はてなキーワード: テトラポットとは
それを拾おうとして屈むと、鯖のにおいが鼻につく。
顔を上げると10寸ほど先に、錨に座る麦わら帽をかぶった男が居た。
タイトなデニムのオーバーオールを着ており、中には黒の半袖シャツ。
黒髭の懐にはにきびのような突起がぽつぽつとあり、じろりとこちらを一瞥すると海の方へと目を向けた。
私は彼に近づき、「釣れますか?」と聞いた。
彼は小声で「やれやれ」とつぶやいた。
私は何か気に障るようなことを言ったのかと訝しりながら焦り、右のポケットからくしゃくしゃの千円札を取り出すと彼に見せた。
じっと無言で、彼は私が摘まんだ千円札を見つめた。
それから竿を地面において、半身を翻すと私の方へと身体を向けた。
彼は左手を水平にまで擡げ、真っ直ぐに伸ばすと私の後方を指さした。
振り返ると千円札は無くなっていた。
彼も消えており、竿が大きく撓った。
バケツを覗くと鯖が一匹。
今まさに、釣り上げられようとしていた。
二日前、オモコロで催眠術の記事を読んだことをきっかけにYouTubeで催眠術の動画を見た。ヒプノディスク(なんかようわからんぐるぐるするやつ)を見ているうちに手が開かなくなったりとか、そのまま目を閉じるとまぶたが開かなくなったりとか。そういう5分に満たない動画。数年前にこれを試したときはてきめんに効いて驚いたのだけれど、今回は二度目だからか、当時よりも大人になったからか、はたまたヒプノディスクってヒプノシスマイクみたいだな…と邪念が湧いていたからか、催眠に対して抵抗することができた。アッもしかして"ヒプノ"は催眠を表す単語ですか?
その流れでおすすめに上がった前世催眠…前世瞑想…?の動画を見ることにした。こちらは30分程度の大作である。人生の30分をこれに使うのかと思ったけれど、どうせ暇なので、惰性のままに再生ボタンを押した。導入。ゆったりとした女性の声が私にリラックスを求めてくる。部屋を薄暗くし、マットレスに横たわり、命じられた深呼吸を繰り返しているところでアロマを炊けばよかったかとほんの少しだけ後悔した。埃をかぶっているアロマランプはこういうときに使うものだろう。たぶん。
さて、動画の女性は私が完全にリラックスできたていで話を進めていく。私の精神は深呼吸くらいでリラックスできないし、身体は深呼吸くらいで脱力できないのだけれど、まあ、しかたがない。というか呼吸って意識すればするほどに浅くなりませんか?ほんとうにアロマを炊けばよかったと思ったよ。とにかく彼女は私に目を閉じろと言った。私は閉じた。あなたは海にいますと言われた。海。これまでの人生の1/3を海沿いの町で過ごしてきた私は海のイメージに自信があった。今となっては思い出の中にある海。真っ暗な空とそれよりも深い色をした海面、テトラポットに打ちつけられる波の音と飛沫、寒さでざらざらとするような潮風とその匂い。遠くで空港につながる道が光っている。
「満天の星が輝いています。あなたを包む風はあたたかく……」と女性が言った。後出ししないでほしかった。思い出をまるめて捨てた私はおそらく海外だろう美しい砂浜を作り上げることに努めた。
この時点で結構いっぱいいっぱいというか、彼女が想定している私の脳内と実際にかなりの乖離があったのだけれど、彼女はペースを緩めてくれない。その海の中からなにかがあなたを案内するために迎えにくると言われ、それは人かもしれないし動物かもしれないし物体かもしれない、とにかくあなたが安心できるものだと。ところで、私はそれまでの時間を乙女ゲームにかけていた。攻略対象のpicをずっと見つめていた私が急拵えで作った「私を迎えにきた安心できるもの」は当然のように攻略対象だったわけだ。
いや、ちがうだろ、と思った。
私はそのイメージを打ち消すと、白いワンピースに身を包んだ幼女を一心不乱に想像した。案内役が幼女で安心できるのかと言われたらNOだと今になれば思うのだけれど、そのときは焦っていた。幼女は……というか動画の女性は私を海底に導いた上で目の前に門があるとぬかす。門。門か。門ってなんだろう。コナンのアニメで出てくるあれかな?両開きの扉がついているやつ。もうそれでいいよ。妥協が肝心だ。この門をくぐると私は前世を体験できるらしい。いよいよである。
これはもうほんとうにイメージの話であるのだけれど、事件の始まりを予感させる扉の先で脳内に浮かんだものはショッキングピンクだった。女性が足下を見てくださいと命ずる。なにを履いていますか?それとも裸足でしょうか……ゴールドのハイヒール……ハイヒールということはドレス……いやでも前世でパーティードレスを着るか?ドレス……なんかもっとこう異世界転生して悪役令嬢になった主人公が着るような……マリーアントワネットみたいな…………連想ゲームのような感じで私の前世は決まった。中世ヨーロッパの貴族の令嬢。連想ゲームというか乙女ゲームの世界から抜け出せていない感じは否めない。あと、ショッキングピンクはまじで関係がなかった。なんだったんだよ。
女は「前世のあなたがいちばん幸せだった場面に飛びます」と言った。私は飛んだ。素直だから。その場面の私は幼女の姿をして椅子に座っていた。優しそうな侍女が私の長い髪をくしで梳かして、ととのえている。指先や表情から彼女が私をかわいがってくれていることは明らかだった。嬉しいなあ。幸せだなあと思ったけれど、これをいちばん幸せな瞬間とするならば前世の私はよほど不幸だったのか。はたまた、ありふれた日常の一幕こそがほんとうの幸福なんだよ、そういう教訓だろうか。とにかく私は侍女のことが大好きで彼女にハグをしていると「今度はあなたがいちばん愛情を感じた場面に飛びます」と指示が入る。飛んだ。そこは、舞踏会か、なにかしらのパーティーの壇上だった。17歳の私はそのきらびやかな席で主催である父親に娘だと紹介されている。そっかあ、そうかあ。だれに紹介しても恥ずかしくない娘か……
ぶっちゃけ、これが前世のはずはないのだ。わかっている。ただイメージを作ることを強制された脳内の中で自分の欲望は思いがけず、はっきりと浮かぶもので、要するに私はすでに父親がいない。彼は再婚した先で新しく家庭を築いている。そうして私は、私が、両親にとってよくない娘であったことがずっとコンプレックスだった。そのことで苦しむ夜は数年単位で訪れていないのだけれど。
なんだかしゅんとしてしまった。あと、この場にさっきの侍女がいないことがさみしかった。なんとなく彼女はすでに私から離れているような気がしていた。さっきから母親の影がないこともなにかしらの表れかと悲しい思いがする。
しかし感情に浸る間もなく「現世であなたをレベルアップさせるための場面に飛びます」と女がめちゃくちゃを言った。それはもう私の脳内にないだろって。そのイメージの材料は無意識下にでもないだろって思ったのだけれど、だからなのか、使い回しのように私は海辺にいた。差分変化として夕暮れだった。隣に妙齢の女性。
彼女は厳しい目で海をながめていた。馬鹿にしているようでもあった。ただ、私は怖い顔をしているけれどこの人はほんとうは海で遊びたいんじゃないかな?と考えていた。誘ってみようかな。ああでも彼女も美しいドレスを着ているから海に入れないか。でも……「あなたは前世から戻ってきます。少し先の未来でレベルアップしたあなたはなにをしていますか」私は職場にいて、四月に入職したり異動してきたりしたまだ親しくない同僚にいっしょに仕事しましょうと持ちかけていた。それを終えて、大変だったけれどやってよかったですねえと笑った。
これで前世旅行はおしまい。不思議な三十分間だったので記録しておきたいと思って、これを書いた。なんの意味もない。この話をしたら友達からは「新興宗教か?」と訝しまれたのだけれど、それはほんとうに私もそう思うよ。
朝に起きるのは珍しい。
なんだか今日はとても早く目覚めてしまった。起きるとベッドの隣、ぼくの脱いだジーンズの上で猫が寝ていた。
昨日もお酒を飲み過ぎた。毎日のルーティンってかんじでお酒をたらふく飲む。
昨日飲んだ友人はもう4年かそれ以上の付き合いなのだけれど、あなたと出逢ってできた友人だから話をするとあなたの事も会話に登場させたりしてしまう。それで、あなたの姿形を意識して、こうやって朝に言葉を残す事になった。
大きな蟹、テトラポット、ダイナミックな雲とそれを反射してるオレンジか白か青い海と。夕方、ぼくらはL字のコンクリートの上で座ってた。
なんの話をしたのか、あまり覚えてないけれど、ぼくが生きていた中で多分とても美しい思い出、それも美しい思い出の中でもとびっきり、とびっきりにインパクトもある美しい思い出になってる。
隣のビーチで水着も持っていないのに適当に脱いでから浮いていた丸太に乗って足を滑らしたりしていたこととかも。
ぼくは全然文章が上手くない。言葉が不自由なんだけれど、あなたはとっても分かってくれるし上手だから恥ずかしいのだけれど、あなたが教えてくれた通り、この手紙が届いたり届かなかったりすればいいと思う。
もう日は暮れて、2人でたぶん手を繋ぎながらよく知らない真っ暗な道を帰った。
オリオンビールしか島にはなくて、ぼくはビールとか全然好きに今もなれないけれど、いっぱい飲んだ気がする。
あと覚えてることは、島から本島に帰って乗ったタクシーでdaokoと米津玄師の打上花火が流れていたこと。あの曲を聴くと、ぼくはあなたと島で夕日を見ていたことをいつも何度でも思い出せる。
ぼくは、あなたと会って次の日に行った美術館のことも思い出す。あなたと話した多くのこと、あなたは今のぼくを確かに作っていて、やっぱり全部の会話を憶えていることなんて勿論できないんだけど、今思えば…、いいえ、思ってたんだけどとても可愛らしい、可愛い人だったと思う。それから、傲慢かもしれないけれど、あなたの孤独や孤独とかいえない何か、特別な秘密とか魅力みたいなのも分かってた気がしてる。
今のことを言えば、2人は会ってそしてまた別々の場所で生きているっぽいしもう会わないかも知れないし、あなたはぼくに会いたくないのかもしれないし、ぼくもわざわざ会うなんてことはきっとできないし、もう会えないかもしれないんだけれど、あなたがぼくにくれた小説の影響はかなり受けているし、新宿のサブウェイで3時間か何時間かかけてすぐ読んじゃうくらい面白かった。ぼくはあまり本を読まない。読めないけれど、ぼくが生きた少ない人生の中で1番ちゃんと読んだ本だったかなと思う。
ぼくはやっぱり。人が生きて一緒にいると一緒に居れなくなっちゃったりするけれど、あなたと関係がどうとか関係なくお話がしたいと思ったりする。最近のぼくはお酒を飲んだり適当に人と話してるだけだけど、あなたとの話はあなたとしかできない手触りがした。
今からぼくはまた少し寝るかも知れない。猫が足を舐めている。
大分県マリンカルチャーセンターの海洋科学館に行って参りましたわ。
そして外展示にはふれあい水槽がありましたわ。なんと世界初だそうですわ!何年前の世界初かはわかりませんでしたわ!
エサは100円だったのであげてみましたわ。小さなエビ一袋ですわ。
あんまり食いつきはよくなかったですけど勢いはありましたわ。指を噛まれないようにとの貼り紙もありましたが噛まれたらやばそうな感じで身の危険を感じましたわ。わたくしは切身じゃありませんわ!
なんとこちらでは2月下旬から6月上旬まで海水プールにてマンボウが見れるのですわ!また3月上旬からは餌やり体験もできるそうですわ。なかなかマンボウに餌をあげる機会はありませんわ。
またマリンカルチャーセンターでは船に乗ってサンゴを見に行けますわ
時間がなかったので行きませんでしたわ。
少しでも役に立てばと思います
その後、停電になったみたいで14日夜現在で IRC には来てません
21:52 jour: 名取、女川、陸前高田、気仙沼、宮古ともの凄い被害なのに、
21:52 jour: 間の石巻でネットしてる人が信じられないw
21:54 ***: ぶっちゃけ今日の2時くらいまで携帯はつながらんし、道路はやばいことになってるし
21:56 ***: 仕事場です
21:57 jour: 水は来た?
21:57 ***: 来ましたよ
21:57 ***: でも膝下くらい
21:57 jour: こわい...
21:58 jour: 家にいたら、もっと大変だったってわけか
21:58 jour: 歩き?
21:59 ***: ちなみに仕事場はたぶん帰宅後屋根まで浸水したお
22:00 jour: まじか... 残ってたらやばかった?
22:01 ***: 残ってたら
22:01 ***: 残ってたら
22:01 ***: 残ってたら
22:01 ***: 下手すれば寒中水泳してましたな
22:02 jour: 寒中水泳で住めばいいけど...
22:05 jour: 今住んでるのは海沿いだったっけ?
22:05 ***: うん
22:05 jour: 海沿いに堤防とかあるの?
22:06 ***: チリ地震津波の時に痛い目に遭ったんで
22:07 ***: 大規模な改修工事何回もやって10m超える堤防をがっちり作りました
22:08 ***: 沖合にテトラポットラインを何重にも作って
22:08 ***: 津波ぐらいではびくともしない防波ラインを作りました
22:09 ***: 地元では「壮大な税金の無駄遣い」と言われて叩かれまくりましたが
22:10 jour: 無かったら死んでたね...
22:13 ***: 渡波海岸を見るたびに「ノルマンディー上陸作戦を阻止でもする気なのか、市役所の馬鹿どもは・・・」と馬鹿にしてました
22:14 ***: すいませんすいません
22:14 jour: 会社はどの辺?
22:15 ***: 門脇の方です
22:17 jour: こっちのが内陸なのに、屋根まで...
22:18 ***: まあ「運」ですな
22:18 jour: 停電情報、宮城ほぼ全域とかなってるけど、石巻どうなってるのwww
22:19 ***: 石巻街中はたぶん電気ついてると思います
00:15 ***: 空襲警報みたいなサイレンが鳴り響いてる
00:15 ***: イヤな音や・・・
00:15 jour: しょうがない
00:15 jour: 被災地だ
00:16 jour: テレビで石巻の様子をやってたが、とてもネットとか出来るような状況じゃなかったぞ
00:18 ***: これ橋浦とか市役所近辺しか被害のひどいとこしかやってないでしょ
00:18 jour: まぁ酷い場所しかニュースにはならんね
00:19 ***: うんだ
00:22 ***: 女川も壊滅って言う割に女川の友人と電話は繋がるのよね
00:23 ***: これ、昼間で良かったね
00:23 jour: うんだ
00:46 jour: 一番の被災地かな?
00:46 ***: うん
02:19 ***: 渡波が4,50cmなのに、隣町の湊が学校の3階まで浸水ってどういうこと?
02:21 ***: 湊は堤防皆無です
02:22 ***: 堤防の差でそこまで変わるんでしょうか・・・
02:22 jour: 消波しないとそんなに差が出るのか
02:23 ***: 渡波海岸はこのままじゃ砂浜が消えるって言うんで
02:24 ***: テトラポットを埋めまくって、徹底的に消波にこだわったから・・・
02:26 jour: 命拾いですな
02:38 ***: jourさんが行った漫画館に行く時に通った内海橋は全壊らしい
02:40 jour: しかしテトラポットだけで、こんなに被害が変わるとは...
02:42 ***: あと強固な堤防
02:42 ***: 堤防の上から落ちたら死ねそうな高さの堤防
02:42 jour: そんな高いんだ
02:48 ***: しかしニコ動で昨日今日の津波特集見てるが
02:48 ***: ホントにすげえええ
02:49 ***: 災害地は大変そうだ夫
02:50 jour: で、実際何mの津波が来たんだ?w
02:51 ***: よく分からんwwww
02:51 jour: wwwww
02:51 jour: 家にいるときに津波に合ってるんでしょ?
02:51 jour: そうなのか
02:52 ***: わけわかんねーお
02:52 jour: 目の前から来るのは消波して堤防が防いで、脇から流れてくるのだけって感じだったのかな
02:52 ***: あ、たぶんそれ
02:52 ***: だって海に近いここより
02:53 ***: 内陸の方の小学校の方が波高かったみたいだもん
02:53 jour: 湊小学校?
02:54 jour: 家の裏のほうじゃん...
02:54 jour: 後ろから巻いてきた...
02:54 ***: たぶん川から横に入ってきた
02:55 jour: この場合は正面食い止めて周りから来た感じだな
02:55 ***: ですn
02:57 ***: 行った人の話だと腰の高さぐらいって聞きました
02:58 jour: 渡波辺りは最大で1m未満、湊の方は3m
02:58 ***: 住んでるとこ間違えば危なくjourさんに「食物も飲料水も無い・・・津波がもう目の前に・・・助けて」と断末魔のメール出すとこだったお
02:59 jour: だが回線が不通で届かない罠
03:03 jour: 震源地に対していくらかの障壁があったのが良かったのかな
03:03 ***: 気仙沼は道路と海面がほぼ同じ&障壁無し
03:03 ***: 名取も同じ
03:16 ***: 明日はもう一回お年寄りだけの家とか様子見に行ってくるか・・・
03:29 jour: オレも横浜から歩いて帰ってくる途中、何回か道を聞かれたけど、
3/15 21:30 追記
「ちょっといい話聞きたくない?」
大学の食堂でぼくがカレー口に運ぼうとしていた時だった。湯気を立てるうどんがたっぷり入ったどんぶりの向こう側で、彼女はそう言って微笑んだ。
「いい話?」
「そう。ちょっぴり甘酸っぱい文通の話」
「いいねえ。聞こう」
「ふふん」
スプーンを皿に置いて手を組み身を乗り出すと、彼女はおほんとひとつ咳をして得意そうに話し始めた。
「あるところにひとりの女の子がいました。その子は自分が住んでいる町が好きではありませんでした。田舎だし、ぜんぜんオシャレじゃないし。女の子はすぐにでも町を出たくて堪りませんでした。だから、ある時手紙を書きました。誰にも送るつもりなどなかった手紙でした。思っていることを全て吐き出したのです。そうしないと女の子はもうダメだった。潰れてしまいそうだったのです。あくる日、女の子は手紙を詰め込んだ瓶を海に投げ捨てました。――あ、女の子が住んでいた町は海が近かったのね。瓶は長らく波に揺られていましたが、やがて見えなくなりました」
さてさて、と、一息入れて続きを話そうとする彼女を、目の前に手を差し出してぼくは制する。きょとんと驚く彼女を尻目にぼくは話の続きを口にした。
「当たり前のように、女の子は返事が来るとは思っていませんでした。海は広いのです。きっと誰にも見つからないと考えていました。むしろ誰にも見つからない方がよかったのです。けれど、どういうわけか返事は返ってきました。とある日、再び訪れた浜辺に見知らぬ瓶が埋まっていたのです。女の子はびっくりしながらも文面を読み、そしてまた手紙を書きました。誰かに届いているような気がしたのです。数日後、また波打ち際に瓶が埋まっていました」
「どうして、涼太が知ってるの?」
目を大きくして驚きを隠さない彼女に、ぼくは少し恥ずかしくなりながらも答えた。
「……あの浜辺はさ、潮流が一度近くのテトラポットにぶつかるんだ。それから海の中に潜ってまた流れていく。だから海面に浮かぶものなんかだと簡単に拾えちゃったりするんだよ」
「えっと、つまり、あの手紙の相手ってのは……」
「まあぼくも、今の今まで相手が誰と文通してるかなんて知らなかったけどね」
言って鼻を掻いた目の前で、美奈の頬は音を立てるかのようにして一瞬で朱に染まってしまった。