俺の家の近くでボーダーコリーが飼われている。白黒のモワモワした毛並みのあの犬だ。
俺も犬は好きなので出勤途中に散歩している他の犬などを見かけるとアイコンタクトして飼い主にも黙礼くらいはしているのだが、件のボーダーコリーは俺と目が合うともんのすごい勢いで俺の所に突っ込みたがり、飼い主の奥さんが慌ててリードを引っ張るくらいだ。リードで引っ張られながら二本足で立ち、「おい待て!素通りするな!俺を撫でろ!」と言わんばかりに前足をもがかせて。俺が立ち止まり撫でようとすると即座に地べたに寝っ転がって腹を見せて、俺が腹を撫でると「よしよしわかってるじゃないか」と満足そうにするのだ。そしてそれを見ながら飼い主の奥さんは「あー…あんたシャンプーしたばかりなのに」とぼやく。
多少俺にしっぽ振ったり目で追ったりする犬は多いが、この犬のそれはちょっと異常なくらいである。
結構長い間空き家だったその家に、その家族が引っ越してきたのは去年あたり。その犬はすでに成犬になっていた。初めて会ったとき、「触ってみていいですか?」と訊いたら「構いませんけど、よその人には愛想ないんですよこいつ」と憮然とした表情で飼い主の旦那さんが言ってるそばで俺の足元、というか足の甲の上でその犬は腹を見せて旦那さんが「え?ええええ?」となっていた。俺も少しびっくりした。
その犬は家の中では道路に面した出窓が自分の場所で、よく寝そべっている。だがそこに俺が通ろうものならガラスの向こうでシャキーンと立ち上がり興奮気味にクルクル回りながらものすごい笑顔で俺を目で追う。
今朝俺が帰宅するとき(俺は夜勤)、その家の前を通ると奥さんが玄関の扉を開けてエントランス回りの掃き掃除してたのだが、玄関の中で寝そべっていたその犬は俺を見つけるなりダッシュで家の奥へ消えた。「?」と思ってたらまたダッシュで戻ってきた。
口にはリードが咥えられていた。お前本当に何なんだよ。
前世で恋人だったんだワン!
その犬は子犬の頃に虐待されていた経験があって、 そこから保護して、けがを治療して育ててくれた犬の保護官にお前がそっくりなんだろう。
ボーダーコリーはかなり賢いそうだからな 前世の記憶があってもおかしくない
ボーダーコリー飼ってた人の話聞くと、中に人間の魂入ってない?って話多くて驚く。
書いてるのをみると微笑ましいが、飼い主としては複雑かもなあ。
たまにこういう「犬呼び体質」の人いるよね。うらやましい。
増田自身も犬だという叙述トリック