探偵『あなたは、私たちの知らないある種の秘密の通路を使って、彼を殺したんだ!!』

これでは、わたしたちにわかるはずもない。


■どうすれば、問題を解く、公正・公平な環境ができるのか

○解く際の、情報そのものの提示が、あるか、ないか。

○解く際の、情報からトリックを、誰でもすいそくできるかどうか     の2つである。

前者は、秘密の通路を指し示す情報があったか、ないかである。

    昔、なぜかここに住んでいた男の子の二人は、気づいたら、違う部屋にいたことがある。などの情報の有無である。

後者は、秘密の通路へと発想を、飛躍できる情報だったのか、どうかである。

    廊下を歩くと、妙に、音が反響した。という一文から 秘密の通路の存在を導くのか??

    上記のような 一文から、秘密の通路を導くのかでは、   明らかに違う推理である。 

この2つが、満たされているか非常に重要である。

ノックスの十戒ヴァン・ダインの二十則。などのミステリーを作る作法にもこれの具体例が書いてある。

・2つ以上の秘密の通路を使ってはならない。

科学的に、複雑な説明などを必要とするトリックを用いてはならない。など。


■もう1つつけ加えたい。事件の発生を事前に教えているかである。

これは、個人的な要望だが、事件の発生を事前に知り、発生以前から目を凝らしていられるかである 。

恋愛小説を読んでいたつもりが、ん? いなくなった恋人の行き先の推理??

そんな、情報に目を凝らしていないよ!! てな事が度々あった。。。

あらすじなどで、消えてしまった彼の行方を捜す・・・。その先にある、二人の恋。

なんてかいてあると、眼を皿にして、真剣に、謎を探そうとする。

最初から、読者と、著者の 真剣真剣。の勝負だと、もっと面白い。

2009-02-23

いつの間にミステリは閉塞感のあるジャンルになったんだろうか?

ttp://d.hatena.ne.jp/g616blackheart/20090223/1235290371を読んでいてふとタイトルのようなことを言われていると気がつきました。

トリックアイデアが行き詰っているように見える現代ミステリの新たな道を切り開くきっかけとなりうるのではないかと思うのだ。

や当の竜騎士07氏の

ミステリはもっと楽しいものだったはずなんです。今のファンの方にはそれを思い

出して欲しい。

という発言をしている。

ミステリばかり読んでいる自分としては毎年毎年新しい人、新しいトリックやその新しい見せ方、プロットのひねり方に他ジャンルとの融合など結構ダイナミックに変化のあるジャンルだと思っていたのですが……

古典芸能に例えられることもありますが多くのミステリ作品エンターテイメント本位の作品が多いと感じていました。本格ミステリでも先行する有名古典作品を読んでいないと面白くない、なんてのは小数派だし、好きなものを手にとって読めば構わない気楽なジャンルです。

勿論先行作品に目を通しておかないと楽しめないものもありますが、そんなものばかりでは無い。出ないと最近ガリレオブームや京極、森といったメフィスト賞からのベストセラー作家の輩出は一部のミステリオタクだけでなす事は出来ないでしょう?多くの人を巻き込んだからこそ、じゃないのかなぁ?

更に言えばトリックの面でも最近は新しい物も出てきてます。紅楼夢の殺人の逆トリック(そう正に逆に仕掛けられたトリックでした)、蛍のトリック、厭魅(まじもの)の如き憑くもののネタアリスミラー殺人事件のネタも良かった、ウルチモ・トルッコの大胆なトリックも新しかった、エコール・ド・パリ殺人事件やトスカの接吻のような新たな息を吹き込むような作品も面白い。トリックもここ10年くらいは「トリック必然性」を重視している作品が多いですし、なんか言ってる事が古臭いというかなんと言うか

余りミステリを読まない人が簡単にジャンルの閉塞感を語ることは勘弁願いたい。多くの作品を読まないことには上っ面を適ッ当になでただけの言説になる上にそれを読んだ人が勘違いを起こすと思うんですけども。一時期唐突に「ノックスの十戒」や「ヴァン・ダインの二十則」を語る人が増えたときにも感じたことなんですが…… ミステリ好きなら今更これは無いよと思うんじゃないかなぁ。竜騎士07氏の言うことにも10~20年ぐらいのタイムラグを感じます。今更感がすごいと言うか、「なぜ、今、それを言うのか」みたいな。アンチミステリにしても後期クイーン問題にしてももう一段落着いて数年たってからの蒸し返しですから本当に「なぜ今更?」

まぁ愚痴です。知らんまにミステリが狭っ苦しいものとされるのには我慢ならなくて。

 
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