はてなキーワード: ハート・ロッカーとは
ちなみに自分はこの業界に足を踏み入れる際に具体的な業務内容など知らなかったので、特に自分が驚いたことを書く。
はじめて話数担当になった時は、先輩からアニメーターの連絡リストをもらって片っ端から電話だった。L/Oと原画作業のいわゆる営業。その後に信用を得て交流をもって、自分のキャパを拡げる。
この話数は出来がいいな、という時は制作進行の実力も大きい。
制作会社で拘束していたり、プロデューサーや制作デスクからの紹介もあるので、一概に制作進行の力だけではないけれど。
これは一般に有名かもしれない。
アニメーターは主に日中作業なので、回収は夕方~深夜。翌日演出さんに見てもらうために朝までに素材をスキャンしたり演出に素材入れしたり、というのが自分のスタイル(スケジュールに余裕がある時は別にして)。日中はデスク業務などを片付ける。これを基本に、演打ち・作打ち・作監打ち(総作監打ち)・CG打ち・色彩設計背景打ち・撮影打ち・カッティング・アフレコ・マーキング・ダビング・ラッシュチェックなどが入ってくる。
話数掛け持ちしてると忙しい。
生活が不規則になるので睡眠時間のマネージメントが必要、外回りの運転もあるので用心がいる。
休める時は就業時間中であっても休むのが鉄則になる(というより就業時間はほとんど意味を成さない)。
キツいとは認識していたが、味わってみるとホントにキツかった。はじめの頃は、納品出来ないんじゃないかという恐怖もあって気が休まらなかった。
もう二度とやるものか〜!という気分になるけど、終わってみると達成感で高揚。気がつけばまた戦場に赴いている。ハート・ロッカー。
キツいから辞める、という理由がほとんどかと思うが、2~3年くらいで他社に移るという人も多い(渡り鳥のように1年毎に居場所を変える制作進行もいる)。とにかく流動性は高い。
翻って、周りが辞めていく中で同じ制作会社に残り続けることで制作デスクへ昇格!ということもままある。SHIROBAKOの主人公のように入社2年目でデスクというパターンもあながちウソではない。
演出家志望の若者が制作進行をやっている場合が多い、という事を自分は入るまで知らなかったのでとても驚いた(みんなプロデューサー志望かと思っていた)。
自分が今まで一緒に仕事をした監督のほとんどは制作進行出身だった。
たまにアニメーターになる制作進行もいると聞くので、アニメ業界は良い意味で大らかだなあと思う。
○○さんが××制作会社に移ったらしい…という噂が風のように広まったりとか。
知り合いアニメーターの友人が実は自分も知り合いだったりとか。
三鷹、荻窪、井草辺りで深夜にご飯食べてると、隣が他社の制作だったりとか。
他社作品を観ていると大抵一人二人は知ってるアニメーターがクレジットされていたりとか。
意外とある。狭い。
_
ざっくり書いた。働いてみて、キツいけど楽しいというのが自分の所感です。
ときたま話題に上がる賃金問題については敢えて触れなかったけど。
あと人狼制作日誌とかくろみちゃんとか妄想代理人とかSHIROBAKOとか、業界内幕モノはこの世界に居たら一層面白いと思う(ハケンアニメ!は掛け離れ過ぎてるけど)。
年間200本の映画を観るぼくがオススメする7つの映画と7人の映画監督 - 私を構成する映画監督 - - Hikikomotrip
信頼できる映画評を各人間を見分けるにはコツがいる。見ればわかる程度のアレもいるが。
一番わかり易い見分け方は、まずライムスター宇多丸のラジオ映画評番組(正しくは番組内の一コーナー)「ムービー・ウォッチメン」を聞くことだ。
信頼出来ないやつはそこで述べられた評言をまんまパクる。咀嚼せずにパクる。宇多丸はラッパーだけあってキャッチーでクリティカルなフレーズを次々と考案してくれるので、使い勝手が良い。
そういうのをアホは何も考えずに右から左で流すだけだから、「それってどういう意味なんですか?」と聞かれたときにうまく対応できない。
感想や評論のパクりが悪ってわけじゃない。むしろ、それが有用だと思えばどんどんパクるべきだ。
しかし、それにはあくまで自分の感性や理性というフィルターを通して自分なりに噛み砕いたうえで、自分の言葉として精製する過程が必要だ。
それがアホにはできない。
たとえば、コレ。
この人がぼくに与えてくれたのは「ヒップホップ」。彼の映画の作り方はとってもヒップホップの思想に近いと思うんですね。サンプリングやオマージュを多用するパッチワーク的方法論はまさにヒップホップそのもの。ぼくがラップが好きなのは彼の映画が好きだからなのかもしれません。
じゃあお前、ウンコとオシッコは似たようなプロセスを経て製造されるけど、オシッコほど喜んでウンコまるのみできる自信あんの???
こういうのは圧倒的リファレンスを有し、かつ日本ヒップホップ界のレジェンドである宇多丸が言うから重みがある(別にタランティーノを形容してヒップホップ的と評したのは彼が初めてではないし最後でもない)のであって、そのへんのやつが言うと「え? 具体的にどういうこと?」と疑問が湧いてしまう。タランティーノ映画観てて「あ、このBGM、『アラモ』だな」とか「あ、このシーン、『修羅雪姫』だな」とか思うか?本当にタランティーノにヒップホップ魂を感じているのか?ちなみにタランティーノ映画で流れるヒップホップってせいぜいウータン・クランくらい(っていうかRZA)だぞ。
いやいやタランティーノは我々の知らない引用ネタをさも知っているものかのように見せるのが巧くて……と言うのだったら、手法として最もヒップホップ(=引用のパッチワーク)的な『ジャッキー・ブラウン』が肌にあわないってどういうわけ?
結局、ヤクザか狂人が出てきて人が無残に殺される映画が好きなだけってなら最初からそう言えば?
そもそも宇多丸リスペクトしてんなら『ハート・ロッカー』以外の気に入った映画も劇場で複数回観ろや!
こういう何も考えずに宇多丸にフリーライドして周囲の評判を稼ごうとする人を業界では「紫の服の人」と言います。
用例:
映画会社社員A「このまえ公開された◯◯なんですけど〜ネットにひどいこと書かれてて〜見て下さいよこのブログ〜」
広告会社社員B「ん〜???ああ、このブログね。これは「紫の服の人」だから気にしなくていいよ」
というところで、本日の増田、お開きです。最後に増田がおすすめする本当にキモチいい七人の監督の七作を紹介してお別れです。
周防正行:『舞妓はレディ』と『終の信託』以外全部。入門編は「シコふんじゃった。」。シコったあとで『Shall We Dance?』を見ればこの監督独特のリズムに慣らされる。
キャスリン・ビグロー:『ハート・ブルー』と『ゼロ・ダーク・サーティ』。最初に観るなら『ハート・ブルー』。それを最後にしてもいい。
北野武:ヤクザ映画全部観た後でまだ北野武を知りたいと思う余力が残っていれば『みんな〜やってるか?』あたりも。『アウトレイジ』は単発として間口は広くても北野映画の入り口にはならないと思うので『BROTHER』あたりで覚悟をきめておこう。
タランティーノ:一通り全作観終わった最後に『デス・プルーフ』。この監督はフィルモグラフィー順に観るのが良い。よって入門編は「レザボアドッグス」
ポン・ジュノ:全部。入り口としてなら『グエムル』。度胸と覚悟と自らのゲスさに自信があるなら『殺人の追憶』から入ってもいい。
園子温:ない。七人のなかで一番優先順位が低い。強いて挙げるなら『地獄でなぜ悪い』(スラップスティック好きなら)と『冷たい熱帯魚』(とにかくエグい救いのない話が好きなら)。
クリント・イーストウッド:全部。ただ順番があって、西部劇諸作飛ばしていきなり『許されざる者』を、『許されざる者』や『ダーティ・ハリー』飛ばしていきなり『グラン・トリノ』観ても感動はしてもよく飲み込めないと思う。気軽に楽しみたいなら『インビクタス』や『ジャージー・ボーイズ』あたり。
【ネタばれ注意!】
○テロリストの描写が全然できてない
「なぜ」「どのような思いで」彼らがテロをしているかが、映画を見ていてもさっぱり分からない。行動原理が不可解。
・爆弾が処理されるのを手をこまねいて眺め、処理されたら慌てて目の前で逃げるお茶目さん。
・丸見えな場所でこれ見よがしに遠隔起爆スイッチを操作して怪しまれるお馬鹿さん。
・手の込んだ場所に起爆装置を隠した割にはジェームズがえんえんと探しまわる間何もしないうっかりさん(じゃあ何のために隠したの?)。
・やたら神がかった命中率を誇る砂漠の狙撃手は、サンボーンが撃ち手になった瞬間から一発も弾を撃たない。弾がジャムって出ないトラブルの間も辛抱強く待ち、おまけにサンボーンの狙撃の命中率が結構高いことが分かってからも体丸出しで狙撃しようとする。
・せっかく山羊の群れまで率いて背後から挟撃を図ったテロリストは、棒立ちのエルドリッジが発砲許可らしきものを求めてる間ずっと何もせずに待ってあげる(彼が自分に気づいて銃を構えているのが見えなかったはずはないのに)あげくの果てに撃ち殺されるまで何もしない。
「衝撃的な絵」がつくりたいのか(爆破シーンとか)、「印象的な絵」がつくりたいのか(夕焼けの電話シーンとか)、「前衛的な絵」がつくりたいのか(夜の探索シーンで真っ暗闇が5秒ほど続いたときは、締め切り間際の漫画家の手法かよと思った)、「リアルな絵」が欲しいのか(最初と最後だけ少しドキュメンタリふう、あとはふつうの映画ふう)……統一がなく調和もないので、何をやりたいのか分からない。監督の頭の中で事実と妄想、趣味と実益がごっちゃになって整理がついていないのだと思う。
特にひどいのは、物語り終盤のジェームズとサンボーンの会話シーン。
最初の隊長が死んじゃったくらいの爆発に見えるのに、なぜか鼻血だしただけのメイクで普通にいつもの車で帰還するジェームズにも腰が抜けたけど、会話をえんえんと顔のアップ(交互)でやられたのには参った。安いTVドラマでも今時やらねーぞあそこまで。しかも会話の内容がだるい。三行でまとめれば
「お前考えすぎじゃね?」「お前が馬鹿すぎなんだよ!」「そーか、困ったな」
で終わる程度の底の浅い会話。
○登場人物の描写がダメ
人物がダメ、なのではなく(彼らはそれぞれ、それなりに愛すべきキャラクターだったと思うし、俳優も頑張って演じていた)、描写がダメ。これはかなりマズい点だと思う。
・エルドリッジ:繰り返し出てくるダメダメカウンセリングでも、エルドリッジがこれまでどんな人生を送ってきて今どう感じてるという歴史が全然見えない。「怖いー、死にたくねー」と言わせてるだけ。だから、最後にヘリに乗せられるシーンでも、彼が悪態つきながら少し成長した演技してるのに、それを生かせない。軍医が死んで錯乱するシーンも、嘘っぽく見える。
・サンボーン:諜報部出身というキャラを生かそうと、落ち着いた考え深い演技を俳優がしてるのに、最後のダメ会話シーン(上記参照)で台無し。おまけに最初は主人公ぽく出てきたのに物語りラストでは一顧だにされてないかわいそうな人。彼はどうなったの?マジで。
・ジェームズ:子ども好きだったり純粋だったりそれでいて戦争の犬っぽくなった彼の「過去」について、ガラクタでもって語りかけたところでサンボーンがけなす、でもってジェームズが軽くマジギレしかけて…ってとこで、俳優はあのひょうひょうとしたジェームズに、結構深みのある顔をさせてた。おお、ここでジェームズがようやく描かれるのかー…と期待したら、あっさり牡同士の疑似ホモシーンに興味を移す監督。ダメすぐる。おまえは腐女子か。大体、登場人物の内面を、答のない対象をあいてとしたモノローグ(犬とか猫とか、木とか、そして赤ん坊とか)で描くとか、今どき自主制作レベルの映画でも恥ずかしくてやらないと思う。
・最初に現場から逃げたテロリストと、壁につながれたコード。何?もう少し説明してよ。
・結局、こっそりDVD屋を脅して進入した家の教授は何だったの?
・砂漠で我慢比べのシーン、エルドリッジが撃った奴以外に、結局敵はいたの?いなかったの?
・廃工場で軍医が死んじゃう話、最初は「不発弾処理のための出動」って言ってたのに、いつの間にアジト捜索ミッションに変わってたの?そんなミッションに軍医(しかも大佐?)を連れてくなよ。
・廃工場でテロリストはなぜ死体に爆弾を隠したの?たばこには火がついていたのに、死体はすでに死後硬直もとけて腐っている状態?にもかかわらず遠隔爆破したのは軍医の横においてあった袋とか、わけわかんねえ。
・ちなみに廃工場のシーンで、流れ的に全くスルーされてたけど、部屋の中にビデオカメラがあって、「まさかこれで見てるとか、そういうのか?」と思ったけど、全く意に介さないし、物語にもなんも関係なかった。あと、生活空間の壁の旗は「アジトっぽい」と言えばそうだけど、あんましリアルではなかったね。
・深夜の追跡は明らかに逸脱だし、最初はあのミッションも「爆発の原因を調べる」ためじゃなかったか。命令された仕事をせず、命令外の出来事に勝手に部下を巻き込んで怪我させて…ちょっと軍法会議ものじゃないかと思う事件がスルーされるのは納得いかない。一体彼は、部下の怪我の原因をどう報告したの?
・「残り2日」、から、舞台の別れのシーンもなく、いきなりアメリカで買い物してるシーンに飛ぶ……なら「あと○○日」ってえんえんと書いてきたのはなんだったんだよ!と個人的には思った。シリアル買うシーンは、ちょっとおもしろかったけど。
まあ、そんなわけで、現在進行形のアメリカの人とは全然違う感想になるんだろうけど、一本の映画としてみたときにはちょっと完成度の低い映画だなあ、と思いました。まあ、ディレクターズカット版だとまた違うのかもね、とは思うけど。